人と、オペラと、芸術と ~ ホセ・クーラ情報を中心に by Ree2014

テノール・指揮者・作曲家・演出家として活動を広げるホセ・クーラの情報を収集中

(旅行編)2018年ホセ・クーラ、ボロディナとマリインスキーでサムソンとデリラ / Samson et Dalila /Jose Cura & Olga Borodina in Mariinsky

2018-06-22 | サンクトペテルブルクのサムソンとデリラ




ホセ・クーラが出演した、2018年5月5日のロシア・サンクトペテルブルク、マリインスキー劇場でのサムソンとデリラから、早くも2か月近くがたちました。
(鑑賞編)でもふれましたが、今回の公演を直接、現地で体験することができたことは、私にとって大きな喜びでした。

舞台の簡単な感想は(鑑賞編)に掲載しましたので、今回は、だいぶ遅くなりましたが、初めて訪問したロシア・サンクトペテルブルクの街について、あくまで旅行の個人的な記録ですが、若干の写真を紹介したいと思います。

とはいえ、3泊5日のオペラ公演メインの超短期旅行のため、旧市街全体が世界遺産という素晴らしいサンクトペテルブルクのごくごく一部を、さっと眺めてきたにすぎません。クーラのマリインスキー劇場オペラデビューというきっかけがなければ、私自身ロシアに行こうとは思わなかったでしょう。そのおかげで、ロシアの文化的な素晴らしさを、わずかとはいえ実感できたことは、とても得難い体験でした。






サムソンとデリラの公演は当日ライブ中継され、現在でも録画が視聴できます。



Samson et Dalila opera in three acts (concert performance)

Dalila: Olga Borodina
Samson: José Cura
High Priest of Dagon: Vladimir Moroz
Abimélech: Oleg Sychov
Old Hebrew: Yuri Vorobiev

The Mariinsky Orchestra
Conductor: Emmanuel Villaume





≪成田から、ヘルシンキを経て、サンクトペテルブルクのプルコヴォ空港へ≫

ホセ・クーラとボロディナのサムソンとデリラの鑑賞のため、初めてのロシアへ。

今回は幸いにして、日本のゴールデンウィーク中の5月5日に公演があったため、旅行の日程を確保することができました。
フルタイムの仕事、かつ、家庭・子育ての責任を抱える私にとっては、海外オペラ遠征はとても無理だとあきらめていました。しかもクーラはオペラ出演を大幅に減らしつつあり、来日も絶望的・・。クーラの生舞台を観たい、と切に願っていた私には、この公演予定がクーラの公式カレンダーに掲載されたとき、絶対に逃すわけにはいかない絶好のチャンスに思えました。

早々にネットで公演チケットを購入、その後、旅行社を通じて航空券とホテル、ロシア滞在のビザを手配しました。成田から、ヘルシンキ経由サンクトペテルブルク行き、フィンエアーで出発です。



約10時間の飛行の後、到着したヘルシンキ空港。新しくすっきりした美しい空港です。国際的なハブ空港としてのいっそうの発展をめざして、大規模な拡幅工事中でした。







ヘルシンキでサンクトペテルブルク行きに乗り継ぎです。
ヘルシンキ空港からは、フィンランド湾を越えれば、すぐそこはロシアです。陸続きでもあります。






ロシアとスウェーデンにはさまれ、両大国の侵略に長く苦しめられた歴史をもつフィンランド。一方、対岸のサンクトペテルブルクは、ロシアにとっては交易と軍事の要所であり、ロシア帝国の首都として発展しました。
飛行時間は1時間の予定ですが、実質30分ほど飛行するとすぐに着陸態勢に。本当に近いというのが実感です。


≪サンクトペテルブルク・プルコヴォ空港に到着、旧市街へ≫







目的地サンクトペテルブルク・プルコヴォ空港も新しい建物です。こちらもまだ拡張中とのこと。
日本のゴールデンウィークは新緑の季節ですが、ヘルシンキやサンクトペテルブルクはまだまだ早春。長い冬がようやく終わり、わずかに木の芽が出始めたという感じでした。

