ネイビーブルーに恋をして

バーキン片手に靖國神社

消去法でも愛国心は愛国心

2012-09-28 | 日本のこと

アメリカに行くと、いつも羨ましさで胸が痛くなる思いがします。

広い国土。
豊かな自然。
それを守りつつ楽しむ文化。
便利なもの、こと。
しかし、古いものを護り続ける頑固さゆえに守られている部分。

手を入れないおおらかさ。
手を加える絶妙のセンス。

例えばこの池も、日本であれば子供が水遊びして溺れたのをきっかけに、
「自治体に管理責任を問う」
ような人間がいたり、或いは前もって責任を問われることを回避するために、
余った税金を使いきろうなどという役所の意見があったりすると、
あっという間に池の周りにはフェンスが立てられ、
美しくも面白くも無い平凡な場所に成り下がってしまうのだと思います。

さらに、西海岸ではほとんどの場所がからりと乾いた湿度の低い気候ですので、
夏は「暑さを楽しむ」こともできます。
水辺に来て、ボートを漕いだり、ウォータースポーツを楽しんだり。



このゴールを見たとき、ウォーターポロ、つまり水球の練習場かと思ったのですが、
どうやらカヤックポロだったようです。
向こうには足こぎボート、こちらにはペリカンがいる状況でのカヤックポロ練習中。

しばらく見ていましたが、もの凄い競技です。
オールを操りながら、片手でボールをさばいて、ゴールします。
こんなスポーツがもしオリンピック競技であったとしても、日本では競技する場所すらありませんね。


TOとどこまでも続くトレイルを歩きながら、
「ああー、この自然。アメリカって、豊かだね。羨ましい」

訪れていつも感じる羨ましさは、「こんな国に生まれたかった」という思いに繋がるのですが、
こういう豊かな国であるからこそ、その恩恵を求めて世界中から人が押し寄せるわけです。

そう、特にメキシコ人と、最近では、中国人です(笑)
最近では、あの少ない人口の韓国人も、留学と称してもぐりこみ、売春を行うので、
たとえば韓国女性は入国審査にものすごい時間がかかるのだそうですが、
中国人のニューカマーは例外なく、中国バブルで儲けた富裕層のようです。

「中国なんかに生まれてしまったら、小金儲けてどんなことをしてでも住み着いてやる!って思うよ」
「もともと彼らは世界中に『今よりいい場所』を求めてなだれ込んでいたからね」
「でも、日本人は移民しようとしないね。」
「中国人は不思議がってるんだって。日本人はどうしてお金があるのに移住しないのかって」

震災の後、特に原発の周辺からは、海外に逃げた日本人は結構いるようです。
わたしたちの泊っていたホテルに、こちらで商売のための不動産などを探すため、
東京から家族で来て長期滞在している家族がいました。


プールで一緒になったとき、その父親と少し立ち話したのですが、
かれは首都圏で歯医者と飲食店経営を営んでいるのだそうです。
子供が小さいので、原発の影響、ならびにこれから確実に起こると言われている、
首都直下型地震などの災害を避けるため、アメリカ移住を決心したということでした。

しかし、彼はまた、
「日本人と見ると中国系の業者はあの手この手で足元を見てふっかけてきましてね」
と、なかなか上手くいっていないようなことをおっしゃっていました。
そう、中国系、というのはこういう人種なんですよ。
華僑と言う名前の響きはだてではありません。

社会に一旦入り込んだら、そこで勢力を伸ばし、地盤を固め、いろんなところにもぐりこんで
徹底的に自分たちのためだけの商売、自分たちに有利な政治をしようとする。
取れる権利は取りつくし、遠慮など一切しない、これが普通の「移民」の態度です。

わたしとて、アメリカにこれだけ滞在し、その利点や美点をいやと言うほど知る人間。
何が何でもこういう国に押しかけて快適な暮らしをしたい。
その気持ちは分からないでもありません。

しかし、われわれが留学から「移住」と言う考えに至らなかったのも、
これだけ毎年行き来していて「いっそあちらに住もう」と言う考えにどうしてもなれないのも、
辿っていけばその一因には「先住者への敬意と遠慮」があります。



その国に生まれたわけでもないのに豊かさや安全を得るためだけに押しかけてくる。
その国の人々が昔からが育て、守ってきたものを、あっさりと自分のものにしようとする。
それだけならともかく、そこで自分たちのコミュニティを形成し、自分たちの感覚で作り変え、
街の姿や形まで、根こそぎ変えてしまう。
そのくせ社会の中心に喰い込んで、あれよこせこれよこせと権利を主張し出す。

元々の国民にしてみれば「いいとこ取り」でしかなく、不快に感じて当然だと思うのですが。

おまけに、先住者は後から来るものを既得権益の保護のために拒否するわけですからね。


それにしても、あれだけの災害があり、原発問題もあるのに、いまだに日本人の移民は
中国韓国系やヒスパニックなどに比べれば数もかなり少ないように思われます。
「何をしてでも」の「何」の基準が、日本人は彼らとはけた違いに高い、というのもあるでしょう。

いくらアメリカが快適で住んでみたくても、ビルの掃除や食堂の皿洗いなどをしてまで
住む気は無いし、第一、そんな立場でアメリカにいても、社会的に疎んじられるのが関の山。

今住んでいる国より確実にいい暮らしができないと、移住の意味も無いのですから、
なんだかんだで日本にいる方がまし、という考えでしょうか。

「色々あるけど大変な思いをして移住なんかするなら、
多少なんだかんだあっても日本がいいや、と思う日本人が多いってことなんだろうか」
「なんだかんだ、の内容が原発事故であってもそう考えられるならそれもすごいね」
「消去法の愛国心っていうか」
「いや、積極的に日本が好きって人も勿論多いでしょうけどね」


自然公園を歩きながらこんなことを話していたTOとわたしでした。