国際情勢の分析と予測

地政学・歴史・地理・経済などの切り口から国際情勢を分析・予測。シャンティ・フーラによる記事の引用・転載は禁止。

毎日新聞経営破綻で公的資金の投入?

2009年08月25日 | 日本国内
●インターネットの台頭とマスメディア - 国際情勢の分析と予測 2008年12月29日

ただ、取材する・記事を書くという記者の仕事は決してなくなることはない。そして、世論を作り出すことで支配階層が国政を支配するというマスメディアの機能も変化することはないだろう。仮に大手マスコミや主要地方紙などの経営危機が起きるならば、場合によっては日本支配階層は公的資金を注入してもその破綻・消滅を回避すると想像する。
http://blog.goo.ne.jp/princeofwales1941/e/d05641e5341a3e4e6b6c6c8a56d5606a






●メディア政策:新政権に望む 「表現・報道の自由」規制、デジタル社会、そして…
 1999年から続いた自民、公明の連立政権下では、個人情報保護法の制定をはじめ、「表現・報道の自由」への規制が強まった。この約10年は、インターネットなど本格的なデジタル社会の到来で、新聞事業が大きく揺さぶられた時期とも重なる。衆院選(30日投・開票)で誕生する新政権に望むメディア政策について、ジャーナリストの原寿雄氏、服部孝章・立教大教授、音好宏・上智大教授の3人に聞いた。【臺宏士】

 ■新聞への公的支援論議を--ジャーナリスト・原寿雄氏

 インターネットの普及によって、読者離れと広告離れが深刻化し、いまのままでは日本の少なくない新聞が廃刊や経営規模の縮小を迫られるのは必至だ。不動産収入や映画製作への参加など本業以外をみても、新聞を支えてきた購読料と広告料に代わる収入源は見つからない。

 米国ではより深刻で、1紙しか残らない地域も増えているようだ。インターネットは、オピニオンを飛躍的に発展させたが、その基礎となる「事実」は、自分の仕事や趣味の情報にとどまるというパーソナルメディアとしての限界がある。一方、新聞ジャーナリズムは、公器として権力の監視や社会正義の追求をはじめ公共的な情報をいち早く豊富に安価で提供してきた。恒常的で組織的な取材、調査・分析力。そして、特定の利害に左右されない道義性の高さを肩代わりできる媒体は、当面ほかに見当たらない。

 廃刊相次ぐ米国では公権力を監視する力が弱まりかねないという声が広がっている。連邦議会では、新聞の再編を容易にするための独占禁止法の緩和やNPO化による税制上の優遇措置などが論議され始めた。欧州では新聞の公共意識が強い。言論の独占を避け、多様性を重視する観点から、スウェーデンでは弱小新聞への助成策があり、仏では税制上の優遇に加え新成人への新聞の1年間の無料配布も打ち出した。

 民主主義社会ではジャーナリズムが不可欠だ。日本では社会文化政策として新聞ジャーナリズムの公的な支援論議はほとんどされてこなかったが、いまこそ始める時ではないか。再販制度や特殊指定制度は、新聞事業を維持するために、その意義が一層強まった。

 欧米の政策を参考にした税制上の優遇や、教育文化政策の一環として、ジャーナリズムの社会的な重要性を学ぶためのカリキュラムを強化したり、義務教育が修了する15歳を機に新聞の1年間無料配布を検討してもいい。年500億円で足りよう。

 新政権をはじめ各党は、社会政策としてメディアのあり方を考える担当を設けたらどうか。新聞界も、経営合理化の徹底や紙資源の保護を含む販売面の刷新、調査報道の充実、取材報道倫理の向上など、新聞が民主主義社会に不可欠な存在であることを証明する努力がもっと必要だ。
http://mainichi.jp/select/wadai/news/20090824ddm012040004000c.html




●原寿雄『ジャーナリズムの思想』 (岩波新書、1997)

 著者の原さんは、共同通信社の記者、編集局長を経験したジャーナリストである。
http://homepage.mac.com/saitohmasami/public_html/bookrev2.html





【私のコメント】
昨日の毎日新聞電子版で、「新聞への公的支援論議を」という興味深い記事が掲載されている。記事を書いたのは、共同通信社の記者、編集局長を経験したジャーナリストである原寿雄氏。インターネットの普及によって、読者離れと広告離れが深刻化し、いまのままでは日本の少なくない新聞が廃刊や経営規模の縮小を迫られるのは必至であるとの現状認識に立ち、新聞ジャーナリズムへの公的支援の必要性を説いている。ただ、「廃刊相次ぐ米国では公権力を監視する力が弱まりかねないという声が広がっている。」と言いながらその一方で公権力からの資金援助を受けるのでは、本当に公権力を監視することが出来るのかという疑問が出てくるのは当然とも言える。

