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元海幕長の語る「あの防衛大臣」

2012-09-01 | 日本のこと

                 


元海幕長の講演会、それに続く懇親会についてここのところお話しています。

中国船衝突事件の真相、いかがでしたか?
わたしはかなり驚きました。
状況から想像し得る真実とかなり違っていたからです。

ミッドウェーの敗戦を、軍令部が秘匿し続けたのにもかかわらず、ほどなく皆が噂するようになり、
田舎の中学生ですらそのことを知っていた、と言う話を渡部昇一氏がしていたことがありますが、
「人の口に戸は立てられない」はずなのに、このネット社会において情報が全く漏れて来ない。
これもかなり不思議なことです。

疑い深いわたしとしては、「その話はどこかで創作され、例えば元海幕長のような人が
一般人とこのたびのような講演会においてさりげなく話すという形で流布されている」
という可能性すら考えてしまうくらい、「無難すぎるくらい無難な話」でした。

勿論、この元海幕長を実際に目の当たりにし、間近でお話をし、ツーショットの写真も撮り、
その人品骨柄に非常な感銘を受けたエリス中尉としては、そんなセコい陰謀に
この方が加担するはずもないと、すぐにその疑いを打ち消しましたが。


この元海幕長の(この方は事件の当時海幕長だった)おっしゃることが真実なら、
日本政府がこの顛末を隠さなければならない理由ははっきりいって全くありません。

ですからこそ、日本側が事実を隠したその理由はただ一つ、
「中国から頼まれたから」
であったということは(予想とは全く反対方向ではありますが)ほぼ確実に思われます。
つまり司法判断であった、というのはやはり全くの嘘で、中国政府から

「あれは海監でも漁政の人間でもなく、ましてや軍でもない。
ただの酔っ払い運転だから事を荒立てたくない。
この際問題にしないでやってくれたまえ」


と言われれば、日本政府としては、

「そういうことなら仕方ないですね」

と「政治判断」において返答せざるを得なかったということなのでしょう。
確かにこれが真実だとしたら、事件そのものは「なーんだ」というような種類のものです。
しかしそれを毅然と

「酔っ払いだろうがかっぱらいだろうが、領海侵犯し、海保の船にぶつかってきたのだから
公務執行妨害で粛々と日本の裁判にかけさせていただく」

と言えなかった日本の外交姿勢にあの事件の根本の問題があると思われます。

このとき、丹羽中国大使―「尖閣を買うなんて日本の国民感情は少しおかしいんですよ」
と習金平に言ったという―は、現地の当局者から夜中の三時に二度三度と呼び出されています。

これについて、怒りの石原都知事(笑)は、

「そもそも伊藤忠の社長ごときを中国大使にする政府が悪い」

とズバリ言いきったうえで、

「真夜中にいびりで何回も呼ばれてそのたびにハイハイとでていくのは馬鹿だよ。
『俺は寝てるから日が変わってからにしろ』って言ってやりゃいいじゃないの。
失敬千万な。奴隷の如く使われて」


と吠えておられましたが、これは当然です。
さらに都知事はこのとき、

「昔可愛がっていた男が、インテリゲンチャでまあましだと思ったら、
中国大使になったとたんガラッと変わったね。驚くほど変わった。
日米安保は障害なので無くさなきゃいかんなんてことを言いだして、
外務省は困惑して迷惑したんだけど。

そういう日本人が北京に行くといきなり誕生するって言うのも
不思議と言うか恐ろしいというか。
相当なとこなんだな、やっぱり。

どんな風な抑圧、どんな風な洗脳が行われるのかわかりませんがね」

と会見で述べています。

日本の政府関係者がハニートラップ、マネートラップにかかっている、と言うのは前述の
渡部昇一氏の中韓の対日本対応について述べる意見で見たことがありますが、
これを唯々諾々と受けて懐柔される輩もいれば、
「国を売るわけにいかない」
と自殺した上海の領事館員のような例もあります。

しかし、自殺した領事館員が特殊な例なのであって、つまり「生きている日本の政府関係者」で、
中国寄りの発言をする人間は、何らかのトラップにかかって中国の思うがままにされている、
と考えていいのではないでしょうか。

つまり、中国の仕掛けてきた情報戦に日本はいいようにやられているということです。


中国国内、日本国内をこのようにまず個人から取りこんでいった結果、
政府の判断すら「中国寄り」「中国に配慮」というような結果が出てきている。
この事件、さらに先日の魚釣島の上陸事件においても、それをひしひしと感じます。
日本の問題は「売国する日本人」の存在なのだと。


