【メッセージ文について】
お釈迦さまは、智慧によってこの世界の真実を見抜かれました。
そして、苦しみ悩む人々を目覚めさせるために、すべてのものは互いに関係し合って存在しており(縁起)、一瞬もとどまることなく変化している(無常)から、なにものにも執(とら)われてはならない(無我)、というおさとりの真実を説かれました。
しかし、私たちはこのことを聞かされていながら、自己に執われ、自他をわけ、対立し、争い、悩み、苦しみから逃れることができません。
阿弥陀さまという仏さまは、そのような苦悩を抱えた私たちに、かたちを離れたこの上ないさとりの真実を知らせようと、「南無阿弥陀仏」のよび声となってこの私をよび覚まし、いつでも、どこでも、どんな境遇であっても、すべての者を救うためにはたらき続けておられます。
念仏者の人生は、いかに世の荒波に翻弄されようとも、阿弥陀さまのおさとりの心のなかにあります。
だからこそ、念仏者はそれぞれの場で、阿弥陀さまのみ教えに生かされる悦びを、そして他人(ひと)の喜び・悲しみを自らの喜び・悲しみとする阿弥陀さまの温かいお心を、少しでも伝えさせていただく身に育てられるのです。
新型コロナウイルス感染症は未だに収束を見ず、さまざまな不安を抱えながらの生活が続きます。
阿弥陀さまのお心をいただいて、自他ともに心安らぐ社会となるよう、日々精進させていただきましょう。
(西本願寺)