2020年7月のブログです
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村上春樹さんの新しい短編集『一人称単数』(2020・文藝春秋)を読みました。
6年ぶりの短編小説集ということで、8作からなります。
面白かったです。
短編小説集というのは、いろいろな小説が入っているので、それぞれに感じるところがあって、面白いです。
いわば、日替わり定食みたいで、どれもそれぞれにいいです。
ここで、突然、日替わり定食のたとえが出てきたのは、おそらくは、最近、読んだ原田マハさんの『まぐだら屋のマリア』(2014・幻冬舎文庫)のせいだと思うのですが、そういえば、マハさんのこの小説も、死、邪悪、そして、生き残ることなどがテーマだとも読めます。
さて、村上さんの短編集。
それぞれに味わい深い小説が並びますが、そこに流れている共通なもの、それは、死の影、邪悪なるもの、などでしょうか。
もちろん、これは、あくまでも、じーじの今の感じ方ですが、ただ、村上さんの小説といえば、『羊をめぐる冒険』以来、死と邪悪なるもの、がテーマの一つではないか、とじーじは思っていて、この短編集でもそれを感じてしまいます。
そんな中で、「クリーム」に出てくる関西弁の不思議な老人、知恵を授けてくれるかのような「老賢者」のような老人、ここの場面でわたしはなぜか河合隼雄さんを思い浮かべました。河合さんが大切なことを関西弁でしゃべっている…。
そして、黒ビール。
これは、「ヤクルト・スワローズ詩集」という短編に出てくるのですが、村上さんは、自分の書いている小説を、みなさんの好まれる普通のラガービールでなく、黒ビールにたとえます。
ちょっと苦いけど、奥の深い黒ビール。
いいですねぇ。じーじも大好きです。
文字通り、味わい深い短編集です。 (2020.7 記)
もう、読まれたのですね。
本屋さんに行ったら唐突に並んでいたのでおどろきましたが、すぐに買いました。
別の本と格闘中で早く読みたいのですが、まだ読み始めていません。早く読みたいです。
面白いですよー。
あらすじはあえて書かなかったので、じっくり楽しんでくださいね。