●【オピニオン】ロシアの極東軍備拡大、標的は日本ではなく中国 マイケル・オースリン 2011年 3月 7日 ウォール・ストリート・ジャーナル
ここ数週間で報じられた3つのニュースは、ロシアのアジア太平洋地域への回帰を告げるものかもしれない。1つ目は、昨年のメドベージェフ大統領に続く、ロシア国防相による、軍事視察目的の南クリール諸島(日本の北方領土)訪問に関するもの。2つ目は、ロシア海軍による太平洋上への照準シフトと、向こう10年で1億5000万ドル(約124億円)以上を投じた潜水艦・水上艦の配備拡大計画に関するもの。3つ目は、ロシアによる新世代地対空ミサイル「S-400」と対艦巡航ミサイルの極東配備に関するもの。
これら3つのニュースはいずれも、70年に及ぶ南クリール諸島をめぐる露日間のいざこざにかかわるものであり、両国の関係悪化を示唆するもののように見える。無尽蔵にも見えるオイルマネーを財源として、ロシア政府はここ20年で初めて北太平洋地域において自らの存在感を高める態勢を取りつつある。
だが、メドベージェフ大統領とプーチン首相によるこうした土台作りの真の目的は恐らく別のところにある。長年対峙している中国からの防衛だ。この意味において、日露政府は両国関係の新たな危機を防ぐ必要があるとともに、両国が直面する中国からの安全保障上の脅威にどう対処するかを両国共同で検討する必要がある。
ロシアと日本はシベリアとクリール諸島周辺をめぐって19世紀半ばから争いを続けてきたが、ロシアと中国の紛争の発端はさらに古く、1600年代にまでさかのぼる。両国は数千マイルに及ぶ国境をめぐって、1969年まで小競り合いを続けてきた。地域覇権をめぐる争いに日本が無関係だったわけではないが、己こそユーラシアの真の指導者であると信じているのはロシアと中国だ。
例えば、ロシアは、中核的な戦略的利害地域周辺において影響力を回復したいとの思惑から、日本周辺で空軍機の飛行を大幅に増やしている。このことは2つの疑問を生じさせる。1つは、こうした動きは、ロシア政府によるアジア太平洋地域に重点を置いた明確な政策シフトに関係しているのかということ。もう1つは、そうであれば、なぜ今なのか、またメドベージェフ大統領とプーチン首相の最終的なゴールは何なのか。
1つ目の疑問に関する答えはシンプルだ。ロシア政府は、他の主要国同様、自国の未来の繁栄はアジア太平洋地域の国々に依存していることに気がついたのだ。北東アジアを中心とする世界の貿易システムにおけるロシアの役割は主に原材料とエネルギーの供給だ。
だが、ロシアの極東地域における影響力の拡大には、地域的な協議の場での発言力の拡大や中国や日本政府などとの通商交渉における切り札の確保といった政治的要素も絡んでいる。ロシア政府は、中国への対処に関してモンゴルのように無気力である、あるいはオーストラリアのように孤立しているとみられるのを嫌がっており、軍事力強化の取り組みは、その主張を直接的に示す方法の1つだ。
さらに重大なのは、プーチン首相やメドベージェフ大統領はロシアの長期的な位置付けに重点を置いており、彼らの最終的なゴールは恐らく同地域における中国の勢力拡大への対処にあることだ。両国は、ロシアの過疎化した極東シベリア地域が今後、膨大な原料や資源を求める軍事大国、中国にとってますます魅力的に映ることを認識している。
木材や石油、ガスなどはもちろんのこと、清潔な水に至るまで、シベリア地域は、単に経済成長だけでなく、工業国としての基本的な生活必需品の一部を中国が今後維持するために必要な原料や資源の多くを提供してくれる。1つ例を挙げよう。一部の推計によると、中国の純石油輸入量は2035年までに4倍になり、1日当たり1400万バレルに達する見込みだ。一方、ロシアの予想石油埋蔵量の65%と天然ガス埋蔵量の85%は中国のすぐ北部のシベリア地域に位置している。
シベリア地域は、ウラル山脈からカムチャッカ半島に至るまでの960万平方キロメートル以上に及ぶ範囲を指す。その全人口はわずか約2500万人で、人口密度にして、1平方キロメートル当たり3人以下だ。さらに東の極東連邦管区は人口わずか700万人で、人口密度は1平方キロメートル当たり1人。一方、国境を挟んだ中国側には1億人が暮らしている。
極東連邦管区に居住する中国人は公式には5万人にとどまるが、通商の大半は既に中国人が掌握している。地政学的見地から、ロシアの人口減少に伴って今後シベリア地域における中国の影響力が増すのは確実であり、中国政府は恐らく将来的に同地域の領有に関心を持つようになるだろう。
海軍力の増強や小規模領域に対する領有権の主張、防衛能力の強化に重点を置いた新生ロシア構築の原動力となっているのは、これだ。日本は、ロシアの国益を脅かすとは考えにくく、この露中間の見え透いたけん制合戦のかく乱に利用されたにすぎない。だが、こうした中国のシベリア地域に対する関心の高まりを認識することは、ロシアと日本にとって、アジア太平洋地域の将来的な地政学的環境について協議する絶好の機会となる。
