『軍師官兵衛』第3回『命の使い道』(2014年1月19日 演出・田中健二)
登場する史実上の有名人と、武将たちのそれぞれの『信長の野望』シリーズでのだいたいの能力評価(テロップ順)
小寺 官兵衛 孝高 …… 知力84、統率力67
(演・岡田准一)
竹中 半兵衛 重治 …… 知力59、統率力91
(演・谷原章介)
お濃(斎藤 帰蝶)
織田信長の正室、斎藤龍興の13歳年上の叔母にあたる(演・内田有紀)
荒木 村重 …… 知力52、統率力83
畿内地方を放浪する無宿浪人(演・田中哲司)
蜂須賀 小六 正勝 …… 知力74、統率力90
(演・ピエール瀧)
赤松 政秀 …… 知力48、統率力62
(演・団時朗)
織田 信長 …… 知力115、統率力108
(演・江口洋介)
今井 宗久
商業都市・堺を共同統治する豪商連合「会合衆」の一人(演・小西博之)
斎藤 龍興(たつおき)…… 知力33、統率力26
(演・斉藤悠)
浦上 政宗 …… 知力43、統率力45
播磨国室津城主(演・新納敏正)
浦上 清宗 …… 知力38、統率力40
政宗の次男(演・達淳一)
ルイス=フロイス
ポルトガル出身のイエズス会宣教師(演・オジエル=ノザキ)
黒田 重隆 …… 知力72、統率力53
(演・竜雷太)
小寺 政職 …… 知力44、統率力49
(演・片岡鶴太郎)
木下 藤吉郎 …… 知力95、統率力94
(演・竹中直人)
小寺 職隆 …… 知力72、統率力55
(演・柴田恭平)
ざっとの感想
●浦上政宗・清宗父子の首をそっくり置いていく赤松軍の描写は絶対におかしい! そりゃまぁ、歴史好きの重箱の隅をつつくようなブーイングととられても文句は言わないし、生首なんか出すわけにはいかない現代の TV事情もわかるんですが、「ただ虐殺しただけ。」という演出じゃあ赤松政秀の奇襲の政治的意味がまったく無視されるし、なによりも一時期は播磨・備前2ヶ国にまたがる戦国大大名でもあった浦上政宗の魂が浮かばれないんじゃなかろうか。
首の無い遺体がダメなんだったら、それは直接画面に映さずに、それを発見した人物の演技だけでのカバーでも良かったと思う。とにかく、今回のように2人の首のつながった遺体だけはなにがなんでも映すべきではなかった。それじゃあ、日本史の戦乱の本質がぜんぜん見えてこないんだよなぁ~!! とにかく残念。
○うちゆき姫ついに参戦!! どんな濃姫になるのかしら? ものすんごく楽しみです。
今回再認識したんだけど、内田有紀さんの応用のきかないハリのある声は、いい! ソウルが江戸っ娘というかなんというか。最近はその過剰な存在感に、人生の重みと知性が乗ってきて、さらに凛としたものになってきたと思う。こういう、どこに出ても異質なキャラクターが、織田家にいる限りず~っと異質だった濃姫をどう演じるのか? とにかく相性がバツグンであることは今回の1シーンだけでよくわかりました。
史実上はもうすでに存在が消えかかってる時期なんですが……出番ふえるといいナ~!!
○江口さんの信長像が、意外とけっこう深いんだよなぁ。
今回の信長は、美濃国攻略が遅々として進まないそうとう鬱屈した「さげぽよ~(死語)」な時期だったわけですが、真っ昼間から酒をかっくらって、フラフラになりながらヨメのエクササイズにちょっかいを出して「おらぁ天下とるぞぉ~。」とか説得力ゼロの妄言をぶつくさこぼしている、かなりカッコ悪い信長を喜々として演じていたと思います。こんなにカリスマ性の無い信長が、かつていただろうか!?
そういうダンナを前にして、「こいつホンット最低だけど、なんか守りたくなるわ~。」と見つめる濃姫もあわせて、『軍師官兵衛』の江口信長は、なんかいいぞ!
