映画『ジュラシック・ワールド』(2015年6月12日公開 125分 アメリカ)
『ジュラシック・ワールド(Jurassic World)』は、映画『ジュラシック・パーク』シリーズの第4作である。
2011年にアメリカのカリフォルニア州サンディエゴで開催された大衆文化に関するコンベンション大会「コミコン・インターナショナル」に出席したスティーヴン=スピルバーグは、『ジュラシック・パーク4』の製作準備が進行中で、新しい脚本もすでに書かれていることを明らかにした。
2013年1月、ユニバーサル・ピクチャーズは『ジュラシック・パーク4』が3Dカメラで撮影されると発表し、そして3月、コリン=トレボロウが監督およびデレク=コノリーとの共同脚本を務めて製作されることが明らかになった。同年6月にルイジアナ州バトンルージュのローリースタジオで撮影がクランクインし、後にハワイのカウアイ島でも撮影が始まった。推定総製作費約1億5千万ドル。
出演者には、2014年2月にヴィンセント=ドノフリオが悪役で出演することが決定し、イルファーン=カーンはイスラ・ヌブラル島のパーク施設を運営する大企業の所有者として出演し、またシリーズ1作目にエンジニアのヘンリー=ウー役で登場したブラッドリー=ダリル=ウォンが再び、22年ぶりに同役で出演することも決まった。
本作には、恐竜に関する最新の学説に基づいた「羽毛のある恐竜」は登場せず、シリーズとしては初めて「海生爬虫類」であるモササウルスが登場する。また、マイクル=クライトンによる原作小説に登場したカルノタウルスの性質に影響を受けたと思われる、遺伝子組み換えによって人間に創造された新種の肉食恐竜が登場し、本作で重要な役割を果たしている。
なお、シリーズ第1・2作にジョン=ハモンド役で出演したリチャード=アッテンボローは、本作公開前の2014年8月に死去したため、本作には出演できなかった。
2015年6月12日にアメリカをはじめとする世界各国で封切られ、オープニング週末3日間の興行成績が、全世界合計で約5億2410万ドル(約630億円)という驚異的な数字を記録し、堂々の第1位を記録した。日本での公開予定日は当初2015年8月7日だったが、世界でのメガヒットを受けて同年8月5日に繰り上げられ、公開後19日の時点で、公開2週間という驚異的なスピードで累計興行収入約50億2700万円、観客動員数約340万人を記録した。
アメリカ・カナダ圏での興行成績は6億2千万ドル、世界全体での興行成績は15億4千万ドルを突破した(2015年7月時点)。
あらすじ
イスラ・ヌブラル島で起こった「ジュラシック・パーク」事件から22年後。
パークを計画したインジェン社はマスラニ・グローバル社(マスラニ社)に買収され、島はサイモン=マスラニ社長の所有となる。マスラニ社は、インジェン社の創立者である故ジョン=ハモンドが夢見た恐竜のテーマパークを、改めて「ジュラシック・ワールド」として実現させ、パークは今や、世界中から1日2万人の旅行者が訪れる人気の観光施設として成功していた。
パークの運営責任者であるクレア=ディアリングは、訪ねてきた甥のザックとグレイに構っている間もないほど、忙しく働いていた。クレアは2人の世話をアシスタントのザラに任せ、オーナーのサイモンと、遺伝子操作によって創造された初のハイブリッド恐竜「インドミナス・レックス」について協議する。サイモンは、インドミナスを飼育するための防壁が適切かどうか、ヴェロキラプトル(ラプトル)の調教師であるオーウェン=グラディに意見を聞こうとする。その頃オーウェンは、パークの警備部門主任ヴィック=ホスキンスに、ラプトルを兵器として軍事利用する話を持ちかけられていた。
クレアとオーウェンは、かつて交際していた仲だったが、性格の不釣合いで現在は別れていた。オーウェンは、クレアから伝えられたサイモンの要請を渋々受け入れてインドミナスの飼育エリアに向かうが、インドミナスは遺伝子操作によって手に入れた体温調節能力を利用し、飼育員2名を殺し、防壁を突き破って脱出してしまう。
管理棟に戻ったクレアは、マスラニ社の私設兵隊を出動させてインドミナスを追跡させるが、インドミナスは保護色を使って兵士たちをかく乱し、捕獲作戦は失敗に終わる。クレアはパークの北半分を閉鎖し、来場客全員をパーク中央のメインエリアに避難させるようスタッフに命じるが、ザラの目を盗んで逃げ出したザックとグレイは、パークの避難指示を無視して散策を続け、インドミナスが逃げ込んだ立ち入り禁止の森林エリアに入ってしまうのだった。