日本も、ロシアの石油や天然ガス資源に期待を寄せる一方で、日本海を経由する北極航路への中国の関心の高まりを注視している。中国の欧州通商にとって、北極航路が確保できれば、政治的問題をはらむ南シナ海航路を回避できる可能性がある。だが、ロシアからであれ、欧州からであれ、北部航路経由での中国への通商が増えれば、日本は恐らく中国海軍による航行もいずれ増えるのではとの懸念を抱くようになる。これは、中国海軍のプレゼンス拡大から太平洋経由の通商ルートを守ることへのロシアの懸念と重なる。
さらに大局的に見て、ロシア極東における中国の影響力や直接支配が拡大すれば、日本は大きな懸念を持ってそれを注視するようになる。そうした現状の変化は計画的に起こる可能性も、同地域の中国市民に対する攻撃などによって偶発的に起こる可能性もある。そうした中国の拡大は、日本政府にとって、南西諸島加え、北部地域の防衛をも著しく厄介なものにする可能性がある。南西諸島の防衛強化は現在、昨年12月に公表された「新防衛計画の大綱」で戦略的目標の1つに挙げられている。
太平洋地域の将来に関するロシアとの対話は、経済関係の拡大につながるのみならず、ひいてはシベリア通商における中国の支配力を減じ、日本にとっての同地域における現状維持の重要性を維持することにもなる。ここに米国の果たせる役割がある。日本政府との安全保障協議の拡大のみならず、ロシア極東地域の安定をめぐるロシア政府との広範な協議だ。この段階において、中国政府がそうした初期の対話に加わらない理由はない。
中国人自身を含め、中国政府がシベリア地域への拡大といった混乱を招く事態に決して踏み切ることはないと考えているものもいる。だが、重要な原材料資源が眠る過疎地へのアクセスを必要とする中国の成長を受け、ロシアは既に行動に出ている。米国と日本も同様に、北東アジアにおける混乱と不安定化の可能性をじっくりと考慮し、過去に多くの国がそうであったように、不意を突かれることがないよう備えておく必要がある。
(マイケル・オースリン氏はアメリカン・エンタープライズ研究所の日本部長でウォール・ストリート・ジャーナル電子版のコラムニスト)
http://jp.wsj.com/Opinions/Opinion/node_192998
●ドル、分水嶺の10年 | Alternative Intelligence : AltIntel - BETA 3月 7, 2011 - 1:05午後 | By 森野榮一
中東の混乱や中国のインフレ懸念など、国際経済のリスク要因があるのに、たとえば有事のドル買いのようなドルへの逃避が起こっていないように見えるのはなぜかという単純な疑問に答えてくれる一文を目にする。
Asia Times Online で China's peg loses currency By Michael Pento を読む。http://www.atimes.com/atimes/Global_Economy/MC04Dj02.html
米国が米ドルの信用破壊の取り組みに成功したという書き出しはちょっと刺激的。最近の世界情勢のなかでのドルの位置を理解させてくれる一文かな。中国経済やドルの将来に関する視点も興味深い。
おもしろかったので、じぶんなりに議論の要約を下記にメモしておこう。
以下要約
いま米国は最終的に米ドルにおける信用を破壊するための取り組みに成功したように見える。通貨リザーブの状態や金融市場におけるその偏在、米国の経済力や政治的位置を考えると、これは容易な仕事ではなかった。しかし、適任の人間が選ばれた。FRB議長ベン・バーナンキだ。バーナンキの超人的な努力で、世界中の投資家はいま、米ドルが究極の安全な避難所である通貨の位置に止まるという子供っぽい信念から完全に乳離れさせられた。
彼の成功の証拠が見て取れるのは、外為市場が最近の中東の危機に反応した仕方と2008年の金融危機への反応の仕方を比べてみてである。3年前、投資家たちは安全な逃避先を探して外貨ポジションを解消し、米ドルを積み上げた(とりわけ米長期国債市場)。こうした資金流入の結果、2008年8月から11月までに米ドルは20%上昇した。
しかし、最新の世界的に不安定化した場で、ドルはさほど変動を経験してはいない。事実、2010年12月にチュニジアの革命が始まって以降、ドル紙幣の価値はおよそ5%降下した。その理由は明らかだろう。
経済の脆弱さ、デフレの脅威、ドル評価で追加的な投与の一吹きでドルを低下させると国際的的な投資家たちに知らせたからである。
ちょうど今週、バーナンキは国内外で成長見通しがよいとみなしているにもかかわらず、また世界のインフレが広がっているにもかかわらず、米国は金融融通を後戻りさせないと再度明確にした。他国がそうするときでさえそうなのだ。米国の金融政策の設計者は明らかに無限の未来にまでドル低下を続けると述べたのである。
このことを知るなら、外国人投資家が安全な避難場所を探して、米国のソブリン債務に資産を置くことを選択するだろうか。引き続く米国経済の弱さが財務相証券の低利回りを引き起こし、ドル安傾向が実質タームでの債券の基本的価値を侵食している間、インフレで価値を失うのである。
