国際情勢の分析と予測

地政学・歴史・地理・経済などの切り口から国際情勢を分析・予測。シャンティ・フーラによる記事の引用・転載は禁止。

プーチン新大統領が北方領土問題の最終解決に意欲

2012年03月04日 | ロシア・北方領土
北方領土問題とは日露間の問題では無く日米間の問題である。1953年にベリヤによるスターリン暗殺とその直後のベリヤとカガノビッチがジューコフによって逮捕・処刑される政変が起こりソ連はユダヤ人独裁から解放されてロシアを中心とする国民国家になった。この新生ソ連が日本との友好関係樹立を目指して交渉を行い、両国はシベリアに抑留されていた日本軍人を日本に帰国させ、サンフランシスコ条約で日本が放棄した千島列島に歯舞色丹は含まれないというソ連側の譲歩によって2島返還で合意した。しかし、日本とソ連が友好関係になると米国は日本への影響力が低下してしまう。それを恐れたダレス国防長官は日本政府に対して「2島返還で合意するならば沖縄を返還しないぞ」と脅迫した。事実上米国の軍事占領下にある日本は米国のこの恫喝を拒否することができず、住民が全て日本に脱出した国後択捉よりも100万人近い住民の居住する沖縄を選択したのだ。ただ、ダレスが日本の敵であるかどうかは微妙である。当時のアイゼンハワー大統領は第二次大戦中の欧州戦線の最高司令官であり、太平洋戦線の最高司令官でありその後朝鮮戦争で中国への核攻撃を主張して解任され、その後「第二次大戦は日本にとって自衛戦争であった」と証言したマッカーサーの立場を反映していると思われるからだ。更に、1953年1月のアイゼンハワー大統領の就任は1913年のFRB設立以降に米国政府を事実上支配してきた国際金融資本が一時的に米軍に主導権を奪われたことを意味する。このような経緯を考えれば、プーチンの主張は全く妥当である。また、日本政府の答弁は、近未来に日本が米軍の支配から脱して独立を回復し、北方領土問題の解決が可能になる見込みがあることを示している。人口もそれほど多くない日本は軍事力では無く国際法に基づいて自国を防衛するのが有益である。2島返還は国際法に基づいておりたたき台として唯一無二の存在である。ただ、日露間の歴史的経緯、日本人の対露感情を考えれば、日本政府が何らかの対価を支払って国後択捉をロシアから買収するのが日露両国にとって有益であると思われる。その対価として最も適切なのは、宗谷海峡トンネルの建設とシベリア鉄道の日本への延伸である。日本とロシアを結ぶ大動脈が通過することでサハリン州には鉄道関連の職場が生まれ、現地住民の返還反対論を抑制することが可能になるだろう。 . . . 本文を読む
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