●播磨灘での黒田重隆と官兵衛との会話シーンで、岡田さんの絶叫ゼリフに大きな限界を見た気がしました。
あの~、要するに「おたつは私の腕の中で死んだのです!!」って絶叫してたんだけど、気持ちが入りすぎてなに言ってるか全然わかんなかったんですね。
それじゃあダメだろう……俳優である以上、それがリアルでなかったのだとしても、感情よりもまず「言葉の明瞭さ」を最優先させなければ主人公ははれないと思うんですね。これは、このテイクに OKを出したスタッフがいけないです。相手の竜雷太さんとの実力差がハッキリ出ちゃったもんね。かわいそうじゃないの、岡田さんが。
○死没の事実はナレーションで淡々と済ませて、黒田重隆役の竜雷太、堂々の退場! 生粋の武士ではなかったし、本編でものんきな隠居生活を満喫していた重隆だったのですが、竜さん本人の存在感が無言ではなつ「この人、若いころはそうとうな修羅場をくぐり抜けてきたんだろうなぁ。」というオーラが、戦国人重隆を表情豊かに躍動させていたと思います。
いちはやく舞台から去ってしまうのがものすごく惜しいのですが、すばらしいお仕事でした!
○かなりの謙虚さで、職隆の後妻(官兵衛の継母)と、官兵衛の3人の弟(利高、利則、直之)が初登場。「もしかしたら、弟たちは『いないこと』になってしまうのでは……」と大いに心配していたのですが、ひとまず安心しました。成長したら誰が演じるんだろうね!
○官兵衛の幼なじみの腹心・母里武兵衛役の永井大さんの自由度がおもしろくなってきたぞ! 栗山善助との無言のジェスチャー漫才がいいですね~。
○堺に徒歩で行けるんだよなぁ~……播磨国、うらやましい。羽前国出身の私そうだいといたしましては、夢のような交通事情ですよね。
播磨国はまぁ、今でいう東京から見た千葉県みたいな立ち位置なんですかね~。
●荒木のムラムラも初登場! でも、な~んか強そうに見えない。田中哲司さんなんだから、表情の演技は無論いいんだけど、腕が細くて白い……ちょっと貧相。格闘アクションも、極端な寄りとかスローとか小細工を弄していてみっともなかったですね。
○史実によると、荒木村重は摂津国の名門武将・池田家に代々仕えている家臣の家柄なので、ドラマのようなホームレス浪人生活を送っていた時期はないと見ていいはずなんですが……ま、いっか。村重だし。家系の改ざんとか養子縁組とかは日常茶飯事の戦国時代ですもんね。
○足利幕府第13代征夷大将軍・足利義輝暗殺事件(実際には戦争です)の映像化キタコレ!! でも、そんな時期(1565年)だったら、ムラムラはますますホームレスなんかやってる場合じゃないはずなんですけど……さっさと池田家に仕官しろや!
●荒木村重までもが「戦争は愚かしい。」なんて言い出しちゃったよ……なに言ってんの、この人。史実はもちろんのこと、『信長の野望』シリーズで、あんたのために何万人の兵たちの命が無駄に消えていったと思ってるんだ、このエブリデイ寝返り野郎!!
●摂津国と和泉国の国境にある堺(現・大阪府堺市)で、荒木村重が「摂津国に行きたいんだがお金がないんで飢え死にしちゃうよう。」と官兵衛に借金しようとする(返済予定なし)のだが……どんだけひ弱!? おまえはカタツムリか!? ま、いっか。村重だし。
○『秀吉』(1996年)で小西行長を演じた小西博之さんが、今回は今井宗久を黒々と演じています。『八代将軍吉宗』(1995年)では紀伊国屋文左衛門を演じてたし、よっぽど商人に縁のある方なのねぇ。商人っていうよりは、地底怪獣みたいな顔してるんだけどなぁ。
●ついに秀吉までもが、鉄砲売買がらみで戦争反対っぽいこと言い出しちゃったよ……ちょ~っと、ゴリ押ししすぎなんじゃない? 脚本。
結論、「第4回がとてもたのしみです。」
「初恋の相手を放送3回目で失ってしまう」という過酷すぎる経験を味わってしまった官兵衛の、情緒不安定さをまるごと映像にのっけてしまった45分間でしたね。これにさらに、打開策が見えない美濃攻略に手をこまねく信長の憂鬱も重なって、少々しんどい回になったかと感じました。
そういう情緒不安定さにつけこむかのように、「戦争反対」とかキリスト教の「救済」といったメッセージが官兵衛の胸にささってくる、という演出意図があからさまに見えてきた「イヤ~な予感のする」第3回だったのですが、よくよく思い出してみてくださいよ。
『軍師官兵衛』のタイトルバックにドド~ンと出てるような血迷ったデザインの「銀白檀塗合子形兜(ぎんびゃくだんぬりごうすなりかぶと)」を愛用して戦場に出ていた人物が、「戦乱の無い平和な世の中」なんていうことを20歳前後のころから考えていたのだろうか!? ましてや、あの杜撰すぎる大陸出兵を実行した豊臣秀吉が!!