これは健全な投資家が避けようとするワンツーパンチである。米国債入札で記録的な割合が中央銀行によって購入されるのは偶然の一致ではない。
しかし実際は、FRBは北京の中央銀行家以上にドルの価値に影響力をもってはいない。中国のサポートがなければ、ドルはダメな奴であるだろうことでエコノミストの間に不一致はない。しかしこの20年間というもの、人民元をドルにペッグするという通貨上の調整は両国の利害にかなっていた。米国は安い輸入品の洪水や超低金利、強い通貨を享受し、中国は輸出経済のブームを受け取った。それは同国のGDPの3分の1近くにのぼったのである。・・・
このペッグを維持するために中国人民銀行は何兆元をも印刷し、リザーブで1兆ドル以上の米ドルを保有し続けねばならなかった。
しかし最近、中国の猛烈な貨幣供給の増加とインフレにつながったので、とりわけ中国側からみて、ペッグは利点よりも問題のほうが大きくなった。中国の最新の前年比でみた貨幣供給の伸びはM2が17.2%まで増加しており、消費者物価指数を前年比4.9%上昇させることになっている。
中国の輸出業者232社の調査が明らかにしているのは、回答した74%が2010年に輸出価格を引き上げたと答えていることである。米国のBLSは1月初め、中国の輸入価格指数が18か月間安定を維持した後、第四四半期に0.9%上昇したと報告した。そして最大の輸出地域である広東では、この三月に最低賃金を19%近く引き上げるとのことである。
ここに困難がある。中国は輸出価格がドルでみて上昇するのを防ぐためにドルペッグを維持するが、しかし、ペッグはいま、輸出価格の上昇を引き起こしている。結果として、この政策は配達されない手紙である。単純な事実は中国の輸出に対する脅威が、彼らがその通貨を評価しようがしまいが存在するだろうということである。しかし強い通貨は、国内消費に弱い通貨がなにも提供しないのに反して大きな利益を提供する。
中国政府はその全人口を豊かにするまで、終わりなきインフレに落ちて行くより経済を維持しバランスさせる経路をとるだろう。中国にとって現実的な希望は強い通貨のいっそう大きな購買力が中国の製造業にとって最後の市場としての米国の消費者にとって代わる中産階級の成長を可能にすることであろう。
しかし米国にとって挑戦は、経済を押しつぶす金利上昇やドルの上昇、インフレの亢進の前に、迅速に製造業の基盤の多様化を推し進めることであるだろう。
中東の混乱や中国のインフレ問題に対する最近のドルのリアクションは我々が米国史上の分水嶺にあることを示している。
2010年に始まる10年間は米ドルが世界の準備通貨の地位を失う10年間であることを証明するであろう。その打撃は悪いもかもしれないが、経済を持続可能な経路に戻すのに必要なショックを提供するかもしれない。真の危険は環境の変化への適応を拒むことにある。現在の国家の執事たちは、事実上、ドルが糸で吊るされているときに、まるでドルの地位が石に書かれているかのように行動している。
要約終わり。(森野榮一)
https://altintel.org/blog/%E3%83%89%E3%83%AB%E3%80%81%E5%88%86%E6%B0%B4%E5%B6%BA%E3%81%AE%EF%BC%91%EF%BC%90%E5%B9%B4
【私のコメント】
森野榮一氏がブログで要約したアジアタイムズの記事は、米ドルが近未来に世界基軸通貨の地位を失うことを予想している。その時、米国は膨大な経常赤字をファイナンスできなくなり、軍事支出を維持できなくなる。在日米軍・在韓米軍・第七艦隊は維持できなくなるのだ。日本が第七艦隊などの米軍を支援して傭兵として雇ったとしても、やはり軍事力の縮小と後退は避けられない。一方で中国は経済力・軍事力を日に日に増している。米国が退いた後の軍事力の空白を埋めるのは中国になってしまう。
この場合、最も重要なのは台湾と南沙諸島が中国の勢力圏に転落するか否かである。もし転落すると日本は自動的に中国の衛星国になる。ロシアは4000kmの陸上国境で、単独で13億人の中国の強大な国力と対決することを迫られる。勝利はまず不可能であり、ロシアはシベリア全体を中国に乗っ取られることになるだろう。
この様に考えるならば、ロシアにとって、シベリアやロシア極東、特に1855-1860年に清から奪った沿海州とアムール川北岸を死守するためには、台湾・ベトナム・フィリピンなどを海軍力で支援するのが最も有用で効果的である。また、中国から米国西海岸や北極海~欧州に至る海運路を防衛するためにも北方領土への軍隊配備は有用である。米国の没落と中国の隆盛という現状を客観的に眺めれば、ロシアの極東での軍事力増強は表向きは対日行動であるが、本音では中国を最大の仮想敵国と考えていると思われる。
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ここ数週間で報じられた3つのニュースは、ロシアのアジア太平洋地域への回帰を告げるものかもしれない。1つ目は、昨年のメドベージェフ大統領に続く、ロシア国防相による、軍事視察目的の南クリール諸島(日本の北方領土)訪問に関するもの。2つ目は、ロシア海軍による太平洋上への照準シフトと、向こう10年で1億5000万ドル(約124億円)以上を投じた潜水艦・水上艦の配備拡大計画に関するもの。3つ目は、ロシアによる新世代地対空ミサイル「S-400」と対艦巡航ミサイルの極東配備に関するもの。