主な登場人物
オーウェン=グラディ …… クリス=プラット(36歳)
もと軍人でヴェロキラプトルの行動を研究し、ヴェロキラプトルの訓練を試みるパークの恐竜監視員。シリーズ第1作目に登場した恐竜監視員ロバート=マルドゥーンの役職を引き継いでおり、マルドゥーンの着用していた物と同じ型のジャケットを着ている。
クレア=ディアリング …… ブライス=ダラスハワード(34歳)
もとインジェン社の科学者で、パークの運用管理者。姉のカレンに、パークに来園した甥たちの世話を頼まれるが、株主対策の業務に追われていたために秘書のザラに面倒を見させる。オーウェンとかつて交際していたが破局している。
ザック=ミッチェル …… ニック=ロビンソン(20歳)
クレアの甥で、グレイの兄。恐竜にはあまり興味がないらしく、いつもスマートフォンをいじっている。
グレイ=ミッチェル …… タイ=シンプキンス(13歳)
クレアの甥で、ザックの弟。大の恐竜好きでパーク内でよくはしゃいでいる。洞察力に優れており、両親が離婚しようとしていることにも気づいていた。
カレン=ミッチェル …… ジュディ=グリア(40歳)
ザックとグレイの母親で、クレアの姉。夫のスコットとは一見仲が良さそうに見えるが、実は離婚調停中だった。
ロウリー=クルーザース …… ジェイク=ジョンソン(36歳)
パークに常勤する、テクノロジーに精通したマスラニ社のオペレーター。インターネットオークションで購入したインジェン社時代の「ジュラシック・パーク」Tシャツを着ている。幼い頃から恐竜が好きで、失敗した「ジュラシック・パーク」の噂に興味をそそられていた。
ヴィヴィアン=オキアミ …… ローレン=ラプクス(?歳)
パークのオペレーターで、ロウリーの同僚。
ザラ=ヤング …… ケイティ=マクグラス(32歳)
クレアの個人秘書。パークを訪れたクレアの甥のザックとグレイの世話をしていたが逃げられてしまう。
バリー …… オマール=シー(37歳)
オーウェンの親友で、オーウェンと共にヴェロキラプトルの調教をするパークの従業員。
ヘンリー=ウー …… ブラッドリー=ダリル=ウォン(54歳)
シリーズ第1作目にも登場していた、もと「ジュラシック・パーク」の遺伝子エンジニア。ジュラシック・パーク事件の1年後から、インジェン社のチームとともにイスラ・ヌブラル島に取り残された恐竜たちの研究を続けていた。恐竜の様々な種を組み合わせることによって新しい種を創造できると主張しており、サイモン=マスラニの賛同を得ていた。
インジェン社を自社の傘下に置いたサイモンによって2000年に抜擢され、「ジュラシック・ワールド」の建設におけるマスラニ社の重要な遺伝子学者として再び活躍することとなった。
サイモン=マスラニ …… イルファーン=カーン(48歳)
マスラニ・グローバル社(マスラニ社)の最高財務責任者で、「ジュラシック・ワールド」の設立および所有者。1970年代初頭に設立されたインドの通信ネットワーク会社マスラニ社の創立者サンジェイ=マスラニの御曹司。父サンジェイは、インジェン社の創立者ジョン=ハモンドの親友だった。1992年に亡くなった父に続いてマスラニ社の後を継ぎ、通信ネットワーク以外にも石油発掘など世界各国で様々な産業も行い成功を収める。
1998年に、財政危機に陥っていたインジェン社の買収に成功し、2002年から3年間の歳月をかけて「ジュラシック・ワールド」の建設を行った。
脱走したインドミナスの射殺を主張したオーウェンに対し、「巨額の金をかけたのだから簡単には殺せない。」と生け捕りを命じる局面もあったが、パークの安全性のためならば出資は惜しまないと発言したり、安全性を高めるために部下のオーウェンの意見を聞こうとしたり、ホスキンスからのラプトルの捕獲作戦への利用の提案を断る、インドミナスを創造したウーを叱責する、捕獲チームの失敗後に自らヘリを操縦してインドミナスを追うなど、ある程度のモラルのある一面も見せていた。
ヴィック=ホスキンス …… ヴィンセント=ドノフリオ(56歳)
「ジュラシック・ワールド」の警備を担当するセキュリティ部門のリーダー。パークの安全対策のためにインジェン社からマスラニに雇われた。
