の~んびり タイランド 2

タイの風景、行事や趣味の陶磁器を写真を中心に気ままに紹介しています。

アバイブーベ・タイ伝統医薬博物館

2016年03月31日 | プラチンブリー
プラチンブリー国立博物館から国道3069号線を東へ3km、バーンパコン川沿いに「チャオ・プラヤー・アバイブーベ病院」があります。
病院敷地の西側に1909年にラーマ5世によって建設されたルネッサンス様式の洋館があります。ラーマ6世が1912年に滞在した以外は使用されず、後に病院として1階は診察室、医薬室、手術室そして2階を婦人科病棟として1969年まで運営されました。
1990年、芸術局が歴史建造物に指定して修復、1996年からアバイブーベ・タイ伝統医薬博物館としてスタートしています。

正面ポーチの壁面や窓周りには石膏彫刻が施されています。







玄関を入った中央の部屋です。ラーマ5世の肖像があります。

玄関を振り返ります。

左の部屋で伝統医薬を調合、販売しています。また、伝統医薬品や伝統医療道具、医療の書物が展示されています。

医師が来訪者の問診しています。誰でも自由に診断を受けることができるようです。

問診の後、医薬を調合してくれます。









この部屋は博物館も兼ねており、伝統医薬や医療具などを展示しています。

薬ダンスです。展示を兼ねた薬草が引き出しに入っています。

薬草が瓶詰されています。



大ムカデ、蛇の油漬けです。

セミの抜け殻です。

カニのハサミ、タツノオトシゴ、鹿の角も薬になります。

道具類です。

ドヴァラヴァティー時代の道具類です。







左の部屋は、アバイブーベ病院の歴史や体のメカニズムや病気について解説されています。





2階へ上がる階段です。

2階へ上がってきました。2階は展示室になっています。
中央の部屋では楽器の演奏指導をしています。展示は資料関連の書物がメインです。



梱包されているのは古い書籍です。

外周の部屋です。



薬草と効能が書かれています。





貝殻の腕輪など、前史時代の装身具です。

青銅器時代の装身具です。





クメールの瓶です。

スコータイ時代から続くキン・マークセットです。石灰が残ったままです。

1階は喫茶もできます。子供たちはソフト・クリームを注文していました。

裏庭の木陰で休憩です。

屋根の上の風見鶏です。



唇用のワセリンを購入しました。



伝統マッサージによる施療もおこなわれています。

病院横の食堂で昼食です。見舞客や看護師さんたちもここで食事を済ませます。

バーミー・ナムをいただきます。

プラチンブリー国立博物館(4)

2016年03月30日 | 博物館
プラチンブリー国立博物館の最後は屋外の展示物を紹介します。
展示館前の道路に囲まれた木立には、クメール遺跡から移されたヨニや神像の台座が並んでいます。玄関わきにはナーガと仏陀像、そして軒下にリンテルが展示されています。

木立の中から玄関を見ます。

瞑想する仏陀と九つ頭のナーガです。カンボジアからの密輸品で、タ・プラヤーの国境で没収したそうです。

反対側の石像です。

軒下に展示されている10世紀から11世紀のリンテルです。
館内の展示品も含め、以前はサ・マラコートで展示されていた品がプラチンブリー国立博物館に移されています。





























祠堂の塔頂部に置かれる笠石でしょうか。







ヨニです。





これは丸穴はあるだけで、灌水が流れる溝がついていません。神像の台座でしょうか。

ラテライトの仏陀像です。上半身は逸失しています。

プラチンブリー国立博物館(3)

2016年03月29日 | 博物館
2階展示室です。まず紀元前2000年から1500年の「コック・パノム・ディー遺跡」の出土品です。バーンパコン川の河口付近にあって、当時は海抜2.5mほどの丘陵に造られた石器時代の墓墳遺跡です。400年以上の生活跡が残る、農耕民族の遺跡ではないかと考えられています。
土地が隆起して、現在は最高12mの丘陵となって、地下7mから墳墓が出てきました。