これら3つのニュースはいずれも、70年に及ぶ南クリール諸島をめぐる露日間のいざこざにかかわるものであり、両国の関係悪化を示唆するもののように見える。無尽蔵にも見えるオイルマネーを財源として、ロシア政府はここ20年で初めて北太平洋地域において自らの存在感を高める態勢を取りつつある。
だが、メドベージェフ大統領とプーチン首相によるこうした土台作りの真の目的は恐らく別のところにある。長年対峙している中国からの防衛だ。この意味において、日露政府は両国関係の新たな危機を防ぐ必要があるとともに、両国が直面する中国からの安全保障上の脅威にどう対処するかを両国共同で検討する必要がある。
ロシアと日本はシベリアとクリール諸島周辺をめぐって19世紀半ばから争いを続けてきたが、ロシアと中国の紛争の発端はさらに古く、1600年代にまでさかのぼる。両国は数千マイルに及ぶ国境をめぐって、1969年まで小競り合いを続けてきた。地域覇権をめぐる争いに日本が無関係だったわけではないが、己こそユーラシアの真の指導者であると信じているのはロシアと中国だ。
例えば、ロシアは、中核的な戦略的利害地域周辺において影響力を回復したいとの思惑から、日本周辺で空軍機の飛行を大幅に増やしている。このことは2つの疑問を生じさせる。1つは、こうした動きは、ロシア政府によるアジア太平洋地域に重点を置いた明確な政策シフトに関係しているのかということ。もう1つは、そうであれば、なぜ今なのか、またメドベージェフ大統領とプーチン首相の最終的なゴールは何なのか。
1つ目の疑問に関する答えはシンプルだ。ロシア政府は、他の主要国同様、自国の未来の繁栄はアジア太平洋地域の国々に依存していることに気がついたのだ。北東アジアを中心とする世界の貿易システムにおけるロシアの役割は主に原材料とエネルギーの供給だ。
だが、ロシアの極東地域における影響力の拡大には、地域的な協議の場での発言力の拡大や中国や日本政府などとの通商交渉における切り札の確保といった政治的要素も絡んでいる。ロシア政府は、中国への対処に関してモンゴルのように無気力である、あるいはオーストラリアのように孤立しているとみられるのを嫌がっており、軍事力強化の取り組みは、その主張を直接的に示す方法の1つだ。
さらに重大なのは、プーチン首相やメドベージェフ大統領はロシアの長期的な位置付けに重点を置いており、彼らの最終的なゴールは恐らく同地域における中国の勢力拡大への対処にあることだ。両国は、ロシアの過疎化した極東シベリア地域が今後、膨大な原料や資源を求める軍事大国、中国にとってますます魅力的に映ることを認識している。
木材や石油、ガスなどはもちろんのこと、清潔な水に至るまで、シベリア地域は、単に経済成長だけでなく、工業国としての基本的な生活必需品の一部を中国が今後維持するために必要な原料や資源の多くを提供してくれる。1つ例を挙げよう。一部の推計によると、中国の純石油輸入量は2035年までに4倍になり、1日当たり1400万バレルに達する見込みだ。一方、ロシアの予想石油埋蔵量の65%と天然ガス埋蔵量の85%は中国のすぐ北部のシベリア地域に位置している。
シベリア地域は、ウラル山脈からカムチャッカ半島に至るまでの960万平方キロメートル以上に及ぶ範囲を指す。その全人口はわずか約2500万人で、人口密度にして、1平方キロメートル当たり3人以下だ。さらに東の極東連邦管区は人口わずか700万人で、人口密度は1平方キロメートル当たり1人。一方、国境を挟んだ中国側には1億人が暮らしている。
極東連邦管区に居住する中国人は公式には5万人にとどまるが、通商の大半は既に中国人が掌握している。地政学的見地から、ロシアの人口減少に伴って今後シベリア地域における中国の影響力が増すのは確実であり、中国政府は恐らく将来的に同地域の領有に関心を持つようになるだろう。
海軍力の増強や小規模領域に対する領有権の主張、防衛能力の強化に重点を置いた新生ロシア構築の原動力となっているのは、これだ。日本は、ロシアの国益を脅かすとは考えにくく、この露中間の見え透いたけん制合戦のかく乱に利用されたにすぎない。だが、こうした中国のシベリア地域に対する関心の高まりを認識することは、ロシアと日本にとって、アジア太平洋地域の将来的な地政学的環境について協議する絶好の機会となる。
日本も、ロシアの石油や天然ガス資源に期待を寄せる一方で、日本海を経由する北極航路への中国の関心の高まりを注視している。中国の欧州通商にとって、北極航路が確保できれば、政治的問題をはらむ南シナ海航路を回避できる可能性がある。だが、ロシアからであれ、欧州からであれ、北部航路経由での中国への通商が増えれば、日本は恐らく中国海軍による航行もいずれ増えるのではとの懸念を抱くようになる。これは、中国海軍のプレゼンス拡大から太平洋経由の通商ルートを守ることへのロシアの懸念と重なる。