秀吉の「戦争経済がうんぬん」とかいうセリフは、字ヅラ自体は別に今井宗久に対する皮肉だけとも解釈できる内容なんですが、ミョ~に気持ち悪い感慨を込めて語る竹中さんの演技から、明らかに戦争反対のメッセージをねじ込んだ演出になっていました。
こういうことを力説している人物が、そろいもそろって荒木村重と豊臣秀吉なんだもんね!! バカバカしいったらあ~りゃしないっての。
今後、そういうあほくさいテーマに官兵衛が近寄っていかないことを切に願うばかりなのですが、「キリシタン大名」っていう部分をそういう方向に利用する可能性を強く予感してしまった第3回でした。いやいや、そんな繊細なヤツが戦国武将になれるわけねーって!!
これで私がどうしても思い出してしまうのが、大河ドラマじゃないけど NHKが2004年の年始に単発スペシャルで放送していた歴史ドラマ『大友宗麟 心の王国を求めて』(原作・遠藤周作、主演・松平健)でして、これもまぁ例によって描写はかなりマイルドだったんですが、極悪非道な権謀術数の限りを駆使して九州地方最強の大大名にまでなりあがった宗麟が、晩年に自身の野望の限界を感じたときにキリスト教にすがりつくという「みっともなさと人間らしさ」がものすごく丁寧に描かれている超傑作でした。私はとっても大好きなんです、この作品。まぁとにかく、キャスティングがいちいち最高でね~。名優・細川俊之さんの大友義鑑(よしあき 宗麟の父)のものすごさはずいぶん前にも語ったことがあるかと思うんですが、強いてあげれば宮本真希さんのぽっちゃり低音ヒロインがいちばん最高でしたね~。
ともかく、こういう人間としてなってない異形の才能が、どうしようもない乱行の末に救いを求めてこそのキリシタン大名だと思うのよね。今回みたいに、品行方正すぎる頭でっかちの理想主義ボーイがキリスト教に興味を持ったからって、「あぁそうですか。」ってなもんで1ミリも共感できないんだなぁ。中学生あたりのしみったれた人生相談を延々と聞かされてるようなもんなんですよ。「うっせーバカ、働け!!」ってなもんでしょ。
まぁともかく、官兵衛くん、戦争してみよっか! そしたらまたなんか、調子もどるから。また来週~。
登場する史実上の有名人と、武将たちのそれぞれの『信長の野望』シリーズでのだいたいの能力評価(テロップ順)
小寺 官兵衛 孝高 …… 知力84、統率力67
(演・岡田准一)
竹中 半兵衛 重治 …… 知力59、統率力91
(演・谷原章介)
お濃(斎藤 帰蝶)
織田信長の正室、斎藤龍興の13歳年上の叔母にあたる(演・内田有紀)
荒木 村重 …… 知力52、統率力83
畿内地方を放浪する無宿浪人(演・田中哲司)
蜂須賀 小六 正勝 …… 知力74、統率力90
(演・ピエール瀧)
赤松 政秀 …… 知力48、統率力62
(演・団時朗)
織田 信長 …… 知力115、統率力108
(演・江口洋介)
今井 宗久
商業都市・堺を共同統治する豪商連合「会合衆」の一人(演・小西博之)
斎藤 龍興(たつおき)…… 知力33、統率力26
(演・斉藤悠)
浦上 政宗 …… 知力43、統率力45
播磨国室津城主(演・新納敏正)
浦上 清宗 …… 知力38、統率力40
政宗の次男(演・達淳一)
ルイス=フロイス
ポルトガル出身のイエズス会宣教師(演・オジエル=ノザキ)
黒田 重隆 …… 知力72、統率力53
(演・竜雷太)
小寺 政職 …… 知力44、統率力49
(演・片岡鶴太郎)
木下 藤吉郎 …… 知力95、統率力94
(演・竹中直人)
小寺 職隆 …… 知力72、統率力55
(演・柴田恭平)
ざっとの感想
●浦上政宗・清宗父子の首をそっくり置いていく赤松軍の描写は絶対におかしい! そりゃまぁ、歴史好きの重箱の隅をつつくようなブーイングととられても文句は言わないし、生首なんか出すわけにはいかない現代の TV事情もわかるんですが、「ただ虐殺しただけ。」という演出じゃあ赤松政秀の奇襲の政治的意味がまったく無視されるし、なによりも一時期は播磨・備前2ヶ国にまたがる戦国大大名でもあった浦上政宗の魂が浮かばれないんじゃなかろうか。
首の無い遺体がダメなんだったら、それは直接画面に映さずに、それを発見した人物の演技だけでのカバーでも良かったと思う。とにかく、今回のように2人の首のつながった遺体だけはなにがなんでも映すべきではなかった。それじゃあ、日本史の戦乱の本質がぜんぜん見えてこないんだよなぁ~!! とにかく残念。
○うちゆき姫ついに参戦!! どんな濃姫になるのかしら? ものすんごく楽しみです。
今回再認識したんだけど、内田有紀さんの応用のきかないハリのある声は、いい! ソウルが江戸っ娘というかなんというか。最近はその過剰な存在感に、人生の重みと知性が乗ってきて、さらに凛としたものになってきたと思う。こういう、どこに出ても異質なキャラクターが、織田家にいる限りず~っと異質だった濃姫をどう演じるのか? とにかく相性がバツグンであることは今回の1シーンだけでよくわかりました。
史実上はもうすでに存在が消えかかってる時期なんですが……出番ふえるといいナ~!!
