●シンガポール四面楚歌 ベトナム急接近 2月15日8時0分配信 産経新聞
■タイ「軍事機密を盗聴」/インドネシア砂供給停止/マレーシア「洪水の元凶」
【シンガポール=藤本欣也】小国ながら東南アジア随一の経済発展を遂げたシンガポールと近隣諸国との関係がぎくしゃくしている。タイからは「軍事機密を盗聴している」と名指しされ、インドネシアからは、建設に欠かせない砂の供給を突然止められた。政治・経済的に緊密な関係を築いてきたタイのタクシン政権が崩壊した影響は大きく、国家戦略の見直しを迫られたシンガポールは新たなパートナーとしてベトナムに橋頭堡(きょうとうほ)を築こうとしている。
「わが国はトリプル攻撃に見舞われた」。シンガポールの英字紙ストレーツ・タイムズがこう指摘したように、同国は今、四面楚歌(そか)の状況に置かれている。
まず、軍事クーデターで失脚したタイのタクシン前首相が1月、シンガポールを訪問した際、友人のジャヤクマル副首相が面会したことにタイ当局が激怒。両国間の交流を一部制限した。タイ軍部も、シンガポール政府系企業の傘下に入った自国の通信会社を通じ、軍事機密がもれている疑いがあると広言し、シンガポール政府が打ち消しに躍起となっている。
次にシンガポールに降りかかった難題は“砂”不足だった。シンガポールは建設用コンクリートに必要な砂をインドネシアから輸入していたが、今月6日、インドネシア政府は突然、砂の供給をストップ。建設費の高騰が懸念されている。
インドネシア側は環境保護を理由に挙げるが、「(国境問題など両国間の未解決問題で)歩み寄ろうとしないシンガポールへの報復」(ジャカルタ・ポスト紙)との見方がもっぱらだ。
さらに、洪水に見舞われた対岸のマレーシアからは、「シンガポール領の埋め立てのせいで河口が狭まり、洪水が引き起こされた。悪いのはシンガポールだ」との非難の声が上がっている。
小国なのに経済発展を謳歌(おうか)するシンガポール人へのやっかみもあり、シンガポールと隣国のインドネシアやマレーシアとの関係はこれまでもよくなかった。「マレー人の海に浮かぶ華人の島」(リー・クアンユー顧問相)のシンガポールはここ数年、華人系のタクシン政権との関係をテコに域内での発言力を確保しようとしてきた側面がある。それだけに、タイのクーデターで国家戦略の見直しを迫られた格好となっている。
その点で注目されるのは最近の同国とベトナムの急接近ぶりだ。リー顧問相が1月、東南アジア・トップの経済成長率を持続するベトナムを約10年ぶりに訪問し、政府要人と会談を重ねた。シンガポール企業のベトナム進出や、シンガポールによる証券市場整備なども相次いで決まっている。「シンガポールは長期的戦略に立った対越支援に乗り出した」(外交筋)との見方が出ている。
●シンガポール系会社の衛星、タイの財産と陸軍司令官 2007年2月17日0時9分 読売新聞
タイのソンティ陸軍司令官は16日、バンコク市内で講演し、「ある国が所有する通信衛星は本来タイの国家財産だ」と語り、タイ唯一の衛星通信会社を支配下に置くシンガポールを非難した。
また、他国に国の財産を取られないようにするのが軍の義務として、「どのようにしたら取り戻せるか考えている」とも語った。
シンガポール政府系投資会社は2006年1月、タクシン前首相一族から衛星通信や携帯電話最大手を統括する持ち株会社を買収。同司令官は1月、「軍が電話で秘密を話すと、それはまっすぐシンガポールに行ってしまう」と主張。盗聴を避けるためトランシーバーを使うと話していた。これに対し、シンガポール外務省は、企業買収は純粋に経済活動で、盗聴もあり得ないと同司令官の主張を否定している。
昨年9月に軍事クーデターを起こしたタイ軍部や暫定政府は、前首相が1月、シンガポールで同国副首相と会ったことに抗議し、外相の招請を取り消すなど外交関係を制限。両国関係はぎくしゃくしている。
●華僑的南方拡大 アジアを揺さぶる団結力 【高山正之の異見自在】 1998年03月14日
昨年夏、サイゴン川のほとりでボー・グエンザップ将軍と会う機会があった。思い出話はいつかベトナム戦争になって、「一九七五年のサイゴン陥落でやっと念願の独立が達成されたワケですね」と聞くと、老将軍は「いや、仕上げはまだ残っている」というようなことをいった。 どんな仕上げですかと聞いてもにやにや笑いながらベトナム産のパパイアを勧めるだけだった。パパイアは明治屋でも売れるほど甘く、いい香りがして、帰りに大きいのを五つも土産にくれた。
ベトナムは十九世紀末からフランスの植民地にされ、子供にも人頭税をかけ、赤ん坊が生まれても、葬式を出しても課税された。 フランスは塩、酒からアヘンまで専売品にして高値で住民に割り当て、麻薬中毒患者をたくさん生み出した。反対する者がいるとギロチンで首をはねた。 ただ、フランス人たちは賢いから、そういう恨みを買いそうな仕事は華僑に任せ、自分たちは手を汚すことはなかった。 華僑はその立場を利用して根を張りベトナムの経済支配を深めていった。
第二次大戦後、植民地支配を続けようとするフランスはディエンビエンフーの戦いに敗れて追い出されたが、彼らの忠実な部下を装ってきた華僑はその後も居座りベトナム経済を握ってしまった。 老将軍がいう「最後の仕上げ」とは、つまりこの華僑の追放のことを意味するのだ、と別の高官がそっと話してくれた。サイゴン陥落のあとにしばらく続いたボートピープルがそれだという。 しかし仕上げは完全ではなかった。六十万人の華僑がいたサイゴン・ショロン地区の灯は一時的に消えたが、それでも半分は残り、今、再びベトナム経済を振り回し始めている。老将軍が現在形で語った意味もそこにあるようだ。