さらに大局的に見て、ロシア極東における中国の影響力や直接支配が拡大すれば、日本は大きな懸念を持ってそれを注視するようになる。そうした現状の変化は計画的に起こる可能性も、同地域の中国市民に対する攻撃などによって偶発的に起こる可能性もある。そうした中国の拡大は、日本政府にとって、南西諸島加え、北部地域の防衛をも著しく厄介なものにする可能性がある。南西諸島の防衛強化は現在、昨年12月に公表された「新防衛計画の大綱」で戦略的目標の1つに挙げられている。
太平洋地域の将来に関するロシアとの対話は、経済関係の拡大につながるのみならず、ひいてはシベリア通商における中国の支配力を減じ、日本にとっての同地域における現状維持の重要性を維持することにもなる。ここに米国の果たせる役割がある。日本政府との安全保障協議の拡大のみならず、ロシア極東地域の安定をめぐるロシア政府との広範な協議だ。この段階において、中国政府がそうした初期の対話に加わらない理由はない。
中国人自身を含め、中国政府がシベリア地域への拡大といった混乱を招く事態に決して踏み切ることはないと考えているものもいる。だが、重要な原材料資源が眠る過疎地へのアクセスを必要とする中国の成長を受け、ロシアは既に行動に出ている。米国と日本も同様に、北東アジアにおける混乱と不安定化の可能性をじっくりと考慮し、過去に多くの国がそうであったように、不意を突かれることがないよう備えておく必要がある。
(マイケル・オースリン氏はアメリカン・エンタープライズ研究所の日本部長でウォール・ストリート・ジャーナル電子版のコラムニスト)
http://jp.wsj.com/Opinions/Opinion/node_192998
●ドル、分水嶺の10年 | Alternative Intelligence : AltIntel - BETA 3月 7, 2011 - 1:05午後 | By 森野榮一
中東の混乱や中国のインフレ懸念など、国際経済のリスク要因があるのに、たとえば有事のドル買いのようなドルへの逃避が起こっていないように見えるのはなぜかという単純な疑問に答えてくれる一文を目にする。
Asia Times Online で China's peg loses currency By Michael Pento を読む。http://www.atimes.com/atimes/Global_Economy/MC04Dj02.html
米国が米ドルの信用破壊の取り組みに成功したという書き出しはちょっと刺激的。最近の世界情勢のなかでのドルの位置を理解させてくれる一文かな。中国経済やドルの将来に関する視点も興味深い。
おもしろかったので、じぶんなりに議論の要約を下記にメモしておこう。
以下要約
いま米国は最終的に米ドルにおける信用を破壊するための取り組みに成功したように見える。通貨リザーブの状態や金融市場におけるその偏在、米国の経済力や政治的位置を考えると、これは容易な仕事ではなかった。しかし、適任の人間が選ばれた。FRB議長ベン・バーナンキだ。バーナンキの超人的な努力で、世界中の投資家はいま、米ドルが究極の安全な避難所である通貨の位置に止まるという子供っぽい信念から完全に乳離れさせられた。
彼の成功の証拠が見て取れるのは、外為市場が最近の中東の危機に反応した仕方と2008年の金融危機への反応の仕方を比べてみてである。3年前、投資家たちは安全な逃避先を探して外貨ポジションを解消し、米ドルを積み上げた(とりわけ米長期国債市場)。こうした資金流入の結果、2008年8月から11月までに米ドルは20%上昇した。
しかし、最新の世界的に不安定化した場で、ドルはさほど変動を経験してはいない。事実、2010年12月にチュニジアの革命が始まって以降、ドル紙幣の価値はおよそ5%降下した。その理由は明らかだろう。
経済の脆弱さ、デフレの脅威、ドル評価で追加的な投与の一吹きでドルを低下させると国際的的な投資家たちに知らせたからである。
ちょうど今週、バーナンキは国内外で成長見通しがよいとみなしているにもかかわらず、また世界のインフレが広がっているにもかかわらず、米国は金融融通を後戻りさせないと再度明確にした。他国がそうするときでさえそうなのだ。米国の金融政策の設計者は明らかに無限の未来にまでドル低下を続けると述べたのである。
このことを知るなら、外国人投資家が安全な避難場所を探して、米国のソブリン債務に資産を置くことを選択するだろうか。引き続く米国経済の弱さが財務相証券の低利回りを引き起こし、ドル安傾向が実質タームでの債券の基本的価値を侵食している間、インフレで価値を失うのである。
これは健全な投資家が避けようとするワンツーパンチである。米国債入札で記録的な割合が中央銀行によって購入されるのは偶然の一致ではない。
しかし実際は、FRBは北京の中央銀行家以上にドルの価値に影響力をもってはいない。中国のサポートがなければ、ドルはダメな奴であるだろうことでエコノミストの間に不一致はない。しかしこの20年間というもの、人民元をドルにペッグするという通貨上の調整は両国の利害にかなっていた。米国は安い輸入品の洪水や超低金利、強い通貨を享受し、中国は輸出経済のブームを受け取った。それは同国のGDPの3分の1近くにのぼったのである。・・・
