国際情勢の分析と予測

地政学・歴史・地理・経済などの切り口から国際情勢を分析・予測。シャンティ・フーラによる記事の引用・転載は禁止。

インドのミサイル実験とガスパイプライン建設の地政学的意味合い

2006年07月15日 | 東南アジア・南アジア・オセアニア
●日英同盟会議

今日のイギリス南西部は朝からすっきり晴れました。気温もちょうどいいくらいで、とてもすごしやすい一日。一年中こういう感じだったら文句なしなんですが。

さて、イスラエルがレバノンに侵攻して「二正面作戦」をはじめたり、ジダンがインタビューに答えたり、インドがミサイル実験をやったりしていろいろありますが、私は昨日今日と二日間連続で開催された「日英同盟会議」のようなものに参加してきました。

ゲストには日本の駐英大使とイギリスの駐日大使をはじめとする外交官から、軍需関係者、軍事関係者、それにけっこう有名な学者などが集まった、かなり本格的なものでした。

私の知り合いのC教授も初日の前半にスピーチを行いまして、それがまた面白くかつ哲学的で、みんながうなるような興味深いもの。

他には日本から自衛隊関係のお偉いさんやK大学の教授たち、それに海外の大学で安全保障・エネルギー関連の研究をしている学者の先生たちもきておりました。

かなり細かいところで色々面白いネタを拾ったのですが、とりあえず日程が詰まっていてかなり体力的につらいので、詳しい話は明日からまた徐々に紹介していきます。

ちなみにこの会議では「地政学」という言葉がほとんどのスピーチで出てきました。安全保障といえば、やっぱり「地政学」ですよね(笑

http://geopoli.exblog.jp/5259581/

●インドのミサイルは?

今日のイギリス南西部は一日中雲ひとつない超快晴。そのかわりなぜか気温が下がりまして、夕方はなんだか寒さを感じたほどです。

さて、昨日まで参加していた会議について少し話をします。

まずこのような会議というのはだいたいフォーマットが決まっていて、前に座るのが論文を発表する二人か三人、それに司会者(モデレーター)が一人です。

まず司会者が発表者の経歴などを簡単に紹介し、その後に15分から20分くらいの発表のあと、質疑応答が20分くらいというパターン。

で、一日目の最初は日本外務省のナンバー2の女性とイギリスの防衛議員の二人による講演。

もちろん時節柄、北朝鮮のミサイル発射が話題になったのですが、ここで私のコース・メートの例の本土出身の中国人(彼も参加していた)が質疑応答の時に、

「北朝鮮の直後にインドもミサイル実験をしましたが、なんで日本の対応が違うんですか?」

という鋭い質問を外務省ナンバー2の方にしました。

一瞬うろたえたような感じでしたが、この女性の方は「政治体制の違い、距離の遠さ」という部分を強調して、「国際社会との開かれた関係」、「民主主義の透明性が大事だ」まあ基本的に正攻法でスマートに返答しておりました。たしかにインドは世界最大の民主主義国家であることじは事実ですし。

彼はその返答に対してさらに突っ込んだ質問をしたかったようだったのですが、私の隣で

「民主主義体制じゃなきゃ駄目というんなら、日本は強制的に北朝鮮のレジームチェンジをするという意味じゃないかよ!」

とぶつくさ言っておりました。

まあ彼の言いたいことはわからんでもないのですが、日本の味わった恐怖感というものを彼が軽視しているのも確かです。

この「日本の味わった恐怖感」ですが、実は外国にとってはわかるわけがありません。なぜなら外国は日本じゃないからですな。つまりいくら日本が騒いでも、しょせん彼らにとっては他人事なのです。

で、今回の国連での制裁云々に関して日本が経済制裁を先走りしすぎたり、「敵基地攻撃論」などが出てきておるみたいですが、これも所詮は日本だけの国内的な雰囲気の反映なのであり、外国までその熱気というのはあまり伝わってきません。