シリーズ第3作の後にイスラ・ソルナ島から脱出してカナダに飛来した3頭のプテラノドンを退治し、2001年からは「ジュラシック・ワールド」建設工事現場での労働者の安全を守るために雇われた、という経歴がある。
登場する恐竜及び古生物
ヴェロキラプトル(体長2.0メートル)
本作では、獰猛な性質からパーク内で一般公開はされておらず、人間を信頼するようにオーウェンらの調教を受けている。
ヴェロキラプトルの行動を研究するオーウェンに命名された、長女「ブルー」、次女「デルタ」、三女「エコー」、四女「チャーリー」の4姉妹が行動を共にする。遺伝子操作と戦闘訓練により、過去シリーズに登場した個体よりも戦闘能力が上がっており、過去作同様に高い知能を持ち、調教師であるオーウェンの指示を聞き分けることができる。同時に孵化した姉妹であり、彼女たちを幼少から育ててきたオーウェンにとっては実の娘同然の存在でもある。脱走したインドミナスに対応するため、オーウェンと共に討伐作戦に赴く。
ティラノサウルス・レックス(体長11~13メートル)
シリーズ第1作に登場した個体と同一のティラノサウルスで、首にはクライマックスでのヴェロキラプトルとの戦いで付けられた傷跡が残っている。
ジュラシック・ワールド建設開始に前後してマスラニ社に捕獲され、25年間以上生きた長寿のティラノサウルスとして、パークの目玉となって飼育されている。
モササウルス(体長約12~18メートル)
シリーズで初めて登場する巨大海生爬虫類。
パークの湖エリアでは、イルカショーのように餌のホオジロザメを捕食するアトラクションが催されており、複数飼育されている。本作に登場するのは1頭のみ。
アパトサウルス(体長21~26メートル)
パーク最大の巨体を誇る恐竜。
作中では、アパトサウルスの頭部がアニマトロニクスで再現されている。
アンキロサウルス(体長5~11メートル)
「生きた装甲車」とも呼ばれる鎧竜。他の草食恐竜たちとは異なりジャングルの中に棲息している。
ガリミムス(体長4~6メートル)
草食恐竜。パーク内の「ガリミムス・バレー」で群れで飼育されている。
パキケファロサウルス(体長4~8メートル)
草食恐竜。パーク内の「パキケ・アリーナ」で飼育されている。
ディロフォサウルス(体長5~7メートル)
エリマキトカゲに似たフリルと、特徴的なトサカを持つ肉食恐竜。
本作では実物は登場せず、威嚇する様子を立体映像として映し出すことでヴェロキラプトルの足止めに利用された。
パラサウロロフス(体長10~13メートル)
カモノハシ型草食恐竜。
ステゴサウルス(体長7メートル)
草食恐竜。
トリケラトプス(体長9メートル)
角竜型草食恐竜。
ディモルフォドン(翼長1.4メートル)
小型の翼竜。インドミナスの脱走によって引き起こされた混乱の中で多くの個体が脱走し、パーク内に取り残された観光客を襲撃する。
プテラノドン(翼長7~9メートル)
大型の翼竜。インドミナスの脱走によって引き起こされた混乱の中で多くの個体が脱走し、パーク内に取り残された観光客を襲撃する。
インドミナス・レックス(体長12メートル)
本作に登場する架空の恐竜。
ティラノサウルスの DNAをベースに、ヴェロキラプトル、カルノタウルス、ギガノトサウルス、テリジノサウルスなどの DNAを加えて遺伝子組み換えによって誕生させたキメラ恐竜。コウイカやアマガエルなどの現存種の遺伝子も取り込まれている。その頭部はティラノサウルスよりも、むしろギガノトサウルスのそれを彷彿とさせる厚みの比較的薄いものとなっている。これは腕部が著しく肥大化したために、身体のバランスを崩すことを防ぐためのデザインと推測される(実際、ティラノサウルスの腕部が異様に小さい理由として、その巨大な頭部と釣り合いをとるためという説がある)。
ティラノサウルスを上回る巨体になるようにデザインされており、完全に成長すれば15メートル以上に達すると言われている。成長促進のために取り込まれたコウイカの DNAにより、カメレオンのように体色を変えることができるカモフラージュ能力の他、アマガエルの DNAによる赤外線反射能力、テリジノサウルスの DNAによる非常に大きく力強い前肢と、強化ガラスを一撃で突き破る爪、140~160デシベルにもなる雄叫び、生まれた時に埋め込まれた追跡装置の位置を正確に記憶して体内から取り除き、さらにそれを囮として利用するほどの高い知能、他の恐竜を楽しんで殺す残忍性を持つ。