○江口さんの信長像が、意外とけっこう深いんだよなぁ。
今回の信長は、美濃国攻略が遅々として進まないそうとう鬱屈した「さげぽよ~(死語)」な時期だったわけですが、真っ昼間から酒をかっくらって、フラフラになりながらヨメのエクササイズにちょっかいを出して「おらぁ天下とるぞぉ~。」とか説得力ゼロの妄言をぶつくさこぼしている、かなりカッコ悪い信長を喜々として演じていたと思います。こんなにカリスマ性の無い信長が、かつていただろうか!?
そういうダンナを前にして、「こいつホンット最低だけど、なんか守りたくなるわ~。」と見つめる濃姫もあわせて、『軍師官兵衛』の江口信長は、なんかいいぞ!
●播磨灘での黒田重隆と官兵衛との会話シーンで、岡田さんの絶叫ゼリフに大きな限界を見た気がしました。
あの~、要するに「おたつは私の腕の中で死んだのです!!」って絶叫してたんだけど、気持ちが入りすぎてなに言ってるか全然わかんなかったんですね。
それじゃあダメだろう……俳優である以上、それがリアルでなかったのだとしても、感情よりもまず「言葉の明瞭さ」を最優先させなければ主人公ははれないと思うんですね。これは、このテイクに OKを出したスタッフがいけないです。相手の竜雷太さんとの実力差がハッキリ出ちゃったもんね。かわいそうじゃないの、岡田さんが。
○死没の事実はナレーションで淡々と済ませて、黒田重隆役の竜雷太、堂々の退場! 生粋の武士ではなかったし、本編でものんきな隠居生活を満喫していた重隆だったのですが、竜さん本人の存在感が無言ではなつ「この人、若いころはそうとうな修羅場をくぐり抜けてきたんだろうなぁ。」というオーラが、戦国人重隆を表情豊かに躍動させていたと思います。
いちはやく舞台から去ってしまうのがものすごく惜しいのですが、すばらしいお仕事でした!
○かなりの謙虚さで、職隆の後妻(官兵衛の継母)と、官兵衛の3人の弟(利高、利則、直之)が初登場。「もしかしたら、弟たちは『いないこと』になってしまうのでは……」と大いに心配していたのですが、ひとまず安心しました。成長したら誰が演じるんだろうね!
○官兵衛の幼なじみの腹心・母里武兵衛役の永井大さんの自由度がおもしろくなってきたぞ! 栗山善助との無言のジェスチャー漫才がいいですね~。
○堺に徒歩で行けるんだよなぁ~……播磨国、うらやましい。羽前国出身の私そうだいといたしましては、夢のような交通事情ですよね。
播磨国はまぁ、今でいう東京から見た千葉県みたいな立ち位置なんですかね~。
●荒木のムラムラも初登場! でも、な~んか強そうに見えない。田中哲司さんなんだから、表情の演技は無論いいんだけど、腕が細くて白い……ちょっと貧相。格闘アクションも、極端な寄りとかスローとか小細工を弄していてみっともなかったですね。
○史実によると、荒木村重は摂津国の名門武将・池田家に代々仕えている家臣の家柄なので、ドラマのようなホームレス浪人生活を送っていた時期はないと見ていいはずなんですが……ま、いっか。村重だし。家系の改ざんとか養子縁組とかは日常茶飯事の戦国時代ですもんね。
○足利幕府第13代征夷大将軍・足利義輝暗殺事件(実際には戦争です)の映像化キタコレ!! でも、そんな時期(1565年)だったら、ムラムラはますますホームレスなんかやってる場合じゃないはずなんですけど……さっさと池田家に仕官しろや!
