ショパン(1810~1849)の曲の中で、ワルツと分類されるのは19曲。
そのうちの第2番~4番が、作品34として出版されました。
一般的に「華麗な円舞曲」として知られているのですが、ショパン自身がそういうタイトルを付けたのではなく、出版社によるものだと思われます。
まぁ今も昔も、売れるために…ですね。
1838年出版です。
楽譜のタイトルに「Grande Valse Brillante」と記載してあって、これは「華麗な大円舞曲」という意味ですが、大円舞曲として知られているのは、第1番だけですね。
でも、第1番にも「Grande Valse Brillante」がついています。
作品34としてまとめられたのは、これも出版の事情で、特にまとめて作曲されたものではありません。
第2番変イ長調は、ショパンがプラハからドレスデンへの旅の途中、フランツ・アントン・フォン・トゥン=ホーエンシュタイン伯爵家に立ち寄った時の1835年9月15日に作曲し、令嬢ヨゼフィーナに贈られています。
この日付は、ふたりの令嬢アンナとヨゼフィーナがもつアルバムに残されています。
この自筆譜は、出版された決定稿と大きく異なっているようです。
この自筆譜は、出版された決定稿と大きく異なっているようです。
また「Tempo di Valse(ワルツのテンポで)」という指示が、出版される段階で、「Vivace」に変更されています。
曲は、華麗な曲想の中に愛情あふれるフレーズも含み、堂々とした大ワルツで、1番の華麗な大円舞曲におとらぬ大きな構成となっています。
第3番イ短調は、1831年にウィーンで作曲され、C・ディヴリ男爵夫人に献呈されています。
ワルツとしては異例の「レント」のテンポ表示の憂いをたたえた曲となっていて、「華麗な」とはおよそかけ離れた内容です。
冒頭の、低音部で歌われる嘆くような旋律は、印象深く、曲中に何度も繰り返されます。
第4番ヘ長調は、出版年と同じ1838年に作曲され、A・ダイクタル男爵令嬢に献呈されています。
勇壮な和音の前奏に始まり、回転するような主要楽想と前打音の付いた上行下行の音型などにより、サロン風な軽やかな味わいを持った曲となっています。
この回転音型が、猫があちこち走り回っているようだとか、前打音付き上行下行音型がやはり猫があちこちに飛び上がったり飛び下りたりする様子を表してるということで「猫のワルツ」と呼ばれています。
もちろん、ショパンが名付けたのではありません。