さて、この中国船衝突事件のとき、「sengoku38」こと一色正春氏がビデオを公開しました。
一色氏はそれによって海保をやめましたが、そのご本を出し、講演活動などもしているようです。
(この本も読みましたが、明らかに本人の手によるものではなく、おそらく口述を本にした、
という「他人事臭」が限りなく漂っていて、情勢の分析資料としてはともかく、
本としては全く評価できませんでした・・・・・残念ながら)

このとき、政府がとっととビデオを公開し、船長を逮捕起訴せずに帰したのは、
あくまでも政治判断だったと小泉総理がそうやったようにさっさと公表していれば、
一色氏はこのようなことをせずにすんだわけです。

それはともかく、まだsengoku38が誰であるかわかっていないとき、
「sengoku38ってなんですか?」
と国会で質問した時の、石破茂議員の世にも嬉しそうな表情を漫画で描きました。
またぞろそれを引っ張り出してきたのは理由があります。

このときの海幕長とのお話、講演がすんで食事をしながらの懇談のときに、
例の中国船衝突事件の衝撃事実が語られたりしたのですが、言わばオフレコで、
表には出ない話も、少しは聞くことができました。

同じテーブルの方が
「石破さんって、やっぱり軍事に詳しいんですか?」
と質問されたのです。

「よく知っておられるんですよ。わたしにね、『これ知ってる?』って知識を披露されるんですが、
もう、わたしの知らないことも何でも知ってる。詳しいです」

まあ、実は軍オタク、マニアなんて言われているかたですからね。
「大和より武蔵の方が好きだ!」なんて熱く延々と語ってしまうらしいですからね。
ロシア国防大臣が来日した時に、ロシアの空母のプラモデルを二日徹夜して作った人ですからね。

それが趣味ですから、勿論詳しくないわけがない。

ところが次に元海幕長、「しかし・・・・」と言ってから
「ここに石破さんの関係者はまさかおられませんね」と念押し。

秘密の暴露、またキターーーー!(AA自重)

「大変な知識を持っておられる方であることは確かですが、
何でもご自分でやろうとされるから・・。
でも、上に立つなら、もう少し『専門外のことを任せる』と言うことをされてもいいと思うんです」

国会で、全くメモも見ずに法解釈も交え、民主の閣僚をバッサバッサと斬っていくがごとき質疑は、
見ていてもなかなか痛快で、得難い議員の一人であるとは思いますが・・・。

わたし個人としては、どうしても田母神俊雄氏を論文事件のとき解任したのがこの石場氏である、
ということが引っ掛かるのですね。
さらに、大東亜戦争で日本は侵略のための戦争をした、という見解を持っており、
従って靖国には参拝したことはありません。
南京虐殺は数の問題ではない、さらに慰安婦問題についての軍関与はあった、という解釈。

一見タカ派のようですが、実は全くそうではないという立ち位置のようです。
石破議員は、現在総裁選に意欲を示しているという話ですが、
ほぼ確実に政権交代するであろう次期政権のトップに立つには、少し問題あり、というか、
現在日本のおかれている問題は石破総理では解決に向かわないと思えてならないのですが。

このときの話で、元海幕長も石破氏について同じように考えておられるような気がしました。
そう、この人は「最強の補佐」にはなれると思いますが、何となく、何となくですが、
人の上に立つようなタイプではないように思うんですよね・・・。

さらに、元海幕長はこのようにおっしゃいました。

「3.11のとき、世間の意見は民主党の対応に対して、非常に厳しいものがありました」

はい、わたしもそう思っていた一人です。

「しかし、少なくとも海自の対応に関して言えば、素早く事が運び、海自は動くのが早かった。
これは、政府の対応は良かったのです。
もし、石破さんだったら、皆何が何でも自分でやってしまおうとしたかもしれない。
しかし、北沢さんは任せてくれましたから」

そしてその後、

「単に何も知らなかったからだけかもしれませんが・・・・」

北沢防衛大臣というと、民主党の悪口を言われたことに激昂し、
自衛隊の会合に参加し講演などをする人物について人物調査をしろと息まいて、
実際そういう通達を出してしまった、「自衛隊の天敵」だと思っていました。
さぞかし自衛隊の中の人々としては憤懣やるかたなし、という目で見ているのかと思ったら、
さすがトップは目のつけどころが少し違います。

有事のとき必ずしも優秀な人間が適切に機能するとは限らない、ということも、
公正な目で見てこのように判断されたのかもしれません。


海幕長という視点から語られたことのいくつかは「目からうろこ」がいくつかありましたが、
このことなどもその一つでした。

アメリカとの関係のこと、そして肝心の、エリス中尉がどんな話をしたのか、
まだ辿りついていません。

また別の日にお話しようと思います。