先日、ガイドしたお客様、70代後半か80代前半と思われる上品な女性だった。
足元が少し不安に見えたので、ゆっくりご案内した。
今時期の大通公園はオータムフェスタの真っ最中、
休日も平日も観光客で大賑わいだ。
キャリーバッグのゴロゴロいう音があっちからもこっちからも聞こえてくる。
美味しそうな匂いにくらくらしながら、いい匂いですね~
というと、私鼻が悪くて~とのこと、そうか、それは良かった、というのは変な話よね。
彫刻やら花壇の花など見ながら行くと、何でもないところで、お客様が自ら足を止めた。
目線の先には、ヤマボウシが赤い実をつけていた。
ライチーを小さくしたような実だ。
それを指さしながらおっしゃる。
「食べたいわ~~」
「え!食べたい?食べられるんですか?」
「はい、昔よく食べましたよ、食べたいわ~」
と言って、私をじっと見る。
そのまなざしは、採って欲しいと言っている。
こういう状況は、まったく予想外だ。
ライチーに似ていると思ったくらいだから、美味しいのかもしれない。
でも・・・
昔食べたことがあるとはいえ、勘違いかもしれないし、
今食べたらお腹がどんな反応をするかわからない。
そもそも、公園内にあるものは、花も葉も実も採ってはいけないことになっているのだ。
そうお話してすると、ああ、そうなのね~とあっさり納得していただけた。
よかった~。
家に帰って調べてみたら、やはり食べられるらしい。
熟すると甘くて美味しいのだそうだ。
この辺では、庭木としてあまり一般的でないので知らなかった。
あのお客様、どこかで食べられたらいいけれど。