紹介がたいへん遅くなってしまいましたが、今回は、今年の春、2018年3月13、14日に開催された、プラハ交響楽団とのコンサートを紹介したいと思います。
2015年秋から、プラハ交響楽団のレジデント・アーティストとして、毎シーズン3回の公演に取り組んできたホセ・クーラ。
ある時は歌手として、または作曲家として、指揮者として、それぞれの公演ごとにクーラの多面的な魅力を発揮するユニークなプログラムが組まれてきました。
→ これまでの公演について紹介した記事
そしてこの3年間のレジデント契約は、今季2017/18シーズンでひとまず終了します。
現在(2018年6月)、クーラはプラハに滞在中で、6月28日に初日を迎えるヴェルディのナブッコの演出に取り組んでいるところです。
そして、その最中の6月13、14日、同じプラハで、プラハ響レジデント・アーティストとしての最後のコンサートに臨みます。
その様子もまとめたいと思っていますが、今回は、まだ記事にしていなかった、その前の3月のコンサートの様子を紹介します。
3月21、22日のコンサートでは、クーラは指揮者として登場しました。
公演の表題は「ホセ・クーラと展覧会の絵」。ムソログスキーの「展覧会の絵」や、ビュッシーの作品を指揮しました。
ちょうどこの2018年3月が、ドビュッシーの没後100周年なのだそうです。ドビュッシーと印象主義音楽の流れで、ラヴェルの編曲による「展覧会の絵」がとりあげられたようです。
≪ホセ・クーラと展覧会の絵≫
ドビュッシー
「プレリュード 第1集『沈める寺』」 編曲レオポルド・ストコフスキー
「管弦楽のための映像」
ムソログスキー
「展覧会の絵」(編曲:モーリス・ラヴェル)
指揮 ホセ・クーラ
プラハ交響楽団
●クーラによるこのコンサートへのお誘い動画
コンサートの紹介をするとともに、レジデント契約終了後も、プラハ響との関係が続くことが決まったと伝えています。
英語です。
José Cura - Obrázky z výstavy
●公演翌日、クーラがSNSにアップした写真とメッセージ
“昨日のコンサートは大成功だった!
音楽の美しいひと時をありがとう、プラハ交響楽団!”
●レビューより(抜粋)
「カラフルな夜」
プラハ交響楽団のレジデントアーティスト、ホセ・クーラは、オーケストラが幅広い印象派のキャンバスを描くのを手助けした。
この夜の演劇的なライン・・それはカラフルな夜だった。
クーラは、指揮台の上で非常にリラックスしていた。しばしば、踊り、感情を確かめながら、音楽を解釈した。彼は、オーケストラとともに、今年没後100年のドビュッシーを思い起こさせる本当に良いプログラムを立ち上げた。
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壮大な音楽は幅広い管弦楽法で爆発し、スメタナホール全体を完全に埋めつくす。その大きさにもかかわらず、ゆっくりと変化する個々のラインを明確に調和させる感覚の演奏だった。
2番目のパートでの強烈な低音は振動効果があり、すべてが倍増した。コンサートの初めに、本当に広大で壮観な作品だった。
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すべてがキエフの大門のラストのシーンで終わった。ファンファーレの響き、上昇する感情、言い表せないほどの音楽エネルギー。オーケストラは細部まで洗練され、すべての色とその色合いを使って、音楽が成長し、感情が与えられる。彼が何1つ見逃さなかったと確信している。
(「OPERA PLUS」)
「クーラはドビュッシーを称えるコンサートをリード」
プラハ交響楽団のレジデントであるテノールのホセ・クーラは、プラハの市民会館で行われた本日のコンサートで、指揮者の地位を確立した。
混雑したスメタナホールで、彼は3月末の没後百年になるドビュッシーを称えるコンサートを演奏した。ドビュッシーと相まって、ムソルグスキーの展覧会の絵が展示された。
勇敢なクーラとオーケストラは大きな喝采を受けた。
"数分間、目を閉じて、そして美しい音楽がどのようにあなたをとらえているのか、感じてほしい"
コンサートの前のスメタナホールでの懇談会で、クーラは参加者にアドバイスした。
クーラは前回のプラハでの公演で、彼のオラトリオ「この人を見よ」を初演し、指揮者の役割を果たした。
世界的に有名なミュージシャンであるクーラは、作曲、歌手、指揮者としての3つの役割を果たしている。
クーラは55歳、アルゼンチン出身。チェコ共和国へ戻ってきた。
(「Blesk.cz」)
●恒例のクーラとの懇談会
コンサートの初日の前に、クーラを囲んでの交流・懇談の会が開かれました。恒例になっています。
いくつかの写真をプラハ響がHPで公開してくれています。
とても楽しそうに説明しているクーラ。
毎回、間近で、アーティストの話が直接聞けるというのは、本当にうらやましいことです。
プラハ響のFBに掲載されたスライドショー。音声はありません。
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プラハ交響楽団レジデントアーティストとしての契約終了後も、年に1回のコンサートを行うなど、クーラとプラハ響は、継続的な関係をもつことを確認したそうです。
すでに来年2019年3月、クーラのオペラアリア・コンサートが、プラハ響の2018/19のシーズンプログラムに明記されています。とても楽しみです。
クーラの指揮者として作曲家としての新しい側面、というより、もともと持っていた才能と経験、作品を発表するユニークな場を提供してくれたプラハ交響楽団。この関係は、本当に素晴らしい実りをもたらしたと思います。
私もぜひ一度、プラハ響のコンサートに行きたいと願っています。またDVDなど何らかの形でレジデントとしての成果がまとめてリリースされることをお願いしたいと思います。
*写真はプラハ交響楽団のHPからお借りしました。