国際情勢の分析と予測

地政学・歴史・地理・経済などの切り口から国際情勢を分析・予測。シャンティ・フーラによる記事の引用・転載は禁止。

中国に飲み込まれていく韓国:対馬海峡に形成されつつある巨大な断層

2008年03月10日 | 韓国・北朝鮮
●【コラム】上海が恐ろしい 朝鮮日報 2008/03/09

 2010年の上海万博を前に、同万博組織委員会の招きで数日前、中国を訪れた。仁川空港から上海の浦東空港までは飛行機で1時間半の距離。空港から浦東新区の竜陽駅までリニアモーターカーを利用した。最高時速430キロを超える列車は30キロの距離をわずか8分で走破した。この列車が上海西郊の虹橋空港まで延長されれば、空港と市内(約40キロ)は15分で結ばれる、と同組織委関係者は語った。ふと、仁川空港からソウル市内までかかる1時間は長すぎるという思いが過ぎった。
 竜陽駅から中型バスに乗り換え、到着したのは万博事務局の屋上展望台。事務局の朱咏雷副局長が指差した万博会場は、曲がりくねった黄浦江の両岸に分かれていた。総面積5.28平方キロ。ソウル汝矣島の62%、2005年に開かれた愛知万博(1.73平方キロ)の3倍に達する規模だ。規模の大きさは想像していたが、まったく予想が付かなかったことがいくつかあった。まず、会場が老朽化した工場や無許可住宅が密集し、開発が遅れた地域にあるという点だ。上海市政府は住民と工場を郊外のアパートに集団で移転させたという。決心すれば貫徹する共産党政治を実感させる。上海市建設交通委員会の黄健之副主任は、「観光客のアクセスと万博終了後の施設活用を考慮し、ここを選んだ」と説明した。金食い虫に転落した韓国の大田エキスポ跡地を他山の石としたようだった。
 万博予定地の中には古い工場の建物がそのまま残っていた。「なぜ取り壊さないのか」と尋ねると、朱副局長からは「昔の建物を再活用し、歴史を生かし経費も節減していく」との答えが返ってきた。それによれば、140年の歴史を持つ江南造船廠は万博の企業パビリオンとして使用された後、中国近代工業博物館として利用する計画だという。また、南市火力発電所の高さ165メートルの煙突は同201メートルの観光タワーに改造し、黄浦江を見下ろすことができるスポットに変身する。上海鋼鉄の特殊鋼工場は3500席規模の公演施設となる。大規模なイベントといえば、古い建物を壊し、新しい建物を建てることだとばかり考えていた韓国の記者には新鮮な驚きだった。
 国際イベントに合わせ、都市インフラの大々的な拡充も進んでいる。昨年末時点で123キロだった上海市内の鉄道総延長は、2年以内に400キロに延び、5路線、10駅が万博会場につながる。上海-南京、上海-杭州間の高速鉄道も万博開幕までに完成する予定だ。そうなれば、上海(人口1800万人)、南京(650万人)、杭州(700万人)、蘇州(600万人)、常州(350万人)、無錫(230万人)、昆山(130万人)など人口5000万人を超える長江デルタ一帯が、名実ともに単一経済圏として統合される。広東省に次ぎ、韓国に匹敵する巨大経済圏が誕生することになる。
 組織委の洪浩事務局長は万博がもたらす経済効果について、「経済発展を促進することが今回の万博の最大目的ではない。7000万-1億人の国内観光客が200カ国余りの文化、世界一流の企業がつくり出す科学技術、世界最高の都市発展モデルを見て視野を広げることが真の目的だ。それを通じ13億の国民が考えや生活を変えれば、中国の未来も変わるのではないか」と語った。予想外の答えだった。
http://www.chosunonline.com/article/20080309000024








