の~んびり タイランド 2

タイの風景、行事や趣味の陶磁器を写真を中心に気ままに紹介しています。

コ・イ・ヌール (Koh-i-Noor)

2022年09月18日 | 蝶々


エリザベス女王が崩御されました。




(9月19日、写真2枚を追加しました)


ネットニュースを読んでいると「エリザベス女王の死去を機に”コ・イ・ヌール”の返還をインドが求める」という小さな記事がありました。

「コ・イ・ヌール」とはヒンディー語で「光の山」を意味する、インド亜大陸の覇者によって権威の象徴として略奪、流転を繰り返した世界最古で、かっては世界最大のダイヤモンドです。
ウィキペディアによれば1294年にはコ・イ・ヌールという名称と所有者の記述があるとされています。インドへ侵攻し植民地としたイギリス軍が1850年に持ち出しヴィクトリア女王に献上し、イギリス王室の所有になっています。
世界最大でインド式のムガルカットをした186カラットのダイヤモンドでしたが、1852年により輝きを見せるブリリアントカットされ105.6カラットになりました。
1937年のエリザベス女王の戴冠式の王冠に使われ、現在はロンドン塔で展示されています(下写真)。
因みにインドの最後の所有者はシク王国の5歳の国王ドクリーブ・シングでした。イギリスは第二次シク戦争に1849年に勝利、後見人である母親を投獄し5歳の国王にコ・イ・ヌールを含む全ての主権、主張を放棄する条約に署名させ領土を併合、インド亜大陸の植民地を完成します。


赤い宝石の下がコ・イ・ヌールです



* * * * *


前置きが長くなりましたが、今回も蝶々の話です。ワモンチョウにこの「コ・イ・ヌール」を英名とした蝶がいます。名前の由来は分りませんが、この栄誉有る名前を付けられた蝶を紹介します。
和名はメスキワモン、またはアミタオンワモンチョウ【Amathuxdia amythaon】です。翅を開いたとき体長は13cmになる大型の蝶々です。写真はオスで暗い森で落ちて黒ずんだ木の実の汁を吸いに来たところです。



コ・イ・ヌールとよく似た「コウモリワモン」【Amathusia phidippus】です。やはり大型のワモンチョウです。英名は「Palmking」で、やはり王様です。


(蝶の写真はインスタグラム @bangna32 にアップしたものです)

テングビワハゴロモの仲間

2022年05月28日 | 蝶々

蝶々を追いかけていると日本では見かけない珍しい昆虫にも出会います。
その中で一番気に入っているのがビワハゴロモという蝉の近い親戚です。

彼らがいる所は大きな木の下の方で、キャンプ場などの人の集まる近くの川沿いでよく見かけます。
いつも大勢かペアで数ヶ月は同じ木に住み着きます(生涯同じ木に住み着くのかもしれません)。人が近づいても飛び去ることはまれで、横歩きしながら木の裏へ回ろうとするのですが、逆から先回りすると慌てて来た方へ逃げます。

外観は結構派手で多様な模様がありますが、後翅も原色で青色、黄色と鮮やかです。後翅を撮りたくて、少し驚かせて飛んでもらうのですが、暗い熱帯雨林の中ですからまだ成功した写真がありません。











カレンテングビワハゴロモ (Red-nosed Lanternfly)
Pyrops karenius (25~35mm)
撮影:ケーンクラチャン国立公園

和名不明 (Yellow-spot Blue Lanternfly)
Saiva gemmata (15~20mm)
撮影:ケーンクラチャン国立公園、カオヤイ国立公園







和名不明 (Yellow and Red Horned Lannternfly)
Pyrops ducalis (25~35mm)
撮影:カオヤイ国立公園







同定不能(翅模様が同じ菊小紋をちりばめたPyrops oculata と言う種がいますが、鼻が朱色です。本種は同定でしませんでした。) (25~35mm)
撮影:パンシダー国立公園





和名不明 (ddark-horned Lanternfly)
Pyrops spinolae (25~35mm)
撮影:ケーンクラチャン国立公園







フチドリヒメハゴロモ (Stick-horned Lantenfly)
Kalidasa nigromaculata (20~30mm)
撮影:サムラーン国立公園





キシタハゴロモの一種 (Hornless Lantenfly)
Aphaena consimilis または Aphaena dissimilis (20~30mm)
撮影:パンシダー国立公園







和名不明 (Red-based Angus Lanternfly)
Penthicodes variegata (25~35mm)
撮影:パンシダー国立公園


▢おまけです。
次はヨコバイやセミの親戚でオウシツノゼミです。雄牛のような角をもった10mmくらいの小さな昆虫です。中南米にはもっと奇異な角を持ったツノゼミがいるようですが、タイで出会えたのはこの一種だけです。
一番下はツノゼミの幼虫ですが、彼らは頭同士を突合わせて木の棘か新芽になりきって身を守っています。彼らの周りを徘徊するアリはかれらの排泄物を貰っています。







オウシツノゼミ (Horned Treehopper)
Leptocentrus taurus (8~12mm)
撮影:サムットプラカーン

「インスタグラム @bangna32 でタイの蝶々をアップしています。是非お立ち寄りください。」

タイで蝶々撮り (3)

