珊瑚の時々お絵かき日記

夫と二人暮らし、コロナ自粛するうちに気がついたら中国ドラマのファンになっていました。

山怪、ナビの策略

2017年02月07日 | 読む

田中康弘著「山怪」を読んだ。

帯には「山で働き暮らす人々が実際に遭遇した奇妙な体験」とある。

ネットのどこかで紹介されていた本だ。

私は興味を持ったけれど、そういう人はさほどいないだろうと思って

図書館で予約したら、半年以上待った。

意外に読みたい人が多かったようだ。

著者が日本中を歩いて、マタギ(猟師さん)の方々の体験談を集めたものだ。

ある日山で行方譜目になった人があり得ない場所で発見されたが、本人は何も覚えていない

昨日までなかった道が現れて、翌日には消えていた、など、

不思議な話が集められている。

 

その中に筆者自身が体験した「ナビの策略」という話がある。

丹波篠山で取材を終え、ホテルへ向かっているときのこと。

そのホテルは初めてだったので、ナビに頼って車で走った。

途中の分かれ道で、自分が予想したのと違う道を行くようにナビが指示した。

変だなと思いつつも、近道があるのだろうと従った。

ところが、だんだんと道は狭くなり、民家が無くなって行く。

不安になりながらもナビ従っていたら、遂には車1台がやっとというところまで来てしまった。

それでもナビは道なりに進めと言い続ける。

 

どう考えてもおかしいと、少し広い場所までバックし、

そこで何度もハンドルを切って、方向変換した。

真っ暗な中、恐怖に震えながら

車のライトだけを頼りに、片側は崖の道を何とか引き返した。

そしてやっとホテルへたどり着いた。

その間もナビは、元の道へ戻れ戻れと叫び続けていた。

翌日、PCの地図を広げて、あのまま進んでいたらどこへ行ったのか調べてみると

山の頂上だった。

ナビに悪霊が乗り移ったかのような話だけれど、

山道でナビが狂うというのは実際によくあるそうだ。

衛星からの電波が届かなくなるのだろう。

それなら沈黙しているばいいものを、迷惑な話だ。

私なら、パニックだろうな。

 

多くの山の怪異は、ちゃんと調べれば説明のつくものなのかもしれないが、

そうと言えない物も多いそうだ。

そういう怪異の話は、ゲームに夢中の孫に語り聞かせることもなくなって、

忘れ去られていくばかりだそうだ。