先週末、名古屋に住んでいる息子が母に会いに来た。
母の意識があるうちに一度会わせておきたかった。
「もしかしたら、わからないかもしれないよ」と前もって言っておいた。
でも、「ばあちゃん、○○だよ」と息子が母の耳元で大きな声で言うと、
母の目の色が引き締まったような気がした。
息子の顔を見て、今どこにいるの?と意外なほどしっかりと言う。
久しぶりに会った孫のために、一生懸命声を出したのだと思う。
息子が札幌にいないということも忘れていなかった。
たまたま、弟夫婦も甥を連れて合流した。
弟は結婚が遅かったので、甥はまだ小学2年生、
入れ歯も入れず枯れ木のように痩せた母の姿はショックだったろうと思う。
後で聞いたら、おばあちゃんだとわからなかったそうだ。
残念なことに、母も甥のことは憶えていないようだった。
母にとっては、甥も義妹も最近のこと、頭の中から消えてしまっているのだろう。
帰りの車の中で、息子に「ショックじゃなかった?」と訊くと、
「いやー、ショックだったよ、弱ってるって聞いてはいたけど想像以上だった」と神妙に言っていた。
息子にはこれがおばあちゃんに会う最後になるだろう。
元気なころのおばあちゃんを憶えていてほしいという気もするが、
やはり、わかるうちに会わせてよかったと思う。
今週末に娘が帰ってくる。
そのころ、母はどうだろう...