「コック・パノム・ディー遺跡」の近くには紀元前2500年頃の石器時代と紀元前1100年から紀元前600年の青銅器時代の「ノーン・ノー遺跡」があります。

石斧、左端の白いのは貝製ナイフ、その上の白い石はハンマーです。

骨をつないだ装身具です。



貝殻を加工した装身具です。

貝殻を加工したビーズです。

貝殻の腕輪です。

大理石の腕輪です。

「コック・パノム・ディー遺跡」から出土の土器です。



紀元前1100年から600年の青銅器時代の土器です。
バーンパコン流域の「ノーン・ノー遺跡」からの出土です。


* * *

次の室は様式が異なる仏像を時代をおって展示しています。
クメール、バイヨン様式(1177年から1230年)の観世音菩薩です。

ナーガに座り瞑想するバイヨン様式の仏陀像です。
スリンのワット・ブラパーラムから移されています。



観世音菩薩です。頭部に化仏を頂きます。

クメールの青銅仏です。

15世紀のスコータイ様式の影響を受けた、ウトーン・タイプの青銅仏陀像です。
* * *

シュリヴィジャヤーからアユタヤの磚仏が展示されています。
6世紀から8世紀のシュリヴィジャヤー様式の磚仏はチャイヤーで出土しています。









15世紀に北タイのケーオ(ガラス)仏陀像です。

ロッブリー様式の三尊仏です。


* * *

陶磁器のコーナーです。まずは、バーン・チアンの彩色土器です。



次はタ・プラヤー出土の11世紀から13世紀に生産されたブリラム窯のクメール陶器です。タ・プラヤーには10世紀から12世紀のクメール遺跡が50カ所以上あり、各地から陶器が出土しています。キャプションではブリラム窯となっていますが、タ・プラヤーの窯跡発掘調査の報告もあり、焼成地の限定は困難かと思います。





タ・プラヤー、コック・プラサート村で出土のブリラム窯の無釉壺です。
* * *

最後がタイ湾東部のサタヒップ沈没船から回収された、14世紀から15世紀のスコータイ、サンカロークの輸出陶器です。

スコータイ窯の鉄絵魚文皿ですが、長い年月の間、海中にあったため
状態は非常に悪いです。





サンカロークの褐釉双耳小壺です。釉薬がほとんど剥離しています。

サンカロークの青磁小壺です。

青磁双耳壺です。海上がりはどうしてもカセが酷くなります。

青磁蓋付壺ですが、やはりカセがひどくなっています。




プラチンブリー国立博物館(2)

2016年03月27日 | 博物館
プラチンブリー国立博物館のミュージアム・グッズです。入館記念に購入、100バーツでした。
* * *

まぐさ石(リンテル)と付柱(ピラスター)を組み合わせた、クメール建築の祠堂の入り口が再現されています。

参考にクメール神殿の部位の名称を添付しておきます。

アランヤプラテートの南12kmのカンボジア国境にある小山「カオ・ノーイ」山頂に立つ7世紀のプレ・アンコールのヒンドゥー祠堂、「プラサート・カオ・ノーイ・シー・ションプー」の北祠堂のリンテルです。上部の花綱を吐き出すマカラの口にはハムサが彫られています。花綱からは6束の花房が垂れ下がり、天国への入り口を現すリンテルは扶南から真臘初期にかけてのサンボール・プレイ・クック様式の特徴です。

怪魚マカラの口から聖鳥ハムサが生れます。

左のマカラから生まれているのはシンハ(獅子)です。



精緻な模様が彫られたピラスターです。

仮組の裏面です。

「プラサート・カオ・ノーイ・シー・ションプー」の北祠堂、7世紀の扶南から真臘時代初期のリンテルです。5個の花飾りを吊るした花綱の左右に膝をつき合掌するデヴァターを配しています。





7世紀から8世紀のプレ・アンコール時代のリンテルです。
「プラサート・カオ・ノーイ・シー・ションプー」の北祠堂、西面リンテルです。

右端に彫られている、愛嬌のあるシンハです。

7世紀のプレ・アンコール時代のサンボール・プレイ・クック様式のリンテルです。
「プラサート・カオ・ノーイ・シー・ションプー」の中央祠堂の正面リンテルです。

7世紀のプレ・アンコール時代のサンボール・プレイ・クック様式のリンテルです。
「プラサート・カオ・ノーイ・シー・ションプー」の北祠堂の北面リンテルです。




* * *

「プラサート・カオ・ノーイ・シー・ションプー」です。
アランヤプラテートの南12kmの高さ130mの石灰岩の山「カオ・ノーイ」山頂に建つ3基の煉瓦造りのヒンドゥー神殿です。建立は扶南から真臘初期の7世紀で、10世紀に修復されています。673年を示す最古の石碑が発掘されています。
* * *