なお、体色を変えるカモフラージュ能力を持つという特徴は、原作小説『ロスト・ワールド ジュラシック・パーク2』に登場したカルノタウルスに影響を受けたと言われている。
劇中未登場の恐竜たち
劇中には登場しないものの、ジュラシック・ワールドのパンフレットによれば飼育されている設定となっている。
バリオニクス(体長8~10メートル)
シリーズ第3作に登場したスピノサウルス(体長15~17メートル)に近い、魚食型の肉食恐竜。
スコミムス(体長11メートル)
シリーズ第3作に登場したスピノサウルスに近い、魚食型の肉食恐竜。
エドモントサウルス(体長9~13メートル)
パラサウロロフスに近いカモノハシ型草食恐竜。
ミクロケラトゥス(体長2メートル)
トリケラトプスに近い角竜型草食恐竜。「ジュラシック・パーク」時代から復元されていた恐竜とされているが、映像作品には登場していない。
メトリアカントサウルス(体長7~8メートル)
ティラノサウルスの遠い祖先にあたる肉食恐竜(アロサウルスに近い)。「ジュラシック・パーク」時代から復元されていた恐竜とされているが、映像作品には登場していない。
テーマパーク「ジュラシック・ワールド」について
舞台となった島はシリーズ第1作と同じ、イスラ・ヌブラル島という架空の島である。イスラ・ヌブラル島はマスラニ社の最高財務責任者サイモン=マスラニがインジェン社を買収したため、マスラニ社が島を所有することとなる。そしてマスラニ社が島で新たなる恐竜のテーマパーク「ジュラシック・ワールド」の建設を行った。マスラニ社はパーク建設のために12億ドルを費やしたとされている。
『ジュラシック・パーク』の原作小説では、島の中心部に広大な人造湖があるとされていたものの、映像作品ではこれまで描写されてこなかったが、本作では「ジュラシック・ワールド・ラグーン(イスラ・ヌブラル・ラグーン)」という名前の湖として登場し、湖に面して「ジュラシック・ワールド」のビジターセンターなどの観光施設が作られている。「ジュラシック・ワールド」のビジターセンターには、「ジュラシック・パーク」創設者のジョン=ハモンドの銅像が設置されている。
「ジュラシック・ワールド」は2005年6月に開園し、開園1ヶ月で9万8120人の訪問客を記録し、現在は年間1000万人の観光客が訪れるパークとなっている。パークは訪問客を増やすために様々な新型アトラクションを行い、訪問客は増えていった。島の中心の人造湖「ジュラシック・ワールド・ラグーン(イスラ・ヌブラル・ラグーン)」に面したビジターセンターを中心に島の最南端まで、パーク施設が新たに作られており、生物学的環境の維持、サファリ、動物園とテーマパークからなる、シーランド風リゾート様式の一大総合娯楽施設となっている。島にはヘリポートや港施設などがあり、ヘリコプターやフェリーボートで島に行けるようになっている。ビジターセンターを中心にモノレール駅、恐竜を造る創造ラボ、植物園、サムスンイノベーションセンター、ヒルトンホテルやレストランやゴルフコースやなどの施設がある観光客領域が広がり、パーク内での乗り物やアトラクションによる観光では、「T・レックス王国」、鳥小屋、「白亜紀クルーズ」、ラグーンに面した水中観測所などの施設がある。恐竜ショーでは「トリケラトプス・テリトリー」と「パキケ・アリーナ」、ラグーンで行われるモササウルスの餌やりショーなどが行われ、パーク内には18種の恐竜が生息している。 その他、インドミナス・レックスという新種の恐竜を飼育するための非公開の飼育エリアなどがある。
島の北部には、活火山であるシボ山があり、パークの約65% は、火山による地熱エネルギーを利用した電力供給を行っている。また、島の北部および西部には「ジュラシック・パーク」時代から放置されたままの旧ビジターセンターなどの施設が残っているが、再利用はされていない。
主なスタッフ
監督 …… コリン=トレボロウ(38歳)
脚本 …… コリン=トレボロウ、デレク=コノリー(?歳)、リック=ジャッファ(?歳)、アマンダ=シルヴァー(?歳)
製作総指揮 …… スティーヴン=スピルバーグ(68歳)
製作 …… フランク=マーシャル(68歳)
撮影 …… ジョン=シュワルツマン(54歳)
音楽 …… マイケル=ジアッチーノ(47歳)
視覚効果 …… インダストリアル・ライト&マジック
アニマトロニクス …… レガシー・エフェクツ
製作・配給 …… ユニバーサル・ピクチャーズ
