今日はベトナム戦争に参加していたときの「エドソン」の空気というか、
雰囲気が垣間見える資料を中心にご紹介します。
■ ベトナム戦争中の「エドソン」
これには、ベトナム戦争中行われた補給線遮断&艦砲射撃作戦、
「オペレーション・シードラゴン」Operation Seadragon
の際に乗組員に回された情報が書かれています。
作戦そのものは1966年10月から1968年10月末日までの実施でしたが、
このお知らせは、1967年5月27日の日付となっています。
この頃、作戦は最盛期であり、参加していたのは2隻の巡洋艦と、
「エドソン」含む12隻の駆逐艦群で、彼女が艦砲射撃で優れた成績を挙げ、
勲章を受けることになったのも本作戦の戦果によるものです。
「オペレーション・シードラゴン」Operation Seadragon
の際に乗組員に回された情報が書かれています。
作戦そのものは1966年10月から1968年10月末日までの実施でしたが、
このお知らせは、1967年5月27日の日付となっています。
この頃、作戦は最盛期であり、参加していたのは2隻の巡洋艦と、
「エドソン」含む12隻の駆逐艦群で、彼女が艦砲射撃で優れた成績を挙げ、
勲章を受けることになったのも本作戦の戦果によるものです。
お知らせには、作戦に参加していた他の駆逐艦の名前や、
旗艦USS「ストッダード」が「ターナー・ジョイ」と協力して
作戦にあたり、USS「プロビデンス」が加わる、といった内容や、
「ストッタード」はそのあと艦隊修理のために佐世保に向かう、
などと書いてあるのですが、これってここに書くこと?と思ったのが以下。
旗艦USS「ストッダード」が「ターナー・ジョイ」と協力して
作戦にあたり、USS「プロビデンス」が加わる、といった内容や、
「ストッタード」はそのあと艦隊修理のために佐世保に向かう、
などと書いてあるのですが、これってここに書くこと?と思ったのが以下。
「水を節約すること!
水の消費量が許容限度を超えています。
洗浄目的で汲み出すのはバケツの半分までにしてください。
『ネイビー・シャワー』を心がけましょう。
ウェット ダウン、ソープ ダウン、そしてリンス オフ、以上!」
水の消費量が許容限度を超えています。
洗浄目的で汲み出すのはバケツの半分までにしてください。
『ネイビー・シャワー』を心がけましょう。
ウェット ダウン、ソープ ダウン、そしてリンス オフ、以上!」
「ゴートロッカー」というのが、海軍隠語で「山羊」と呼ばれるところの
海千山千のCPOのロッカーであるという話はここでも何度かしましたが、
その「ゴートロッカー」を名前に冠したコーナーに投稿された、
元駆逐艦レイディオマンCPOの書いた詩を、一部翻訳しておきます。
「ティンカン(駆逐艦)レイディオマン ワッチ」〜昔の様子
ワッチのためにここに来たが、少なくとも何も起こっていない
デスクの男が俺に言葉をかける
ちょっと聞いてくれ、俺がここで彼から聞いたことを
「放送は良好です。回線すべて稼働しています。
海千山千のCPOのロッカーであるという話はここでも何度かしましたが、
その「ゴートロッカー」を名前に冠したコーナーに投稿された、
元駆逐艦レイディオマンCPOの書いた詩を、一部翻訳しておきます。
「ティンカン(駆逐艦)レイディオマン ワッチ」〜昔の様子
ワッチのためにここに来たが、少なくとも何も起こっていない
デスクの男が俺に言葉をかける
ちょっと聞いてくれ、俺がここで彼から聞いたことを
「放送は良好です。回線すべて稼働しています。
コーヒーは淹れたてなのでカップに注いでください。
トラフィックはすべて停止しています。送信するものはありません。
ビーチ ファイバーは揃っています。
あ、タバコをちょっともらえませんか?
トラフィックはすべて停止しています。送信するものはありません。
ビーチ ファイバーは揃っています。
あ、タバコをちょっともらえませんか?
周波数は安定しており、ギアの調子が悪くなるなどはありませんでした。
1 時間以上何も変更していません。
ブリッジは何も言ってこないし、COMBATは眠っていて、
いまのところ電話はピーとも鳴っていません。
ログは最新で、ファイリングも完了してます。
それじゃまた。
勤務を楽しんでくださいね!」
いまのところ電話はピーとも鳴っていません。
ログは最新で、ファイリングも完了してます。
それじゃまた。
勤務を楽しんでくださいね!」
素晴らしい言葉を残して彼は去り、
ワッチはいいスタートを切ったかに思えた。
ワッチはいいスタートを切ったかに思えた。
数分経っただろうか、いや、それ以下かな。
OPS ボスが私の最初の 2 つのルーチンを持って入ってきた。
「急ぎです。これが厄介で、ドラフトが遅くなってしまって・・
待てないって言われてしまったんです。
それで、すぐに取り組みます返事してしまったんですが、
これで何か問題が起きるとはどうも信じられないんですよ」
そこですぐにログインして、テープマンに
「頑張ってくれ!」
「できるだけ早くやってくれ!」
と伝える。
彼が「はい」と答え、俺は人に面倒を押し付けられてほっとしていると、
放送オペレーターが「フラッシュ!」と叫ぶじゃないか。
しゃあない、COMBAT、ブリッジ、OPS までルートを決め、
他に立ち寄らずに急いで戻る。
要するにマーフィーの法則みたいなもので、
自分のワッチになると必ず問題が続出して忙しくなる、というあれかしら?
