どうもどうも、大変ご無沙汰しております、そうだいでございます。
もう、いそがs……って言ってるのも飽きてきちゃいました。いちおう身体も元気そのものだし、休みの日にゃ蔵王温泉に通って硫黄くさいリフレッシュをしてきてるんですが、平日が始まるとまぁ~相も変わらず戦争の日々ですよね。来週こそは平和に過ぎゆきてほしいと、切に願います……
あぁ、「総選挙」? そんなんもあったんでしたっけね……ついに記事にする気力もなくなってしまいました。そちらのグループどころか、宗旨のハロプロさんのこともすっかり疎くなってしまったし……
これはあくまでも私だけの主観なんですが、指原さんが1位って聞かされると、妥当だとかおかしいとか感じる以前に、ものすごく興味と体温が下がる「脱力感」に襲われるんですよね。
この例えで伝わるかどうか甚だ心もとないのですが、「お菓子の中でいちばんおいしいのはどれ?」という話題になってみんなで「たけのこの里!」とか「ポッキー!」とか盛り上がってたら、偉い人が「ちまき。」って言うみたいな残念感というか、「はい、その話題終了~」な終末観にさいなまれるものがあるというか。
指原さんが特別嫌いというわけでもないんですが、彼女が1位だっていうグループとか、それがいちばん金回りのいいトップ集団になってる業界とか……もうどうでもいいって感じになっちゃって。あんなに熱を上げて日本武道館に行ってた日々が懐かしいです……
まぁ、そんな日々の合間をぬいまして、久しぶりに映画を観に行ってまいりました。
映画のタイトルを見て、「おい、お前そんなに忙しい忙しいって言ってるのに、そんな中で選ぶのがそれなのかよ……」と思われる方もいらっしゃるかも知れませんが、それはあぁた、ジャンル差別ってものでござんすよ。
これはもう、歴史に残るお祭りですからね、あるジャンルの。しかも主演する2大巨頭のメンツがメンツですからね! なつかしい……実はこのお2人、確か5年くらい前の我が『長岡京エイリアン』にもゲスト出演して対決していただいてたんでしたっけ。あの時はタイマンじゃなくて「4つ巴」だったんですけどね。
映画『貞子 vs 伽椰子』(2016年6月18日公開 99分 角川映画)
『貞子 vs 伽椰子』(さだこバーサスかやこ)は、『リング』シリーズの「山村貞子」と『呪怨』シリーズの「佐伯伽椰子」というジャパニーズ・ホラーを代表する2大キャラクターが共演したクロスオーバー映画作品。
『死霊のはらわた』(1985年)のようなアメリカのホラー映画を好み日本のホラー映画はあまり見ないという監督の白石は、歴代の『リング』シリーズと『呪怨』シリーズを「日本産のホラーとしてどのように作られているのか」という視点から見た上で、本作を制作するにあたり貞子と伽椰子の基本設定から余計な情報を省いて整合させたり、時代設定としてはすでに過去の物となった VHSビデオテープを「リサイクルショップに眠っている古いビデオデッキの中に入っていたもの」として復活させている。また、外見が似ている貞子と伽椰子のキャラクターとしての差別化を明確にしたほか、伽椰子には俊雄が付いているので、貞子1人を相手にしてバランスが崩れないように注意したという。
本作の裏テーマとして「Jホラーをぶっ壊す」があり、娯楽映画を作りたいという白石は、日本のホラー映画の潮流を変えたいと思いながら制作した。ただし、白石がホラー映画ではなくなっていると語る過去の映画『フレディ VS ジェイソン』(2003年)については、反面教師にしたという。
あらすじ
女子大生の有里の親友の夏美は、その映像を見ると貞子という幽霊から電話がかかってきて2日後に必ず死んでしまうという「呪いのビデオ」を見てしまう。
一方、入ったら行方不明になるという「呪いの家」の向かいに引っ越してきた女子高生の鈴花はある夜、行方不明になった小学生をその家の中で目撃し、呪いの家に足を踏み入れて怨霊・伽椰子の標的となってしまう。
有里と鈴花の2人をそれぞれの呪いから解き放つため、異端の霊能者・常盤は、貞子と伽椰子を激突させて消滅させるという驚くべき除霊計画を立てるが……
主なキャスティング
倉橋 有里 …… 山本 美月(24歳)
