国際情勢の分析と予測

地政学・歴史・地理・経済などの切り口から国際情勢を分析・予測。シャンティ・フーラによる記事の引用・転載は禁止。

同盟関係へと移行し始めた米露両国

2009年10月16日 | ロシア・北方領土
●米ロ共同でミサイル防衛 外相会談、検討の意向 2009年10月13日 朝日新聞

 【モスクワ=副島英樹】米国のクリントン国務長官が13日、ロシアのラブロフ外相とモスクワで会談した。オバマ大統領が米ミサイル防衛(MD)東欧配備の中止を表明してから初の米ロ外相による本格協議で、会談後の記者会見で両外相は米ロが共同でMDシステムを検討する意向を表明。焦点のイラン核問題でも制裁を急がないことで立場が一致したと強調し、米ロ関係の「リセット」を改めて演出した。

 ブッシュ前政権では米ロ対立の象徴だったMD問題が、オバマ政権では米ロの対話を進展させるテーマとなった。

 クリントン長官は「MD分野で緊密に協調したい。それが相互の利益になる」と主張。ミサイル脅威の共同分析や情報交換センターの設立をはじめ、MDシステムに共同で取り組むことを提案した。

 これに対し、ラブロフ外相は東欧MD中止に代わる新たな米国のMD構想の詳細を聞いてからとしたうえで、「欧州や他の関係国を含め、ミサイル拡散のリスク予防と分析を共同で進めたい」と期待を述べた。

 イラン核問題でも、両外相は立場の一致を強調した。ラブロフ外相は「イランに関しては双方がお互いに頼んだことは何もない」とし、「現段階でのイラン制裁は非生産的だ」と主張。クリントン長官も「イラン制裁の時期はまだ来ていない」と、歩調を合わせた。当初、米国はイランへの制裁決議にロシアも同調する確約を得たいとの見方もあったが、まずは交渉プロセスに全力を尽くすことで合意した形だ。

 また、会見でラブロフ外相はオバマ政権が取り組む対アフガニスタン戦略で、米国の軍事物資が今月7日に初めてロシア領を通過して空輸されたことを確認し、「象徴的な出来事だ」と述べた。

12月の期限切れを前に、米ロが交渉を加速化している第1次戦略兵器削減条約(START1)の後継条約問題についても、ラブロフ外相は「顕著な前進があった」と強調し、期限までに条約締結をめざす姿勢を示した。ただ、特に大陸間弾道ミサイル(ICBM)や戦略爆撃機など、核運搬手段の削減目標数などに不一致点がなお残っていることも示唆。実務交渉で妥協の模索が続いている。

 後継条約を期限通りに結べなければ、米ロ関係の「リセット」に水を差す印象を与えてしまう懸念がある。この問題をうまく運ぶためにも、米ロ間でさざ波を立てたくない事情があり、両外相は様々な側面で「蜜月ぶり」を強調したとみられる。

 MDを巡ってはオバマ政権内でも一枚岩ではないとの見方もあり、具体論に入った場合にこの流れが維持できるかどうかが課題だ。
http://www.asahi.com/international/update/1013/TKY200910130289.html
http://www.asahi.com/international/update/1013/TKY200910130289_01.html





【私のコメント】
米露両国がミサイル防衛システムを共同運営することを検討し始めた。これは将来のロシアのNATO加盟を示唆するものであり、NATOはロシアを飲み込んで環北極同盟とも呼ぶべき北半球の先進国同盟、あるいはG8の軍事同盟版へと姿を変えていくことだろう。日本もこの同盟に参加することで先進国の一員として生き残ることが出来ると思われる。

ロシアは米国の一極体制を崩壊させるために中国やイランと同盟を組んでいた。そのロシアが米国と軍事面で深く協力することは、ロシアと米国が友好関係、あるいは同盟関係に入ったことを意味すると思われる。もはや米国の一極体制は崩壊過程に入ったということだろう。このことは、中露の蜜月関係の終焉を導く可能性が高い。元々中国とロシアは長大な陸上国境を共有する大陸国家同士として対立の芽を抱えており、現在では中国人の人口の浸透圧が極東のロシア人に恐怖を与えている。米国の一極体制が終焉すれば、ロシアにとって無理に中露蜜月関係を続ける必要はなくなる。日本としては、中露両国と友好関係を維持しつつ、両国の対立を利用して漁夫の利を得ることを狙って行くべきだろう。






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1 コメント

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Unknown (Unknown)
2009-10-21 10:27:20
赤い諜報員の歴史
http://www.teamrenzan.com/2009/10/178.html
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