みなさま、どうもこんばんは~、そうだいでございます。
暑いですね~、熱帯夜ですね~。こちら山形だって、立派な盆地なもんですから毎日30℃超えは当ったり前の猛暑日照り続きなんですが、まぁ風が吹けば少しは涼しくなるし、だいいち、幸運なことに災害には見舞われていませんのでね。ありがたいことでございます。連日の西日本のニュースを見ていますと、私は仕事のことでヒ~ヒ~言ってるだけ、まだまだ幸せなんだなぁ、としみじみ思っちゃいますね。
幸せと言いますと、わたくし最近、かえすがえす「今の子どもたちは本当に幸せもんだなぁ~。」と思わずにはいられません。
だってね、仮面ライダーに、5人戦隊に、ウルトラマンに、プリキュアに、ゴジラに、恐竜に、ゲゲゲの鬼太郎に……夢中になれるエンタメコンテンツが、ほんとにいっぱいですよね。
まさによりどりみどり……実にうらやましい! 私が幼年期を過ごした1980年代って、アニメは確かにそうとうおもしろい作品が目白押しの記憶はあるんですが(神谷明さまと千葉繁さま大車輪のフル稼働!)、特撮といえば5人戦隊ものくらいでしたでしょうか、やってたのは。ですから、『仮面ライダーBLACK』(1987~88年放送)が始まったときは、うれしかったうれしかった! 小学生にとっては、ちょっと怖い雰囲気もありましたけど、夢中になって観てました。『ウルトラマンティガ』(1996~97年放送)はもうだいぶ大きくなってからの放送でしたから、正直申しますとオンエアはチェックしてませんでした。ゴジラシリーズとウルトラシリーズは、もっぱらレンタルビデオでしか知りませんでしたね。1984年版『ゴジラ』は怖かったなぁ~! 怖かったし、最後に小林桂樹総理大臣が泣く意味もさっぱりわかんなかったし。未就学児にはちょっと高度過ぎる my first ゴジラでしたね。
いやはやほんと、タイムマシンでその当時の私を現在に連れてきちゃったら、ドキドキワクワクしすぎて30秒ともたずに頓死してしまうのではないのでしょうか。深海魚みたいなもんですよね。そう、1980年代の映像世界はわたくしにとりまして、昭和特撮の遺産とキョンシー映画と第3期『ゲゲゲの鬼太郎』(1985~88年放送)くらいしか養分の無い沈黙の世界だったのです……って、充分すぎるほどに栄養はありますか。かたよりまくりだけど。
そしてねぇ、それらのヒーローたちに続いて、ついにあの「金田一耕助」までもが、不定期ながらもなんとな~く「シリーズ化する……かもヨ?」という雰囲気で帰って来やがりました! なんちゅうことや!! 稲垣金田一以来、およそ10年ぶりの快挙だ、こりゃ!
