珊瑚の時々お絵かき日記

夫と二人暮らし、コロナ自粛するうちに気がついたら中国ドラマのファンになっていました。

すずめのお宿

2011年08月13日 | 日々のこと

        

数日前のこと、朝、コーヒーを飲みながら、Oさんを待っていた。

Oさんとは、ガソリン代節約のため交代で車を出して一緒に通勤しているのだ。

インターホンが鳴ったので出て行くと、いつもは、鳴らすとすぐ車に戻っているOさんが、困ったような顔をして、玄関ドアの前に立っていた。

「あら、どうしたの?」

と聞くと、何かを包むようにふっくらと合わせた両手を差し出した。

「これ、見て」

そっとその手を開くと、中に小さなスズメが

まだ、子供のようだけれど、どうしてか、ぬいぐるみのように動かない

Oさんが我が家へ向かって車を走らせていたら、このスズメが道路の真ん中で蹲っていたのだそうだ。

逃げるだろうと思ってスピードを落として行ったけれど、すずめは一向に逃げない。

このままでは轢いてしまう。

いや、自分は轢かないけれど、他の車に轢かれてしまうかも知れない。

しかたなく、スズメの前で停車、近づいて行って手を伸ばしても逃げない。

 悪いものでも食べたのか、怖いことがあってショック状態なのか。

とにかく放っても置けない気がして、拾い上げて両手に包みこんだ。

でも、さて、どうしようか?

そこで、我が家に餌台があるのを思い出して、持ってきたのだという。

「どうやって運転してきたんだ?この人」

と、思ったら、運転中助手席に置いておいたけれど、やはりピクリとも動かなかったのだそうだ。

餌台にすずめをそっと置いてら、やはりそのままじっとしている。

心なしか、目が虚ろだ。

すずめの目が虚ろというのもおかしいけれど、ほんとうにそんな感じなのだ。

Oさんと私は出勤しなければならないので、お休みで家にいた夫に、餌をやってと頼んで出かけた。

「ほっとしたよー、すずめなんか拾っちゃってどうしようかと思ったー」

と、Oさん。

もし、あのすずめがこのまま居ついたら、きっと夫が溺愛するだろう。

そう思うと私も楽しくて、居ついてくれたらいいなと思う

これから、あの餌台を「すずめのお宿」と呼ぼう。

さて、帰りもOさんに送ってもらい、すずめはどうなったかしらと、少しワクワクしながら二人で餌台を見に行った。

すると、いない。

ああ、やっぱり。

Oさんも私も、何となく予期していたような気がする

何が原因かはわからないけれど、しばしのショック状態から回復して、飛んで行ったのだろう。

Oさんが帰って行って、家の中に入ると、夫が、私が聞くより先に

「あのすずめ、すぐに飛んでいったよ」

と、言う。

夫が餌をやろうと、手をのばした瞬間、ぱっと飛び立ったのだそうだ。

元気に、隣家の二階の屋根を越えて行ったという。

「あのすずめのどこが具合が悪いんだ」

とやや不満げな夫。

やはり、ちょっとすずめを飼ってみたかったに違いない。

しかたがない、すずめのお宿化計画は夢だったわね

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