2021年07月19日 | 蝶々




この場所が蝶を呼ぶ岩盤です。雨期の後半には川底になります。行けるのは7月までです。


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蝶を撮影していると蜜林の中からレンジャーが現れました。男性3名、女性2名で男性は全員護身用の銃を構えています。彼らは一週間山中を歩き動植物の調査をしているそうです。




彼らは早速昼食の準備に取りかかります。米をかすのは渓流の水、飲料水も渓流の水、渓流といっても清流ではなく下の写真です。
荷を減らすため持っているのは米とソーセージだけです。公園内の動植物は採取が禁じられていますが、魚だけは捕っても良いそうです。


かってこの辺りにはワニが生息していたそうです。魚はたくさん泳いでいます。


ご飯をとり分けている彼は我々をここまで連れてきてくれました。彼も普段は公園内の蝶の発生状況を写真撮影し事務所に報告しています。
たまたま別の場所で出会ったときに、こんな場所もあるから事務所に申し込んでおけば行けるよ、と教えてくれました。




山で捕った魚です。白身の渓流魚で非常においしかったです。飯盒で炊いたご飯も勧められましたが、あの水で炊いているのは遠慮しました。勿論我々は弁当持参しています。






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午後2時過ぎ、吸水に来る蝶も少なくなり引き上げます。女性2名もここで調査を切り上げ一緒に事務所へ戻ります。男性3人は山中でさらに調査を続行します。




タイで蝶々撮り (2)

2021年07月18日 | 蝶々


パンシダー国立公園はコロナの影響で昨年は4月から7月まで、今年(2021年)は1月から今だに閉鎖中です。 現在のコロナ蔓延状況ではいつ開放されるかも不明です。過去の撮影旅行を紹介します。


パンシダー国立公園のゲートです。滝で水遊びに来る人が大半で、ゲートには水量と蝶の発生状況が表示しています。


ゲートから滝近くの駐車場までの数キロは舗装されていますが、その先は未舗装道路が山頂まで20km続きます。


登山道の途中から側道へ入ります。一般車は進入は禁止で公園事務所のピックアップトラックで「蝶の楽園」へ向かいます。
道路は車幅ほどですが、樹木の枝が道路にはみ出しています。路面は大きな岩がむき出していたり、段差や急峻な坂になっており、ピックアップトラックの荷台から振り落とされないよう、撥ねた木の枝で身体を打たれないよう、また、枝に止まっている毒虫やヒルに気をつけながら12kmの移動です。






彼は車に絡まった蔓を取り除いています。


倒木が道を塞いでいます。この大きさだと乗り越えていきます。


銃を持った公園のレンジャーも同行します。




水溜まりの深さを確認して、走行できる場所を確認しています。


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そしてたどり着くのが渓流沿いに大きく開いた千畳敷の岩盤の広場です。
岩盤の上に持参した魚醤を水で薄めて撒き散らします。


30分ほど待てば一帯から様々な蝶が吸水に集まってきます。




岩の上に寝そべって撮影です。撒いた魚醤も着衣で拭き取っています。衣類は魚醤と汗でにおいが大変です。


同行したレンジャーが何か見つけたようです。取りあえず警備をしているようです。


(撮影した蝶写真はインスタグラム「#bangna32」に投稿しています。そちらも覗いてみて下さい。)

タイで蝶々撮り (1)

2021年07月16日 | 蝶々

日本の蝶の種類を調べていると250種であったり、260種であったり、迷蝶を含めて300種とか360種と記載されていて定かではありません。さてタイでは蝶図鑑「BUTTERFLIES OF THAILAND」によると、現在知られているのは亜種を含めて1604種となっていす。本書は944ページのハードカバー本で1286種が掲載されています。東南アジアは蝶類の宝庫です。


「Thailand BUTTERFLY GUIDE」これは336ページに557種が紹介されているタイ語の蝶図鑑です。
バンコクから200km離れた西部、東部は山岳地帯で広大な国立公園となっています。自然のままの熱帯雨林で野生の象、鹿などが生息しており、たまに虎が出現したとニュースにもなっています。
昆虫類も豊富で、特に蝶はヒラヒラと飛び回っていたり、水辺で集団吸水しているためよく目立ちます。
インスタを始めてから蝶撮影に出かけています。撮った蝶を同定するためこの図鑑が放せません。
学名と英名から和名を検索しています。驚くのはそのほとんどに和名が付いていることです。


パンシダー国立公園です。乾期は落水がほとんどありませんが、雨期はこの状態です。ただ困るのは山頂へ20kmある未舗装道路の表土が雨水で流され、乗用車での登坂が困難になることです。


ミカドアゲハの集団吸水です。集団吸水をするのは若いオスだけです。彼らはメスを探し回る飛行力、そして生殖能力を付けるため、泥中のミネラルを吸収しています。
メスは遠く離れた樹上で彼らがやってくるのを待っています。


ナミエシロチョウを主に様々なシロチョウが集まっています。
いずれも撮影場所は同じですが、吸水の中心となる蝶種は一週間毎に替わります。


ノミウスオナガタイマイとコモンマダラタイマイの混成吸水です。


大きな集団になると人が近づいても逃げません。
背景で飛んでいる写真がありますが、実は砂や水を撒いて飛び立たせています。