……と思って、意気揚々とNHK BSプレミアムにチャンネルを合わせたわけだったのですが、これがちょっと、いかにもBS プレミアム版らしい変化球な作品だったわけなんですなぁ。
以下、原作小説と、今回のドラマ化に関するもろもろをば~。
ドラマ『悪魔が来りて笛を吹く』(2018年7月放送 NHK BSプレミアム『スーパープレミアム』)
34代目・金田一耕助 …… 吉岡 秀隆(47歳)
20代目・等々力大志警部 …… 池田 成志(55歳)
『悪魔が来りて笛を吹く(あくまがきたりてふえをふく)』は、横溝正史の長編推理小説。「金田一耕助シリーズ」の一作で、1951年11月~53年11月に連載された。
本作を原作として、これまで映画2本・TVドラマ5本(2018年版を含む)・ラジオドラマ1本・舞台1作が制作された。また、コミカライズもされている。
太平洋戦争後の混乱の時期である昭和二十二(1947)年9~10月、『黒猫亭事件』(1947年3月)と『夜歩く』事件(1948~49年)の間ごろに起きた事件を扱った、貴族没落、インモラルな性描写を濃厚に示す作品である。帝銀事件(1948年1月発生)や太宰治の『斜陽』(1947年6~9月連載)などの要素を取り込み、本格推理小説の定番「密室殺人」を扱い、他作品とは異なった雰囲気をかもし出し、作者の人気作品のひとつとなっている。
ちなみに、作者自身は本作を、「金田一もの自選ベスト10」の第6位に推している(第1位『獄門島』、第2位『本陣殺人事件』、第3位『犬神家の一族』、第4位『悪魔の手毬唄』、第5位『八つ墓村』)。
本作が完結するまで連載にして丸2年と1ヶ月を要したのは、作者の横溝の病気休載もあったからで、このため連載回数は計21回とかなり長いものとなった。
主なキャスティング
椿 美禰子(みねこ)…… 志田 未来(25歳)
椿 秌子(あきこ) …… 筒井 真理子(57歳)
新宮 利彦 …… 村上 淳(45歳)
新宮 華子 …… 篠原 ゆき子(37歳)
新宮 一彦 …… 中島 広稀(24歳)
玉虫 公丸 …… 中村 育二(64歳)
目賀 重亮 …… 山西 惇(55歳)
菊江 …… 倉科 カナ(30歳)
三島 東太郎 …… 中村 蒼(27歳)
堀井 駒子 …… 黒沢 あすか(46歳)
堀井 小夜子 …… 小林 涼子(28歳)
慈道和尚 …… 火野 正平(69歳)
沢村刑事 …… 市川 知宏(26歳)
椿 英輔(ひですけ)…… 益岡 徹(61歳)
下宿の女将せつ子 …… 倍賞 美津子(71歳)
主なスタッフ
脚本 …… 喜安 浩平(43歳)
演出 …… 吉田 照幸(48歳)
はい、ということでありまして、本作は言うまでもなく、2016年11月に同じNHK BSプレミアムで放送されました、第32代金田一耕助こと長谷川博己さん主演によるスペシャルドラマ『獄門島』と、脚本家&演出家が同じという点で、純然たる続編という位置づけになりそうです。ただし、直接前作のことに言及する描写はないので、2作が同じシリーズ作品であるということを主張する演出はありません。強いて挙げるのならば、今回、電話口の声のみで出演した岡山の磯川警部役の俳優さんが同じ人、というくらいでしょうか。
いちおう、前作のラストで「次は『悪魔が来りて笛を吹く』……?」というサービス演出はあったのですが、映像化されるまで2年近くかかっちゃったし、東京に着いたら、金田一さんが別人みたいになっちゃってた……おそらく、『獄門島』での例のものすんごい告発シーンで、エネルギーを使い過ぎてしまったのでしょう。白髪は増えるし、10歳くらい老け込むし。
ちなみに、原作小説の時間軸によりますと、『獄門島』事件(1946年10月発生)と『悪魔が来りて笛を吹く』事件(1947年9~10月発生)とのあいだには約1年の開きがあり、その間に金田一さんも東京で数件の事件を解決しています。ですから、BS プレミアム版『獄門島』のラストは、まさしく『バットマン ビギンズ』みたいなお遊びですよね。
さらにちなみに、その間の事件の中には、長谷川金田一の『獄門島』放送のわずか翌週に同じ NHK BSプレミアムで放送されたドラマシリーズ『横溝正史短編集 金田一耕助登場!』にある『黒蘭姫』と『殺人鬼』がしっかりありました(第33代金田一耕助として池松壮亮が出演)。う~ん、BSプレミアムはかなり本気だ!!
