の~んびり タイランド 2

タイの風景、行事や趣味の陶磁器を写真を中心に気ままに紹介しています。

青磁褐釉印花唐草文壷 (2)

2021年06月24日 | 陶磁器(タイ)





この壷は以前に投稿したマイ コレクションです。巻き貝文を連続する半円模様が振り分けています。花文ではありませんが、「開運!なんでも鑑定団」に出品された壷とよく似ています。
前回投稿した壷は、巻き貝が下段では花、上段では蔓草に替わっていました。鑑定依頼品は巻き貝が花、そして半円模様の下方に葉文が押されていました。

口径:16.6cm、胴径:37.0cm、底径18.5cm、高さ:40.9cmの15~16世紀の製作とされています。





胎土は肌理の細かい鉄分を含んだナーンのボースアック窯によく似ていますが、窯跡から類似する陶片が出土していません。
焼成での火裏部が焼けあまとなって、一部に釉剥離があります。



本品はボースアックの個人博物館に展示してある謎の壷です。
一帯を発掘調査した考古学者サーヤン教授の寄贈品で、彼もボースアック由来の物と考えています。



*****





*****




この三点はスコータイのサンカローク博物館の展示品です。説明ではチェンライのパーン窯(16~17世紀)となっています。
ただ、この博物館は一階の古陶磁器展示場に贋作が多々有るようです。



東南アジア陶磁器博物館に二点展示されていて、本品は15~16世紀、窯不明と説明されています。もう一点は写真の印花模様が不鮮明で掲載しませんでしたが、14~16世紀の製陶、窯はラオスではないかなと説明されています。(過去ブログ「東南アジア陶磁器博物館の再開館記念式典」に掲載)





鑑定品とは作風が異なりますが、肩部に印花した一連のラオス産ではないかと思われる壷です。

青磁褐釉印花唐草文壷 (1)

2021年06月17日 | 陶磁器(タイ)


1990年代の初めにラオスからメコン川を渡りタイにもたらされた謎の壷があります。
ほとんどが個人コレクションか海外に渡り、タイ国内で確認できるのは数点しかありません。
14年前にラオスのルアン プラバーンのメコン川左岸の古窯跡で陶片が発見され、調査中に周辺の住民が墳墓跡から発掘した類似の壷が見つかったとの報告があります。しかし、それ以降に焼成区域やそれ以上の報告は出ていません。
さて、そんな壷が『世界の街角』さんブログで2021年2月16日放送の「開運!なんでも鑑定団」に出品されたとのことで、早速録画を見てみました。
「クメールの壷・宝相華唐草文様」とういタイトルになってましたが、壷はおよそ30年前にタイ旅行中にチェンマイの骨董商から300万円で購入されたとのこと。
30年前はアジア通貨危機以前で、バーツ換算で50万バーツぐらいでしょうか、現在であれば為替レートの変動で150万円ぐらいかな...
当時は新発見の希少な陶器で印花も鮮明、器体も堂々とした大型の壷で骨董商も強気で売っていたのでしょう。現在なら取引額は30万バーツ(100万円)以下でしょう。ところが鑑定結果は驚きの2万円!、偽物判定でした。
残念ながら、底面が放送では映らなかったので土味や処理が分からないが、私は本物だと断定します。
映像を写真化して何人かのタイの骨董商に判定を仰ぎましたが、全員が本物との意見でした。




口径:17.8cm、胴径:29.5cm、底径:15.2cm、高さ:32.5cmのラオスからチェンラーイを経由して手許に来た窯不詳の「青磁褐釉掛分け印花華唐草文双耳壺」(15~16世紀)です。
地中に長く埋もれていたのか、器体の欠損はないが、釉のカセ、剥離がひどい状態です。


出品された壷に押された華唐草文とよく似た華印が本品にもあります。違いは葉文が押されていないことでしょうか。本品の大きさは、鑑定依頼品の半分程度で模様も簡略化されたのでしょうか....


底面です。土味やふっくらした器型からナーンのボースアック窯産ではないかと言われていますが、古窯跡から印花文の陶片が出土しておらず、未だに産地不明の謎の壷です。
ちなみに本品は昨年、コロナで収入が途切れた友人からどうしてもと乞われて、参考品だと思い18,000円程で入手しました。