と思ったのですが、最後のオチを読んで納得しました。
彼はこの後も目の回るようなワッチをこなし、次のワッチにこういうのです。
自分のワッチになると必ず問題が続出して忙しくなる、というあれかしら?
と思ったのですが、最後のオチを読んで納得しました。
彼はこの後も目の回るようなワッチをこなし、次のワッチにこういうのです。
「放送は良好です。回線すべて稼働しています。
コーヒーは淹れたてなのでカップに注いでください。
トラフィックはすべて停止しています。
送信するものはありません。
ビーチ ファイバーは揃っています。
あ、タバコ貸してもらえます?」
トラフィックはすべて停止しています。
送信するものはありません。
ビーチ ファイバーは揃っています。
あ、タバコ貸してもらえます?」
以下略。
「エドソン」艦内報です。
これはベトナム戦争中に実際に起こったことです。
「今日アンレップ(補給)の予定。
艦体中央で火薬を、艦尾で弾薬を受け取りながら前方に燃料補給したい。
これを書いている時点ではそれが実現できるかはわかりませんが
一応用意はしておいてください」
艦体中央で火薬を、艦尾で弾薬を受け取りながら前方に燃料補給したい。
これを書いている時点ではそれが実現できるかはわかりませんが
一応用意はしておいてください」
「報道機関のさらなる関心が我々に向いています。
現在、私たちのDMZ砲撃に関連して、報道機関の代表者が
『エドソン』を訪問する予定のようです。
前回同様、皆様のご協力をお願い致します。
どうかフレンドリーかつ協力的に接してください。
ただし機密情報には注意」
現在、私たちのDMZ砲撃に関連して、報道機関の代表者が
『エドソン』を訪問する予定のようです。
前回同様、皆様のご協力をお願い致します。
どうかフレンドリーかつ協力的に接してください。
ただし機密情報には注意」
「シカゴ出身のジェームズ・マンゼルマン少尉が昨日、
『空から来た大きな鳥』に乗って転勤してきました。
兵器部門への配属です。ウェルカム・アボード!」
『空から来た大きな鳥』に乗って転勤してきました。
兵器部門への配属です。ウェルカム・アボード!」
「クルーズブックは完成の最終段階にきているので、
フォトコンテストの応募はもうすぐ締め切ります。
あなたの写真をブックに載せてみませんか?
何月何日までに提出、審査員はXOの誰々以下3名」
など、とても戦争中(というか戦闘中)とは思えないほど呑気な感じ。
というか、ことベトナム戦争に関しては、陸軍と海軍の「温度差」って
随分あったんじゃないかと思うんですが・・・どうなんだろう。
次の部屋ですが、椅子がたくさんあることから、
おそらく士官のメスデッキではないかと思われます。
おそらく士官のメスデッキではないかと思われます。
壁には各種プラークのほか、キャラハン中佐とかいう士官の
サーベルやベルトが額装されて飾られています。
この人の名前を調べたのですが、情報は出てきませんでした。
この人の名前を調べたのですが、情報は出てきませんでした。
鳥居のマーク・・・厚木基地勤務になったことがあるようです。
「エドソン」現在の写真と共に、彼女が所属した部隊などのパッチ。
左上は「グループ4」。
左下の「DESRON」は「Destroyer Squadron」駆逐戦隊を意味します。
「エドソン」が所属した第23駆逐戦隊は、サンディエゴを拠点とする
駆逐艦とフリゲート艦の戦隊です。
「エドソン」が所属した第23駆逐戦隊は、サンディエゴを拠点とする
駆逐艦とフリゲート艦の戦隊です。
1943年創設と歴史のある戦隊で、特に第二次世界大戦中の行動、
アーレイ・バーク司令官の指揮下で行った戦闘が特に有名です。
アーレイ・バーク司令官の指揮下で行った戦闘が特に有名です。
「リトル・ビーバーズ」という戦隊のあだ名は、そのまま
エンブレムに描かれているインディアンの少年のキャラクターの名前です。
エンブレムに描かれているインディアンの少年のキャラクターの名前です。
駆逐戦隊が設立された頃の1943年はやっていた漫画で
フレッド・ハーマンの「レッドライダー」という作品に
「リトルビーバー」というネイティブアメリカンの少年が出てくるのです。
フレッド・ハーマンの「レッドライダー」という作品に
「リトルビーバー」というネイティブアメリカンの少年が出てくるのです。
第23駆逐戦隊は南太平洋にて多くの作戦に参加したため、
戦隊のメンバーはしばしばビーバーのように忙しいと言ったことから
なかばシャレで選ばれたデザインだということですが、このエンブレムは、
戦隊のメンバーはしばしばビーバーのように忙しいと言ったことから
なかばシャレで選ばれたデザインだということですが、このエンブレムは、
リトルビーバーが東條英機に矢を放っている様子を描いたものなんだとか。
