国際情勢の分析と予測

地政学・歴史・地理・経済などの切り口から国際情勢を分析・予測。シャンティ・フーラによる記事の引用・転載は禁止。

来るべき世界経済の二番底、三番底、四番底・・・・

2009年11月12日 | 経済
★二番底に向かう世界不況 田中宇の国際ニュース解説 会員版(田中宇プラス) 2009年11月11日

▼人民元ドルペッグで棚ぼたの中国(要旨)

 ロシアと対照的に中国は、ドルの崩壊傾向に対して沈黙している。中国の人民元は事実上ドルにペッグ(為替固定)しているので、人民元はドルと一緒に下落しており、中国は輸出競争力を増大させている。中国にとってドル安は「棚からぼた餅」であり、だから中国政府は黙っている。

 今後、ドルの崩壊感が強まってドル安が進むほど、欧州など世界から中国に対する圧力が強まる。この問題の最終的な落としどころがどこにあるのか、中国も欧米も示唆していない。私の推察では、人民元ドルペッグに対する世界からの批判がかなり強まったところで、中国は条件闘争に入る。もしくは、すでに条件闘争に入っているともいえる。人民元の切り上げと引き換えに中国が出す条件とは「国連やIMFなどの国際機関において、欧米と中国の権限が対等になるよう、中国の権限を拡大しろ。欧米が画策することに対して中国が拒否権を行使して潰せるようにせよ」ということである。中国が覇権を拡大するという条件が達成されたら、人民元の対ドル為替が切り上げられるが、人民元とドルのつながりが切れたら、他の諸通貨の諸国はドルを気にする必要が減り、ドルの基軸通貨としての地位低下が進み、ドルの崩壊に拍車がかかる。多極化とドル崩壊は連動して起きる。
http://tanakanews.com/






●米国の国益が、日米同盟重視よりも米中関係重視によって増進される 櫻井よしこ - 株式日記と経済展望 2009年11月12日

アメリカのゲーツ国防長官が外相や防衛省の主催の夕食会をキャンセルしたのは日本に対する挑発行為なのだろう。この事をマスコミはわずかしか報じなかったが、鳩山内閣ははっきりとこの時点でハンドルを切ったのだ。今から修復するにしても鳩山首相の更迭ぐらいはアメリカは要求してくるだろう。安倍、福田、麻生と1年しか内閣が持たなかったのはアメリカとの関係が上手く行かなかったからですが、アメリカの要求が過酷過ぎるのだ。

アメリカからの風圧が強まれば日本は中国に吹き寄せられてしまうのであり、かつてニクソン訪中で米中関係が大きく変わった時に田中角栄は真っ先に中国に飛んで日中国交回復した。だから米中が戦略的パートナーとなるのなら日本も同じだけ中国に擦り寄る必要がある。鳩山首相も「日本にとって中国が最も重要な二国間関係だ」と「as~as any」と付けて演説したらどうだろう。21世紀は日中が構築すると演説してもまんざら嘘ではないだろう。

「株式日記」は反中国なのですが、米中の挟撃を避けるにはどちらにもいい顔をして裏では離反工作をする必要がある。日中が経済面でも手を組めばアメリカとしても脅威なのであり、日中が一斉にドル売りや米国債売りを仕掛けたらアメリカは破綻する。日本が生き延びる為には敵と手を組むような事も必要だろう。アメリカが物を買ってくれなければ中国やEUに市場を求めなければならない。もはやアメリカには以前のように輸入する事は無理だからだ。

日本の自動車会社も一斉に中国向けの車を作り始めた。アメリカへの輸出が半減してしまった以上は世界一の自動車大国となった中国に市場を求めるのは当然だろう。中国市場をめぐって日本とアメリカの自動車メーカーがしのぎを削る構造になっており、日米同盟と言ってはいられない状況になってきた。アメリカには金が無くなり中国には外貨が貯まる一方だ。だからこそ「アメリカさんさようなら中国さんこんにちわ」と言う事であり、日本も国益に則って外交をすればいい。

もちろん中国もしたたかだから日本とアメリカと両天秤にかけて来るでしょうが、中国にとってもアメリカが最大の潜在敵国であることがわかっているから、日本はそこにつけこむ隙がある。日米中の三国関係は日本がどちらに付くかで勝敗が決まるようになるだろう。今までは日本はアメリカに付いていたからアメリカは太平洋からインド洋の覇権を手に出来ましたが、日本の基地を失えばアメリカは西太平洋とインド洋の覇権を失う。

オバマ大統領はその事が分かっていて、「米中2国で21世紀を形作るという事実からして、米中2国間関係は、世界のどの2国間関係よりも重要な2国間関係となる」と言う演説をしたのだろうか? あるいは日本に政権の交代が起きることは計算に入れていなかったのだろう。
http://blog.goo.ne.jp/2005tora/e/9863d0662b7dfa2bff674297c36d444a