でも……そうなんだったら、今回の『悪魔が来りて笛を吹く』だって、原作では当時金田一耕助34歳と推定されるフレッシュな駆け出し期なんだから、30代の長谷川さんか、20代の池松くんにそのまんま続投してもらった方が自然だったかと思うんですがね。なしてここにきて、新たなる、しかし金田一耕助シリーズにはちょっとした因縁のある(『八つ墓村』!)吉岡さんが34代目として名乗りを上げてしまったのでしょうか。
ただ! やっぱりドラマ本編を観てみましたら、こりゃまぁ吉岡金田一で良かったのだろうなぁ、と納得させられてしまう点は大でした。
なんてったって、『悪魔が来りて笛を吹く』はジメジメ&ドロドロ!! 1979年の映画版では、そこに明るいイメージの西田敏行さんを金田一役として投入し中和をこころみた意図を感じましたが、今回は「もういいや、こうなったら思いっきりジメジメした人に解決してもらおう! むかえジメジメ!!」という開き直りを感じました。そこに作品の一貫性が生まれたのは、良かったのではないでしょうか。でも、「もう二度と見直したくない……」という副作用も大きいかも。
原作小説での、あの詩的でロマンティックな真犯人の最期って、たぶん横溝正史先生の感覚としては、絶対に必要な、読者に対するはからいだったと思うんですよね。そんなにきれいにしてどうするんだと言いながらも、やっぱり最後くらい美しくしないと後味が悪すぎるやろ、と。
そこを、今回のドラマ版はきれいさっぱりかなぐり捨ててますからね。まったく、前作の『獄門島』同様の、「現実はそんなもんじゃねぇぞコノヤロー!!」というビターでロックなアレンジを見せつけられるクライマックスシーンでした。
だから、演出の吉田さんって、横溝正史ワールドのロマンとは本質的にまるで合わない人なんだろうなぁ、と思うのですが、その不協和音こそが、このシリーズの最大の魅力なのかも知れませんね。今までの映像化作品と同じ、お涙ちょうだいのクライマックスには絶対にしねぇぞ、という若さと気迫があふれているわけです。いいじゃないですか~。
次回もホントに楽しみなわけですが、磯川警部からの電話を聞いた時の吉岡さんの表情は実におもしろかったです。
「え……それ、おれ、金田一として行くの? それとも、寺田辰弥として!?」
みたいな。実に40年ぶりの帰郷ですよね。
しかしま~、吉岡さんもそうだし、椿秌子役の筒井真理子さんもそうですし、最近の役者さんはみなさん、若いですね~!! よく見ればそれなりに老けてるわけですが、吉岡さん、演技や声の点では40代後半とはぜんぜん見えませんでしたよね。等々力警部もそんなに歳がいってるとは。
キャスティングに関して言うと、『悪魔が来りて笛を吹く』って、役の職業と俳優のお名前とを見比べて、なんとなく真犯人が誰かわかっちゃう典型例ですよね、地味に。「え? そんなパッとしない役に、こんな実力派俳優が?」みたいな。市川崑金田一シリーズの「いちばん豪華な女優が真犯人」の法則とはまた違った感じで。
ただ、今回の脚本アレンジでは、真犯人は「悪魔そのもの」というよりも、「悪魔に運命を振り回されてしまった哀れな人」という変更がなされていたので、かつての映像作品ほどのショッキングな豹変はなかったように感じました。真犯人と判明しても、あくまで人間だな、みたいな。
『八つ墓村』か~!! 次はどんだけロックなアレンジがされるのかな!? そして、金田一耕助はまた「岡山もの」ということで、長谷川さんに顔が戻るのかな? そしたら、金田一さんはどんなブチギレ推理を披露してくれるのでありましょうか!? 実にたんのしみですね~。