私は昨年12月に書いた記事「インターネットの台頭とマスメディア」で、『世論を作り出すことで支配階層が国政を支配するというマスメディアの機能も変化することはないだろう。仮に大手マスコミや主要地方紙などの経営危機が起きるならば、場合によっては日本支配階層は公的資金を注入してもその破綻・消滅を回避すると想像する。』と述べたが、それが早くも現実化し始めた。マスコミの存在意義が「公権力を監視すること」というのは建前に過ぎない。マスコミの読者は記事の論調を鵜呑みにして、まるで自分の意見であるかの様に錯覚し、世論が形成されていく。マスコミは日本支配システムの重要な柱であり、日本の支配階層は朝日新聞、読売新聞、文芸春秋などの各媒体に種々の論調の記事を掲載することで、アクセルやブレーキを踏むようにして世論を調節して目的とする世論の状態を維持しようとしているのだ。

仮に日本に大手新聞が一つしかないならば、世論のアクセル・ブレーキが一つしかないことになり、世論操作が困難になる。世論操作のためには大手新聞・民放キー局などの基幹的メディアが複数必要であり、それは多すぎても少なすぎてもよくないのだろうと思われる。現在の日本では朝日・毎日・読売・産経・日経の五社がそれぞれ系列のテレビ局を所有しており、この5という数字が世論操作に最も適切であると考えられているのだろう。

新聞への公的支援を訴えた毎日新聞は経営危機が叫ばれて久しい。朝日・読売両紙に比べて圧倒的に少ない部数故に、もはや全国紙システムの維持が困難になっているのだろう。この記事は毎日新聞が世間の反応を見るためのアドバルーンとしてあげたものだと思われる。そして、恐らく毎日新聞への公的資金導入計画も出来上がっているのだろうと想像する。




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9 コメント

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Unknown (面白い発想だが)
2009-08-27 01:17:49
1940年体制の重要なツールであった寡占的なマスコミをそのまま、延命させようとしても長続きしない。購読料、広告料のビジネスモデルとしては全く破綻しています。完全な国営化では世論誘導としてはうまくないです。

公的資金投入は、新聞よりもテレビ局がデジタル化を2011年に控えているのでいかにもありそうです。苦しくなった地方テレビ局にデジタル化投資のためとして公的資金投入が行われるかと。そこに系列新聞社を資本的にぶら下げれば、両方延命できます。

将来的には、インターネット時代となっても延命という発想ではなく、1940年当時のようにさらに強化する方向性が必要です。新聞社の通信社的な機能を強くするために、ネットをアクセスする人から、広く課金するような方法など新しい方法を考えられます。
宅配制度も今となっては重荷です。地方や情報弱者の人のために紙媒体で配達するような部門はまだ必要とされるため、この部分には、公的な部門を残す余地があります。
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国有化ですか (090827)
2009-08-27 13:34:34
そうしたら、正式に国の広報機関へと格上げですね。
購読料や視聴料は税金化されるんでしょうか、保険や年金のように。
そうすると破綻しない国会予算の運営組織が必要になりますね。
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Unknown (Unknown)
2009-08-28 01:00:20
まあ、そうなれば新聞社の社員は公務員ってことになるな。

そもそも自分達が高給取りの特権階級で、それが永遠に続く、または続かなければならないって思ってる時点でジャーナリズムなんてものはとっくに死んでるんだよ。

炭鉱マンも山を去ったよ。使えない記者はもういらない。

そもそも国営御用聞きメディアになるなら何社もいらないだろ。1社で十分だよ。
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通信社 (Unknown)
2009-08-29 23:01:37
日本に本当に必要なのは、政府と喧嘩ができるゴロツキ集団の梁山泊みたいな通信社でしょう。
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Unknown (Unknown)
2009-09-04 10:52:09
http://awfuljapan.livedoor.biz/archives/51269439.html
チラ裏の段階なんだが、押し紙に対する訴訟等はありそうなので要注目。
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Unknown (↑の人)
2009-09-04 11:04:26
http://antikimchi.seesaa.net/article/127220324.html
だそうですが、チラ裏自体はこことは無関係なんで注目してよいでしょう。
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Unknown (Unknown)
2009-09-09 05:14:12
地デジ設備に公的資金導入はあるかも。しかし新聞はないでしょう?設備じゃなく経営自体への公的資金なら、90年代の金融界への公的資金導入に対する新聞の基地外じみた反対はどうなるのか?という道徳的問題があります。よって大新聞の合併が進むと思います。
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Unknown (ななし)
2009-09-30 05:18:57
宮沢内閣が打ち出した金融機関への公的資金注入を大キャンペーンやって潰したのはどこの誰だっけか?
マスコミ大手そろってやった事だろうに。
銀行や企業が潰れるのは構わんが自分とこが潰れるのはかなわんってか?
そういやあ10年ほど前、テレ朝が経営難でマードックに買収されそうになった時、当時の郵政省、今の総務省に泣きついたよな。
マスコミだけは特別なわけか?
新自由主義を煽って弱いところは潰せと合唱してたじゃないかw
潰れて社員ともども路頭に迷えよ。
何が社会の公器だ。
米資本の走狗になり果ててる癖に。
国民を不幸のどん底に導いた罪を償えよ。
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Unknown (Unknown)
2009-10-06 22:29:04
新聞記者が作り出した世論に従い、支配層が国政を支配する?ということは、マスゴミの下に政治家や官僚がいて、その最下層に購読者がいるってこと?税金なんか1円も投入しないよう市民運動します!
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