国際情勢の分析と予測

地政学・歴史・地理・経済などの切り口から国際情勢を分析・予測。シャンティ・フーラによる記事の引用・転載は禁止。

フォークランド諸島とYPF:中南米の国際金融資本からの独立戦争

2012年04月21日 | 中南米・カナダ
米国とカナダ以外の32カ国全てがフォークランド諸島問題でアルゼンチン側を支持したという。今後もしアルゼンチンが再度フォークランド諸島を占領すればイギリスは奪還不可能だろうという記事も紹介されている。 フォークランド諸島は南米と南極の間のドレーク海峡の入り口という世界の海運上のチョークポイントの入り口に位置している。国際金融資本の世界戦略はこのチョークポイントのうち重要なものを抑えるというものであり、周辺の人口の少ないフォークランドでは英国系住民の入植によって直接支配が行われている。パナマ地峡もかつては米国による直接支配であった。周辺の人口の多いスエズ地峡・キプロス・シンガポール・韓国・ジブラルタルなどの他のチョークポイントでは、移民や周辺大国と異なる民族などを活用した小国による間接支配が行われているのと対照的である。4月16日にはアルゼンチンの元国営石油会社であるYPFをアルゼンチン政府が再国有化する方針を発表し、現在YPFを所有しているスペイン企業レプソルがEUやIMF、世界銀行を巻き込んで反対運動を繰り広げている。YPFのレプソルへの売却はアルゼンチンが国家破綻する直前に行われており、国際金融資本による新興国インフラ企業乗っ取りという21世紀の世界戦略に基づくものである。国際金融資本の牙城であるIMFや世界銀行がこれに激しく反発しているのは当然であろう。私がこのYPF問題で注目しているのが、南米の大国であるブラジルの動向である。ブラジル鉱山・エネルギー相は、ブラジルの国営大手石油企業であるペトロブラスのアルゼンチン事業はYPFの様な国営化の対象にはならないとの見解を表明している。恐らく、ブラジルはYPF問題でアルゼンチンを支持し、IMFや国際金融資本が世界から孤立することになるだろう。そして、近日中にフォークランド紛争が再燃し、ブラジルを含めた中南米諸国すべてと中国・ロシア・インドがアルゼンチンを支持することで国際金融資本は敗退することになると想像する。 . . . 本文を読む
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