かなり突然、職場に3人いる男性正社員の1人が地方へ転勤することになった。
年齢は一番若いが一番頼りになる人だったので、私たちパートの間にも激震が走った
でも、 考えてみれば正社員の中で彼がここで一番長い。
そろそろ転勤というのは、ごく当たり前のことだった。
それに、札幌へ帰って来るときはそれなりのポストが用意されるだろうから
喜んであげるべきかもしれない。
誰かが転勤するときは、それが誰でも「残念ね~、寂しくなるわ~」と一応言うものだが、
彼の場合は、みんな心からそう言っていたと思う。
若い人にも年配者にも、美人にもそうでない人にも、分け隔てなく接してくれて、
厳しいことも言っても憎まれない人柄は、天性のものだ
私は彼を、「会社一の好い男」と思っていた。
独身なので、うちの娘にと思った人は多かったけれど、どこのお嬢さんも年齢が合わない。
私も、うちの娘があと10歳若ければね~と、半分くらいは本気で残念に思ったものだ
そんな彼に、お別れに際して送別会とは別に、個人的に何かしてあげたかった。
とはいえ、一人でというのもな~と躊躇っていたら、
お隣の席の人も同じことを思っていることがわかった。
じゃあ二人でということになって、若い人の好みはわからないから彼女にすべてお任せした。
結果的にお仲間が4人に増え、最後の日、春に向けての衣類を数点プレゼントした。
照れる彼におばさまたちの強引さで試着をしてもらうと、彼女のセンスが光ってなかなか素敵だ
ところが、何とすべてで丈が足りないことが判明(笑)
182cmの彼にはLサイズでも短かった。
LLサイズにお取替えをしてもらって、後で社内便で送ることになった。
この落ちのお蔭で、大笑いでお別れをした
転勤していく人に個人的プレゼントをしたのは、20年以上働いていて初めてのことだ。
彼が出世して戻ってくるときには、私はもう退社している。
彼への好意もあるけれど、
私自身が、人との別れが殊更寂しいお年頃なのかも知れない。