このペッグを維持するために中国人民銀行は何兆元をも印刷し、リザーブで1兆ドル以上の米ドルを保有し続けねばならなかった。
しかし最近、中国の猛烈な貨幣供給の増加とインフレにつながったので、とりわけ中国側からみて、ペッグは利点よりも問題のほうが大きくなった。中国の最新の前年比でみた貨幣供給の伸びはM2が17.2%まで増加しており、消費者物価指数を前年比4.9%上昇させることになっている。
中国の輸出業者232社の調査が明らかにしているのは、回答した74%が2010年に輸出価格を引き上げたと答えていることである。米国のBLSは1月初め、中国の輸入価格指数が18か月間安定を維持した後、第四四半期に0.9%上昇したと報告した。そして最大の輸出地域である広東では、この三月に最低賃金を19%近く引き上げるとのことである。
ここに困難がある。中国は輸出価格がドルでみて上昇するのを防ぐためにドルペッグを維持するが、しかし、ペッグはいま、輸出価格の上昇を引き起こしている。結果として、この政策は配達されない手紙である。単純な事実は中国の輸出に対する脅威が、彼らがその通貨を評価しようがしまいが存在するだろうということである。しかし強い通貨は、国内消費に弱い通貨がなにも提供しないのに反して大きな利益を提供する。
中国政府はその全人口を豊かにするまで、終わりなきインフレに落ちて行くより経済を維持しバランスさせる経路をとるだろう。中国にとって現実的な希望は強い通貨のいっそう大きな購買力が中国の製造業にとって最後の市場としての米国の消費者にとって代わる中産階級の成長を可能にすることであろう。
しかし米国にとって挑戦は、経済を押しつぶす金利上昇やドルの上昇、インフレの亢進の前に、迅速に製造業の基盤の多様化を推し進めることであるだろう。
中東の混乱や中国のインフレ問題に対する最近のドルのリアクションは我々が米国史上の分水嶺にあることを示している。
2010年に始まる10年間は米ドルが世界の準備通貨の地位を失う10年間であることを証明するであろう。その打撃は悪いもかもしれないが、経済を持続可能な経路に戻すのに必要なショックを提供するかもしれない。真の危険は環境の変化への適応を拒むことにある。現在の国家の執事たちは、事実上、ドルが糸で吊るされているときに、まるでドルの地位が石に書かれているかのように行動している。
要約終わり。(森野榮一)
https://altintel.org/blog/%E3%83%89%E3%83%AB%E3%80%81%E5%88%86%E6%B0%B4%E5%B6%BA%E3%81%AE%EF%BC%91%EF%BC%90%E5%B9%B4
【私のコメント】
森野榮一氏がブログで要約したアジアタイムズの記事は、米ドルが近未来に世界基軸通貨の地位を失うことを予想している。その時、米国は膨大な経常赤字をファイナンスできなくなり、軍事支出を維持できなくなる。在日米軍・在韓米軍・第七艦隊は維持できなくなるのだ。日本が第七艦隊などの米軍を支援して傭兵として雇ったとしても、やはり軍事力の縮小と後退は避けられない。一方で中国は経済力・軍事力を日に日に増している。米国が退いた後の軍事力の空白を埋めるのは中国になってしまう。
この場合、最も重要なのは台湾と南沙諸島が中国の勢力圏に転落するか否かである。もし転落すると日本は自動的に中国の衛星国になる。ロシアは4000kmの陸上国境で、単独で13億人の中国の強大な国力と対決することを迫られる。勝利はまず不可能であり、ロシアはシベリア全体を中国に乗っ取られることになるだろう。
この様に考えるならば、ロシアにとって、シベリアやロシア極東、特に1855-1860年に清から奪った沿海州とアムール川北岸を死守するためには、台湾・ベトナム・フィリピンなどを海軍力で支援するのが最も有用で効果的である。また、中国から米国西海岸や北極海~欧州に至る海運路を防衛するためにも北方領土への軍隊配備は有用である。米国の没落と中国の隆盛という現状を客観的に眺めれば、ロシアの極東での軍事力増強は表向きは対日行動であるが、本音では中国を最大の仮想敵国と考えていると思われる。
↓↓↓ 一日一回クリックしていただくと更新の励みになります。
移民の米国民が押し寄せて、それをメキシコ政府は優しく向かえました。
住民の大多数が米国人になると、なんと独立を要求して争乱を起こした。
これをメキシコ軍が排除殲滅すると、アラモの砦と称する玉砕劇が起こる。
これを口実に、米軍はメキシコ軍を攻撃撃破し、非常に多くの領土を割譲させた。
メキシコは、天国には遠く、アメリカには近すぎる。(メキシコ大統領の言葉だったかな)
そう、人口侵略の危機だったのです。今のロシアが直面している事態です。日本もですが。(中国人による)
ロシアは、ドイツにも協力を求めるつもりでしょうか。極東はむりでしょうか。インドは?
南支那海の維持は、日米台などに死活問題ですが、北極海航路がどのくらい、リスクヘッジになるでしょうか?
