ヘヘイヘ~イ。どうもこんにちは、そうだいでございます!
いや~、今日の千葉はほんとに一日中の雨のようで。本日開業の東京スカイツリーにはずいぶんといじわるな天気になっちゃいましたねぇ。
そんな今日とはまるで正反対にいいお天気だった昨日、私は東京・渋谷に行ってあるお方と会ってきました。
その方は私と同じ年次で同じ大学にいたステキなステキな女性で、私が当時在籍していた演劇サークルとは別の演劇サークルで、いわばそこの看板女優のような役割をになっておられたお方。
卒業後は、そこのサークルの有志と集まって劇団を立ち上げており、つい昨年のはじめごろにも、私は下北沢の劇場で舞台に上がっている彼女のあで姿、というか勇姿を拝見していました。
自分もほぼ同時期に役者をやっていた、という話はちょっとおいときまして、私は純粋に観客として彼女のファンです。
こんなあやしげなブログを書きつらねているわたくしなので、今これを読んでおられる皆様もだいたい察しがつくのではないかと思うのですが、大学時代からつい昨日にいたるまで、私は彼女と積極的に差し向かいで話す機会を避けていました。これが「きらい」と180°間逆の感情からくるものであることは、説明の余地はねぇよなぁ。
『平家物語』のクライマックスシーン「壇ノ浦合戦」の章の記述によると、平氏本陣が隠していた天皇家の秘宝中の秘宝「三種の神器」に不用意にさわろうとした源氏軍の雑兵は、たちまち鼻血を出して卒倒してしまったという……
まぁ、こういうことですよ。会話だなんて私にはもったいない~!! ってくらいの存在だったんですね。いや、彼女の立ち居振る舞いにそういう「敷居の高さ」があったんじゃなくて、勝手に私がそう意識してたってだけです。
それで昨日、10年以上もの想いを胸に彼女と会ったわけなんですけど。
いや~、変わらずステキなままで!
結婚もされていて、もちろん学生だったころから確実に時間は経過しているわけなのですが、なんというか、現在の彼女は「生き方」でずいぶんと輝きがましているなぁ、という印象がありました。
男女にかかわらず、もしかしたら10~20代はある程度は「自分の願望や魅力」だけで輝いていけるエネルギーに満ち満ちている時期なのかも知れませんが、周囲に広がる世界のいろんな事情を知り、経験という、自分で物事を考える判断材料もぼちぼち集まってくるようになるのが30代。そういう意味で、私は今回、彼女から「人間関係ぜんたい」で輝く生き方のステキなヒントをいただいたような気がします。
ホントに話ができてよかったわぁ。やっぱり、やりがいを見つけてる方の輝きってのは、いいもんですねぇ。
こ、こんどカラオケ行こうってお願いして快諾されてしまった……
身にあまる光栄!! あ~しィ~たァ~、く~た~ばァ~るゥ~か~も~しれなァ~い♪
さぁ、あんまり幸せなことばっかり言ってると不幸がやってくるので、今回もさっさと、おどろおどろしい猟奇殺人事件が満載の企画にうつってみたいと思います。金田一先生、事件で~す!
前回にリストアップした「第1次横溝正史ブーム」は、簡単に言ってしまうと、現在「横溝正史」と聞いて真っ先に頭に浮かんできてしまうような、あの特徴的なくたびれた和服の名探偵「金田一耕助」のキャラクターが前面に押し出されたものではありませんでした。
むしろどうやら、この時代のメディア化に際しては、そういった原作での金田一耕助のイメージは積極的に隠すような流れになっていたようで、「和服のパッとしない印象の小男」とはまるで違った「パリッとしたスーツ姿のヒーロー然とした伊達男」といった名探偵・金田一耕助が活躍していたのです。金田一耕助像のこの大幅な改変は、やっぱり「絵的にわかりやすい正義の味方」のイメージと、「洋風の新しい価値観が日本の古い因習に起因する犯罪を解決する」といった構図を大いに強調させるねらいがあったのではないでしょうか。それなりの必要性はあったんだろうなぁ。