「何日だって待ちますヨ。あたしは。」(1976年版『犬神家の一族』より 犬神竹子の台詞)
暑いですね~、熱帯夜ですね~。こちら山形だって、立派な盆地なもんですから毎日30℃超えは当ったり前の猛暑日照り続きなんですが、まぁ風が吹けば少しは涼しくなるし、だいいち、幸運なことに災害には見舞われていませんのでね。ありがたいことでございます。連日の西日本のニュースを見ていますと、私は仕事のことでヒ~ヒ~言ってるだけ、まだまだ幸せなんだなぁ、としみじみ思っちゃいますね。
幸せと言いますと、わたくし最近、かえすがえす「今の子どもたちは本当に幸せもんだなぁ~。」と思わずにはいられません。
だってね、仮面ライダーに、5人戦隊に、ウルトラマンに、プリキュアに、ゴジラに、恐竜に、ゲゲゲの鬼太郎に……夢中になれるエンタメコンテンツが、ほんとにいっぱいですよね。
まさによりどりみどり……実にうらやましい! 私が幼年期を過ごした1980年代って、アニメは確かにそうとうおもしろい作品が目白押しの記憶はあるんですが(神谷明さまと千葉繁さま大車輪のフル稼働!)、特撮といえば5人戦隊ものくらいでしたでしょうか、やってたのは。ですから、『仮面ライダーBLACK』(1987~88年放送)が始まったときは、うれしかったうれしかった! 小学生にとっては、ちょっと怖い雰囲気もありましたけど、夢中になって観てました。『ウルトラマンティガ』(1996~97年放送)はもうだいぶ大きくなってからの放送でしたから、正直申しますとオンエアはチェックしてませんでした。ゴジラシリーズとウルトラシリーズは、もっぱらレンタルビデオでしか知りませんでしたね。1984年版『ゴジラ』は怖かったなぁ~! 怖かったし、最後に小林桂樹総理大臣が泣く意味もさっぱりわかんなかったし。未就学児にはちょっと高度過ぎる my first ゴジラでしたね。
いやはやほんと、タイムマシンでその当時の私を現在に連れてきちゃったら、ドキドキワクワクしすぎて30秒ともたずに頓死してしまうのではないのでしょうか。深海魚みたいなもんですよね。そう、1980年代の映像世界はわたくしにとりまして、昭和特撮の遺産とキョンシー映画と第3期『ゲゲゲの鬼太郎』(1985~88年放送)くらいしか養分の無い沈黙の世界だったのです……って、充分すぎるほどに栄養はありますか。かたよりまくりだけど。
そしてねぇ、それらのヒーローたちに続いて、ついにあの「金田一耕助」までもが、不定期ながらもなんとな~く「シリーズ化する……かもヨ?」という雰囲気で帰って来やがりました! なんちゅうことや!! 稲垣金田一以来、およそ10年ぶりの快挙だ、こりゃ!
……と思って、意気揚々とNHK BSプレミアムにチャンネルを合わせたわけだったのですが、これがちょっと、いかにもBS プレミアム版らしい変化球な作品だったわけなんですなぁ。
以下、原作小説と、今回のドラマ化に関するもろもろをば~。
ドラマ『悪魔が来りて笛を吹く』(2018年7月放送 NHK BSプレミアム『スーパープレミアム』)
34代目・金田一耕助 …… 吉岡 秀隆(47歳)
20代目・等々力大志警部 …… 池田 成志(55歳)
『悪魔が来りて笛を吹く(あくまがきたりてふえをふく)』は、横溝正史の長編推理小説。「金田一耕助シリーズ」の一作で、1951年11月~53年11月に連載された。
本作を原作として、これまで映画2本・TVドラマ5本(2018年版を含む)・ラジオドラマ1本・舞台1作が制作された。また、コミカライズもされている。
