マスミンのピアノの小部屋

ピアニスト兼ピアノ指導者松尾益民が、ピアノや教育、世の中の出来事など日々感じることを、徒然なるままに綴ります。

ショパンの英雄ポロネーズ

2022-07-10 00:36:49 | ラ・プロムナード・ミュジカル
ポロネーズと言えば、何となくポーランドの民族舞曲と思っていますが、歴史的な面をしっかり説明しようとするのは、ちょっと大変です。
ポロネーズがいつ頃起こったのかははっきりしていませんが、フランスのアンリ3世がポーランドの王位についた時、ポーランドの貴族たちが、王の前で行列行進した際に、初めて確定した形態をとるようになったと言われています。
その後、ポロネーズは、まず儀式用として、さらに政治的な舞踏用に使用されました。
次第に民族的表現を持ち、国民の政治的感情、関心や愛国心まで示すようになりました。
折りしも、ショパンの頃のポーランドは国として存在していなかった…他国によって3つに分割されていた…時代で、ポーランドの過去の栄光と現在の悲哀と憤怒を表す手段としてポロネーズを利用したのかもしれません。
ショパンの独奏用ポロネーズは全部で16曲あり、強壮な雄々しいリズムを持ち、封建時代の華やかな往時を偲ばせるものと、帝政ロシアの圧政の元にあった逆境時代のポーランドを描いた憂鬱に満ちたものの2つに分けられますが、英雄ポロネーズは、前者を代表する最高の傑作と言えるでしょう。
少し長めの前奏ののち始まるテーマは、華やかで堂々とした印象的な曲想ですが、中間部の左手のオクターブの連続による部分は、祖先の足音か進軍する兵士達の行進か…という感じです。
私には、シュポッポッポシュポッポッポ…と、汽車が近づいてくる…そんなイメージですけどね。
英雄という名は、ショパンがつけたのではありません。
1842年の作曲で、この頃ショパンは最も充実していた時期で、バラード4番やスケルツォ第4番などが作られています。


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