『ジュラシック・ワールド(Jurassic World)』は、映画『ジュラシック・パーク』シリーズの第4作である。
2011年にアメリカのカリフォルニア州サンディエゴで開催された大衆文化に関するコンベンション大会「コミコン・インターナショナル」に出席したスティーヴン=スピルバーグは、『ジュラシック・パーク4』の製作準備が進行中で、新しい脚本もすでに書かれていることを明らかにした。
2013年1月、ユニバーサル・ピクチャーズは『ジュラシック・パーク4』が3Dカメラで撮影されると発表し、そして3月、コリン=トレボロウが監督およびデレク=コノリーとの共同脚本を務めて製作されることが明らかになった。同年6月にルイジアナ州バトンルージュのローリースタジオで撮影がクランクインし、後にハワイのカウアイ島でも撮影が始まった。推定総製作費約1億5千万ドル。
出演者には、2014年2月にヴィンセント=ドノフリオが悪役で出演することが決定し、イルファーン=カーンはイスラ・ヌブラル島のパーク施設を運営する大企業の所有者として出演し、またシリーズ1作目にエンジニアのヘンリー=ウー役で登場したブラッドリー=ダリル=ウォンが再び、22年ぶりに同役で出演することも決まった。
本作には、恐竜に関する最新の学説に基づいた「羽毛のある恐竜」は登場せず、シリーズとしては初めて「海生爬虫類」であるモササウルスが登場する。また、マイクル=クライトンによる原作小説に登場したカルノタウルスの性質に影響を受けたと思われる、遺伝子組み換えによって人間に創造された新種の肉食恐竜が登場し、本作で重要な役割を果たしている。
なお、シリーズ第1・2作にジョン=ハモンド役で出演したリチャード=アッテンボローは、本作公開前の2014年8月に死去したため、本作には出演できなかった。
2015年6月12日にアメリカをはじめとする世界各国で封切られ、オープニング週末3日間の興行成績が、全世界合計で約5億2410万ドル(約630億円)という驚異的な数字を記録し、堂々の第1位を記録した。日本での公開予定日は当初2015年8月7日だったが、世界でのメガヒットを受けて同年8月5日に繰り上げられ、公開後19日の時点で、公開2週間という驚異的なスピードで累計興行収入約50億2700万円、観客動員数約340万人を記録した。
アメリカ・カナダ圏での興行成績は6億2千万ドル、世界全体での興行成績は15億4千万ドルを突破した(2015年7月時点)。
あらすじ
イスラ・ヌブラル島で起こった「ジュラシック・パーク」事件から22年後。
パークを計画したインジェン社はマスラニ・グローバル社(マスラニ社)に買収され、島はサイモン=マスラニ社長の所有となる。マスラニ社は、インジェン社の創立者である故ジョン=ハモンドが夢見た恐竜のテーマパークを、改めて「ジュラシック・ワールド」として実現させ、パークは今や、世界中から1日2万人の旅行者が訪れる人気の観光施設として成功していた。
パークの運営責任者であるクレア=ディアリングは、訪ねてきた甥のザックとグレイに構っている間もないほど、忙しく働いていた。クレアは2人の世話をアシスタントのザラに任せ、オーナーのサイモンと、遺伝子操作によって創造された初のハイブリッド恐竜「インドミナス・レックス」について協議する。サイモンは、インドミナスを飼育するための防壁が適切かどうか、ヴェロキラプトル(ラプトル)の調教師であるオーウェン=グラディに意見を聞こうとする。その頃オーウェンは、パークの警備部門主任ヴィック=ホスキンスに、ラプトルを兵器として軍事利用する話を持ちかけられていた。
クレアとオーウェンは、かつて交際していた仲だったが、性格の不釣合いで現在は別れていた。オーウェンは、クレアから伝えられたサイモンの要請を渋々受け入れてインドミナスの飼育エリアに向かうが、インドミナスは遺伝子操作によって手に入れた体温調節能力を利用し、飼育員2名を殺し、防壁を突き破って脱出してしまう。
管理棟に戻ったクレアは、マスラニ社の私設兵隊を出動させてインドミナスを追跡させるが、インドミナスは保護色を使って兵士たちをかく乱し、捕獲作戦は失敗に終わる。クレアはパークの北半分を閉鎖し、来場客全員をパーク中央のメインエリアに避難させるようスタッフに命じるが、ザラの目を盗んで逃げ出したザックとグレイは、パークの避難指示を無視して散策を続け、インドミナスが逃げ込んだ立ち入り禁止の森林エリアに入ってしまうのだった。