英国植民地マレー半島にも華僑は進出した。彼らはやがて英国人と並んでスズ鉱山やゴム園を経営して現地マレー人を働かせ、その賃金はアヘンを売り付けて吸い上げる、という英国流の手法で財をなしていった。 後に駐日大使となったリー・クンチョイ氏の父もその成功者の一人で、氏の子供のころの思い出は「鉱山に働くマレー人が夕日の中でくゆらすアヘンの煙とにおい」だったと話す。 戦後、英国人が去ったあと、ここでも華僑は居残って経済実権を握ったが、マレーの土地っ子(ブミプトラ)はベトナム人と同じように彼らを拒否し、半島の先の小さな島を与えた。今のシンガポールである。それでもマレーシアには人口の四割を華僑が占め、マハティール首相をいらだたせる。
こういう状況はタイ、ミャンマーなどでも同じで、問題なのはこの生命力の塊のような彼らは居ついた国への愛国心よりは、彼ら同士の連帯意識の方をより大切にすることだ。 その好例が「クラ地峡運河」構想である。クラ地峡はマレー半島の最もくびれた部分で幅はわずか六十キロしかない。ここに運河を掘ればインド洋と南シナ海が直結され、今のマラッカ海峡からシンガポール沖を回る航路を二千五百キロも短縮できる。古くは十九世紀半ば、インドで起きたセポイの乱のとき、香港の英国艦隊を向かわせる近道として立案されたほどの歴史をもち、戦後も、この地を領有するタイで何度か計画されたが、なぜかいつも立ち消えに終わってきた。理由は簡単で、運河ができればマラッカ海峡の海賊が干上がってしまうこともあるが、その先の華僑の国シンガポールも“世界の場末”になってしまう。しかも建設決定権をもつタイ政府の要人のほとんどは中国系タイ人(コンチン)つまり華僑たちで占められる。「計画は消えるために浮かぶうたかたと同じです」とタイ建設省のコンタイ(生粋タイ人)は話す。
今、混乱を極めているインドネシアも実は華僑が深く絡んでいる。オランダが植民地化すると同時に入り込んだ華僑はベトナムやミャンマーと同じようにオランダ人のよき下僕(しもべ)として仕えながら経済実権を握ってきた。戦後、オランダが追われた後もよその国と同じに居座り、同じように追放や焼き打ちに遭いながらも、彼らはくじけなかった。それどころか、彼らは植民地時代と同じ地位を再び確保したところがよそのアジア諸国に見られないパターンとなる。
彼らが新しい“宗主国”に祭り上げたのがスハルト・ファミリーで、リム・スイリョンなど華僑グループがそれを支えるという構図だ。インドネシアは時を経て、オランダからの独立戦争を始める時期と同じ形に戻されたともいえる。必要なら時の流れも逆転させられる華僑。そのすさまじさがアジアを席巻している中で、「いやあ、どこへ行っても中華料理が食べられるのはありがたい」なんて能天気なことをいっているのは日本人だけかもしれない。
●幻の運河地帯をゆく マラッカに大蛇がうごめく 【高山正之の異見自在】 1999年11月20日
マレー半島のサトゥン付近の通称クラ地溝帯がくびれている。ここに運河を掘れば南シナ海から即アンダマン海に出られる。その当時の船脚でも二週間は短縮できる計算だった。それ以降、例えば北清事変のおりなど歴史の谷間で何度もこの運河計画が検討され、最近では一九七三年、東京でクラ地峡国際会議も開かれた。会議ではサトゥンと南シナ海側のソンクラを結ぶ日商岩井の計画が注目を集めた。これだと掘削距離六十キロでパナマ運河より五キロも短く、地形も平坦。今、ロンボク海峡まで二千キロも大回りを強いられる十五万トン超級(ULCC)巨大タンカーも通れる幅二百メートル、深さ三十三メートルの運河が総工費七十億ドルでできあがるという。ちなみにこの数字は湾岸戦争で日本が拠出した額の三分の二ほどだ。地元タイもこれを受けてクラ運河建設に向けた推進会議が開かれるが、話はこの辺からおかしくなる。会議は開かれるが、結論が出ないまま流会する。それが数年おきに繰り返され、未だに着工のゴーサインは出ていない。
「この運河ができれば、インド洋と太平洋が直結し、タンカー一隻当たり五十万ドルも運航費が安くなる。ただ、そうなるとどの船もマラッカ海峡を通らなくなる。シンガポールは場末の国に転落し、存在価値を失う。だからタイで会議が開かれるとシンガポールから圧力がかかる」とチュラロンコン大を出たコンタイ、つまり純粋タイ人の建設省技官氏が語る。外圧で国家的な大事業を頓挫させるというのも妙な話だが、技官氏は「タイ要人はコンチン(中国系)が占める。一方のシンガポールもまた中国系の国家。彼らの同胞意識は強い」という。だから会議が始まると、シンガポールの意を体したロビイストがバンコクに出没し、会議のメンバー全員に接触が終わると、あら不思議、「会議が流会するんです」と技官氏はボヤく。
かくてクラ運河は幻と化し、多くの船はマラッカ海峡経由の大回りルートを強いられてきた。おまけにこの海峡は水深が浅く、水路も狭い。サマセット・モームの短編が描くように昔から海賊のメッカでもある。しかしクラ運河に反対するシンガポールはそういう船舶航行上のハザードにはまったく無関心とくる。例えばこの一千キロに及ぶ危険な海峡に今、危険防止用の航路標識は全部で五十一あるが、このうち四十一カ所は日本財団が見るに見かねて寄贈したものだ。
