お友達のOさんが、昨年、ダイヤの婚約指輪をネックレスにリフォームした。
婚約指輪といえば立て爪と決まっていたころのもので、今やまったく出番がない。
チェーンも手持ちのものを使って、とても素敵なプチネックレスに出来上がった。
彼女もとても満足して、これから愛用するわ~と声を弾ませていた
ところが、その後、そのネックレスに一向にお目にかからない。
ちょっとしたお洒落をする機会は何度もあったのに、そのネックレスが彼女の胸元を飾ったことはなかった。
そこで、どうしたのかと、「あれつけないの?」と一度訊いてみた。
すると、「うん・・・なんとなく」という返事。
もともとが、石なしの地金だけのアクセサリーが好きという人なので、なんとなくつける気にならないのかなと思っていた。
それが、昨日、会うなり、
「ね、ね、聞いて聞いて」と、息もつかずに話し出した。
その前夜、ちょっとしたことで指に火傷をし、カットバンを探して薬類をいれている引き出しをかき回していた時のこと。
なかなか見つからなくて、底のほうまでひっくり返して、やっとカットバンを見つけた。
「そこでさ~、何があったと思う?」
「え、何?」
「ほら、あのネックレスなのよ~」と、すでに声が笑っている。
「ちょっとー、あのネックレスって、リフォームしたやつ?」
「そうそうあれなの。一番下から出てきたのよ~」
「えええ~!じゃあ、失くしてたのー?」
な~んだ、つけなかったんじゃなくて、紛失しててつけられなかったのか。
「ブハハハ、そうなのよ~」
と大笑いする。
実は、リフォームの出来上がりを家に持ち帰って以来、どこにやったかわからなくなっていたのだそうだ。
少しでも思い当たる場所は何度も何度も探したけれど見つからなかった。
ショックなのと、まるで笑い話みたいなのとで、とても言えなかったのだそうだ。
そこで、私も爆笑。
うう~ん、わかるわかる、言えないよ、そりゃあ。
その間の彼女の心理がわかり過ぎるほどわかる。
「家の中にあるはずだと思ってはいたんだけど、あんな所にあったなんて、わけがわかんないわ。とりあえず、そこに仕舞ったんでしょうね~、ほんと、バカみたい」
うんうん、あるある、そういうこと。
娘のお友達が新しい時計を買ったとき、今までしていた時計を新しい時計の箱に、とりあえず入れて、テーブルに置いておいた。
しばらくして、そうそうちゃんと仕舞わなくっちゃとその箱を探したら見当たらない。
ご主人にきいてみたら、テーブルに放り出してあったから、空箱はいらないのかと思って捨てた、と言うのだ。
中には当然、それまで愛用していた時計が入っていた。
その時計は、独身時代に清水の舞台から飛び降りるくらいの覚悟で買ったエルメス。
あ、そう・・・
と言ったきり、全身の力が抜けて、あとの言葉がでなかったそうだ
そうでしょうねぇ・・・
中にエルメスが入っていたことは、いまだにご主人に言っていないとか。
一生言えないだろうな~
「とりあえず」って、とっても危険よね