つまり、「第1次横溝正史ブーム」とは、まさしく「横溝正史の小説」を純粋にフィーチャーしたメディア化ブームのことで、金田一耕助のキャラクターよりも、作品世界の持っている雰囲気や犯罪トリックの妙を再現することに主眼をおいた流れだったのではないでしょうか。もちろん、それが「原作の忠実な再現」とは別の話であることは一目瞭然なわけなのですが……
「第1次」において、横溝正史はまごうことなく「現役バリバリの流行作家」であり、連載終了直後、できたてほやほやの話題作を長編、短編にかかわらず次々とメディア化していくという動きは、現在でいう東野圭吾のような「時代の寵児」に、当時の横溝正史がまつりあげられていた、ということになります。そして当然これは、それだけのクオリティが作品になければなれないポジションですよね。
横溝正史は1902年5月24日に兵庫県神戸市で誕生し、薬屋の跡継ぎとして薬剤師の免許も持っていた秀才だったのですが、19歳のときに人気文芸雑誌『新青年』に応募したユーモア小説(ショートショートに近いリドルストーリー)が入選したことが作家人生のスタートとなっており、いったんは家業を継いだものの、あの江戸川乱歩神先生の誘いを受けて東京におもむき『新青年』などの文芸誌の編集長を歴任し、20代はそういった編集業のかたわらで作品を執筆、その後30歳になってはじめて専業作家になったのでした。
ところが、正史はまもなく当時難病だった肺結核を患ってしまい、時局も第2次世界大戦さらに太平洋戦争といった流れで悪化の一途をたどったため、長野県の諏訪や岡山県の真備町への療養を兼ねた疎開を余儀なくされ、創作活動も1945年の終戦まで中断することとなってしまいました。
そしてここからが「探偵小説の鬼」とたたえられた横溝正史の本領発揮たるところで、復帰第1作となった『本陣殺人事件』からクリーンヒットをとばす大傑作に。戦前はロジックよりも耽美的な描写に傾倒していた横溝作品でしたが、ここからはまさに、「探偵小説ならではの数学的ロジック」と「日本の社会に根ざした因習」と「犯罪に走らざるをえない人間の業」といったものとが絶妙に渾然一体となった「横溝ワールド」が全開にときはなたれることとなったのです。
こういった感じで、戦後の「第1次横溝正史ブーム」をささえたのは間違いなく「横溝正史本人の現役執筆活動」だったわけで、ほんとに終戦直後の1940年代後半から新作長編のラッシュが落ち着くこととなった1960年代初頭まで、なんと10年あまりもの間、このブームは続いていました。
この期間は横溝正史4~50代という、男盛りもいいところの時期だったのですが、たまりにたまった創作意欲を存分に爆発させて数多くの長編傑作をものしていった勢いはとてつもないものがあったといえます。それはもう、前回のメディア化作品のラインナップを見ても歴然としたものがありますね。
『八つ墓村』、『犬神家の一族』、『悪魔が来りて笛を吹く』、そして『獄門島』……1作だけでも書いていたら日本ミステリー史上に残る大作家として記憶されるレベルの傑作を次々と発表していく、その神がかり具合! インパクトの強い長編の影にかくれがちですが、『黒猫亭事件』や『殺人鬼』や『~の中の女』シリーズのような短編の名手であったことも忘れるわけにはいきません。もうパーペキ!!
さて、1960年代に入った横溝正史は多数の同時連載に追われるスケジュールからも開放され、忙しい時期に短編形式ですませた作品を長編作品にブローアップする活動を中心に悠々自適な余生を送ろうかとしていたのですが、しばらくたった1970年代中盤に、降ってわいたような「第2次横溝正史ブーム」が到来することとなります。横溝先生70歳になっての突然の再燃!!
っつうことで、次なるメディア化ブームの内容はこんな感じだったのでございますよ。
みなさま、おまんたせいたしました。いよいよご存知、よれよれ和服の名探偵のご登場でございますよ~!
