住職の独り言

~ご縁に触れて~

夜叉(アーラバカ)

2008年07月08日 | Weblog
「仏典・ほとけさまのまなざし」~まかせるのだ、夜叉よ(やしゃ)~
(大乗7月号より)

夜叉はアーラバカといい、口が耳まで裂けている恐ろしい顔。

夜叉がお釈迦様に問題を出すのであります。

1,この世で、人間にとってもっとも価値のある財産はなんだ。
2,この世を安心してくらせる方法はなんだ。
3,この世の味の中で、なにがもっともすぐれた味か。

皆さんは何を思い浮かべますか…?
 
お釈迦様はお答えになりました。

一つめの答えは、

「仏さまの真実のみ教えを信ずることこそ、
もっとも価値ある財産なのだ。
なにがおころうとも、時代がかわろうとも、
かわることのない真実の教えこそ、価値ある財産なのだ。」

二つ目の答えは、

「安心してくらすそのただ一つの方法は、
仏さまのみ教えを聞かせていただくことなのだ。」

三つめの答えは、

「この世でいちばんすぐれた味は、
舌で味わう味ではなく、
こころで味わう仏さまのみ教えのほかにはないと、
わかってくれるだろう。」

アーラバカは、すこし、口ごもりながらつづけていいました。

「なにによってか人生の荒波をわたればいいのか。
なにによって人生の大海をわたればいいのか、
なにによって人生の悩みをこえればいいのか。」

「アーラバカよ、さっきわたしがいったとおりだ。

仏さまのみ教えを聞き、
仏さまがしっかりとわたしをだきしめて、
わたしと共におってくださることを信じさせていただき、
よろこびのこころで生きることが、
アーラバカよ、あなたへのこたえだ。」

アーラバカの表情がかわってきました。
耳までさけていた口が、小さくなったように見えました。

「さいごに聞きたいことがある。
人がこの世からあの世に行くときに、
どうしたら悲しまずにいられるのか。」

お釈迦様の目に、あたたかななみだが、うかびました。

「アーラバカよ。仏さまは、
わたしにまかせてくれとおっしゃていいる。
仏さまに、すべてをまかせるのだ。
悲しみは悲しみのままで…」

アーラバカの目から、あのおそろしげなひかりがきえてきました。
コメント
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