バプーオン様式(1017年から1097年)のリンテルです。プラサート・サドック・コック・トムの出土品です。

アイラーヴァタの乗るインドラ神。 コー・ケー様式(922年から947年)プラチンブリーの出土品です。



横たわるヴィシュヌ神、コー・ケー様式(922年から947年)アランヤプラテート出土です。

大蛇アナンタの上に横たわるヴィシュヌ神、足元には妻のクラシュミーがヴィシュヌ神の足をさすっています。ヘソから蓮が伸びていますが、蓮の花と生まれてくるブラフマー神は欠損しています。

パーブオン様式(1017年から1087年)の仏教説話(?)です。
チャンタブリーのワット・パーニァトから出土しました。

ドーン・シー・マハポートから出土した6世紀から8世紀の女性器の象徴「ヨニ」と男性器を象徴した「リンガ」です。祠堂に安置されたリンガに灌頂し供養をします。

7世紀、シー・マホソットのバン・コック・ワット出土です。

鉾の形です。

シヴァ神の象徴で男根を示す「リンガ」です。
3部分から構成され、円筒部分はシヴァ神、八角柱はヴィシュヌ神、四角部分はブラフマー神を象徴しています。



パブーオン様式(1017年から1087年)の「プラジュニャーパーラミター(般若仏母)」です。カンボジアとの国境の町、タ・プラヤーで出土しています。
「般若仏母」、日本では「般若菩薩」と呼ばれることが多いようですが、あまり知られていません。般若波羅蜜多、すなわち知恵の完成を意味することから、般若経典を尊格化した存在で、般若経典群の本尊とみなされています。

「デヴァラパーラ(門衛)」アンコール・ワット(1100年から1175年)様式でアランヤプラテートで出土しました。寺院の門や祠堂入口の左右に立っています。

アンコール・ワット様式(1100年から1175年)のシヴァ神像で、タ・プラヤーの出土です。
タ・プラヤーにはたくさんのクメールの窯跡が報告されていますが、あちこち探したけれど見つかりませんでした。

バイヨン様式(1177年から1230年)の観世音菩薩です。タ・プラヤーの出土です。

バンテアイ・スレイ様式(997年から1007年)の獅子像です。アランヤプラテートで出土しています。

砂岩造ガルーダです。

王族の輿の担い棒両端を飾った青銅製ナーガです。(下の写真参照)
ムアン・シー・マホソット、遺跡番号11から出土しました。バイヨン様式(1177年から1230年)です。







ムアン・シー・マホソットの出土品です。

青銅製の碑文が刻まれた鏡フレームです。ムアン・シー・マホソットで出土しています。

青銅製の祭器です。

12世紀から13世紀のブリラムで焼成されたクメール陶器です。


プラチンブリー国立博物館(1)

2016年03月25日 | 博物館

菩提樹の木の下で蓮華に座り瞑想する大乗仏教の釈迦像です。釈迦の左右には7層の傘蓋をもつストゥーパが彫られています。
「シー・マハポート」の「ワット・サ・マケーウワ」で発見された、南インドのアマラーヴァティー様式の影響を受けた6世紀前半の高さ114cm、横幅75cmの砂岩彫像です。
プラチンブリー国立博物館の展示品です。

プラチンブリーは市街の真ん中をバーンパコン川が流れ、タイ湾へ注いでいますが、河口付近の前史時代の遺跡「コック・パノム・ディー」、「ノーン・ノー」からの出土品、サケーオにたくさん残るプレ・アンコール神像、プラチンブリーの環濠遺跡シー・マホソットのドヴァラヴァティー時代の仏像、そしてタイ湾の沈没船から回収したスコータイ、アユタヤ時代の陶磁器が展示された見ごたえのある博物館です。

プラチンブリーはバンコクの北東90kmにあって、車だとバンナー高速道路からモーター・ウエイ、国道314、304、319号線で135kmです。国道319号線を17kmでドヴァラヴァティー、クメールの遺跡がたくさん残る「ムアン・シー・マホソット」があり、博物館までは21kmです。
* * *

2013年10月23日、前日は仕事の都合でチャチョェンサオで泊まり、そのままバンコクへ戻るより、プラチンブリーまで75kmと遠い距離でもないので、気になっていた青釉のメソポタミア陶片を見ようプラチンブリー国立博物館へ出かけることにしました。