これで全部ですか!? 金田一耕助ものメディア化作品リスト・爆発期 ~1970年代中盤から80年代初頭~
映画『本陣殺人事件』(1975年9月公開 監督・高林陽一 ATG + 大映)
10代目・金田一耕助 …… 中尾 彬(33歳)
4代目・磯川常次郎警部 …… 東野 英心(33歳 2000年没)
金田一耕助もの第1作『本陣殺人事件』の2度目の映像化
※金田一耕助もの初のカラー映画作品
※原作小説にきわめて忠実な内容だが、時代設定が原作の「1937年」ではなく「1970年代現在」に修正されている
※白木静子は登場するが(演・村松英子)、原作小説どおりの「証言者のひとり」としてであり、金田一耕助の助手ではない
ラジオドラマ『悪魔が来りて笛を吹く』(1975年8月放送 NHK第1)
11代目・金田一耕助 …… 宍戸 錠(42歳)
金田一耕助もの長編『悪魔が来りて笛を吹く』の初ラジオドラマ化
ラジオドラマ『鴉(からす)』(1975年11月放送 NHK第1)
12代目・金田一耕助 …… 佐藤 英夫(50歳 2006年没)
5代目・磯川常次郎警部 …… 溝田 繁(51歳)
金田一耕助もの短編『鴉』(1951年7月掲載)の初メディア化
ラジオドラマ『悪魔の手毬唄』(1976年8月放送 NHK第1)
13代目・金田一耕助 …… 緒形 拳(39歳 2008年没)
6代目・磯川常次郎警部 …… 長門 勇(44歳)
金田一耕助もの長編『悪魔の手毬唄』の初ラジオドラマ化
※磯川警部役の長門勇は、翌年に古谷一行の金田一耕助シリーズの「日和警部」役を演じている
映画『犬神家の一族』(1976年10月公開 監督・市川崑 角川春樹事務所 + 東宝)
14代目・金田一耕助 …… 石坂 浩二(35歳)
2代目・橘警察署長 …… 加藤 武(47歳)
金田一耕助もの長編『犬神家の一族』の3度目の映像化
※本作は「興行収入17億円」を記録する大ヒットとなった
映画『悪魔の手毬唄』(1977年4月公開 監督・市川崑 東宝)
14代目・金田一耕助 …… 石坂 浩二(36歳)
7代目・磯川常次郎警部 …… 若山 富三郎(48歳 1992年没)
金田一耕助もの長編『悪魔の手毬唄』の3度目の映像化
※石坂浩二の金田一耕助の前作に登場した加藤武が、橘警察署長に酷似した別人の「橘警部」役で出演している
TVドラマシリーズ『横溝正史シリーズ』(1977年4~10月 全6作27話 TBS)
15代目・金田一耕助 …… 古谷 一行(33歳)
初代・日和勇警部 …… 長門 勇(45歳)
8代目・磯川常次郎警部 …… 有島 一郎(61歳 1987年没)
7代目・等々力大志刑事 …… 早川 保(41歳)
3代目・橘警察署長 …… ハナ 肇(47歳 1993年没)
・『犬神家の一族』(4月放送、4度目の映像化)
・『本陣殺人事件』(5月放送、3度目の映像化)
・『三つ首塔』(5~6月放送、3度目の映像化)
・『悪魔が来りて笛を吹く』(6~7月放送、2度目の映像化)
・『獄門島』(7~8月放送、2度目の映像化)
・『悪魔の手毬唄』(8~10月放送、4度目の映像化)
※古谷一行の金田一耕助シリーズオリジナルの「日和警部」というレギュラーキャラクターが登場する
※日和警部は『犬神家の一族』と『獄門島』には登場しない
※このシリーズでの等々力刑事は日和警部の部下という設定になっている
※このシリーズでの磯川警部は『獄門島』、等々力刑事は『三つ首塔』『悪魔が来りて笛を吹く』、橘署長は『犬神家の一族』にしか登場しない
※このシリーズで橘署長役を演じたハナ肇は、のちの古谷一行の金田一耕助シリーズで3作「日和警部」、15作「等々力警部」を演じている
映画『獄門島』(1977年8月公開 監督・市川崑 東宝)
14代目・金田一耕助 …… 石坂 浩二(36歳)
8代目・等々力大志警部 …… 加藤 武(48歳)
金田一耕助もの長編『獄門島』の3度目の映像化
※この映画の公開は古谷一行版『獄門島』の放送直後だったため、真犯人の設定が変更されている
※原作に登場する刑事は磯川警部だが、石坂浩二版の磯川警部(若山富三郎)は登場しない
映画『八つ墓村』(1977年10月公開 監督・野村芳太郎 松竹)
16代目・金田一耕助 …… 渥美 清(49歳 1996年没)
9代目・磯川常次郎警部 …… 花沢 徳衛(66歳 2001年没)
たたりじゃ~っ!! 金田一耕助もの長編『八つ墓村』の4度目の映像化