昨年九月、そのマラッカ海峡で日本の貨物船「テンユウ」が海賊に襲われた。積み荷のアルミ塊はミャンマーの中国系企業に売られ、船は中国の港で発見された。先月も日本船「アロンドラ・レインボー」が襲われた。奪われた船は乗っ取り一味とともにインド洋で捕まったが、船荷の一部はミャンマー沖を通過中に消えていたと伝えられる。捕まった海賊はインドネシア人というが、そのインドネシア海軍関係者は「スハルト時代の特殊部隊コスタラードの残党グループがいま、中国系の巨大な蛇頭と手を握って活動している」という。また「彼らが乗っ取りに使うのは五十ノットも出るドイツ製の快速艇」といい、背後に豊かな資金をもった組織がいることをほのめかす。日の目を見ないクラ運河といい、海賊の盗品捌き先といい、どこかに必ず「中国系」がからんでいるという印象があるのは気のせいだろうか。
●海運と鉄道-7:栢洲世策考廠 - AOLダイアリー 2006/3/10
タイのベンガル湾岸から越南のダナンまでを結ぶ鉄道が開通した場合、このルートは日本にとって、マラッカ海峡を迂回する貨物ルートとなる可能性があります。仮に鉄道に平行して原油パイプラインを敷設したら、タンカーのサイズはマラッカマックス(23万トンクラス)に拘束されなくなります。2004年に、タイに進出した日本企業が、トラックを利用して、タイ~ラオス~越南のダナン港のルートを利用した物流実験を行いました。従来の海上輸送に比べて所要日数を大幅に短縮することが出来たということです。将来このルートが注目されれば、トラックに比べてより輸送効率の高い鉄道の建設が検討されることになるでしょう。
一応、上記のルートには1000mmゲージでの鉄道建設計画があるのですが、現在のところ具体的な動きはありません。しかし、チャイナ・リスクもあり、続々と東南アジアへの日本企業の進出が行われていることも併せて考えれば、この鉄道は越南のダナンからタイの内陸部を直結する訳ですから、日本企業にとって有用であることは確かでしょう。
また、タイのクラ地峡に運河を建設する構想もあるそうですが、VLCC(超大型のタンカー)が通航可能な運河の建設など、天文学的な資金が必要になるわけですから、現実的とは思えません。また、コンテナ船にしても、船舶の大型化を考慮すれば、これまたその有効性には疑問符がつきます。結局、運河の建設よりもタイのベンガル湾岸の港から越南のダナンに至るインドシナ横断鉄道の建設やこれに平行したパイプラインの建設のほうが余程現実的だと思われます。その一方で、中国はミャンマーを経由して自国西南部へと直結する石油パイプラインの建設構想を持っています。鉄道についても延長構想はあるようですが、両国間の軌間の違いもあり、具体的な話は出ていないようです。
近い将来、インドシナにおいて、「縦断」を目論む中国と、「横断」を推進する日本やインドの間で政治的な駆け引きが見られるかもしれません。そして、日中どちらが主導権を握って建設した鉄道かは、そのゲージを見れば分かるはずです。中国の軌間は1435mm、インドシナ諸国の鉄道は1000mmです。(越南の河内(=ハノイ)以北に1435mmゲージ区間が存在しますが)借港出海を目論む中国は何とかして自国と同じ軌間の鉄道を建設しようとするでしょう。
現在タイとラオスの国境になっているメコン川に架かる橋の真ん中で途切れている線路がラオスを貫通し、越南のダナンに達し、インドシナ半島にマイクロランドブリッジとでも言うべきもうひとつのMLBが現出する日は来るのだろうか・・・
●地球最前線:架橋相次ぐ大メコン 国際物流網へ現実味 毎日新聞 2007年2月12日
中国・青海省を源流にインドシナ半島を縦に貫く全長約4900キロのメコン川。肥よくな土地や豊富な魚介類で沿岸住民約3億人の生活を潤す大河は、東南アジア諸国連合(ASEAN)各国間の経済のボーダーレス化が進むにつれ、迅速な物流の障壁となっていた。しかし今世紀に入って架橋が相次ぎ、既に五つの大橋が開通した。海賊による被害が頻発するマラッカ海峡を避け、半島を縦横に走る国際物流網の整備が現実味を帯びてきた。
◇通関、コストなど課題--東西経済回廊
昨年12月、タイ-ラオス国境のメコン川に架かる「第2メコン友好橋」(全長1600メートル)が完成した。両国への計80億円の円借款が建設資金となった。ミャンマーからベトナムまで、半島を横断する国際道路「東西経済回廊」が事実上、つながった。橋上での式典であいさつしたラオスのブアソン首相は「物流、貿易、投資、観光の可能性を際限なく広げる」と上気した口調で語った。シリントン・タイ王女、スラユット同国暫定首相、ズン・ベトナム首相ら各国要人も集まり、経済効果への期待の高さを印象づけた。バンコク-ハノイ間の海上輸送は、ベトナム南部ホーチミンで荷を積み替えて2週間はかかる。第2友好橋を通る東西経済回廊を走れば、同区間は3~4日で済むと日本貿易振興機構(JETRO)は推測する。
メコン川初の大橋「第1友好橋」は94年、オーストラリアの援助でタイ北東部とラオス・ビエンチャンを結んで開通した。しかし周辺の道路事情が悪く、利便性は低い。「川を渡るだけで約1時間半の待ち時間がある。それがなければ経済効率はものすごい」。第2友好橋付近のラオス側でフェリーを待つトラック運転手、レムトン・パサットさん(33)は言う。問題は、回廊が走る各国の通関手続きの煩雑さと海上輸送より割高なコストだ。通関の簡略化は各国共通の政治目標だ。しかし、タイ人のトラック運転手、コーキンさん(41)は「通関はわいろの額次第だ。払わなければ何時間も待たされる」と声を潜めた。目立った輸出産業のないラオスには「通過国になるのでは」との懸念がある。ラオスに進出した日系企業の幹部は「橋によってラオスが経済的メリットを享受できるかどうかが、通関の簡略化に関係する」と漏らす。回廊西端に位置するミャンマー軍事政権の経済政策も不透明で、国際物流路として機能するか懸念も少なくない。ラオス政府は橋のたもとのサバナケットに経済特区を設け、外国企業の誘致に懸命だ。