【私のコメント】
昨年秋に始まった世界不況は、主要国の財政支出増によって底打ちしており、一番底となっている。しかし、財政支出増が中止される来年には世界不況が再び悪化し、二番底を形成することだろう。世界不況が一挙に起こるのではなく、階段を下りるように起こっているのが現状であるが、この御陰で不況が企業や被雇用者に与えるダメージがより小さくなっていると思われる。これも世界支配階層が決定したことなのだろう。だとすれば、今後世界不況の三番底、四番底・・・・・が起きると予想される。中国元のドルペッグ離脱、欧米の商業用不動産の価格下落、米軍のユーラシア大陸からの撤退に伴うドル安などが階段を下りるように起こる世界不況の原因になりうるだろう。その中でも、最も段差が大きいのが、田中宇氏の言うように、中国元のドルペッグ離脱であろう。

現在の世界では中国が疑似ドル圏になっており、これがドルの下落を緩やかなものにしている。これが米中G2体制の本質である。しかし、この体制が永遠に継続することはない。紙切れに過ぎないドルを積み上げる現在の体制が維持されているのは単に中国が経済を維持するのに役立っているためである。ドル安が進むと中国国内でもインフレが起こるデメリットもあり、ある時点で中国はドルペッグからの離脱を決定するだろう。その際には、田中宇氏の言うように、国際機関での中国の地位の上昇も伴っていることだろう。

不況が階段を下りるように深刻化するにつれ、先進国では途上国からの輸出を阻止する傾向が強まると予想される。安価な途上国産品の輸入を止めて自国産品に置き換えれば失業問題を改善できるからだ。環境問題、安全問題など、理由はいくらでも見つかる。この保護主義のため、輸出依存型経済の中国は大打撃を受ける。本来ならば内需中心型経済に移行すべきなのだがそれが出来ない以上、現在の中国の体制は崩壊せざるを得ない。その後には、国内の巨大な貧富の差が国を分裂させることになり、沿海部富裕地域が独立してゆくことだろう。日本は沿海部に集中的に投資することで中国国内の貧富の格差を拡大させることを続けてきており、将来の中国分裂を促進することがその目的であったのだと思われる。









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8 コメント

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疑似制も限界が来ますね。 (ゴールデン)
2009-11-13 00:01:52
中国は疑似ドルペッグ制で今は得をしていますが、さらなるドル安にはついて行けなくなりますね。

欧米は徐々に中国製品締め出しにかかっており、経済的内部矛盾を抱えた中国は内部矛盾拡大で大変なことになりそうです。

「歴史は繰り返す」で、内部の矛盾を「戦争」という形で外にそらす動きも出てくる可能性がありますね。起きるタイミングによっては日本も緊張する事態になるのでしょうか。江沢民派への早期の政権移譲(またはクーデター)もありうるのでしょうか?

それにしても、「将来の中国分裂を促進することがその目的であったのだと思われる。」という読みは深いですね。こうして「世界を俯瞰する眼」こそ、「奥の院」の視点なのでしょう。

いずれにせよ、これから数年かけて大きくドル安が進みそうですね。来年末頃から、歴史が大きく動きそうな予感が致します。
返信する
面白いから ()
2009-11-13 04:01:16
もっと更新して下さい
反映しないでいいです
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Unknown (たかちゃん)
2009-11-13 05:47:10
前の記事に以前、南侵はない、と書き、今日は南侵あり、で再度予測を書いてみました。ポイントは日本の外国人参政権は騙しなのか、小沢民主党は本気なのか?です。プリンス氏のご意見を頂けたらと思っております。

以前、ネットで南米にいる船会社の方の書き込みを見ました。もう尋常じゃない量の食糧船がみな中国行きだったそうです。その方は中国の農業の限界を感じてました。人民元安なら輸入しにくくなります。食糧と言っても、養豚用の餌も含んでいると思います。人民元安が続けば、餌代と共に豚肉価格が跳ね上がる訳です。豚肉で作る餃子が食べられなくなった時、中国人民は蜂起します。天安門事件の影の理由はインフレによる豚肉価格の上昇が止まらなかったからだそうです。それで学生運動に市民が合流して大騒動になったそうです。世界中の政治家やマスコミは憑かれたように中国中国と言ってますが、何か裏がある気がしますね。あれほど反中反国民党だった台湾の李登輝さんが国民党の馬総統の相談役に就任したそうです。世界は中国をおだてつつ、もう動きはじめてるんでしょう。ただの分裂でなく、世界資源保護と中国人の移民を使った国家侵略阻止のために、内戦による中国人人口の削減を世界支配者層は考えているんじゃないか?と予測しています。学生時代に中国人留学生に中国はでかすぎる、五分割ぐらいにしたら?と聞きましたら、真っ青な顔をして、絶対に戦争になります、と答えてくれたのをよく覚えています。
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たかちゃんさんへ (princeofwales1941)
2009-11-13 06:22:32
>世界資源保護と中国人の移民を使った国家侵略阻止のために、内戦による中国人人口の削減を世界支配者層は考えているんじゃないか?と予測しています。