※本作は、金田一耕助が登場する映画の中では歴代最高の「興行収入19億9千万円」を記録している
※時代設定が原作の「1948年」ではなく「1970年代現在」に修正されている
単発ドラマ『横溝正史の吸血蛾 美しき愛のバラード』(1977年10月放送 テレビ朝日『土曜ワイド劇場』)
17代目・金田一耕助 …… 愛川 欽也(43歳)
9代目・等々力大志警部 …… 北村 和夫(50歳 2007年没)
金田一耕助もの長編『吸血蛾』の2度目の初映像化
※時代設定が原作の「1955年」ではなく「1970年代現在」に修正されている
※等々力警部役の北村和夫は、1964年にラジオドラマ『支那扇の女』で金田一耕助役を演じている
映画『女王蜂』(1978年2月 監督・市川崑 東宝)
14代目・金田一耕助 …… 石坂 浩二(37歳)
8代目・等々力大志警部 …… 加藤 武(49歳)
金田一耕助もの長編『女王蜂』の2度目の映像化
TVドラマシリーズ『横溝正史シリーズⅡ』(1978年4~10月 全9作30話 TBS)
15代目・金田一耕助 …… 古谷 一行(34歳)
初代・日和勇警部 …… 長門 勇(46歳)
・『八つ墓村』(4~5月放送、5度目の映像化)
・『真珠郎』(5月放送、1936年10~37年2月に連載された横溝正史の「由利麟太郎もの」中編を金田一耕助ものに改変)
・『仮面舞踏会』(6月放送、1974年11月に完成した長編『仮面舞踏会』の初映像化)
・『不死蝶』(7月放送、1958年3月に完成した長編『不死蝶』の初映像化)
・『夜歩く』(7~8月放送、1948年2月~49年12月に連載された長編『夜歩く』の初映像化)
・『女王蜂』(8月放送、3度目の映像化)
・『黒猫亭事件』(9月放送、ラジオドラマ化はされていたが唯一の映像化)
・『仮面劇場』(9~10月放送、1938年10~11月に連載された横溝正史の「由利麟太郎もの」中編を金田一耕助ものに改変)
・『迷路荘の惨劇』(10月放送、1975年5月に完成した長編『迷路荘の惨劇』の初映像化)
※日和警部役の長門勇は、これ以降の古谷一行の金田一耕助シリーズには出演していない
映画『悪魔が来りて笛を吹く』(1979年1月公開 監督・斎藤光正 東映)
18代目・金田一耕助 …… 西田 敏行(32歳)
10代目・等々力大志警部 …… 夏八木 勲(39歳)
金田一耕助もの長編『悪魔が来りて笛を吹く』の3度目の映像化
映画『病院坂の首縊りの家』(1979年5月公開 監督・市川崑 東宝)
14代目・金田一耕助 …… 石坂 浩二(38歳)
8代目・等々力大志警部 …… 加藤 武(50歳)
金田一耕助もの長編『病院坂の首縊りの家』(1975年12月~77年9月連載)の初映像化
※昭和に制作された石坂浩二の金田一耕助シリーズの最終作
※原作では、物語は20年かかって1973年に完結し金田一耕助最後の事件になっているが、映画版は事件発生の年にあっさり解決している
映画『金田一耕助の冒険』(1979年7月公開 監督・大林宣彦 角川春樹事務所 + 東映)
15代目・金田一耕助 …… 古谷 一行(35歳)
11代目・等々力大志警部 …… 田中 邦衛(46歳)
番外・金田一耕助 …… 三船 敏郎(59歳 1997年没)
番外・等々力大志警部 …… 三橋 達也(55歳 2004年没)
金田一耕助もの短編『瞳の中の女』(1958年6月連載)をもとにしたあんまり笑えないセルフパロディ作
※古谷一行の金田一耕助にとって唯一の映画作品だが、あんまり笑えない
※劇中で「金田一耕助と等々力警部を演じている俳優」として三船敏郎と三橋達也が特別出演しているが、あんまり笑えない
※原作者・横溝正史もあんまり笑えない特別出演を果たしているが、これが映画出演としての遺作となった
映画『悪霊島』(1981年10月放送 監督・篠田正浩 角川春樹事務所 + 東映)
19代目・金田一耕助 …… 鹿賀 丈史(31歳)
10代目・磯川常次郎警部 …… 室田 日出男(44歳 2002年没)
横溝正史が執筆した最後の金田一耕助もの長編『悪霊島』(1978年7月~80年3月連載)の初映画化
※映画作品で金田一耕助を演じた俳優の出演時の年齢としては、鹿賀丈史の「31歳」は歴代最年少( TVドラマでの最年少は長瀬智也の26歳)
※映画の公開直後、1981年12月に原作者・横溝正史が死没する(享年79歳)
こんなものすごい勢いだったんですねェ~。あなたは、どの金田一耕助がお好き?