◇各国に格差の恐れ--日本からの投資などを促進する国際機関「日本アセアンセンター」のボン・サム・アン投資部長(34)=カンボジア閣僚評議会から出向中
道路や橋の経済効果は計り知れず、インドシナはいずれ大市場となる。ただ豊かな国と貧しい国の格差が広がる恐れがある。ラオスとカンボジアは、経済が成長しているタイ-ベトナム間の通過国として埋没するのではと恐れている。域内が平等に成長する方法が各国間で話し合われているが、貧しい国は人材不足で対外交渉が弱い。中国は地域開発に積極的だが、安全保障と直接の利益が目的。上流域のダム建設もそうで、下流域では乾期に水流がさらに減り、雨期にさらに増水する危険性がある。人材育成や社会資本整備、直接投資による雇用拡大で日本に期待したい。
◇ASEANの域内統合へ弾み--大メコン川流域経済協力プログラム
メコン流域の経済協力や支援開発を進めるこのプログラムは92年、流域国の代表がアジア開発銀行本部(マニラ)に集まり、始動した。プログラムは交通、エネルギー、通信など9分野にまたがり、現在のプロジェクト総数は119。交通路の整備は最優先の分野だ。整備対象となる道路は(1)東西経済回廊(2)南北経済回廊(バンコク-ラオス・ミャンマー-昆明▽昆明-ハノイ-ハイフォン▽ハノイ-南寧の3ルート)(3)南部経済回廊(バンコク-プノンペン-ホーチミン-ブンタウ▽タイ-ベトナムの海岸線の2ルート)。日本が積極的に開発資金などの援助を続けてきた東西経済回廊は、インドにまで延長される計画だ。これらすべてが完成、通関問題もクリアされれば、インドシナを中心に、中国を北端、インドを西端にした国際大物流網となり、ASEANにとっては域内統合への大きな弾みとなる。
●国際金融資本はなぜレバノンとイスラエルを建国したか:東南アジア・朝鮮半島との比較
【私のコメント】
シンガポールと周辺国の関係が悪化しているのは、シンガポールを拠点として東南アジア地域から搾取していた国際金融資本の衰退と無関係ではあるまい。タイ南部のクラ地峡の運河計画が実行に移されなかったのはシンガポールの地政学的優位を崩壊させる危険があり国際金融資本からの圧力があったことが大きいだろう。運河を建設した場合は、運河周辺のイスラム系少数民族の分離独立運動を煽る戦略だったのではないだろうか?先日タイでクーデターを実行したソンティ陸軍司令官はこの地域出身のイスラム教徒であることも興味深い。
第二パナマ運河建設が断念された経緯から考えて、現状ではクラ地峡運河建設が実行される可能性は低いだろう。ただ、クラ地峡に石油パイプラインと石油備蓄基地を建設する計画、あるいはビルマのインド洋沿岸からベトナム東岸を結ぶ鉄道路線によるランドブリッジ計画が実行されるならば、石油やコンテナの輸送がマラッカ海峡からシフトすることが考えられ、シンガポールの地政学的優位は一挙に失われるだろう。東アジアと中東を結ぶ超大型石油タンカーは水深の浅いマラッカ海峡を避けて現在ロンボク海峡を通過しているが、クラ地峡の石油備蓄基地を利用すれば航海距離をかなり短縮できそうである。
今月に入り、シンガポールは法人税税率の引き下げや人口予測の上方修正で明るい未来を演出するのに必死である。しかし、タイ・マレーシア・インドネシアという周辺三カ国との関係が悪化している事を考えると、シンガポールの繁栄はもはや終焉を迎えたと見て良いだろう。ベトナムとの関係強化計画も、華僑に対する強い反感がベトナムに存在することを考えると成功する可能性はまずない。華僑は所属国家への愛国心よりも華僑の連帯意識を重視する、東洋のユダヤ商人的存在である。欧米人の手下として地域に同化せず東南アジアの住民から搾取してきた華僑たちは、東南アジアを去ることになるだろう。
■タイ「軍事機密を盗聴」/インドネシア砂供給停止/マレーシア「洪水の元凶」
【シンガポール=藤本欣也】小国ながら東南アジア随一の経済発展を遂げたシンガポールと近隣諸国との関係がぎくしゃくしている。タイからは「軍事機密を盗聴している」と名指しされ、インドネシアからは、建設に欠かせない砂の供給を突然止められた。政治・経済的に緊密な関係を築いてきたタイのタクシン政権が崩壊した影響は大きく、国家戦略の見直しを迫られたシンガポールは新たなパートナーとしてベトナムに橋頭堡(きょうとうほ)を築こうとしている。
「わが国はトリプル攻撃に見舞われた」。シンガポールの英字紙ストレーツ・タイムズがこう指摘したように、同国は今、四面楚歌(そか)の状況に置かれている。
まず、軍事クーデターで失脚したタイのタクシン前首相が1月、シンガポールを訪問した際、友人のジャヤクマル副首相が面会したことにタイ当局が激怒。両国間の交流を一部制限した。タイ軍部も、シンガポール政府系企業の傘下に入った自国の通信会社を通じ、軍事機密がもれている疑いがあると広言し、シンガポール政府が打ち消しに躍起となっている。
次にシンガポールに降りかかった難題は“砂”不足だった。シンガポールは建設用コンクリートに必要な砂をインドネシアから輸入していたが、今月6日、インドネシア政府は突然、砂の供給をストップ。建設費の高騰が懸念されている。
インドネシア側は環境保護を理由に挙げるが、「(国境問題など両国間の未解決問題で)歩み寄ろうとしないシンガポールへの報復」(ジャカルタ・ポスト紙)との見方がもっぱらだ。
さらに、洪水に見舞われた対岸のマレーシアからは、「シンガポール領の埋め立てのせいで河口が狭まり、洪水が引き起こされた。悪いのはシンガポールだ」との非難の声が上がっている。