前日泊まったホテルから撮影した、チャチョェンサオの「ワット・ソトーン」夕暮れ風景です。

雨期も終わり、洪水の水も引いただろうと思っていたのですが、国道319号線を進むと、一帯の水田は水没状態です。

湖ではありません。バーンパコン川の水が溢れたものです。

プラチンブリー市街の道路もまだ冠水しています。

寺院の奥がプラチンブリー国立博物館です。この状態では開館していないでしょう。

1カ月前の「ムアン・パー・ロット」近く、パーン・トーンの国道3127号線です。プラチンブリーの下流になりますが、その後1週間ほどで道路の水は退いており、上流のプラチンブリーは大丈夫だと思たのですが・・・。
* * *

次に訪れたのが2014年3月15日です。受付で、親切にも「瞑想する仏陀像」をアメリカのメトロポリタン美術館へ貸し出し中で、9月以降でないと見られません、という説明です。

「瞑想する仏陀像」の展示場所には写真と「LOST KINGDOMS」展への貸し出し中の説明です。

メインの展示品がないということで、入館料をタイ人料金の30バーツにしてくれました。外国人の入館料は150バーツです。

プラチンブリ国立博物館のパンフレットです。タイ語版しかありませんでした。



後日購入したメトロポリタン美術館の「LOST KINGDOMS HINDU-BUDDHIST SCULIPTURE OF EARLY SOUTHEAST ASIA」です。イタリアで印刷された336ページ、360葉の写真を掲載した豪華本です。
写真を見ているだけで楽しくなる東南アジア仏教美術誌です。
* * *

ということで、「瞑想する仏陀像」を撮影するために2014年10月31日に訪問です。受付には誰も居らず、いつもは電灯をつけて回っている警備員が、今日は入館料が不要だから自由に入れと言います。理由を聞いても彼は知りませんでした。

入り口に展示されているムアン・シー・マホソットの出土品です。

第一室目です。部屋の中央にプレ・アンコール時代のヴィシュヌ神像を配しています。

ムアン・シー・マホソットから出土、7世紀初期の全高146cmの砂岩造ヴィシュヌ神像です。
全ての存在の基礎たる最高神を人格化しています。





シー・マホソット、バン・コック・ワット出土の7世紀初期のヴィシュヌ神です。



プラチンブリー市街西部にある1278年創建の「ワット・ボット」から移された7世紀初期のヴィシュヌ神です。全高165cmの砂岩製です。







尊顔のアップです。伏し目の凛々しい顔立ちで、ドヴァラヴァティーのモン族の高い精神性が窺える優れた彫像です。



シー・マホソット出土の説法印の仏陀立像です。7世紀から9世紀のドヴァラヴァティー様式の仏像です。



シー・マホソット出土の5世紀から6世紀のアンコール・ボレイ様式の仏陀座像です。

6世紀のドヴァラヴァティー時代初期の円柱です。シー・マホソットから出土しています。





7世紀から11世紀のドヴァラヴァティー時代の粗彫石像です。

ドーン・シー・マハポート出土の7世紀から8世紀のドヴァラヴァティー仏です。

同じくドーン・シー・マハポートから出土したドヴァラヴァティーのガルーダ像です。7世紀から8世紀の遺物です。

アランヤプラテートで出土の9世紀の法輪です。

ドン・シー・マハポート出土の瞑想する仏陀像です。
9世紀から11世紀のドヴァラヴァティー様式の仏座像です。

「ノエン・サ・ブア碑文」高さ177cm、幅40cmのプレ・アンコール時代の1061年の制作です。クメール語、パーリー語、サンスクリット語で彫られています。



7世紀から9世紀、ドヴァラヴァティー時代の封印です。



11世紀から12世紀の宋、福建の白磁合子もムアン・シー・マホソットから出土しています。

クメールのナーガに守られ瞑想する仏陀像です。サ・モラコット遺跡から出土した、1177年から1230年のバイヨン様式の彫像です。

1177年から1230年のバイヨン様式の磚仏と押し型です。

降魔印の仏座像は13世紀のロッブリー様式でシー・マハポートの出土品です。
右の2体はバイヨン様式の般若仏(プラジューニャパーラミター)です。仏三尊像の右脇侍です。左脇侍は四臂の観世音菩薩(ローケージュヴァラ)です。シー・マホソットの出土です。

シー・マホソット出土の9世紀のテラコッタ像です。











装身具の型です。シー・マホソットで出土の7世紀から11世紀のドヴァラヴァティー時代の遺物です。

シー・マホソット出土の7世紀から9世紀のドヴァラヴァティ様式の装身具です。