ってなもんで、「角川じるし満点」の第2次ブームにかんするあれこれは、まった次回~。
加藤武、かっこいい~!! まるで役に立たないけど。
いや~、今日の千葉はほんとに一日中の雨のようで。本日開業の東京スカイツリーにはずいぶんといじわるな天気になっちゃいましたねぇ。
そんな今日とはまるで正反対にいいお天気だった昨日、私は東京・渋谷に行ってあるお方と会ってきました。
その方は私と同じ年次で同じ大学にいたステキなステキな女性で、私が当時在籍していた演劇サークルとは別の演劇サークルで、いわばそこの看板女優のような役割をになっておられたお方。
卒業後は、そこのサークルの有志と集まって劇団を立ち上げており、つい昨年のはじめごろにも、私は下北沢の劇場で舞台に上がっている彼女のあで姿、というか勇姿を拝見していました。
自分もほぼ同時期に役者をやっていた、という話はちょっとおいときまして、私は純粋に観客として彼女のファンです。
こんなあやしげなブログを書きつらねているわたくしなので、今これを読んでおられる皆様もだいたい察しがつくのではないかと思うのですが、大学時代からつい昨日にいたるまで、私は彼女と積極的に差し向かいで話す機会を避けていました。これが「きらい」と180°間逆の感情からくるものであることは、説明の余地はねぇよなぁ。
『平家物語』のクライマックスシーン「壇ノ浦合戦」の章の記述によると、平氏本陣が隠していた天皇家の秘宝中の秘宝「三種の神器」に不用意にさわろうとした源氏軍の雑兵は、たちまち鼻血を出して卒倒してしまったという……
まぁ、こういうことですよ。会話だなんて私にはもったいない~!! ってくらいの存在だったんですね。いや、彼女の立ち居振る舞いにそういう「敷居の高さ」があったんじゃなくて、勝手に私がそう意識してたってだけです。
それで昨日、10年以上もの想いを胸に彼女と会ったわけなんですけど。
いや~、変わらずステキなままで!
結婚もされていて、もちろん学生だったころから確実に時間は経過しているわけなのですが、なんというか、現在の彼女は「生き方」でずいぶんと輝きがましているなぁ、という印象がありました。
男女にかかわらず、もしかしたら10~20代はある程度は「自分の願望や魅力」だけで輝いていけるエネルギーに満ち満ちている時期なのかも知れませんが、周囲に広がる世界のいろんな事情を知り、経験という、自分で物事を考える判断材料もぼちぼち集まってくるようになるのが30代。そういう意味で、私は今回、彼女から「人間関係ぜんたい」で輝く生き方のステキなヒントをいただいたような気がします。
ホントに話ができてよかったわぁ。やっぱり、やりがいを見つけてる方の輝きってのは、いいもんですねぇ。
こ、こんどカラオケ行こうってお願いして快諾されてしまった……
身にあまる光栄!! あ~しィ~たァ~、く~た~ばァ~るゥ~か~も~しれなァ~い♪
さぁ、あんまり幸せなことばっかり言ってると不幸がやってくるので、今回もさっさと、おどろおどろしい猟奇殺人事件が満載の企画にうつってみたいと思います。金田一先生、事件で~す!
前回にリストアップした「第1次横溝正史ブーム」は、簡単に言ってしまうと、現在「横溝正史」と聞いて真っ先に頭に浮かんできてしまうような、あの特徴的なくたびれた和服の名探偵「金田一耕助」のキャラクターが前面に押し出されたものではありませんでした。
むしろどうやら、この時代のメディア化に際しては、そういった原作での金田一耕助のイメージは積極的に隠すような流れになっていたようで、「和服のパッとしない印象の小男」とはまるで違った「パリッとしたスーツ姿のヒーロー然とした伊達男」といった名探偵・金田一耕助が活躍していたのです。金田一耕助像のこの大幅な改変は、やっぱり「絵的にわかりやすい正義の味方」のイメージと、「洋風の新しい価値観が日本の古い因習に起因する犯罪を解決する」といった構図を大いに強調させるねらいがあったのではないでしょうか。それなりの必要性はあったんだろうなぁ。