主な登場人物
オーウェン=グラディ …… クリス=プラット(36歳)
もと軍人でヴェロキラプトルの行動を研究し、ヴェロキラプトルの訓練を試みるパークの恐竜監視員。シリーズ第1作目に登場した恐竜監視員ロバート=マルドゥーンの役職を引き継いでおり、マルドゥーンの着用していた物と同じ型のジャケットを着ている。
クレア=ディアリング …… ブライス=ダラスハワード(34歳)
もとインジェン社の科学者で、パークの運用管理者。姉のカレンに、パークに来園した甥たちの世話を頼まれるが、株主対策の業務に追われていたために秘書のザラに面倒を見させる。オーウェンとかつて交際していたが破局している。
ザック=ミッチェル …… ニック=ロビンソン(20歳)
クレアの甥で、グレイの兄。恐竜にはあまり興味がないらしく、いつもスマートフォンをいじっている。
グレイ=ミッチェル …… タイ=シンプキンス(13歳)
クレアの甥で、ザックの弟。大の恐竜好きでパーク内でよくはしゃいでいる。洞察力に優れており、両親が離婚しようとしていることにも気づいていた。
カレン=ミッチェル …… ジュディ=グリア(40歳)
ザックとグレイの母親で、クレアの姉。夫のスコットとは一見仲が良さそうに見えるが、実は離婚調停中だった。
ロウリー=クルーザース …… ジェイク=ジョンソン(36歳)
パークに常勤する、テクノロジーに精通したマスラニ社のオペレーター。インターネットオークションで購入したインジェン社時代の「ジュラシック・パーク」Tシャツを着ている。幼い頃から恐竜が好きで、失敗した「ジュラシック・パーク」の噂に興味をそそられていた。
ヴィヴィアン=オキアミ …… ローレン=ラプクス(?歳)
パークのオペレーターで、ロウリーの同僚。
ザラ=ヤング …… ケイティ=マクグラス(32歳)
クレアの個人秘書。パークを訪れたクレアの甥のザックとグレイの世話をしていたが逃げられてしまう。
バリー …… オマール=シー(37歳)
オーウェンの親友で、オーウェンと共にヴェロキラプトルの調教をするパークの従業員。
ヘンリー=ウー …… ブラッドリー=ダリル=ウォン(54歳)
シリーズ第1作目にも登場していた、もと「ジュラシック・パーク」の遺伝子エンジニア。ジュラシック・パーク事件の1年後から、インジェン社のチームとともにイスラ・ヌブラル島に取り残された恐竜たちの研究を続けていた。恐竜の様々な種を組み合わせることによって新しい種を創造できると主張しており、サイモン=マスラニの賛同を得ていた。
インジェン社を自社の傘下に置いたサイモンによって2000年に抜擢され、「ジュラシック・ワールド」の建設におけるマスラニ社の重要な遺伝子学者として再び活躍することとなった。
サイモン=マスラニ …… イルファーン=カーン(48歳)
マスラニ・グローバル社(マスラニ社)の最高財務責任者で、「ジュラシック・ワールド」の設立および所有者。1970年代初頭に設立されたインドの通信ネットワーク会社マスラニ社の創立者サンジェイ=マスラニの御曹司。父サンジェイは、インジェン社の創立者ジョン=ハモンドの親友だった。1992年に亡くなった父に続いてマスラニ社の後を継ぎ、通信ネットワーク以外にも石油発掘など世界各国で様々な産業も行い成功を収める。
1998年に、財政危機に陥っていたインジェン社の買収に成功し、2002年から3年間の歳月をかけて「ジュラシック・ワールド」の建設を行った。
脱走したインドミナスの射殺を主張したオーウェンに対し、「巨額の金をかけたのだから簡単には殺せない。」と生け捕りを命じる局面もあったが、パークの安全性のためならば出資は惜しまないと発言したり、安全性を高めるために部下のオーウェンの意見を聞こうとしたり、ホスキンスからのラプトルの捕獲作戦への利用の提案を断る、インドミナスを創造したウーを叱責する、捕獲チームの失敗後に自らヘリを操縦してインドミナスを追うなど、ある程度のモラルのある一面も見せていた。
ヴィック=ホスキンス …… ヴィンセント=ドノフリオ(56歳)
「ジュラシック・ワールド」の警備を担当するセキュリティ部門のリーダー。パークの安全対策のためにインジェン社からマスラニに雇われた。
シリーズ第3作の後にイスラ・ソルナ島から脱出してカナダに飛来した3頭のプテラノドンを退治し、2001年からは「ジュラシック・ワールド」建設工事現場での労働者の安全を守るために雇われた、という経歴がある。