中国の内戦は経済難民の増加をもたらす危険もあります。第二次大戦前には中国の内戦から逃れるために多くの経済難民が満州国へ流入した例もあります。日本としては、中国沿海地区の富裕国家と協力して経済難民の日本流入を防ぐ必要があると思われます。

内戦による中国人口の削減はあり得る話だと思います。そもそも、中国沿海部の都市住民は内陸の農村住民を無知蒙昧と軽蔑しており、中国国民としての一体感は存在しません。内陸の人口減少を一番望んでいるのが沿海部の都市住民かもしれません。
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アヘン戦争前夜 (名無しの経営者)
2009-11-13 17:44:37
共産支那の現状は、ベルリンの壁崩壊20周年記念の報道を遮断するなど、決して開かれたものではありません。

つい30年前には、共産支那は、満足の行く自動車すらなかった。人民は、100年経っても日本には追いつけないと言っていたのです。それを現在欧米は、一流国であるかのように持ち上げています。恐らく欧米一流の仕掛けがあるのだと考えないわけにはいきません。

しかし歴史的に支那は、本来輸入しなくても自給自足できるだけの市場と、資源を持っていました。かつて欧米は、対支輸入超過が常態となり、結局支那には、アヘンを輸出する以外なかったわけです。

現在も、欧米は、対支輸入超過状態です。つまり共産支那は、莫大な額のドルを保有しており、その使い道として、資源の輸入に狂奔しているのではないか。仏から多数の原発を輸入したり、米から大量の航空機を輸入したりしていますが、ある程度輸入すれば、国内で使いまわしていくことも可能になるはずです。

輸出減で、失業者増、失業者による暴動と多数の死者が出ようとも政権が安泰である限り、共産党は全く困らないわけです。政権を安定さすためには、鎖国も辞さないでしょう。

しかも、それは、欧米にとっては、覇権を維持できることになり、願ってもない事態であるわけです。つまり、欧米は、支那動乱を引き起こそうとしているのではないかと考えています。

それは丁度ソ連が、超大国の名を欲しいままに手に入れていた時期に重なるのではないでしょうか。人工衛星を打ち上げる技術を誇りながらも、自動車も満足に作れなかったのに、欧米諸国は、ソ連を超大国扱いし、面目維持のための支出を増やさせ、そして、破綻に導きました。
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名無しの経営者さんへ (princeofwales1941)
2009-11-13 18:56:52
>それを現在欧米は、一流国であるかのように持ち上げています。恐らく欧米一流の仕掛けがあるのだと考えないわけにはいきません。


>輸出減で、失業者増、失業者による暴動と多数の死者が出ようとも政権が安泰である限り、共産党は全く困らないわけです。政権を安定さすためには、鎖国も辞さないでしょう。しかも、それは、欧米にとっては、覇権を維持できることになり、願ってもない事態であるわけです。つまり、欧米は、支那動乱を引き起こそうとしているのではないかと考えています。


現在の中国共産党の統治の正統性は、国民の生活を向上させたことによる、と言われています。事実、30年前と比べれば、中国は都市部も農村部も生活水準は向上しています。改革開放政策の成果と言うわけです。

今後先進国が保護主義に走ると中国経済は大打撃を受け、失業増加や生活水準低下に苦しむ事になると思われます。それは共産党の統治の正統性を確実に弱体化させることでしょう。富裕な沿海部は恐らくその段階で独立し、内需重視型の社会民主主義国家になると予想します。貧困な内陸部は暴動が相次ぎ混乱した状況になるでしょう。このような未来像は、おそらく日米欧の支配階層の合意を得ているのではないかと思います。
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Unknown (面白い発想だが)
2009-12-01 23:23:34
ドバイショックでいよいよ、経済へ導火線に火がついたようです。

亀井大臣がアドバイスとして鳩山首相に、献金問題で内閣は倒れないが、経済問題は深刻だと語ったと報道されるています。これはかなり意味深です。

この文脈で返済猶予法案を考えると、これから予想される金融破綻から日本での連鎖を断つために導入されたと考えたくなります。

ドバイでも借りた金は返せれば返すようなことを言っています。
これからの破綻連鎖を防ぐため、どうも踏み倒すために日中で歩調を合わせるのではないかという気がしています。

亀井大臣の発言は、一方で国内の米国追従派がもう力を失うということを言っているので、いよいよ秒読みということなのでしょう。
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Unknown (ささ)
2009-12-07 10:19:53
大変なことになりますかね。
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