●「連美通中」の外交戦略、李明博政権に提言 朝鮮日報  2008/03/06

 李明博(イ・ミョンバク)政権の対中政策をめぐり、「連美通中」(米中双方と連携)、「半官半民対話」という2本立ての戦略を取るべきとの意見が外交専門家から示された。
 外交安保研究院のキム・フンギュ教授は5日、「韓中関係評価と新政権の対中政策」と題した報告書で「韓中関係は既に他国との関係強化で代替できないほどの戦略的価値を持っている」と指摘し、韓中関係の強化を訴えた。
 キム教授は「李明博大統領が当選して以降、中国では韓国が『親美遠華』(米国に接近し、中国と距離を置く)政策を取るのではないかとの見方が多く示され、結果的に韓中関係が政治的には疎遠になり、経済交流は活気を帯びる『政冷経熱』の流れを示すとの観測が有力になっている」と分析した。キム教授はこうした懸念を一掃し、李明博政権が掲げる「新アジア協力外交」を成功させるためには、まず「連美通中」戦略が必要だと説いた。安全保障と域内の勢力バランス保持に向け米国との連帯を強化する一方、中国との意思疎通と利害関係の拡充を図り、中国の変化に直ちに対処する戦略が必要だとの指摘だ。キム教授は「北朝鮮の核問題解決プロセスなどで韓米同盟主体のアプローチに偏りすぎると、不必要な摩擦を生む可能性もある」と述べた。
 キム教授はまた、「韓中間の交流の幅を広げるため、政府間対話とは別に国策研究機関など半官半民のルートによる対話を行う『1.5トラック戦略対話』を活性化すべきだ」と指摘する。半官半民による対話は、歴史問題など政府間の対立を招くデリケートな問題について事前に意見交換を進める場として活用が可能だ。キム教授は「両国間で半官半民の対話が活性化すれば、北朝鮮問題など域内の懸案に関し、韓米中が半官半民の対話を行うことも可能だ」との認識を示した。
http://www.chosunonline.com/article/20080306000031






●韓国の不安(2007/10/1) 鈴置 高史 編集委員
http://www.nikkei.co.jp/neteye5/suzuoki/20070928n5a9s000_28.html


●「後戻り」できない韓国(2007/11/26) 鈴置 高史 編集委員
http://www.nikkei.co.jp/neteye5/suzuoki/20071122n5abm000_22.html









【私のコメント】
3月9日の朝鮮日報の「上海が恐ろしい」と題するコラムが興味深い。韓国人記者は驚異的発展を遂げる上海がソウルを追い抜くのではないかという懸念をあからさまなものにしている。上海万博組織委員会事務局長の「経済発展よりも中国国民の民度の向上が重要」とのコメントに記者が驚いているが、これは韓国が自国の経済規模の世界順位に強い関心を持つが民度向上には関心が薄いことを示している様に思われる。民度が向上すれば経済規模も自然と拡大するであろう事を考えれば、韓国は経済戦略に於いて既に中国に完敗しているのだ。

近未来に上海都市圏は韓国を全てに於いて凌駕し、そして韓国は中国の衛星国家に転落することだろう。その兆しは3月6日の朝鮮日報の記事にも現れている。韓国の外交専門家が米中双方と連携すべきという意見を示したのだ。これは、李明博大統領当選以後の韓国が米国に接近し中国と距離を置く政策に転じたと中国で分析されていることに脅威を感じているのだ。中国大陸の一角に駐留した在韓米軍は中国にとって安全保障上の大きな脅威であり、米韓関係改善は中国にとって警戒すべき事柄である事を考えれば中国の分析は当然とも言える。問題は、中国側の分析に韓国が敏感に反応し、米韓関係改善は中国を敵視するものではないという言い訳をしていることだ。現在の韓国外交は中国の意向を慎重に伺いながら展開されており、中国との対立は許容されなくなっている。

韓国政府は従来から台湾海峡問題で中国を支持し、在韓米軍が台湾側に立って活動することを拒否している。一方、日本では台湾が共産中国に統一されることを容認する者は少ない。米国、あるいはロシアも中国の台頭を封じ込めるために日本側を支持することだろう。このように考えると、日本経済新聞の鈴置高史編集委員が言うとおり韓国は中国に飲み込まれつつあり、中国と日米陣営の間で既に巨大な断層が対馬海峡に形成されつつある様に思われる。そして、断層の中国側に取り残された在韓米軍も近未来に撤退することが避けられないだろう。
コメント (5)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 欧州に拡大するイスラム嫌悪 | トップ | 韓国人宇宙飛行士交代事件 »
最新の画像もっと見る

5 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (名無しの経営者)
2008-03-11 10:22:41
組織委の洪浩事務局長は万博がもたらす経済効果について、「経済発展を促進することが今回の万博の最大目的ではない。7000万-1億人の国内観光客が200カ国余りの文化、世界一流の企業がつくり出す科学技術、世界最高の都市発展モデルを見て視野を広げることが真の目的だ。それを通じ13億の国民が考えや生活を変えれば、中国の未来も変わるのではないか」と語った。

朝鮮日報記者は、これに対し「予想外の答えだった」と書く。この反応について、princeofwales1941さんの見解は、民度を無視して経済発展を企図してきた南鮮について「民度が向上すれば経済規模も自然と拡大するであろう事を考えれば、韓国は経済戦略に於いて既に中国に完敗している」というものだ。

参考に上げられている朝鮮日報の記事が、朝鮮文字で書かれていることを考えれば、この朝鮮人にとってとても重要だと思われる記事を、果たしてどれだけの朝鮮人が、理解できているのだろうか、と考えずには居れない。

この内容が、カナだけで書かれている状態を想像すると、その辺の事情が日本人にも分ると思う。

全国漢字教育推進総連合会(会長:ミン・クァンシク元文化教育部長官)は今02年4月9日、建議書を大統領と教育部に提出した。http://japanese.chosun.com/site/data/html_dir/2002/04/11/20020411000033.html