つまり、「第1次横溝正史ブーム」とは、まさしく「横溝正史の小説」を純粋にフィーチャーしたメディア化ブームのことで、金田一耕助のキャラクターよりも、作品世界の持っている雰囲気や犯罪トリックの妙を再現することに主眼をおいた流れだったのではないでしょうか。もちろん、それが「原作の忠実な再現」とは別の話であることは一目瞭然なわけなのですが……
「第1次」において、横溝正史はまごうことなく「現役バリバリの流行作家」であり、連載終了直後、できたてほやほやの話題作を長編、短編にかかわらず次々とメディア化していくという動きは、現在でいう東野圭吾のような「時代の寵児」に、当時の横溝正史がまつりあげられていた、ということになります。そして当然これは、それだけのクオリティが作品になければなれないポジションですよね。
横溝正史は1902年5月24日に兵庫県神戸市で誕生し、薬屋の跡継ぎとして薬剤師の免許も持っていた秀才だったのですが、19歳のときに人気文芸雑誌『新青年』に応募したユーモア小説(ショートショートに近いリドルストーリー)が入選したことが作家人生のスタートとなっており、いったんは家業を継いだものの、あの江戸川乱歩神先生の誘いを受けて東京におもむき『新青年』などの文芸誌の編集長を歴任し、20代はそういった編集業のかたわらで作品を執筆、その後30歳になってはじめて専業作家になったのでした。
ところが、正史はまもなく当時難病だった肺結核を患ってしまい、時局も第2次世界大戦さらに太平洋戦争といった流れで悪化の一途をたどったため、長野県の諏訪や岡山県の真備町への療養を兼ねた疎開を余儀なくされ、創作活動も1945年の終戦まで中断することとなってしまいました。
そしてここからが「探偵小説の鬼」とたたえられた横溝正史の本領発揮たるところで、復帰第1作となった『本陣殺人事件』からクリーンヒットをとばす大傑作に。戦前はロジックよりも耽美的な描写に傾倒していた横溝作品でしたが、ここからはまさに、「探偵小説ならではの数学的ロジック」と「日本の社会に根ざした因習」と「犯罪に走らざるをえない人間の業」といったものとが絶妙に渾然一体となった「横溝ワールド」が全開にときはなたれることとなったのです。
こういった感じで、戦後の「第1次横溝正史ブーム」をささえたのは間違いなく「横溝正史本人の現役執筆活動」だったわけで、ほんとに終戦直後の1940年代後半から新作長編のラッシュが落ち着くこととなった1960年代初頭まで、なんと10年あまりもの間、このブームは続いていました。
この期間は横溝正史4~50代という、男盛りもいいところの時期だったのですが、たまりにたまった創作意欲を存分に爆発させて数多くの長編傑作をものしていった勢いはとてつもないものがあったといえます。それはもう、前回のメディア化作品のラインナップを見ても歴然としたものがありますね。
『八つ墓村』、『犬神家の一族』、『悪魔が来りて笛を吹く』、そして『獄門島』……1作だけでも書いていたら日本ミステリー史上に残る大作家として記憶されるレベルの傑作を次々と発表していく、その神がかり具合! インパクトの強い長編の影にかくれがちですが、『黒猫亭事件』や『殺人鬼』や『~の中の女』シリーズのような短編の名手であったことも忘れるわけにはいきません。もうパーペキ!!
さて、1960年代に入った横溝正史は多数の同時連載に追われるスケジュールからも開放され、忙しい時期に短編形式ですませた作品を長編作品にブローアップする活動を中心に悠々自適な余生を送ろうかとしていたのですが、しばらくたった1970年代中盤に、降ってわいたような「第2次横溝正史ブーム」が到来することとなります。横溝先生70歳になっての突然の再燃!!
っつうことで、次なるメディア化ブームの内容はこんな感じだったのでございますよ。
みなさま、おまんたせいたしました。いよいよご存知、よれよれ和服の名探偵のご登場でございますよ~!
