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2018年度阪神基地隊サマーフェスタ

2018-07-23 | 自衛隊

阪神基地隊で行われた本年度のサマーフェスタに行ってきました。

例年この時期にはわたしはアメリカにいるので、各地方隊の
サマーフェスタには参加したことがないのですが、今年は渡米が
例年より二ヶ月近く後になったおかげで参加が叶ったものです。

サマーフェスタの前日は、神戸にあるわたしの実家と義母に、
しばらく日本を離れる息子の顔を見せに行くことにしました。

いきなり私ごとですが、今回は実家のこのピアノ、わたしが小学生の頃から
高校受験まで弾き続けたピアノを、実家ではいよいよ処分することにしたため、
お別れの弾き納めをするというのも実家に立ち寄った理由です。

長年弾きこんで紙のように柔らかくなった鍵盤のタッチや、真ん中のレとミの白鍵に
傷があるのも、練習中にコーヒーを置いてできてしまった輪じみの痕も、
その前に座った途端完璧に思い出し、かつてここにいた日々が蘇りました。

iPadに入れていつも弾いている曲や、妹のリクエスト(The very thought of you)
などをひとしきり弾いて納得し、蓋を閉める時に心の中で

「長い間ありがとう」

と呟いてお別れをしてきました。

ところで、私ごとついでに、先日わたしは今年の人間ドックを房総半島にある
亀田総合病院というところで一泊して受けてきたのですが、(写真は個室から)
その日のうちに胃にヘリコバクターピロリ菌がいることが判明しました。

実家に行ってその話をすると、やはり除菌済みだという妹が

「小さい時に川遊びしたことがある子にはほとんどいるらしいよ」

といい出しました。
その時、わたしにはピンと閃くものがあったのです。

「もしかして学校の横に湧いていたあの水・・・?」

わたしたちの通った中学校の外側には農業用に引くための清水が湧いていて、
わたしはバスケットボール部、妹は陸上部のクラブ活動の休憩時間に、
とめどなく湧く冷たい天然の水を一時期飲みまくっていたことがありました。

「あれね、水道水とは違う味だったけど、冷たくて美味しかったのよねー」

「自分でも大丈夫かってくらい飲んだ(笑)」

「やっぱり大丈夫じゃなかったんだ・・」

しかし、ピロリ菌、10代最初に体内に侵入して、宿主が弱ってくる
ウン十年後までじっと息を潜めていたとはなんて我慢強い奴。

医者にも言われてその日から除菌を始め、薬を一週間分与えられましたが、
ピロリ菌が、

「ぐえええ苦しい」「もうあかん」

と死に絶えて行く様子をできるだけ具体的に想像しながら飲むようにしています。

わたしの胃の中の話などどうでもよろしい。

実家で夕食を食べた後は、いつものホテルオークラ神戸に宿泊しました。
チェックインすると、窓の下ではビアガーデンが大盛況。

ビアガーデンの向こう側に見えているのが震災復興記念モニュメントです。
震災で破壊された突堤の一部分が保存されています。


明けて次の日。
雲ひとつない・・・・今日もまた酷暑となりそうな悪寒。

関東も大概ですが、関西の暑さの方が酷い気がします。
なので、今回は車を借りたのは大正解でした。

なんとバックミラーがそのまま車載カメラです。
今時のレンタカー(日産)って進んでる。

阪神基地隊の前まで行くと、別の場所に借りたらしい臨時駐車場に
案内され、そこに留めて基地まで歩きます。

まだ10時なのにフライパンの上のように炙られながら、
皆黙々と基地までの工場街の道を歩いていきます。

「よくこんな日に外のイベントに来る気になるよなあ・・」

こんな時には、自分もそのうちの一人であることをすっかり棚に上げて
世の中の人々の自衛隊イベントへの熱心さにただ感心してしまいます。

実は阪神基地隊というのは、こんな街並みの一角にあったりします。
一帯が埋立地を利用して工場が立ち並ぶ地域で、震災の時には
阪神基地隊そのものも液状化現象で大変な被害を受けました。

駐車場にも正門前にも自衛官が立ってずっと誘導を行なっています。
皆が口々に

「水分の補給をしっかりお願いします!」

と来場者に声をかけていました。
サマーフェスタで熱中症患者を出したら大変ですから。

この日は呉で入浴支援にあたっていた潜水艦救難艦の「ちはや」、
そして護衛艦「さざなみ」が一般公開のためやってきていました。

広島・呉の災害支援を終え、任務を交代しての来神となります。

この時にも呉地方隊では入浴支援任務は行われていましたし、
本来なら一週間違いで行われるはずのサマーフェスタも今年は中止です。

阪神基地隊も水害とその前の震災には出動したというのを聞いていたので、
わたしはサマーフェスタが行われるのかどうか心配でメールしてみたところ、
一部部隊を派遣しているが予定通り行うつもりという返事でした。

基地に到着したので、まずは阪神基地隊司令深谷一佐にご挨拶。

応接室で冷たいお茶を一杯いただきました。

早速応接室の写真に目が釘付けになるわたし。

この写真、神戸湾で機雷を掃海隊が爆破した瞬間なのです。
阪神基地隊には第43掃海隊が所属していますが、戦後すぐから
神戸湾では浚渫の際に機雷が発見されることが何度もあったからです。