太平洋戦争後の混乱の時期である昭和二十二(1947)年9~10月、『黒猫亭事件』(1947年3月)と『夜歩く』事件(1948~49年)の間ごろに起きた事件を扱った、貴族没落、インモラルな性描写を濃厚に示す作品である。帝銀事件(1948年1月発生)や太宰治の『斜陽』(1947年6~9月連載)などの要素を取り込み、本格推理小説の定番「密室殺人」を扱い、他作品とは異なった雰囲気をかもし出し、作者の人気作品のひとつとなっている。
ちなみに、作者自身は本作を、「金田一もの自選ベスト10」の第6位に推している(第1位『獄門島』、第2位『本陣殺人事件』、第3位『犬神家の一族』、第4位『悪魔の手毬唄』、第5位『八つ墓村』)。
本作が完結するまで連載にして丸2年と1ヶ月を要したのは、作者の横溝の病気休載もあったからで、このため連載回数は計21回とかなり長いものとなった。
主なキャスティング
椿 美禰子(みねこ)…… 志田 未来(25歳)
椿 秌子(あきこ) …… 筒井 真理子(57歳)
新宮 利彦 …… 村上 淳(45歳)
新宮 華子 …… 篠原 ゆき子(37歳)
新宮 一彦 …… 中島 広稀(24歳)
玉虫 公丸 …… 中村 育二(64歳)
目賀 重亮 …… 山西 惇(55歳)
菊江 …… 倉科 カナ(30歳)
三島 東太郎 …… 中村 蒼(27歳)
堀井 駒子 …… 黒沢 あすか(46歳)
堀井 小夜子 …… 小林 涼子(28歳)
慈道和尚 …… 火野 正平(69歳)
沢村刑事 …… 市川 知宏(26歳)
椿 英輔(ひですけ)…… 益岡 徹(61歳)
下宿の女将せつ子 …… 倍賞 美津子(71歳)
主なスタッフ
脚本 …… 喜安 浩平(43歳)
演出 …… 吉田 照幸(48歳)
はい、ということでありまして、本作は言うまでもなく、2016年11月に同じNHK BSプレミアムで放送されました、第32代金田一耕助こと長谷川博己さん主演によるスペシャルドラマ『獄門島』と、脚本家&演出家が同じという点で、純然たる続編という位置づけになりそうです。ただし、直接前作のことに言及する描写はないので、2作が同じシリーズ作品であるということを主張する演出はありません。強いて挙げるのならば、今回、電話口の声のみで出演した岡山の磯川警部役の俳優さんが同じ人、というくらいでしょうか。
いちおう、前作のラストで「次は『悪魔が来りて笛を吹く』……?」というサービス演出はあったのですが、映像化されるまで2年近くかかっちゃったし、東京に着いたら、金田一さんが別人みたいになっちゃってた……おそらく、『獄門島』での例のものすんごい告発シーンで、エネルギーを使い過ぎてしまったのでしょう。白髪は増えるし、10歳くらい老け込むし。
ちなみに、原作小説の時間軸によりますと、『獄門島』事件(1946年10月発生)と『悪魔が来りて笛を吹く』事件(1947年9~10月発生)とのあいだには約1年の開きがあり、その間に金田一さんも東京で数件の事件を解決しています。ですから、BS プレミアム版『獄門島』のラストは、まさしく『バットマン ビギンズ』みたいなお遊びですよね。
さらにちなみに、その間の事件の中には、長谷川金田一の『獄門島』放送のわずか翌週に同じ NHK BSプレミアムで放送されたドラマシリーズ『横溝正史短編集 金田一耕助登場!』にある『黒蘭姫』と『殺人鬼』がしっかりありました(第33代金田一耕助として池松壮亮が出演)。う~ん、BSプレミアムはかなり本気だ!!