●荒木村重までもが「戦争は愚かしい。」なんて言い出しちゃったよ……なに言ってんの、この人。史実はもちろんのこと、『信長の野望』シリーズで、あんたのために何万人の兵たちの命が無駄に消えていったと思ってるんだ、このエブリデイ寝返り野郎!!
●摂津国と和泉国の国境にある堺(現・大阪府堺市)で、荒木村重が「摂津国に行きたいんだがお金がないんで飢え死にしちゃうよう。」と官兵衛に借金しようとする(返済予定なし)のだが……どんだけひ弱!? おまえはカタツムリか!? ま、いっか。村重だし。
○『秀吉』(1996年)で小西行長を演じた小西博之さんが、今回は今井宗久を黒々と演じています。『八代将軍吉宗』(1995年)では紀伊国屋文左衛門を演じてたし、よっぽど商人に縁のある方なのねぇ。商人っていうよりは、地底怪獣みたいな顔してるんだけどなぁ。
●ついに秀吉までもが、鉄砲売買がらみで戦争反対っぽいこと言い出しちゃったよ……ちょ~っと、ゴリ押ししすぎなんじゃない? 脚本。
結論、「第4回がとてもたのしみです。」
「初恋の相手を放送3回目で失ってしまう」という過酷すぎる経験を味わってしまった官兵衛の、情緒不安定さをまるごと映像にのっけてしまった45分間でしたね。これにさらに、打開策が見えない美濃攻略に手をこまねく信長の憂鬱も重なって、少々しんどい回になったかと感じました。
そういう情緒不安定さにつけこむかのように、「戦争反対」とかキリスト教の「救済」といったメッセージが官兵衛の胸にささってくる、という演出意図があからさまに見えてきた「イヤ~な予感のする」第3回だったのですが、よくよく思い出してみてくださいよ。
『軍師官兵衛』のタイトルバックにドド~ンと出てるような血迷ったデザインの「銀白檀塗合子形兜(ぎんびゃくだんぬりごうすなりかぶと)」を愛用して戦場に出ていた人物が、「戦乱の無い平和な世の中」なんていうことを20歳前後のころから考えていたのだろうか!? ましてや、あの杜撰すぎる大陸出兵を実行した豊臣秀吉が!!
秀吉の「戦争経済がうんぬん」とかいうセリフは、字ヅラ自体は別に今井宗久に対する皮肉だけとも解釈できる内容なんですが、ミョ~に気持ち悪い感慨を込めて語る竹中さんの演技から、明らかに戦争反対のメッセージをねじ込んだ演出になっていました。
こういうことを力説している人物が、そろいもそろって荒木村重と豊臣秀吉なんだもんね!! バカバカしいったらあ~りゃしないっての。
今後、そういうあほくさいテーマに官兵衛が近寄っていかないことを切に願うばかりなのですが、「キリシタン大名」っていう部分をそういう方向に利用する可能性を強く予感してしまった第3回でした。いやいや、そんな繊細なヤツが戦国武将になれるわけねーって!!
これで私がどうしても思い出してしまうのが、大河ドラマじゃないけど NHKが2004年の年始に単発スペシャルで放送していた歴史ドラマ『大友宗麟 心の王国を求めて』(原作・遠藤周作、主演・松平健)でして、これもまぁ例によって描写はかなりマイルドだったんですが、極悪非道な権謀術数の限りを駆使して九州地方最強の大大名にまでなりあがった宗麟が、晩年に自身の野望の限界を感じたときにキリスト教にすがりつくという「みっともなさと人間らしさ」がものすごく丁寧に描かれている超傑作でした。私はとっても大好きなんです、この作品。まぁとにかく、キャスティングがいちいち最高でね~。名優・細川俊之さんの大友義鑑(よしあき 宗麟の父)のものすごさはずいぶん前にも語ったことがあるかと思うんですが、強いてあげれば宮本真希さんのぽっちゃり低音ヒロインがいちばん最高でしたね~。
ともかく、こういう人間としてなってない異形の才能が、どうしようもない乱行の末に救いを求めてこそのキリシタン大名だと思うのよね。今回みたいに、品行方正すぎる頭でっかちの理想主義ボーイがキリスト教に興味を持ったからって、「あぁそうですか。」ってなもんで1ミリも共感できないんだなぁ。中学生あたりのしみったれた人生相談を延々と聞かされてるようなもんなんですよ。「うっせーバカ、働け!!」ってなもんでしょ。
まぁともかく、官兵衛くん、戦争してみよっか! そしたらまたなんか、調子もどるから。また来週~。