ヒロさん、エグランティーヌさんのブログで、
お知り合いがテレビに登場していているのを偶然見て驚いた、
という経験談を読ませていただいて、そう言えばと、私も思いだした。
ただ、お二人と違って楽しい話ではなくて、見た後でやり切れない思いになった。
15年ほど前のことだけれど、脳の病気についての番組で、画面に写った女性に見憶えがあった。
私たちがここへ引っ越してきたとき、2軒分の空き地を挟んでお隣だったお宅の奥様に似ている。
10歳か15歳ほど私より年長だった。
当時、建っている家もまばらで、心細さにいろいろとお世話になった。
その後、ご主人の退職を機にだったか、本州のほうへ引っ越して行かれた。
2,3年は年賀状が届いていたような気がする。
似てはいるけどな~と半信半疑だったけれど、息子さん、ご主人と次々登場するのを見ると、
やはり間違いなくそのご家族だった。
番組の内容は、数秒前のことも憶えていられないという息子さんについてだった。
でも、どういうことかしら、その息子さんは就職して立派な社会人になったはず。
見ているうちにわかったことは、こうだ。
一人暮らしをしていた息子さんが、ある日、風邪を引いたらしく熱があるので会社を休んだ。
当然勤め先へは連絡を入れた。
それが、翌日になっても出勤しない、連絡もない。
真面目できちんとした人なのに、連絡がないのはおかしいということで、
上司が彼の部屋を訪ねて、意識不明の彼を発見した。
幸い生命は取り止めたものの、脳に障害が残った。
記憶障害というのか、数秒前のことも記憶できない。
家の中のあらゆるところにメモが貼られているのは、そのせいだ。
冷蔵庫、テレビ、トイレ、etc
皆さん、依然と変わらぬ明るい笑顔でお話されていたけれど、
その生活の苦労は、想像を絶するものだろうと思う。
記憶障害の原因が何だったのかは、憶えていない。
高熱が続いたことだったかも知れないし、
そもそも、実際は風邪ではなく、別な病気だったのかも知れない。
熱があるから多分風邪だろう、取りあえず家で寝て居よう、
一人暮らしでなくても、誰にでもあることだ。
それが、そんなことになるなんて、運が悪いとしか言いようがない。
と同時に、たかが風邪と自己判断して見くびってはいけないようだ。
あのご家族は、その後どうしておられるのだろう。
ご夫婦は高齢だ。
息子さんの行く末を、暗澹たる思いで憂いておられるだろう。
お気の毒としか言いようがない。