これで全部ですか!? 金田一耕助ものメディア化作品リスト・爆発期 ~1970年代中盤から80年代初頭~
映画『本陣殺人事件』(1975年9月公開 監督・高林陽一 ATG + 大映)
10代目・金田一耕助 …… 中尾 彬(33歳)
4代目・磯川常次郎警部 …… 東野 英心(33歳 2000年没)
金田一耕助もの第1作『本陣殺人事件』の2度目の映像化
※金田一耕助もの初のカラー映画作品
※原作小説にきわめて忠実な内容だが、時代設定が原作の「1937年」ではなく「1970年代現在」に修正されている
※白木静子は登場するが(演・村松英子)、原作小説どおりの「証言者のひとり」としてであり、金田一耕助の助手ではない
ラジオドラマ『悪魔が来りて笛を吹く』(1975年8月放送 NHK第1)
11代目・金田一耕助 …… 宍戸 錠(42歳)
金田一耕助もの長編『悪魔が来りて笛を吹く』の初ラジオドラマ化
ラジオドラマ『鴉(からす)』(1975年11月放送 NHK第1)
12代目・金田一耕助 …… 佐藤 英夫(50歳 2006年没)
5代目・磯川常次郎警部 …… 溝田 繁(51歳)
金田一耕助もの短編『鴉』(1951年7月掲載)の初メディア化
ラジオドラマ『悪魔の手毬唄』(1976年8月放送 NHK第1)
13代目・金田一耕助 …… 緒形 拳(39歳 2008年没)
6代目・磯川常次郎警部 …… 長門 勇(44歳)
金田一耕助もの長編『悪魔の手毬唄』の初ラジオドラマ化
※磯川警部役の長門勇は、翌年に古谷一行の金田一耕助シリーズの「日和警部」役を演じている
映画『犬神家の一族』(1976年10月公開 監督・市川崑 角川春樹事務所 + 東宝)
14代目・金田一耕助 …… 石坂 浩二(35歳)
2代目・橘警察署長 …… 加藤 武(47歳)
金田一耕助もの長編『犬神家の一族』の3度目の映像化
※本作は「興行収入17億円」を記録する大ヒットとなった
映画『悪魔の手毬唄』(1977年4月公開 監督・市川崑 東宝)
14代目・金田一耕助 …… 石坂 浩二(36歳)
7代目・磯川常次郎警部 …… 若山 富三郎(48歳 1992年没)
金田一耕助もの長編『悪魔の手毬唄』の3度目の映像化
※石坂浩二の金田一耕助の前作に登場した加藤武が、橘警察署長に酷似した別人の「橘警部」役で出演している
TVドラマシリーズ『横溝正史シリーズ』(1977年4~10月 全6作27話 TBS)
15代目・金田一耕助 …… 古谷 一行(33歳)
初代・日和勇警部 …… 長門 勇(45歳)
8代目・磯川常次郎警部 …… 有島 一郎(61歳 1987年没)
7代目・等々力大志刑事 …… 早川 保(41歳)
3代目・橘警察署長 …… ハナ 肇(47歳 1993年没)
・『犬神家の一族』(4月放送、4度目の映像化)
・『本陣殺人事件』(5月放送、3度目の映像化)
・『三つ首塔』(5~6月放送、3度目の映像化)
・『悪魔が来りて笛を吹く』(6~7月放送、2度目の映像化)
・『獄門島』(7~8月放送、2度目の映像化)
・『悪魔の手毬唄』(8~10月放送、4度目の映像化)
※古谷一行の金田一耕助シリーズオリジナルの「日和警部」というレギュラーキャラクターが登場する
※日和警部は『犬神家の一族』と『獄門島』には登場しない
※このシリーズでの等々力刑事は日和警部の部下という設定になっている
※このシリーズでの磯川警部は『獄門島』、等々力刑事は『三つ首塔』『悪魔が来りて笛を吹く』、橘署長は『犬神家の一族』にしか登場しない
※このシリーズで橘署長役を演じたハナ肇は、のちの古谷一行の金田一耕助シリーズで3作「日和警部」、15作「等々力警部」を演じている
映画『獄門島』(1977年8月公開 監督・市川崑 東宝)
14代目・金田一耕助 …… 石坂 浩二(36歳)
8代目・等々力大志警部 …… 加藤 武(48歳)
金田一耕助もの長編『獄門島』の3度目の映像化
※この映画の公開は古谷一行版『獄門島』の放送直後だったため、真犯人の設定が変更されている
※原作に登場する刑事は磯川警部だが、石坂浩二版の磯川警部(若山富三郎)は登場しない
映画『八つ墓村』(1977年10月公開 監督・野村芳太郎 松竹)
16代目・金田一耕助 …… 渥美 清(49歳 1996年没)
9代目・磯川常次郎警部 …… 花沢 徳衛(66歳 2001年没)
たたりじゃ~っ!! 金田一耕助もの長編『八つ墓村』の4度目の映像化
※本作は、金田一耕助が登場する映画の中では歴代最高の「興行収入19億9千万円」を記録している
※時代設定が原作の「1948年」ではなく「1970年代現在」に修正されている