小国なのに経済発展を謳歌(おうか)するシンガポール人へのやっかみもあり、シンガポールと隣国のインドネシアやマレーシアとの関係はこれまでもよくなかった。「マレー人の海に浮かぶ華人の島」(リー・クアンユー顧問相)のシンガポールはここ数年、華人系のタクシン政権との関係をテコに域内での発言力を確保しようとしてきた側面がある。それだけに、タイのクーデターで国家戦略の見直しを迫られた格好となっている。
その点で注目されるのは最近の同国とベトナムの急接近ぶりだ。リー顧問相が1月、東南アジア・トップの経済成長率を持続するベトナムを約10年ぶりに訪問し、政府要人と会談を重ねた。シンガポール企業のベトナム進出や、シンガポールによる証券市場整備なども相次いで決まっている。「シンガポールは長期的戦略に立った対越支援に乗り出した」(外交筋)との見方が出ている。
●シンガポール系会社の衛星、タイの財産と陸軍司令官 2007年2月17日0時9分 読売新聞
タイのソンティ陸軍司令官は16日、バンコク市内で講演し、「ある国が所有する通信衛星は本来タイの国家財産だ」と語り、タイ唯一の衛星通信会社を支配下に置くシンガポールを非難した。
また、他国に国の財産を取られないようにするのが軍の義務として、「どのようにしたら取り戻せるか考えている」とも語った。
シンガポール政府系投資会社は2006年1月、タクシン前首相一族から衛星通信や携帯電話最大手を統括する持ち株会社を買収。同司令官は1月、「軍が電話で秘密を話すと、それはまっすぐシンガポールに行ってしまう」と主張。盗聴を避けるためトランシーバーを使うと話していた。これに対し、シンガポール外務省は、企業買収は純粋に経済活動で、盗聴もあり得ないと同司令官の主張を否定している。
昨年9月に軍事クーデターを起こしたタイ軍部や暫定政府は、前首相が1月、シンガポールで同国副首相と会ったことに抗議し、外相の招請を取り消すなど外交関係を制限。両国関係はぎくしゃくしている。
●華僑的南方拡大 アジアを揺さぶる団結力 【高山正之の異見自在】 1998年03月14日
昨年夏、サイゴン川のほとりでボー・グエンザップ将軍と会う機会があった。思い出話はいつかベトナム戦争になって、「一九七五年のサイゴン陥落でやっと念願の独立が達成されたワケですね」と聞くと、老将軍は「いや、仕上げはまだ残っている」というようなことをいった。 どんな仕上げですかと聞いてもにやにや笑いながらベトナム産のパパイアを勧めるだけだった。パパイアは明治屋でも売れるほど甘く、いい香りがして、帰りに大きいのを五つも土産にくれた。
ベトナムは十九世紀末からフランスの植民地にされ、子供にも人頭税をかけ、赤ん坊が生まれても、葬式を出しても課税された。 フランスは塩、酒からアヘンまで専売品にして高値で住民に割り当て、麻薬中毒患者をたくさん生み出した。反対する者がいるとギロチンで首をはねた。 ただ、フランス人たちは賢いから、そういう恨みを買いそうな仕事は華僑に任せ、自分たちは手を汚すことはなかった。 華僑はその立場を利用して根を張りベトナムの経済支配を深めていった。
第二次大戦後、植民地支配を続けようとするフランスはディエンビエンフーの戦いに敗れて追い出されたが、彼らの忠実な部下を装ってきた華僑はその後も居座りベトナム経済を握ってしまった。 老将軍がいう「最後の仕上げ」とは、つまりこの華僑の追放のことを意味するのだ、と別の高官がそっと話してくれた。サイゴン陥落のあとにしばらく続いたボートピープルがそれだという。 しかし仕上げは完全ではなかった。六十万人の華僑がいたサイゴン・ショロン地区の灯は一時的に消えたが、それでも半分は残り、今、再びベトナム経済を振り回し始めている。老将軍が現在形で語った意味もそこにあるようだ。
英国植民地マレー半島にも華僑は進出した。彼らはやがて英国人と並んでスズ鉱山やゴム園を経営して現地マレー人を働かせ、その賃金はアヘンを売り付けて吸い上げる、という英国流の手法で財をなしていった。 後に駐日大使となったリー・クンチョイ氏の父もその成功者の一人で、氏の子供のころの思い出は「鉱山に働くマレー人が夕日の中でくゆらすアヘンの煙とにおい」だったと話す。 戦後、英国人が去ったあと、ここでも華僑は居残って経済実権を握ったが、マレーの土地っ子(ブミプトラ)はベトナム人と同じように彼らを拒否し、半島の先の小さな島を与えた。今のシンガポールである。それでもマレーシアには人口の四割を華僑が占め、マハティール首相をいらだたせる。
こういう状況はタイ、ミャンマーなどでも同じで、問題なのはこの生命力の塊のような彼らは居ついた国への愛国心よりは、彼ら同士の連帯意識の方をより大切にすることだ。 その好例が「クラ地峡運河」構想である。クラ地峡はマレー半島の最もくびれた部分で幅はわずか六十キロしかない。ここに運河を掘ればインド洋と南シナ海が直結され、今のマラッカ海峡からシンガポール沖を回る航路を二千五百キロも短縮できる。古くは十九世紀半ば、インドで起きたセポイの乱のとき、香港の英国艦隊を向かわせる近道として立案されたほどの歴史をもち、戦後も、この地を領有するタイで何度か計画されたが、なぜかいつも立ち消えに終わってきた。理由は簡単で、運河ができればマラッカ海峡の海賊が干上がってしまうこともあるが、その先の華僑の国シンガポールも“世界の場末”になってしまう。しかも建設決定権をもつタイ政府の要人のほとんどは中国系タイ人(コンチン)つまり華僑たちで占められる。「計画は消えるために浮かぶうたかたと同じです」とタイ建設省のコンタイ(生粋タイ人)は話す。