高木 鈴花 …… 玉城 ティナ(18歳)
上野 夏美 …… 佐津川 愛美(27歳)
森繁 新一 …… 甲本 雅裕(50歳)
高木 史子 …… 田中 美里(39歳)
常盤 経蔵 …… 安藤 政信(41歳)
珠緒 …… 菊地 麻衣(10歳)
法柳 …… 堂免 一るこ(58歳)
山村 貞子 …… 七海 エリー(29歳)
佐伯 伽椰子 …… 遠藤 留奈(34歳)
佐伯 俊雄 …… 芝本 麟太郎(12歳)
主なスタッフ
脚本・監督 …… 白石 晃士(43歳)
音楽 …… 遠藤 浩二(52歳)
撮影 …… 四宮 秀俊(38歳)
美術 …… 安宅 紀史(45歳)
特殊造形 …… 百武 朋(?歳)
いやぁ、ついに公式に実現してしまいました、日本ホラー映画界の龍虎対決! ゴジラ対ガメラ! 座頭市と用心棒!! 私はキングギドラと九頭竜派です。
さぁ、『リング』シリーズと『呪怨』シリーズの悪夢のコラボレーションというわけなのですが、これをコラボレーションじゃなくて「合体」って表現しちゃいけないのよね。なんでかっていうと……まぁ、そういうことなんですわ。
私がこれらのシリーズを最後に観たのは、確か……『リング』シリーズがハリウッド版の『ザ・リング2』(2005年)以来で、『呪怨』シリーズはこれまたハリウッド版の『ザ・グラッジ3』(2009年)以来ですかね。
つまり、その後の『貞子3D』2部作(2012~13年)とか『呪怨 白黒番外編』(2009年)とか『呪怨 ザ・ファイナル』2部作(2014~15年)はまるで観ていないという不勉強っぷりなわけですが……なんか、評判を見てみると「チェックしなくても、いっか。」っていう気になっちゃうんですよね。橋本愛さんの貞子さんは見てみたい気もするんですが、なんかちょっと違いますよね。健康的だし生命力ありそうだし。
昔の我が『長岡京エイリアン』にもお出ましいただいた、「日本ホラー映画界のアイドル・ビッグ4」ともいうべき方々のうち、2010年代半ばの今でもなおその名を一般に轟かせているのは、確かに貞子さんと伽椰子さんということになるでしょうし、だとすれば、やはりこれは日本ホラー映画界全体から見ても文句のつけようのない「頂上対決」ということになるでしょう。
ただ……う~ん……そりゃまぁ確かに他の川上富江さん(最後の作品は2011年)や黒井ミサさん(同じく最後の作品は2011年)に比べれば、まだまだ「生きている(死んでるけど)コンテンツ」なんでしょうけれども、どちらも本流の『3D』2部作と『ザ・ファイナル』2部作の評判が評判なだけに、「余裕のある出張アルバイト」のようには見えません。どう考えても「起死回生を賭けたガチンコ対決」ですよね。必死だなぁ!
だいたい、白石監督が上記のように意気込んでわざわざ登板しなくても、「Jホラー」なんかとっくの昔にぶっ壊れてますよね。私はそれを『クソガキ団地』でしみじみ実感しました。それももう3年前の作品になりますか。いや、それもずいぶんと甘く見た解釈であって、「活きのいい日本製のホラー映画」が観られたのは、せいぜい貞子さんと伽椰子さんが海を渡った2000年代前半くらいまでだったのではないでしょうか。
冗談じゃなく、今回の企画が映画として実現したのは、『3D』2部作と『ザ・ファイナル』2部作の内容とか興行成績じゃなくて、プロ野球の始球式でホラー女王のプライドをかなぐり捨ててまでして何度も力投した貞子さん(と子貞子さん)のおかげですよね。今回のプロモーションで初参加した佐伯母子もよかったけど。やっぱりね、プライド捨てなきゃチャンスは巡ってきやしませんよ。
そんでまぁ、本題の『貞子 vs 伽椰子』の中身なのでありまするが。
おもしろかったが、おもしろくない!!
……と、またわけのわからぬことを言っております。
いや、つまりこれはですね、「お話を見てものすごく脳みそを刺激されたのでおもしろかった」のではありますが、「展開や結末で個人的にはおもしろくない部分がけっこうあった」ということなのであります。え……いや、いいじゃないですか、私だってなけなしのサイフはたいてチケット代をちゃんと払って観たんですから、そのくらいのワガママ言ったっていいじゃねぇかよう!
