珊瑚の時々お絵かき日記

夫と二人暮らし、コロナ自粛するうちに気がついたら中国ドラマのファンになっていました。

母の入院 10 病院からの電話

2014年09月17日 | 母のこと

家に入った途端に携帯が鳴った。

母の病院からだった。

「一日一日と悪くなっています。そう長くはないと思います」

先生のその言葉を、聞く前にわかっていたような気がした。

電話を受けた時、母に会いに病院へ行って帰って来たところだったのだ。

眠っているようだった母の目が、ここ何日か開いている。

見ているという開き方ではなくて、瞼を閉じる機能がなくなったかのようだ。

父の最後の頃がそうだった。

父はまだ59歳だったから、生命力が強かったのだろう。

その状態が何日も続いた。

母が、目が乾いて辛いだろうと言って、瞼を閉じてあげても自然に開いてしまう。

その目を見ているのが辛いと言って、母が開いた目の上にガーゼを載せて塞いでいた。

そのことを思い出していた。

私も母の目を塞いであげようかと思ったけれど、

顔に布を被せることに躊躇があって、できなかった。 

呼吸も荒い。 とても辛そうだ。

肺がふさがったのだろうか。

「かあさん」、何度か呼びかけてみる。

もちろん、反応はない。

はぁはぁという息遣いを聞いているのも辛い。

「もう少しだよ、頑張って」

思わずその言葉が出た。

でも、何がもう少しなのか?何を頑張るのか?

自分で言っておいて、わけがわからない。

本当は言いたい。

「頑張らなくていい、もう楽になって」

 

「これはというときになったら、夜中でもご連絡しますか?」

先生がそう訊かれたのは、我が家から病院まで1時間近くかかるとご存じだからだ。

連絡しても間に合わないかも知れませんよ、という意味を含んでいるのだと思う。

それでも、「そうしてください」とお願いして、電話をおいた。