空港と旧市街は少し離れていて、バスと地下鉄の乗り継ぎが必要です。初めてで不安なため、行きは旅行社の迎えの車を利用しました。広大なロシアの大地の一端を感じながら、途中、韓国や日本の自動車メーカーの工場や、巨大なショッピングセンター、高層住宅群などを眺めながら、約1時間のドライブでした。








≪サンクトペテルブルク旧市街とネフスキー大通り≫

サンクトペテルブルク旧市街のメインストリートが、ネフスキー大通りです。通りのあちこちに歴史的建造物があり、またどの方向、どの横道を見ても、街並みが美しいのにはびっくりしました。










ネフスキー大通りは、5月9日の戦勝記念日に向けて装飾がされていました。ナチスドイツ軍によって900日近く包囲され、70万人ともいわれる市民が犠牲になった旧レニングラード。これに耐え抜き、爆撃で破壊された市街も戦後、再建したとのことです。


≪美しい書店、ドム・クニーギ≫

ネフスキー大通りに面したこの立派な建物が、有名な本屋さん。



1階にはいろんなグッズ、お土産品がたくさんあって楽しい売り場です。奥には文具。
2階には充実した絵本、幼児書コーナーもありました。充実した書架を見て回り、何か記念に一冊とも思いましたが、何しろロシア文字がまったく読めないため、断念しました。


≪血の上の救世主教会≫





ガイドブックで観る以上に素晴らしかった、血の上の救世主教会。外見も凄いですが、内部は本当に圧巻です。全面すべてが美しいモザイク画で装飾されています。高い天井までも黄金のモザイクで描かれた絵が。内部全体が金色に輝き、圧倒されました。



 


建築には20年以上の歳月がかかったこの教会、帝政ロシアの財力、支配が可能にした豪華建築です。そして「血の上」と称されるのは、圧政への抵抗勢力によって皇帝が暗殺された、その地の上に建てられており、故皇帝を弔う目的だったとのこと。ロシア激動の歴史の一端を物語る建造物のひとつです。


≪カザン聖堂、ロシア美術館≫

時間がなくて残念ながら前を通りかかっただけですが、ネフスキー大通りに面したカザン聖堂。




この黄色の巨大な建物はロシア美術館。収蔵品の量も巨大だそうですが、本館ミハイロフスキー宮殿、建物自体も世界遺産です。



ロシア美術館前の公園のカラス。ロシアのカラスはツートンカラーのようですね。ロシア美術館の横には、ミハイロフスキー劇場があり、ここでクーラがガラコンサートをやったことがあります。



この他にも、マリインスキー劇場まで歩いていく途中で、これも世界遺産の聖イサアク大聖堂、マリインスキー宮殿、ホテル・アストリアなどの前を通りましたが、眺めるだけで写真はとりませんでした。



≪運河の街≫

サンクトペテルブルクは、フィンランド湾に臨み、大河ネヴァ川と数々の運河に面した街です。川沿いの風景がまたとても美しい。







ネヴァ川の橋を渡って対岸に見えるペトロパヴロフスク要塞、高い尖塔は、ロシア皇帝を埋葬しているペトロパヴロフスキー大聖堂だそうです。ここも遠くから眺めるだけです。




旧市内の歴史地区が世界遺産に指定され、とにかく街中に世界遺産、歴史的建造物が連なっているサンクトペテルブルク。とても3泊5日、実質2日間の旅では、ほんの一部をのぞくしかきません。
この時期、サンクトペテルブルクの気候は、日本の3月くらいの印象でした。本格的な春から白夜の季節には、どれほど美しいだろうかと思うと、また訪問してみたくなります。




≪エルミタージュ美術館≫

クーラの公演と並ぶもう一つの目的は、エルミタージュ美術館です。事前にチケットをネットで購入できます。
とにかく圧巻です。建物だけ見ても本当に素晴らしいです。正直なところ、広くてとても見て回りきれません。