私はそれよりこのインドのミサイル実験というもののほうが、将来の地政学的地図を根本的に変えてしまうような大きなものだと感じております。

今回のインドの実験では「アグニ3」という射程3000~5000キロほどのミサイルが発射され、(実は失敗したみたいですが)これは中国を狙うものだ、つまり中国囲い込みの片棒をかつぐつもりでアメリカに協調している、というような憶測も流れましたが、とんでもない。

インドには確かに中国囲い込みということもあるかも知れませんが、それよりも「インド洋の支配」を狙っております。つまり本当の狙いはインド洋モンロー主義なわけ、現在はアメリカの助けをかりてこれを軌道にのせようとしている途中なんですね。

で、アメリカがボケボケしているうちにいつの間にやらインド洋はインドのもの、ということにある日突然気づかされるということになりそうです。

そういう意味では北朝鮮騒ぎのさなかにインドは絶好のタイミングでミサイル実験をしたということですよね・・・・・うますぎる。
http://geopoli.exblog.jp/5267282/


【私のコメント】
 世界を支配するユダヤ金融資本の中核的実働部隊である英国外務省と日本外務省の間の会議が7月12日と13日というタイミングで開かれたことは重大な意味合いを持っているのではないか?無論、会議ではユダヤ金融資本の世界支配という真実に関することは取り上げることは無理だろうが、会議に出席した日本の外務省高官が、ユダヤ金融資本の責任者と何らかの交渉を行ったであろうことは十分考えられる。真実はごく一握りの人々しか知らないということであろう。我々一般人はそれを類推することしかできない。しかし、大東亜戦争の時の日本や現在のチベット、近未来の韓国の様に悲惨な運命を日本が辿らないためには、我々一般庶民は何としても真実を突き止める必要がある。そして、もし悲惨な運命が避けられないのならば、日本を捨てて外国に避難することも必要かもしれない。

 日本国内のマスコミや国際情勢関連のブログを見て感じることは、強い情報管制が敷かれていることである。日本政府は世論操作のために必死なのだろう。golgo14というハンドルネームの人のコメント(http://blog.goo.ne.jp/princeofwales1941/e/c46e71513291cbd828c7a94eb229d752)は、世論操作の範囲外にある私の口を封じるための暗殺の脅迫なのかもしれない。しかし、大東亜戦争の歴史を知れば知るほど、私は日本政府が本当に日本の国益を追求しているのかどうかを信用しきれない。私と同じ思いを持つ人も多いのではないかと思う。その様な人々に国際情勢分析の材料を提供することがこのブログの役割なのかなとも考えている。

 「地政学を英国で学ぶ」は、インドのミサイル実験が中国封じ込めだけでなくインド洋を支配することを狙ったものであると主張している。中国が太平洋から日本列島や台湾、フィリピンで封じ込められているのとは対照的に、インドはインド洋に広く面しており、スリランカ・モルジブ・セイシェル・マダガスカル・フランス領レユニオン島・オーストラリア・インドネシア等のインド洋島嶼国はそれを封じ込めるだけの力は持ち合わせていない。更にインドは海軍力の整備にも余念がないこと、2006年3月2日の米印首脳会談におけるインドとの「民生用の核開発分野での協力協定」調印とあわせて考えると、米国政府の承認のもとにインドがユーラシアの超大国の地位を手に入れつつあると見て良いだろう。そして、それは米国政府を支配するユダヤ金融資本の意志でもあるのだろう。

 インドについてもう一つ注目すべきなのは、イランだけでなくトルクメニスタンからも天然ガスを輸入するパイプライン計画が進んでいることである。世界の石油生産は既にピークを迎えており、今後はエネルギー源は天然ガスに移行していくと考えられる。高コストの液化天然ガスでなく安いパイプライン経由ガスを、イランと中央アジアという複数の地域から輸入するルートを確保することは、インドの経済安全保障に計り知れない好影響を与えることであろう。

http://oilresearch.jogmec.go.jp/information/pdf/2006/0605_out_c_tm_pk_in_pl.pdf

 ところで、我が国でもロシアからの天然ガスパイプラインの建設計画が進んでいることを6月22日付けの時事通信の記事が伝えている。詳細については下記の6月26日付けの私のブログ記事を参照されたい。この記事は非常に短い記事であるが、アングロサクソン=ユダヤ金融資本の世界覇権消滅を機会に、日本が明治維新以来のアングロサクソン=ユダヤとの同盟(ユダヤ金融資本の命令に従って帝国海軍が実行したと想像される大東亜戦争の期間を含む)を離脱し、ロシアを中心とする同盟に参加するという地政学的転換を意味するものである。北方領土問題は、このような地政学的転換を防止する目的でユダヤ金融資本によって維持されていたのであろう。