この写真には、ポートアイランドの「一文字灯台」ではないかと思われる
赤い灯台が左のほうに見えているので、機雷爆破場所はどう考えても
六甲アイランド付近だろうなと思って見ていたのですが、
こんなニュース映像が見つかりました。

神戸で第2次大戦中の機雷を処理(10/06/12)

左はわたしも出席した「せいりゅう」の引き渡し式の写真です。

応接室と司令室はドアで繋がっています。

年代物の東郷平八郎の掛け軸、「一死報国」という額がありましたが、
どちらも由来についてはわからないとのことでした。

新しい基地なので、昔から所蔵されていたというものでもないわけで・・。

艦番号102「はるさめ」を先頭にした護衛艦群と哨戒機のコンボ。
近くで見なかったので水彩かリトグラフかはわかりません。

さて、応接室で関西水交会の新会長にご挨拶し、
しばし歓談後、いよいよ外に出撃です。

いよいよ、と書いたのは、それだけ過酷な時間になることが予測されたからです。

ご覧のように、阪神基地隊というのはただ建物とこのような広場と岸壁で構成され、
全く日陰というものがないわけですから、夏は暑く、そして冬は
何の遮蔽物もないので、風が海から吹き上げられてさぞ寒いと思われます。

まず、11時から行われる予定のパネルディスカッションを見るために、
体育館に行ってみました。

広い体育館の半分では、サマーフェスタの予定されていたイベントが行われています。

こちらは組紐講座。
舫の結び方を利用して何か作っているようです。

南極の氷の展示もあり。

「どうぞ触ってみてください」

この時で開場してから30分ですが、暑さでもうこんなになっています。
サマーフェスタ終了まで溶けずに残っていたんだろうか。

ちなみに、うちのTOの職場にはなんのツテがあったのか、
南極の氷が送られて来ることになり、皆でかき氷をしようとしていたため、
お節介なわたしが、

「溶ける時に空気が弾ける音を聴くのが南極の氷の楽しみ方ですよ」

と口出しをしておきました。
ここの氷がプチプチ弾けていたかどうかはわかりません。

体育館の中は、日差しこそ差しませんがまるで蒸し風呂のような暑さで、
そのせいか皆が積極的に氷を触りにきていました。

それにしてもこの海上迷彩の隊員さん、こんなもの着て暑くないのかしら。

イベント予告にあった「海図トートバッグ」製作コーナー。
地図柄の、大変おしゃれなこのトートバッグですが、
何と本物の海図(多分破棄処分にする予定のもの)を使って作るのです。

ちなみに右は長崎市、左は下関市の部分です。

クレートにはトートバッグの大きさに裁断された海図が収納されているので、
こだわり派?はこの人のように、あれこれ見比べて、良さそうな図柄を選びます。

そして現場の自衛官に指導してもらい、まず裁断された海図を
木型に乗せて折り目をつけ、糊で貼り、取っ手紐をつけて出来上がり。

旧海軍の艦内帽を被った少年も熱心にトートバッグ製作中。

同じ体育館の一隅には、鉛筆画家の菅野泰紀氏の作品展が行われています。
実はわたしが今回楽しみにしていたのがこれでした。

大阪で行われた練習艦隊の艦上レセプションで菅野氏とご挨拶をし、
その後三笠で行われるという個展のことをお聞きしていたのですが、
多忙で結局横須賀に行くことができず残念に思っていたからです。

HPをみていただければわかりますが、菅野氏はこれを全て鉛筆で描いています。

「産声ー鋼鉄の咆哮 大和」という作品。

「瑞鶴」(左)と「伊勢」。

重巡洋艦「衣笠」と軽巡「神通」。

海大IV型a 潜水艦「伊168」。

なんと魚雷発射の瞬間です。

艦対空ミサイル発射中のイージス艦「こんごう」。
オスプレイが着艦しようとする航空母艦(じゃないけど)「かが」
除籍になって今はもう無い、護衛艦「はるゆき」。

「はたかぜ」はミサイル発射の瞬間です。

「あさぎり」はシースパロー発射かな?

想像で描かれた武器発射の瞬間には不思議なリアリティがあります。

絶対に写真では残せない瞬間も可能。
そう、絵ならね。

というわけで、「おやしお」型が魚雷を放った瞬間。

対潜哨戒機P-1が対潜戦で対潜爆弾か短魚雷を投下!

水平線が斜めなのがいいですね。

掃海ヘリコプターMH-53Eが係維掃海で機雷を爆破させています。
恒例の硫黄島での訓練の一コマでしょうか。

わたしがここで一番気に入ったのは二式大艇の離水する瞬間の絵ですが、
よりによってそれだけ写真を失敗しました。

今HPを見たら、なんと画伯の作品、複製画ならお安く購入できるんですね。
二式の作品のA3サイズ、買ってみようかな。

 

さて、この後、体育館ではサマーフェスタの「目玉」(かもしれない)
ご当地アイドルを迎えての防衛パネルディスカッションが行われました。

 

続く。