登場する恐竜及び古生物
ヴェロキラプトル(体長2.0メートル)
本作では、獰猛な性質からパーク内で一般公開はされておらず、人間を信頼するようにオーウェンらの調教を受けている。
ヴェロキラプトルの行動を研究するオーウェンに命名された、長女「ブルー」、次女「デルタ」、三女「エコー」、四女「チャーリー」の4姉妹が行動を共にする。遺伝子操作と戦闘訓練により、過去シリーズに登場した個体よりも戦闘能力が上がっており、過去作同様に高い知能を持ち、調教師であるオーウェンの指示を聞き分けることができる。同時に孵化した姉妹であり、彼女たちを幼少から育ててきたオーウェンにとっては実の娘同然の存在でもある。脱走したインドミナスに対応するため、オーウェンと共に討伐作戦に赴く。
ティラノサウルス・レックス(体長11~13メートル)
シリーズ第1作に登場した個体と同一のティラノサウルスで、首にはクライマックスでのヴェロキラプトルとの戦いで付けられた傷跡が残っている。
ジュラシック・ワールド建設開始に前後してマスラニ社に捕獲され、25年間以上生きた長寿のティラノサウルスとして、パークの目玉となって飼育されている。
モササウルス(体長約12~18メートル)
シリーズで初めて登場する巨大海生爬虫類。
パークの湖エリアでは、イルカショーのように餌のホオジロザメを捕食するアトラクションが催されており、複数飼育されている。本作に登場するのは1頭のみ。
アパトサウルス(体長21~26メートル)
パーク最大の巨体を誇る恐竜。
作中では、アパトサウルスの頭部がアニマトロニクスで再現されている。
アンキロサウルス(体長5~11メートル)
「生きた装甲車」とも呼ばれる鎧竜。他の草食恐竜たちとは異なりジャングルの中に棲息している。
ガリミムス(体長4~6メートル)
草食恐竜。パーク内の「ガリミムス・バレー」で群れで飼育されている。
パキケファロサウルス(体長4~8メートル)
草食恐竜。パーク内の「パキケ・アリーナ」で飼育されている。
ディロフォサウルス(体長5~7メートル)
エリマキトカゲに似たフリルと、特徴的なトサカを持つ肉食恐竜。
本作では実物は登場せず、威嚇する様子を立体映像として映し出すことでヴェロキラプトルの足止めに利用された。
パラサウロロフス(体長10~13メートル)
カモノハシ型草食恐竜。
ステゴサウルス(体長7メートル)
草食恐竜。
トリケラトプス(体長9メートル)
角竜型草食恐竜。
ディモルフォドン(翼長1.4メートル)
小型の翼竜。インドミナスの脱走によって引き起こされた混乱の中で多くの個体が脱走し、パーク内に取り残された観光客を襲撃する。
プテラノドン(翼長7~9メートル)
大型の翼竜。インドミナスの脱走によって引き起こされた混乱の中で多くの個体が脱走し、パーク内に取り残された観光客を襲撃する。
インドミナス・レックス(体長12メートル)
本作に登場する架空の恐竜。
ティラノサウルスの DNAをベースに、ヴェロキラプトル、カルノタウルス、ギガノトサウルス、テリジノサウルスなどの DNAを加えて遺伝子組み換えによって誕生させたキメラ恐竜。コウイカやアマガエルなどの現存種の遺伝子も取り込まれている。その頭部はティラノサウルスよりも、むしろギガノトサウルスのそれを彷彿とさせる厚みの比較的薄いものとなっている。これは腕部が著しく肥大化したために、身体のバランスを崩すことを防ぐためのデザインと推測される(実際、ティラノサウルスの腕部が異様に小さい理由として、その巨大な頭部と釣り合いをとるためという説がある)。
ティラノサウルスを上回る巨体になるようにデザインされており、完全に成長すれば15メートル以上に達すると言われている。成長促進のために取り込まれたコウイカの DNAにより、カメレオンのように体色を変えることができるカモフラージュ能力の他、アマガエルの DNAによる赤外線反射能力、テリジノサウルスの DNAによる非常に大きく力強い前肢と、強化ガラスを一撃で突き破る爪、140~160デシベルにもなる雄叫び、生まれた時に埋め込まれた追跡装置の位置を正確に記憶して体内から取り除き、さらにそれを囮として利用するほどの高い知能、他の恐竜を楽しんで殺す残忍性を持つ。
なお、体色を変えるカモフラージュ能力を持つという特徴は、原作小説『ロスト・ワールド ジュラシック・パーク2』に登場したカルノタウルスに影響を受けたと言われている。