ちなみに第23駆逐戦隊はサンディエゴを拠点に現在も存続しており、
このマークは今日も現役で使用され続けているということです。
「日本をやっつける」という意味から部隊名に「サンダウナーズ」と付け、
太陽を落とすイメージのエンブレムを、日本との戦争が終わっても
ずっと使い続けるような人たちですから、これくらいは基本というものです。
太陽を落とすイメージのエンブレムを、日本との戦争が終わっても
ずっと使い続けるような人たちですから、これくらいは基本というものです。
ハセガワ模型さんから拝借
ダウナーといいながらしっかり旭日旗を機体に描くちゃっかりぶり。
本家帝国海軍もやったことがないのにこいつらときたら(略)
続く。
これは興味深いですね。自衛隊では「日課」として、放送で伝達されますが、ここまで詳細に文書としては出されません。当時はワープロやパソコンはなかったので、タイプで打っていると思いますが、ほとんどが毎日同じ内容だとしても、これだけ打つのは大変です。恐らく、電信室のようにさん孔テープ(さん孔した内容を自動で打ってくれる)のようなものがあったんだろうと思います。
>これってここに書くこと?と思ったのが以下「水を節約すること!」
節水は艦艇乗組員のしつけというかたしなみなので。ただ、実際問題、それ程緊迫はしていなかったと思います。この船は蒸気タービン艦なので、水はいくらでも出来たはずです。
>放送は良好です。回線すべて稼働しています。コーヒーは淹れたてなのでカップに注いください。トラフィックはすべて停止しています。送信するものはありません。
電信室当直は、送れと言われた電報を送り、届いた電報を翻訳(暗号化された電報を読める形にすること)して、配布することが仕事なので、ここに書かれているように、すべてがきちんとした状態で交代するのが当たり前です。交代の時間が来てもまだ翻訳中だと、完了するまで交代してもらえません。
>OPS ボスが私の最初の 2 つのルーチンを持って入ってきた。
「Routine」というのは処理の優先順位です。電報はドンドン来ますが、それぞれの電報には、どれを先に処理するかという優先順位が付いていて「Routine」は一番優先順位が低く、他に「Urgent」等もっと急ぐ電報がある場合は、そちらが優先されます。
>急ぎです。これが厄介で、ドラフトが遅くなってしまって・・待てないって言われてしまったんです。それで、すぐに取り組みます返事してしまったんですが、これで何か問題が起きるとはどうも信じられないんですよ。
「Routine」が付いている時点で、その電報の内容は、ちょっとくらい遅れても「これで何か問題が起きるとは信じられない」で、OPSボス(船務長)が単に電信員を急かしているだけです。
>放送オペレーターが「フラッシュ!」と叫ぶじゃないか。
緊急信受信!
>彼はこの後も目の回るようなワッチをこなし、次のワッチにこういうのです。
当直交代までにすべてを処理し終えていないと、終わるまでは代わってもらえないので、特に後半はみんな、一生懸命頑張ります(笑)
>ベトナム戦争に関しては、陸軍と海軍の「温度差」って随分あったんじゃないかと思うんですが・・・どうなんだろう。
基本的に陸戦なので、かなり温度差はあったと思います。海軍の中でも河川哨戒艇は実際に交戦していますが、駆逐艦以上の船は、一方的に艦砲射撃をした程度で反撃を受けることもなかったと思います。
その他、空母自体は飛行機を上げて、降ろすだけですが、艦載機乗りは実際にベトナム上空でリアルに戦ったので、大変だったと思います。
DDG-22「ベンジャミン・ストッダード」チャールズF・アダムス級ミサイル駆逐艦23隻の22番艦で1964年9月竣工、1991年除籍されました。ターター装備の1960年代から80年代の艦隊防空艦でした。
127㎜54口径単装砲2基
「ターナー・ジョイ」
「エドソン」と同型のフォレスト・シャーマン級18隻の殿艦DD-951
1959年8月竣工、1990年除籍
「プロビデンス」
「クリーブランド」級大型軽巡27隻の1艦として1945年竣工(CL-82)しましたが大戦末期で実戦参加せず1949年退役しました。
1957年ミサイル巡洋艦に改造着手、1959年9月CLG-6として再就役しました。152㎜3連装砲は1番砲のみ残し、艦橋構造物は前方に拡大、後部にテリア発射機MK9を装備しました。1973年退役、1978年除籍
基準海水量1万トン、改造で陸上砲撃には152㎜3連装砲1基、127㎜連装砲1基しかなく、ベトナム戦には砲力不足でしたでしょう。
参照海人社「世界の艦船」No464 ,496
フラッシュって何?水流すみたいなこと?
と首を傾げながらもわからないので原語のまま載せていましたが、納得しました。