そのごく一部、美しい展示室の数々を。それぞれ意匠を凝らし、天井、シャンデリア、壁面・・豪華絢爛です。



















こちらは中庭


もともとあまり写真を撮るつもりではなく、携帯電話のカメラで撮った写真でアングルも適当で、たいへん恐縮です。
実物はもっともっと見事ですので、この画像で失望されないようお願いします。


≪交通機関≫

サンクトペテルブルクの地下鉄とバスを利用してみました。地下鉄、バス、トローリーバス、乗合タクシーなど、各種市民の足が縦横に走っているようで、もっといろいろ利用してみたかったです。

ロシアっぽいトローリーバス。



私たちは普通のバスを利用しましたが、通常の車両が2台連結した大型のバスでした。乗ると係員がチケットを切ってくれて、1回40ルーブル。



地下鉄と構内の路線図。モスクワの地下鉄は有名ですが、サンクトペテルブルクも地下鉄が発達しています。利用するには専用コインを購入します。自動販売機もありましたが、お金の入れ口がよくわからず、窓口で買いました。
地下深く、そのエスカレーターの速さと長さにはびっくりです。また地下鉄車両の走行速度もびっくりする速さ!もっと地下鉄内を撮っておくんだったと後から思いました。






≪歴史的な街と現代社会≫

旧市街は歴史的な街並みで統一されていますが、その内部は現代的に改装され、日本の私たちにもおなじみのファーストフードもたくさんありました。看板は控えめで、街並みを大きく乱さないようにしているようです。

ネフスキー大通りをずっと東にすすみ、モスクワ行きの列車が発着するモスコーフスキー駅近くには、巨大なショッピングモールがありました。
モールの入口すぐには、ユニクロも。モールの中は若い人々、家族連れでいっぱいで、様々なファーストフードが集まるフードコートもあり、日本とも共通する風景でした。



ロシアのスーパーを見てまわるのも、とても楽しかったです。チーズ、ヨーグルトなどの乳製品が豊富で味は濃厚、巨大な精肉、ハム・ソーセージが並んでいました。パン、お菓子類も豊富、果物も洋ナシを買って食べましたが、安くて美味しかったです。写真は撮らなかったのですが、外国のスーパーというのは本当に魅力的ですね。
ロシアのチョコレートをお土産に購入しました。帰宅後の撮影です。



レトロで可愛い公衆電話、しかし使い方がよくわかりません。




≪マリインスキー劇場で大興奮の一夜≫



今回最大の目的地は、ホセ・クーラとボロディナのサムソンとデリラの舞台、マリインスキー劇場です。
すでに(鑑賞編)で紹介していますので繰り返しませんが、クーラの姿にくぎ付け、大興奮の一夜でした。
マリインスキー劇場も世界遺産に登録されています。古くなってはいますが、エメラルドグリーンを基調にした建物は美しく、内部も豪華です。




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今回、幸運にもクーラとボロディナのサムソンを鑑賞することができ、またサンクトペテルブルクの街をわずかながら見て回る機会を得ました。
かつて強大な権力を誇った帝政ロシア、そしてロシア革命の舞台の地、第二次世界大戦の壮絶なたたかいと破壊から復活した街。去年2017年にはロシア革命100年を迎えています。
歴史と文化、芸術の街、見どころがたくさん、そして食事も美味しく、魅力的な街でした。
スリや治安面の問題がガイドブック等で注意されていたので警戒しましたが、幸い、何事もなく良かったです。

またロシア語が話せない私たちでしたが、空港からホテルまで案内してくれたガイドの若い女性、ホテルのフロント、レストランやファーストフードの店員さん、劇場の職員の方たち、バスや地下鉄の係員さん・・観光の街だからでしょうか、それぞれ親切に対応してくれてとても有難かったです。
私にとっての最大の難点は、路上喫煙の多さ(笑) いずれ改善されることを願うばかりです。
できることなら、時間をとって、また文化、文学、歴史を学びなおしのうえ、再訪したいものです。





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