今、混乱を極めているインドネシアも実は華僑が深く絡んでいる。オランダが植民地化すると同時に入り込んだ華僑はベトナムやミャンマーと同じようにオランダ人のよき下僕(しもべ)として仕えながら経済実権を握ってきた。戦後、オランダが追われた後もよその国と同じに居座り、同じように追放や焼き打ちに遭いながらも、彼らはくじけなかった。それどころか、彼らは植民地時代と同じ地位を再び確保したところがよそのアジア諸国に見られないパターンとなる。
彼らが新しい“宗主国”に祭り上げたのがスハルト・ファミリーで、リム・スイリョンなど華僑グループがそれを支えるという構図だ。インドネシアは時を経て、オランダからの独立戦争を始める時期と同じ形に戻されたともいえる。必要なら時の流れも逆転させられる華僑。そのすさまじさがアジアを席巻している中で、「いやあ、どこへ行っても中華料理が食べられるのはありがたい」なんて能天気なことをいっているのは日本人だけかもしれない。
●幻の運河地帯をゆく マラッカに大蛇がうごめく 【高山正之の異見自在】 1999年11月20日
マレー半島のサトゥン付近の通称クラ地溝帯がくびれている。ここに運河を掘れば南シナ海から即アンダマン海に出られる。その当時の船脚でも二週間は短縮できる計算だった。それ以降、例えば北清事変のおりなど歴史の谷間で何度もこの運河計画が検討され、最近では一九七三年、東京でクラ地峡国際会議も開かれた。会議ではサトゥンと南シナ海側のソンクラを結ぶ日商岩井の計画が注目を集めた。これだと掘削距離六十キロでパナマ運河より五キロも短く、地形も平坦。今、ロンボク海峡まで二千キロも大回りを強いられる十五万トン超級(ULCC)巨大タンカーも通れる幅二百メートル、深さ三十三メートルの運河が総工費七十億ドルでできあがるという。ちなみにこの数字は湾岸戦争で日本が拠出した額の三分の二ほどだ。地元タイもこれを受けてクラ運河建設に向けた推進会議が開かれるが、話はこの辺からおかしくなる。会議は開かれるが、結論が出ないまま流会する。それが数年おきに繰り返され、未だに着工のゴーサインは出ていない。
「この運河ができれば、インド洋と太平洋が直結し、タンカー一隻当たり五十万ドルも運航費が安くなる。ただ、そうなるとどの船もマラッカ海峡を通らなくなる。シンガポールは場末の国に転落し、存在価値を失う。だからタイで会議が開かれるとシンガポールから圧力がかかる」とチュラロンコン大を出たコンタイ、つまり純粋タイ人の建設省技官氏が語る。外圧で国家的な大事業を頓挫させるというのも妙な話だが、技官氏は「タイ要人はコンチン(中国系)が占める。一方のシンガポールもまた中国系の国家。彼らの同胞意識は強い」という。だから会議が始まると、シンガポールの意を体したロビイストがバンコクに出没し、会議のメンバー全員に接触が終わると、あら不思議、「会議が流会するんです」と技官氏はボヤく。
かくてクラ運河は幻と化し、多くの船はマラッカ海峡経由の大回りルートを強いられてきた。おまけにこの海峡は水深が浅く、水路も狭い。サマセット・モームの短編が描くように昔から海賊のメッカでもある。しかしクラ運河に反対するシンガポールはそういう船舶航行上のハザードにはまったく無関心とくる。例えばこの一千キロに及ぶ危険な海峡に今、危険防止用の航路標識は全部で五十一あるが、このうち四十一カ所は日本財団が見るに見かねて寄贈したものだ。
昨年九月、そのマラッカ海峡で日本の貨物船「テンユウ」が海賊に襲われた。積み荷のアルミ塊はミャンマーの中国系企業に売られ、船は中国の港で発見された。先月も日本船「アロンドラ・レインボー」が襲われた。奪われた船は乗っ取り一味とともにインド洋で捕まったが、船荷の一部はミャンマー沖を通過中に消えていたと伝えられる。捕まった海賊はインドネシア人というが、そのインドネシア海軍関係者は「スハルト時代の特殊部隊コスタラードの残党グループがいま、中国系の巨大な蛇頭と手を握って活動している」という。また「彼らが乗っ取りに使うのは五十ノットも出るドイツ製の快速艇」といい、背後に豊かな資金をもった組織がいることをほのめかす。日の目を見ないクラ運河といい、海賊の盗品捌き先といい、どこかに必ず「中国系」がからんでいるという印象があるのは気のせいだろうか。
●海運と鉄道-7:栢洲世策考廠 - AOLダイアリー 2006/3/10
タイのベンガル湾岸から越南のダナンまでを結ぶ鉄道が開通した場合、このルートは日本にとって、マラッカ海峡を迂回する貨物ルートとなる可能性があります。仮に鉄道に平行して原油パイプラインを敷設したら、タンカーのサイズはマラッカマックス(23万トンクラス)に拘束されなくなります。2004年に、タイに進出した日本企業が、トラックを利用して、タイ~ラオス~越南のダナン港のルートを利用した物流実験を行いました。従来の海上輸送に比べて所要日数を大幅に短縮することが出来たということです。将来このルートが注目されれば、トラックに比べてより輸送効率の高い鉄道の建設が検討されることになるでしょう。
一応、上記のルートには1000mmゲージでの鉄道建設計画があるのですが、現在のところ具体的な動きはありません。しかし、チャイナ・リスクもあり、続々と東南アジアへの日本企業の進出が行われていることも併せて考えれば、この鉄道は越南のダナンからタイの内陸部を直結する訳ですから、日本企業にとって有用であることは確かでしょう。