劇中未登場の恐竜たち
劇中には登場しないものの、ジュラシック・ワールドのパンフレットによれば飼育されている設定となっている。
バリオニクス(体長8~10メートル)
シリーズ第3作に登場したスピノサウルス(体長15~17メートル)に近い、魚食型の肉食恐竜。
スコミムス(体長11メートル)
シリーズ第3作に登場したスピノサウルスに近い、魚食型の肉食恐竜。
エドモントサウルス(体長9~13メートル)
パラサウロロフスに近いカモノハシ型草食恐竜。
ミクロケラトゥス(体長2メートル)
トリケラトプスに近い角竜型草食恐竜。「ジュラシック・パーク」時代から復元されていた恐竜とされているが、映像作品には登場していない。
メトリアカントサウルス(体長7~8メートル)
ティラノサウルスの遠い祖先にあたる肉食恐竜(アロサウルスに近い)。「ジュラシック・パーク」時代から復元されていた恐竜とされているが、映像作品には登場していない。
テーマパーク「ジュラシック・ワールド」について
舞台となった島はシリーズ第1作と同じ、イスラ・ヌブラル島という架空の島である。イスラ・ヌブラル島はマスラニ社の最高財務責任者サイモン=マスラニがインジェン社を買収したため、マスラニ社が島を所有することとなる。そしてマスラニ社が島で新たなる恐竜のテーマパーク「ジュラシック・ワールド」の建設を行った。マスラニ社はパーク建設のために12億ドルを費やしたとされている。
『ジュラシック・パーク』の原作小説では、島の中心部に広大な人造湖があるとされていたものの、映像作品ではこれまで描写されてこなかったが、本作では「ジュラシック・ワールド・ラグーン(イスラ・ヌブラル・ラグーン)」という名前の湖として登場し、湖に面して「ジュラシック・ワールド」のビジターセンターなどの観光施設が作られている。「ジュラシック・ワールド」のビジターセンターには、「ジュラシック・パーク」創設者のジョン=ハモンドの銅像が設置されている。
「ジュラシック・ワールド」は2005年6月に開園し、開園1ヶ月で9万8120人の訪問客を記録し、現在は年間1000万人の観光客が訪れるパークとなっている。パークは訪問客を増やすために様々な新型アトラクションを行い、訪問客は増えていった。島の中心の人造湖「ジュラシック・ワールド・ラグーン(イスラ・ヌブラル・ラグーン)」に面したビジターセンターを中心に島の最南端まで、パーク施設が新たに作られており、生物学的環境の維持、サファリ、動物園とテーマパークからなる、シーランド風リゾート様式の一大総合娯楽施設となっている。島にはヘリポートや港施設などがあり、ヘリコプターやフェリーボートで島に行けるようになっている。ビジターセンターを中心にモノレール駅、恐竜を造る創造ラボ、植物園、サムスンイノベーションセンター、ヒルトンホテルやレストランやゴルフコースやなどの施設がある観光客領域が広がり、パーク内での乗り物やアトラクションによる観光では、「T・レックス王国」、鳥小屋、「白亜紀クルーズ」、ラグーンに面した水中観測所などの施設がある。恐竜ショーでは「トリケラトプス・テリトリー」と「パキケ・アリーナ」、ラグーンで行われるモササウルスの餌やりショーなどが行われ、パーク内には18種の恐竜が生息している。 その他、インドミナス・レックスという新種の恐竜を飼育するための非公開の飼育エリアなどがある。
島の北部には、活火山であるシボ山があり、パークの約65% は、火山による地熱エネルギーを利用した電力供給を行っている。また、島の北部および西部には「ジュラシック・パーク」時代から放置されたままの旧ビジターセンターなどの施設が残っているが、再利用はされていない。
主なスタッフ
監督 …… コリン=トレボロウ(38歳)
脚本 …… コリン=トレボロウ、デレク=コノリー(?歳)、リック=ジャッファ(?歳)、アマンダ=シルヴァー(?歳)
製作総指揮 …… スティーヴン=スピルバーグ(68歳)
製作 …… フランク=マーシャル(68歳)
撮影 …… ジョン=シュワルツマン(54歳)
音楽 …… マイケル=ジアッチーノ(47歳)
視覚効果 …… インダストリアル・ライト&マジック
アニマトロニクス …… レガシー・エフェクツ
製作・配給 …… ユニバーサル・ピクチャーズ
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