 そもそも、マッキンダーが地政学という学問を提唱したのは、19世紀後半以降に大陸国家のロシアや独で鉄道建設が盛んになって、ユダヤ金融資本が米英のシーパワーを元に世界を支配する覇権体制に脅威になったことがある。ユダヤ金融資本は第一次大戦やロシア革命、第二次大戦、冷戦などを通じて20世紀の間大陸国家を弱体化させ、あるいは封じ込めてシーパワーの覇権を維持してきた。しかし、海上輸送に適した石油の枯渇と海上輸送に適さない天然ガスへのエネルギー源移行がシーパワーの世界覇権にとどめをさすことになった。ユダヤ金融資本は世界覇権維持を諦め、出来るだけ被害を小さくして生き残ることを目的に日露独仏印やイスラムといった非アングロサクソン国家との敗戦処理交渉を続けているというのが今の世界情勢の実態ではないかと思われる。そしてその一方で、米国の後に中国(ひょっとするもインドも?)を乗っ取って、その巨大な人口を背景にしたランドパワーを使って世界覇権を維持しようという起死回生の策も着々と練っているのだろう。中国が途上国・有色人種国家としては唯一安保理常任理事国であること、ニクソン大統領の時代に北京政府が常任理事国になったことは、米国から収奪し尽くした後は中国を乗っ取って世界覇権を維持しようという計画がその頃から練られていたことを想像させる。実に戦慄すべきことだ。
 
 日本人は中国に対抗する勢力としてインドを無条件に支持する向きが多いが、巨大な人口を持つ途上国という点でインドと中国は共通点が多く、国益の観点から同盟へと移行することは十分あり得る。人口・面積などの面でほぼ対等である両国の同盟は、EUにおける独仏連合の様に、ユーラシア大陸の支配的勢力になる可能性を秘めている。東南アジアは中印同盟には逆らうことが出来ず、中印と同様の途上国が多いという点で国益の観点からも中印同盟に参加することが十分考えられる。その場合、ユーラシア大陸はEU・ロシア・日本の北部先進国同盟と中国・インド・東南アジアの途上国連合に分裂し、その間で激しい対立が繰り広げられることになるだろう。そして、この対立を煽り大戦争を起こさせることをユダヤ金融資本が狙っているのかもしれない。インドが発展し超大国になることは、日本にとっては決して有益とは限らない。


【関連投稿】
サハリン産ガスを直接供給=パイプラインで北海道へ
http://blog.goo.ne.jp/princeofwales1941/e/56db3b4855704e642d0095f08084aab6




【7月17日追記】
英国外交史が専門の細谷雄一慶応大学法学部助教授のHPによると、「地政学を英国で学ぶ」で取り上げられた7月12日と13日の日英同盟会議は、下記のもののようだ。テーマの一つが「中国の台頭にどう対応するか」というものであり、ユダヤ金融資本と日本の間で中国を巡って突っ込んだ交渉が裏で行われた可能性がある。


●ロンドンの会議 投稿者:ほそや 投稿日: 7月12日(水)07時58分56秒
現在、日英防衛協力に関する会議で報告するために、ロンドンに来ております。夕方に到着して、これから明日の報告の準備を少しして寝ることにします。ロンドンは快晴で、少し暑いのですが、とても良い季節です。梅雨のないヨーロッパのこの時期は、天気がよいと本当に天国のようですね。北海道も同様でしたが。