でも……そうなんだったら、今回の『悪魔が来りて笛を吹く』だって、原作では当時金田一耕助34歳と推定されるフレッシュな駆け出し期なんだから、30代の長谷川さんか、20代の池松くんにそのまんま続投してもらった方が自然だったかと思うんですがね。なしてここにきて、新たなる、しかし金田一耕助シリーズにはちょっとした因縁のある(『八つ墓村』!)吉岡さんが34代目として名乗りを上げてしまったのでしょうか。
ただ! やっぱりドラマ本編を観てみましたら、こりゃまぁ吉岡金田一で良かったのだろうなぁ、と納得させられてしまう点は大でした。
なんてったって、『悪魔が来りて笛を吹く』はジメジメ&ドロドロ!! 1979年の映画版では、そこに明るいイメージの西田敏行さんを金田一役として投入し中和をこころみた意図を感じましたが、今回は「もういいや、こうなったら思いっきりジメジメした人に解決してもらおう! むかえジメジメ!!」という開き直りを感じました。そこに作品の一貫性が生まれたのは、良かったのではないでしょうか。でも、「もう二度と見直したくない……」という副作用も大きいかも。
原作小説での、あの詩的でロマンティックな真犯人の最期って、たぶん横溝正史先生の感覚としては、絶対に必要な、読者に対するはからいだったと思うんですよね。そんなにきれいにしてどうするんだと言いながらも、やっぱり最後くらい美しくしないと後味が悪すぎるやろ、と。
そこを、今回のドラマ版はきれいさっぱりかなぐり捨ててますからね。まったく、前作の『獄門島』同様の、「現実はそんなもんじゃねぇぞコノヤロー!!」というビターでロックなアレンジを見せつけられるクライマックスシーンでした。
だから、演出の吉田さんって、横溝正史ワールドのロマンとは本質的にまるで合わない人なんだろうなぁ、と思うのですが、その不協和音こそが、このシリーズの最大の魅力なのかも知れませんね。今までの映像化作品と同じ、お涙ちょうだいのクライマックスには絶対にしねぇぞ、という若さと気迫があふれているわけです。いいじゃないですか~。
次回もホントに楽しみなわけですが、磯川警部からの電話を聞いた時の吉岡さんの表情は実におもしろかったです。
「え……それ、おれ、金田一として行くの? それとも、寺田辰弥として!?」
みたいな。実に40年ぶりの帰郷ですよね。
しかしま~、吉岡さんもそうだし、椿秌子役の筒井真理子さんもそうですし、最近の役者さんはみなさん、若いですね~!! よく見ればそれなりに老けてるわけですが、吉岡さん、演技や声の点では40代後半とはぜんぜん見えませんでしたよね。等々力警部もそんなに歳がいってるとは。
キャスティングに関して言うと、『悪魔が来りて笛を吹く』って、役の職業と俳優のお名前とを見比べて、なんとなく真犯人が誰かわかっちゃう典型例ですよね、地味に。「え? そんなパッとしない役に、こんな実力派俳優が?」みたいな。市川崑金田一シリーズの「いちばん豪華な女優が真犯人」の法則とはまた違った感じで。
ただ、今回の脚本アレンジでは、真犯人は「悪魔そのもの」というよりも、「悪魔に運命を振り回されてしまった哀れな人」という変更がなされていたので、かつての映像作品ほどのショッキングな豹変はなかったように感じました。真犯人と判明しても、あくまで人間だな、みたいな。
『八つ墓村』か~!! 次はどんだけロックなアレンジがされるのかな!? そして、金田一耕助はまた「岡山もの」ということで、長谷川さんに顔が戻るのかな? そしたら、金田一さんはどんなブチギレ推理を披露してくれるのでありましょうか!? 実にたんのしみですね~。
「何日だって待ちますヨ。あたしは。」(1976年版『犬神家の一族』より 犬神竹子の台詞)
ワタシ的には金田一耕助はもう少し線の細い方にやって欲しかった!ああ、そこが心残り。
TVドラマということもあるでしょうが、番組の予算がなかなかタイトなんでしょうかね。菊江さんの指の欠損とかはしっかり映像化していてすごいなと思ったのですが、須磨の別荘跡がものの見事に「空き地に2~3コつくりものを置きました。」っていう感じで、廃墟感がまるでなかったのが印象的でした。
吉岡金田一というのは確実に安全な選択だとは思ったのですが、おっしゃる通り、もっと若くて飢餓感のある役者さんに演じて欲しかったような気はしました。
なんで長谷川さんか池松くんで継続しなかったんでしょうかね?