それにしても、真意を秘匿して、災厄に備えるという事は、国家戦略上必須のことなのですね。
日本は人口密度も高く、人種・文字・宗教などの類似性からも、来日中国人を日本に同化させる力を持っています。王貞治は日本に同化した中国人の一例です。ただ、ロシアと中国は文字も人種も宗教も全く異なり、同化は恐らく不可能で、シベリアに中国人移民が増えていけば、コソボの様に中国人に乗っ取られてしまう危険が非常に高いです。シベリアには中国に不足している水資源・木材資源・鉱物資源が豊富にあるのも魅力でしょう。
日本やドイツをはじめとする欧州諸国はロシアの天然資源に将来大きく依存することになると思われます。従って、4000kmの中露国境では中国軍と国境を挟んでロシア・欧州・日本・米国の連合軍が駐留してロシアの領土を守る事態が考えられます。G8と中国の対立です。インドも中国包囲網に参加して貰う必要がありますが、シベリアは遠すぎますし、インド陸軍は酷寒のシベリアでの任務は無理でしょう。従って、インドには海軍力でインド洋の警備を行って貰い中国を牽制することになると予想します。
>南支那海の維持は、日米台などに死活問題ですが、北極海航路がどのくらい、リスクヘッジになるでしょうか?
北極海航路は日欧間連絡には有効ですが、シベリア鉄道という選択枝もあります。また、ペルシャ湾から日本に石油を運ぶには南シナ海の維持は必要不可欠です。北極海航路の効果は限定的でしょう。
>それにしても、真意を秘匿して、災厄に備えるという事は、国家戦略上必須のことなのですね。
その通りです。真意を秘匿することでロシアは中国との関係を良好に維持しつつ、中国の脅威に対して着々と準備を進めています。見事な外交戦術です。
なんだか、「彼女が私に辛く当たるのは、私に興味があり、関心を引こうとしいるに違いない」の類の妄想(プリンス氏のよく使う言葉)ではないのか?
但し、シベリア・極東の人口構成の変化、がロシア人にとって深刻なのは、同感だ。
このペースだと、2050年の極東部はロシア人:非ロシア人=3:2になる。
しかし、何だかんだ言ってもヨーロッパ人の端くれであるロシア人、からもたらされた高い文化(バレエ・オペラなど)を捨ててまで、低俗な中国文化(少々偏見があるかもしれないが、日本文化にも似た面がある)になびくとも思えない。
2050年の時点で、ロシア人が優勢な地域は、アムール州と沿海州とハバロフスク州だけで、サハ共和国(既にヤクート人が多数派)、マガダン州、カムチャッカ州、チュコト管区は北方少数民族が圧倒的優勢に、サハリン州だけは、ほぼ同数、になると予想される。
確かに、シベリア・極東の北方少数民族は、日本人やモンゴル人に風貌が近いし、文化的にはモンゴルに近く、夏祭りでは「モンゴル相撲」をやっているくらいだ。
だからといって、彼らに、中国人かロシア人かどちらを選べ(究極の選択)を迫られたら、意外とロシア人を選ぶのではないか?
その点で、中国が、「極東の北方少数民族は同胞だ」などと勝手に思い込み、傲慢で誤った対応をしないか、が心配だ。
中国人の最大の誤解(欠点)は「黄色人種はすべて中国人」と考えていることだ。これは、本当の馬鹿としか言いようがない。
日本は人口密度も高く、人種・文字・宗教などの類似性からも、来日中国人を日本に同化させる力を持っています
史那文化の同化力には定評がある。では日本文化はと思うと、これは?
大きな自信ですな。
しかし、日本文化って、それほどの物だろうか?
過大な自己評価は禁物だよ。
そりゃ、アジアの一部で、「可愛いキャラ」とか「アニメ」の類が人気があるのは確かだ。
しかし、薄っぺらいお笑い番組や、くだらないチャンバラ映画など、繰り返し見せられると、日本人を辞めたくなることもあるよ。
王貞治氏は中国人ではなく台湾人。ロシア人は駄目でも支那人なら同化するなんて事は無いだろ。現在、日本のいたるところに中華街を作りつつある支那人の存在をどう思っているのだろう。
日本は、時間をかけて渡来人を宥和してきただけの話で、人、情報が現在のように頻繁に行き来できる時代に、それは無理でしょう。
私の妄想であることは間違いありません。しかし、当たっている可能性はかなりあるのではないかと考えています。
>確かに、シベリア・極東の北方少数民族は、日本人やモンゴル人に風貌が近いし、文化的にはモンゴルに近く、夏祭りでは「モンゴル相撲」をやっているくらいだ。
シベリアの少数民族のうち人口の多いヤクート人はトルコ系、人口の少ないエベンキ人はツングース系(満州族に近い)とされています。モンゴル人は遺伝的には彼らと近いですが、文化的にはやや異なります。モンゴル人の宗教はチベット仏教ですが、ヤクート人やエベンキ人の宗教は自然崇拝のシャーマニズムか、あるいはロシア正教だと思われ、この点でも異なります。
>だからといって、彼らに、中国人かロシア人かどちらを選べ(究極の選択)を迫られたら、意外とロシア人を選ぶのではないか?