また、タイのクラ地峡に運河を建設する構想もあるそうですが、VLCC(超大型のタンカー)が通航可能な運河の建設など、天文学的な資金が必要になるわけですから、現実的とは思えません。また、コンテナ船にしても、船舶の大型化を考慮すれば、これまたその有効性には疑問符がつきます。結局、運河の建設よりもタイのベンガル湾岸の港から越南のダナンに至るインドシナ横断鉄道の建設やこれに平行したパイプラインの建設のほうが余程現実的だと思われます。その一方で、中国はミャンマーを経由して自国西南部へと直結する石油パイプラインの建設構想を持っています。鉄道についても延長構想はあるようですが、両国間の軌間の違いもあり、具体的な話は出ていないようです。
近い将来、インドシナにおいて、「縦断」を目論む中国と、「横断」を推進する日本やインドの間で政治的な駆け引きが見られるかもしれません。そして、日中どちらが主導権を握って建設した鉄道かは、そのゲージを見れば分かるはずです。中国の軌間は1435mm、インドシナ諸国の鉄道は1000mmです。(越南の河内(=ハノイ)以北に1435mmゲージ区間が存在しますが)借港出海を目論む中国は何とかして自国と同じ軌間の鉄道を建設しようとするでしょう。
現在タイとラオスの国境になっているメコン川に架かる橋の真ん中で途切れている線路がラオスを貫通し、越南のダナンに達し、インドシナ半島にマイクロランドブリッジとでも言うべきもうひとつのMLBが現出する日は来るのだろうか・・・
●地球最前線:架橋相次ぐ大メコン 国際物流網へ現実味 毎日新聞 2007年2月12日
中国・青海省を源流にインドシナ半島を縦に貫く全長約4900キロのメコン川。肥よくな土地や豊富な魚介類で沿岸住民約3億人の生活を潤す大河は、東南アジア諸国連合(ASEAN)各国間の経済のボーダーレス化が進むにつれ、迅速な物流の障壁となっていた。しかし今世紀に入って架橋が相次ぎ、既に五つの大橋が開通した。海賊による被害が頻発するマラッカ海峡を避け、半島を縦横に走る国際物流網の整備が現実味を帯びてきた。
◇通関、コストなど課題--東西経済回廊
昨年12月、タイ-ラオス国境のメコン川に架かる「第2メコン友好橋」(全長1600メートル)が完成した。両国への計80億円の円借款が建設資金となった。ミャンマーからベトナムまで、半島を横断する国際道路「東西経済回廊」が事実上、つながった。橋上での式典であいさつしたラオスのブアソン首相は「物流、貿易、投資、観光の可能性を際限なく広げる」と上気した口調で語った。シリントン・タイ王女、スラユット同国暫定首相、ズン・ベトナム首相ら各国要人も集まり、経済効果への期待の高さを印象づけた。バンコク-ハノイ間の海上輸送は、ベトナム南部ホーチミンで荷を積み替えて2週間はかかる。第2友好橋を通る東西経済回廊を走れば、同区間は3~4日で済むと日本貿易振興機構(JETRO)は推測する。
メコン川初の大橋「第1友好橋」は94年、オーストラリアの援助でタイ北東部とラオス・ビエンチャンを結んで開通した。しかし周辺の道路事情が悪く、利便性は低い。「川を渡るだけで約1時間半の待ち時間がある。それがなければ経済効率はものすごい」。第2友好橋付近のラオス側でフェリーを待つトラック運転手、レムトン・パサットさん(33)は言う。問題は、回廊が走る各国の通関手続きの煩雑さと海上輸送より割高なコストだ。通関の簡略化は各国共通の政治目標だ。しかし、タイ人のトラック運転手、コーキンさん(41)は「通関はわいろの額次第だ。払わなければ何時間も待たされる」と声を潜めた。目立った輸出産業のないラオスには「通過国になるのでは」との懸念がある。ラオスに進出した日系企業の幹部は「橋によってラオスが経済的メリットを享受できるかどうかが、通関の簡略化に関係する」と漏らす。回廊西端に位置するミャンマー軍事政権の経済政策も不透明で、国際物流路として機能するか懸念も少なくない。ラオス政府は橋のたもとのサバナケットに経済特区を設け、外国企業の誘致に懸命だ。
◇各国に格差の恐れ--日本からの投資などを促進する国際機関「日本アセアンセンター」のボン・サム・アン投資部長(34)=カンボジア閣僚評議会から出向中
道路や橋の経済効果は計り知れず、インドシナはいずれ大市場となる。ただ豊かな国と貧しい国の格差が広がる恐れがある。ラオスとカンボジアは、経済が成長しているタイ-ベトナム間の通過国として埋没するのではと恐れている。域内が平等に成長する方法が各国間で話し合われているが、貧しい国は人材不足で対外交渉が弱い。中国は地域開発に積極的だが、安全保障と直接の利益が目的。上流域のダム建設もそうで、下流域では乾期に水流がさらに減り、雨期にさらに増水する危険性がある。人材育成や社会資本整備、直接投資による雇用拡大で日本に期待したい。
◇ASEANの域内統合へ弾み--大メコン川流域経済協力プログラム
メコン流域の経済協力や支援開発を進めるこのプログラムは92年、流域国の代表がアジア開発銀行本部(マニラ)に集まり、始動した。プログラムは交通、エネルギー、通信など9分野にまたがり、現在のプロジェクト総数は119。交通路の整備は最優先の分野だ。整備対象となる道路は(1)東西経済回廊(2)南北経済回廊(バンコク-ラオス・ミャンマー-昆明▽昆明-ハノイ-ハイフォン▽ハノイ-南寧の3ルート)(3)南部経済回廊(バンコク-プノンペン-ホーチミン-ブンタウ▽タイ-ベトナムの海岸線の2ルート)。日本が積極的に開発資金などの援助を続けてきた東西経済回廊は、インドにまで延長される計画だ。これらすべてが完成、通関問題もクリアされれば、インドシナを中心に、中国を北端、インドを西端にした国際大物流網となり、ASEANにとっては域内統合への大きな弾みとなる。
●国際金融資本はなぜレバノンとイスラエルを建国したか:東南アジア・朝鮮半島との比較