単発ドラマ『横溝正史の吸血蛾 美しき愛のバラード』(1977年10月放送 テレビ朝日『土曜ワイド劇場』)
17代目・金田一耕助 …… 愛川 欽也(43歳)
9代目・等々力大志警部 …… 北村 和夫(50歳 2007年没)
金田一耕助もの長編『吸血蛾』の2度目の初映像化
※時代設定が原作の「1955年」ではなく「1970年代現在」に修正されている
※等々力警部役の北村和夫は、1964年にラジオドラマ『支那扇の女』で金田一耕助役を演じている
映画『女王蜂』(1978年2月 監督・市川崑 東宝)
14代目・金田一耕助 …… 石坂 浩二(37歳)
8代目・等々力大志警部 …… 加藤 武(49歳)
金田一耕助もの長編『女王蜂』の2度目の映像化
TVドラマシリーズ『横溝正史シリーズⅡ』(1978年4~10月 全9作30話 TBS)
15代目・金田一耕助 …… 古谷 一行(34歳)
初代・日和勇警部 …… 長門 勇(46歳)
・『八つ墓村』(4~5月放送、5度目の映像化)
・『真珠郎』(5月放送、1936年10~37年2月に連載された横溝正史の「由利麟太郎もの」中編を金田一耕助ものに改変)
・『仮面舞踏会』(6月放送、1974年11月に完成した長編『仮面舞踏会』の初映像化)
・『不死蝶』(7月放送、1958年3月に完成した長編『不死蝶』の初映像化)
・『夜歩く』(7~8月放送、1948年2月~49年12月に連載された長編『夜歩く』の初映像化)
・『女王蜂』(8月放送、3度目の映像化)
・『黒猫亭事件』(9月放送、ラジオドラマ化はされていたが唯一の映像化)
・『仮面劇場』(9~10月放送、1938年10~11月に連載された横溝正史の「由利麟太郎もの」中編を金田一耕助ものに改変)
・『迷路荘の惨劇』(10月放送、1975年5月に完成した長編『迷路荘の惨劇』の初映像化)
※日和警部役の長門勇は、これ以降の古谷一行の金田一耕助シリーズには出演していない
映画『悪魔が来りて笛を吹く』(1979年1月公開 監督・斎藤光正 東映)
18代目・金田一耕助 …… 西田 敏行(32歳)
10代目・等々力大志警部 …… 夏八木 勲(39歳)
金田一耕助もの長編『悪魔が来りて笛を吹く』の3度目の映像化
映画『病院坂の首縊りの家』(1979年5月公開 監督・市川崑 東宝)
14代目・金田一耕助 …… 石坂 浩二(38歳)
8代目・等々力大志警部 …… 加藤 武(50歳)
金田一耕助もの長編『病院坂の首縊りの家』(1975年12月~77年9月連載)の初映像化
※昭和に制作された石坂浩二の金田一耕助シリーズの最終作
※原作では、物語は20年かかって1973年に完結し金田一耕助最後の事件になっているが、映画版は事件発生の年にあっさり解決している
映画『金田一耕助の冒険』(1979年7月公開 監督・大林宣彦 角川春樹事務所 + 東映)
15代目・金田一耕助 …… 古谷 一行(35歳)
11代目・等々力大志警部 …… 田中 邦衛(46歳)
番外・金田一耕助 …… 三船 敏郎(59歳 1997年没)
番外・等々力大志警部 …… 三橋 達也(55歳 2004年没)
金田一耕助もの短編『瞳の中の女』(1958年6月連載)をもとにしたあんまり笑えないセルフパロディ作
※古谷一行の金田一耕助にとって唯一の映画作品だが、あんまり笑えない
※劇中で「金田一耕助と等々力警部を演じている俳優」として三船敏郎と三橋達也が特別出演しているが、あんまり笑えない
※原作者・横溝正史もあんまり笑えない特別出演を果たしているが、これが映画出演としての遺作となった
映画『悪霊島』(1981年10月放送 監督・篠田正浩 角川春樹事務所 + 東映)
19代目・金田一耕助 …… 鹿賀 丈史(31歳)
10代目・磯川常次郎警部 …… 室田 日出男(44歳 2002年没)
横溝正史が執筆した最後の金田一耕助もの長編『悪霊島』(1978年7月~80年3月連載)の初映画化
※映画作品で金田一耕助を演じた俳優の出演時の年齢としては、鹿賀丈史の「31歳」は歴代最年少( TVドラマでの最年少は長瀬智也の26歳)
※映画の公開直後、1981年12月に原作者・横溝正史が死没する(享年79歳)
こんなものすごい勢いだったんですねェ~。あなたは、どの金田一耕助がお好き?
ってなもんで、「角川じるし満点」の第2次ブームにかんするあれこれは、まった次回~。
加藤武、かっこいい~!! まるで役に立たないけど。
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