これは間違いなくロシア人を選ぶでしょう。中国人を選べば漢民族が大量に移住してきて、アメリカインディアンやチベット人の様な悲惨な被差別民族に転落するのは目に見えています。モンゴル人も同様の観点から、中国よりもロシアを好んでいます。モンゴル人の中国に対する嫌悪・恐怖感は相当のものです。
>その点で、中国が、「極東の北方少数民族は同胞だ」などと勝手に思い込み、傲慢で誤った対応をしないか、が心配だ。中国人の最大の誤解(欠点)は「黄色人種はすべて中国人」と考えていることだ。これは、本当の馬鹿としか言いようがない。
この点は少し違うと思います。中国人にとっては漢民族が最も偉大で優れた民族であり、他の民族は漢民族に従属する運命にあると勝手に考えているのです。従って、同胞であるかどうかには漢民族は関心を持っていないと思います。
>しかし、日本文化って、それほどの物だろうか?過大な自己評価は禁物だよ。
日本は中国以外で漢字を使用する唯一の民族です。日本文明は中国文明から派生したものであり、西洋文明、ヒンズー文明、イスラム文明、ロシア文明などの諸文明と比較して中国人にとって親しみやすいと考えられます。仏教も共通しています。中国の民俗風習である道教も、日本の神道に影響を与えているという話も聞いたことがあります。やはり、中国文明と日本文明の近さは否めないです。
王貞治氏は元台湾(中華民国)国籍でしたが、王貞治氏の父は中国本土から日本に渡航した人物であり、台湾とは無縁です。従って台湾人ではありません。
>日本は、時間をかけて渡来人を宥和してきただけの話で、人、情報が現在のように頻繁に行き来できる時代に、それは無理でしょう。
確かに現代の世界では中国から日本に来る人の数が多すぎることも事実です。ただ、日本人の祖先が氷河期のシベリアで暮らしていた北方モンゴロイドであることを考えると、日本は移民国家としての性格も持っていると言えます。事実、数十万人に上る在日韓国朝鮮人の子孫の多くはもはや母国語を読むことも話すことも聞き取ることもできず、パスポート以外は完全に日本に同化してしまっています。来日中国人も時間をかけ、チャイナタウンを作らせずに日本人に混じって居住させるならば、同化させることは難しくないと考えています。
私はそれに反対です。ロシアは北方領土を日本に返還することで日本国民の対露感情を一挙に改善し、日本国民を味方に付けることで中国という強大な仮想敵国に対抗する仲間を得ることを狙っていると考えています。場合によっては、北方領土だけでなく北千島まで返還してくる可能性すらあり得るでしょう。日本としては、領土返還の対価として宗谷海峡鉄道トンネルを日本の技術と資金で建設してシベリア鉄道を日本本土まで延伸するのが良いと考えています。東京札幌間のリニアモーターカー建設後に遊休化する東北北海道新幹線か、あるいは在来線の日本海縦貫線を1520mmに改軌してシベリア鉄道に直結するのがベストです。沿線では、シベリア鉄道の膨大な貨物輸送に関連した産業の発展が期待できます。
>で返す刀で中韓に対し、竹島、尖閣の国際司法裁判への提訴呼びかけでしょう。これによりアメリカ没落後、中韓が日本にたかるのを防げます。
竹島問題は日米共に国際司法裁判所での解決が望ましいとの方針を1950年代に示していますが、裁判所に行けば敗北が確実な韓国はそれを拒否しています。実に卑劣な行為であり、それ故に私は韓国という国を心の底から嫌っています。
尖閣問題は、このブログでも繰り返し述べているように、沖縄の日本への返還時に米国が尖閣の帰属を曖昧にし、米国企業が尖閣近辺の油田開発権について台湾政府の許可を得るなどの背信的行為を行っています。1970年代始めにこのような経緯で台湾が突然領有権主張を始め、その後に中国政府も領有権主張を開始しています。米国の属国であり、国際連合の常任理事国の地位を失いかけていた危機的な状況にあった当時の台湾にとって尖閣問題で日本と対立することは決して有益であったとは考えられません。はやり、米国の圧力で尖閣の領有権を主張するよう働きかけがあったのではないかと私は妄想しています。その目的は、日中台の間で領土紛争を作り出して相互の対立を煽り、米国が漁夫の利を得ることです。この点では北方領土問題と似通っています。従って、在日米軍が日本から撤退して日本が独立国になるまでは、北方領土問題も尖閣問題も解決は無理でしょう。
ただ、在日米軍撤退後(第七艦隊を日本が傭兵として雇い米軍駐留は継続している状態になると思いますが)には尖閣問題は解決が可能になってくると思います。台湾と中国の対立もあり難しい問題もありますが、やはり国際司法裁判所で解決するのがベストです。南沙諸島の問題の解決の助けになる点でも良いと思っています。
その他にもう一つ重要な点があります。東シナ海で中国はガス田・油田の開発を進めていますが、これらの鉱物資源の領有権を決定させるために、東シナ海での日中間の国境線を確定する必要があります。日本は日中中間戦を主張して中国を非難していますがこれは実はやや無理のある主張で、大陸の中国と島嶼の日本の間の国境線は日中中間線より少し日本寄りに引かれることがほぼ確実であることが過去の判例で分かります。従って、中国の開発中のガス田・油田の権益は恐らく100%中国になると思われます。ただ、具体的に国境線が日中中間線からどれぐらい日本よりになるかは国際司法裁判所の判決を待つしか無く、現時点では日中双方が日中中間線を一つの目安とするしかない状況です。この様に、尖閣・東シナ海の国境線確定は国際司法裁判所で解決するのが最も賢明だと思われます。