【私のコメント】
シンガポールと周辺国の関係が悪化しているのは、シンガポールを拠点として東南アジア地域から搾取していた国際金融資本の衰退と無関係ではあるまい。タイ南部のクラ地峡の運河計画が実行に移されなかったのはシンガポールの地政学的優位を崩壊させる危険があり国際金融資本からの圧力があったことが大きいだろう。運河を建設した場合は、運河周辺のイスラム系少数民族の分離独立運動を煽る戦略だったのではないだろうか?先日タイでクーデターを実行したソンティ陸軍司令官はこの地域出身のイスラム教徒であることも興味深い。
第二パナマ運河建設が断念された経緯から考えて、現状ではクラ地峡運河建設が実行される可能性は低いだろう。ただ、クラ地峡に石油パイプラインと石油備蓄基地を建設する計画、あるいはビルマのインド洋沿岸からベトナム東岸を結ぶ鉄道路線によるランドブリッジ計画が実行されるならば、石油やコンテナの輸送がマラッカ海峡からシフトすることが考えられ、シンガポールの地政学的優位は一挙に失われるだろう。東アジアと中東を結ぶ超大型石油タンカーは水深の浅いマラッカ海峡を避けて現在ロンボク海峡を通過しているが、クラ地峡の石油備蓄基地を利用すれば航海距離をかなり短縮できそうである。
今月に入り、シンガポールは法人税税率の引き下げや人口予測の上方修正で明るい未来を演出するのに必死である。しかし、タイ・マレーシア・インドネシアという周辺三カ国との関係が悪化している事を考えると、シンガポールの繁栄はもはや終焉を迎えたと見て良いだろう。ベトナムとの関係強化計画も、華僑に対する強い反感がベトナムに存在することを考えると成功する可能性はまずない。華僑は所属国家への愛国心よりも華僑の連帯意識を重視する、東洋のユダヤ商人的存在である。欧米人の手下として地域に同化せず東南アジアの住民から搾取してきた華僑たちは、東南アジアを去ることになるだろう。
さらに、英国への政治亡命後の二〇〇二年には、プーチン首相(当時)が「チェチェン独立派による犯行」と断定し、チェチェン侵攻の理由とした九九年のモスクワ・アパート連続爆破事件(死者三百人以上)について、FSBによる自作自演だとする著書を出版している。
ttp://pathfind.motion.ne.jp/iraq20031225.htm
この場合クゥェートがポーランドに、アフガンがユーゴスラビアにそして
さしずめイランがウクライナで、イラクそのものは白ロシア=ベラルーシ、
サウジアラビアがモスクワ、UAEカタールバーレーンがコーカサス地方。
つまりネットゲリラである潜水艦隊が最精鋭なエリート部隊となるだろう。
ttp://my.shadow-city.jp/
「潜水艦というのはその存在を明かさない事すら任務である。」
ウェールズ王子はロシア極東艦隊といったところだろうか。
http://pathfind.motion.ne.jp/iraq-p8.jpg
それとも戦前の日本共産党というところだろうか。
しかし株式日記によれば売国奴がそれを邪魔しているようだ。
その震源地は上海とモスクワ。
http://blog.goo.ne.jp/2005tora/e/b300a56e2980d6530a1a9669ca976442#comment
2006年のデータでシンガポールのGDPは一人当たりUSD28368、日本のGDPは一人当たりUSD29400。(その差は、たった10万円・・・)
さてアルゼンチンはスペイ ン語国家なので、スペイン語国への人口流出が止まらないそうです。 この現象は、かつての英国でも起きました。ところが、不幸にも日本 語国家は日本以外にない。この点はアルゼンチンや英国より不利です。 もし、太平洋戦争で日本が勝利していれば、アジアの大半が日本語国 家となっており、日本人の活躍領域がアジア全域に広がっていたでし ょうが、残念でなりません。
戦前の日本人は、大東亜共栄圏構想を持 っていたのは事実です。国際的日本人の一部が華僑のように「和僑」 となって、アジア全域にネットワークを張れば、日本の若者乞食が大 量発生せずに済みます。なぜなら海外で実績を積んだ「和僑」は日本 人に新たに雇用をもたらす担い手となるからです。これは、アジア各 国の活況をみれば明らかです。
現在のアジア各国で雇用創出しているアジア人の多くは、中国を棄て た華僑です。この例から、未来の日本の雇用を創出できるのも「和僑」 です。ちなみに日本の政治家、官僚、地方自治体も税金の消費者(タッ クスイーター)であって、実質的な雇用創出力はゼロです。この指導層 に雇用創出を期待しても無理です。最後につけくわえれば、期待され る日本企業は、強い企業ほど真っ先に日本を出て行きます。そうしな いと、厳しい国際競争環境では企業自体の存続ができないのです。
(私のコメント)
昨日のテレビ東京のワールドビジネスサテライトにコロンビア大学のスティグリッツ教授が出ていましたが、アメリカの金融財政状況はかなりやばい状況らしい。双子の赤字問題がいつまで表面化せずに続けられるのか、アメリカの財政は極めて短期間に巨額の赤字を出すようになった。景気対策の名の下に必要以上の減税が行われ、戦争と言う財政の大盤振る舞いが続いている。
こんなことが長続き出来る訳がない。アメリカが絶頂期にあった1960年代ですら、ベトナム戦争でバターも大砲もと言う大盤振る舞いが、ドル暴落のきっかけとなった。いずれ第二のニクソン・ショックが日本を始め世界に衝撃を与えるだろう。福井日銀総裁がドルを買い支えているうちに、出来る人は外債をドルからユーロ債に切り替えておいたほうが良いだろう。