建議書の中で「韓国語の70%以上が漢字の語彙で構成されている。にもかかわらず、半世紀の間漢字を排撃してきたため、若者達が“半文盲”になっている。これは、深刻な文化危機だ」「小・中・高校の生徒はもちろん、大学生も漢字が混用されている書籍を読むことができない。全国の図書館の数多くの本が死蔵されている。講義を進めることも難しくなっている」と指摘したという。

南鮮では、民度を向上させる手段である、言葉を失っている状態だといえると思う。朝鮮文字のみの使用が朝鮮人が合理的な思考が出来ない理由の一つになっているのではないだろうか。
返信する
特定アジアの人間以前のナマモノ (CatSit1)
2008-03-11 15:22:16
興味のある方はどうぞ。(380あたり以降がオイシイです)

現代朝鮮語とハングルが抱えている問題点について1
http://society6.2ch.net/test/read.cgi/korea/1183873096/

現在のハングルを用いた朝鮮語では世界の最先端の知識は議論できなくなっています。
(別の言い方をすると、朝鮮人は自らが日常話す言語で世界の最先端の知識にはアクセスできない)
この問題はそっくりそのまま中国にも当てはまります。
中国人もやはり自らが日常話す言語で世界の最先端の知識にはアクセスできません。
そして両者とも自分達がそういう問題を抱えていることに気づいていません。
おそらく彼等の視点からはそういうことは見えないのでしょう。
アルファベットを使う欧米人もこの問題を中国人に指摘することはできません。(余程の天才は除く)
日本人で言語システムに興味を持ち、かつ特定アジアの言語状況に関心のある人間だけがこの問題に気づくことができる、と思います。
日本人にとって大変有利な状況です。
惜しむらくは日本人にこの情報を有効に利用する(英国人のような)狡猾さがないことです。
返信する
Unknown (けんじ)
2008-03-11 20:19:42
ななし経営者さんとCatsitさんの文を読んで、若い頃少し失語症にかかったことがあり、そのとき漢字とはこのようなことだったのか、ひらがな、カタカナとはこのようなことだったのかと思ったことを思い出しました。お二人ともそのような経験がおありなのではと思いました。

 しかし我々も笑っておられません。何故なら大東亜戦争後、漢字改革と かなずかいを変更したため、朝鮮、中共と同じ状態が生じてて居ます。私の息子は旧漢字を読めません。私がやっとです。江戸時代は漢文が多く、資料を読もうとすると、新たに漢字を覚えるか。資料を新漢字に書き換えたものを読むかです。

 大東亜戦後志賀直哉が真顔でフランス語、国語論をぶち上げたくらいです。
 明治の人と比べると雲泥の差です。

そのなかで、かなずかいの変更、漢字の変更に強く反対した、福田恒存氏は優れている。その反対の理由が優れている。偶然評論集を読んだ。運がよかったと私は思っている。
 
私は朝鮮は、特に南朝鮮はお陀仏以外の未来は無いと思っています。従がってこれからそれを前提にして、外交をすることだと思う。そのお陀仏の被害を最小限にとどめるのが外交の基本で、間違っても、その道ずれとなるような、日韓友好はすることではない。

 幸い国内に居る外国人である朝鮮人を見て、一般の日本人は実に冷静に見ていると思います。見ていないのは政治家と識者だけです。

 帰化した 呉善花女史は同じ事を述べています。頼れるのは日本だけだと。しかし我々はそれに付き合うことはしないことである。気の毒ではあるがそれは朝鮮人の問題だからである。

 彼等は一体どうする積りだろう。腹のソコで、また日韓併合をしてもらおうと考えていると私は思っている。
 最近それをした。何か?
それはワールドカップ、日韓共同開催である。
我々はそれと同じ事をしてはならない。
返信する
韓国を逃がさない中国の方向転換 (ロックアップ)
2008-03-12 18:27:14
中国の外交原則、今年は「介入と関与」
http://www.chosunonline.com/article/20080312000035
李政権は北朝鮮の人権問題に取り組む意向を発表し、北との距離をとろうとしたが、中国が国際社会で北朝鮮の人権問題を韓国と協力しつつリードすれば、皮肉にもこの機会に韓国も含めた朝鮮半島宗主国の立場を手に入れることになる。
返信する
Unknown (Unknown)
2008-03-19 12:25:48
岡本毅・駐済州日本総領事、名誉済州道民に
http://japanese.yonhapnews.co.kr/relation/2008/03/18/0400000000AJP20080318001900882.HTML

日本人外交官が済州観光名誉広報大使に
http://www.chosunonline.com/article/20080317000015
返信する

コメントを投稿