今回は、王立防衛問題研究所(RUSI)の主催の会議で、4年前に引き続き、二度目となります。4年前は、日英防衛協力といっても、可能な範囲が限られていましたが、ちょうど今、イラク南部からの撤退に関して日英両国政府の協議がずっと進められており、また、戦後復興や援助をめぐり日英両国の協議が従来にもまして重要になりつつあるのでちょうど良いタイミングかもしれません。とはいえ会議の中心テーマの一つが、中国にどう対応するか、ということですから、このあたりは最近のヨーロッパの政府関係者の方々の問題関心をよく反映しているようです。

会議は二日間で、金曜と土曜日には、史料館で史料を読んできてから帰国となります。最近は、こういった会議や出張の合間を縫っての非効率的な史料収集となり、研究もなかなか順調には進みません。ほとんど、知的な快楽のために史料を読んでいるようなところがあり、「本業」に戻ることは本当に楽しいことです。

外交史も、国際安全保障分析も、専門化が進み、とても片手間ではできません。大学での仕事が増えつつある中で、どうやって、関心が散漫に広がる自らの研究を深めていくか、悩ましいところです。少しずつ進んで、その場その場で精一杯やるしかないのでしょうね。
http://6107.teacup.com/hosoya/bbs?


●Japan-UK Security Co-operation Conference 2006

Date: 12 Jul - 13 Jul 2006
Venue: RUSI, Whitehall, London SW1A 2ET



Japan-UK Security Co-operation Conference 2006

Japan and the UK share significant security concerns ranging from global counter- terrorism efforts to post-conflict management. UK forces and Japanese troops are now sharing a military sector in the south of Iraq and Japanese Maritime Defence Forces are performing joint operations with the US and UK in the Gulf area. Security of the Middle East is now clearly an issue of national security for both the UK and Japan, with Japan relying on the Middle East for most of its oil needs. With calls for moves towards greater self-determination for Japan in regional and global security, the need for a comprehensive study of Japanese and British security and defence relations is becoming urgent.

In partnership with a team of experts led by Japan’s National Institute for Defence Studies (NIDS), the Institute will hold a two-day conference in London in July 2006.
Through our close relations within the UK’s defence and foreign policy community, London’s diplomatic community and our international network of defence and security experts, the conference should act as a reference point for the current and future Japanese-UK Defence and Security relationship and a source of possible steps that could be taken towards expanding existing and future Japanese-UK defence and security relations.

The conference will focus on the following themes:

Common goals in British and Japanese Defence Policy
Alliance management
US Defence transformation
Implications of the rise of China
Energy security in East Asia
Economic relations
Transnational terrorism
Iraq and Afghanistan
Global and regional co-operation
With Ministerial Keynote addresses from the UK and Japan, the speaker panel will include:

Her Excellency Dr Akiko Yamanaka, Japan’s Vice Minister of Foreign Affairs

The Rt Hon Adam Ingram MP, Minister of State for the Armed Forces

Major General Noburu Yamaguchi, NIDS Vice-President
Christopher Coker, Professor of International Relations, LSE
Major General Peter Wall CBE, Deputy Chief Joint Operations (OPS)
Keishi Ono, National Institute for Defence Studies
Reihard Drifte, Emeritus Professor of Japanese Politics, University of Newcastle
Paul Rogers, Professor of Peace Studies, Bradford University
Giles Lever, 1st Secretary, British Embassy Tokyo
Yuichi Hosoya, Associate Professor, Keio University
Nick Holt,Fujitsu Services
Tsutomu Sugiura, Marubeni Research Institute
Dr. Reiji Takeishi , Fujitsu Research Institute
Caroline Rose, East Asian Studies Department Head, Leeds University
Ken Jimbo, Assistant Professor, Keio University
Masako Ikegami, Director, Centre for Pacific Asia Studies, Stockholm University
Eri Habu, Mitsubishi UFJ Research and Consulting
Dominic Armstrong, Aegis Defence.
If you would like to register please contact Lisa Muxworthy on tel: +44 (0) 20 7747 2619.


http://www.rusi.org/events/ref:E447DAB5600C7D/
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1 コメント

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Unknown (princeofwales1941)
2014-01-17 06:59:50
昔の記事なのですが、最近この記事のページビューが非常に増えており、最新の記事を上回って一位になる事もしばしばです。どこかで紹介されているようでしたら教えて下さい。
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