私自身、映画を観ながらカリカリ鉛筆でメモを取っていたわけでもないので、細かい部分はうろ覚えなわけですが、思い出せる限り物語の中で気になったポイントを挙げてみますと、
1、「貞子の呪い」が「7日後に死ぬ」から「2日後に死ぬ」に短縮されている。
2、「貞子の呪い」による死因に「原因不明の心臓発作」だけではなく、「自殺と取れなくもない突発的な事故死」も加わっている。
3、貞子の意思によって、「貞子の呪い」は呪いのビデオを見ていない人間(劇中の霊能者3名)にも直ちに及ぶようになっている。
4、呪いのビデオの映像内容が原作小説や過去のシリーズ作品とまるで違う。
5、伽椰子の呪いの家の外観や立地条件が過去のシリーズ作品とまるで違う。
6、俊雄の外見がちょっと成長している(小学校高学年くらい)。
7、「伽椰子の呪い」は過去のシリーズのように呪いの家の外では行使されず、家の中に入った時だけ適用される。
8、伽椰子の髪型がロングからセミロングくらいに短くなっている。
こんなところが特徴的だったでしょうか。
1、の過去シリーズとの差別化は……こりゃもう、原作小説の発表から実に四半世紀という歳月を経て、それだけ世間がせっかちになっちゃったってことなんでしょうかねぇ!? 猶予期間が3分の1以下に短縮されちゃったよ! 夏休みが1週間になっちゃうみたいなもんなんだぜ!? これはキビシイなぁ~。
そりゃまぁ、アメリカさんのホラー映画が好きだっておっしゃる白石監督なんですからさもありなんなんですが……ふぜいがないよねぇ!
風情がないといえば、5、のことなんですが、「伽椰子の花道」ともいうべき旧佐伯邸の階段が「曲がり角のあるタイプ」じゃなくて「2階から1階まで一直線のタイプ」になってるのも、いかにも無粋ですよねぇ! 最初っから顔を出すんじゃないよ! 半分まで声と音だけでもたせろ、もたせろ~。お母さん、もっと自分に自信を持って!
3、もいかにもスピード重視な反則行為ですよねぇ。いや、それをやっちゃおしまいだろ……貞子さんのパワーが限定解除されてるじゃないの! それで7、じゃあなんだか伽椰子サイドが営業縮小みたいな感じにされてるんですから、先輩重視の接待ゴルフもいいとこだよ! それじゃあ貞子さんだって喜ばねぇよ。
それに、言うまでもなく8、は貞子さんとのカブりに配慮した結果、ここは自分がと身を引いて久しぶりに魔界の美容院に行ってきちゃった、という伽椰子さんの実につつましい思いやりのあらわれですもんね。伽椰子さん、エラい! 髪の毛にからんだ武器はぜんぶ先輩に譲って封印ですよ。これは勝負として不公平すぎるわ!
ところで、この3、のヒドさが爆発する霊能者・法柳さんの除霊式での惨劇シーンに関しては、実はもっと重大な貞子さんの反則行為疑惑が隠されているような気がしてなりません。
すなはち物語の流れを見ていきますと、法柳さんとそのお弟子さん2名は、除霊の儀式をもって夏美にかかった貞子の呪いを強制的に解除しようとしたがために貞子の怒りを買い、ビデオを見るまでもなく直接貞子に意思を乗っ取られ、物理的に肉体を損傷させられて死亡しています。
ところが、まさしくそのどさくさに巻き込まれる形で、これ以前のシーンでどうやら「除霊以外の貞子の呪いの解き方」を解明していたらしい会心の笑みを浮かべていた森繁さんまでもが、強烈な「呪いのヘッドバット」を食らって強制退場させられていたのでした。
いやいや、森繁さんは殺しちゃいけないでしょ!! 森繁さんはあさって死ぬんじゃないの!? それともあの乱闘の時、森繁さん自殺しようとしてたのか? それはないでしょうよ!
つまり、この乱闘の時の森繁さんの哀れすぎる死は、この作品に登場する貞子さんが、「ビデオを見た人を呪う」という特徴も「呪っても一定の猶予期間を与える」という特徴も、どっちも自分の都合によって軽く踏みつぶしてしまうアンフェアきわまりない「ニセ貞子」であることを雄弁に物語っているのです! こいつ、にせもんだ!!
森繁さん、あなたの死は無駄ではなかった……そして、そんな卑怯な手を使ってまでニセ貞子があなたを殺したということは、あなたが見つけた「呪いを解く方法」は、霊能者の除霊以上に効果のあるものだったのだ! でも、やっと見つけたと思った永遠の恋人・貞子がニセモノだったとは……悲しき片想いよのう!! ビデオを見た後に鳴る電話の前に立つ演技、完全に青春男子だったもんなぁ。50歳になってもニキビと詰め襟ガクランの似合いそうな名優・甲本雅裕の真骨頂ですね。
にせもんだ、にせもん! そういえば4、の通り、呪いのビデオもまるで別もんだし。貞子が映ってるんだったら、あれを撮影してるのは誰なんだって話ですよ。扉があいてるのにドンガドンガ爆音がするのも変な感じですし。いや、そういう矛盾を狙ったと言われればそこまでなわけですが、今までの作品にあった「呪いのビデオから謎解きができる」ミステリーな要素がきれいさっぱりありませんもんね。やっぱりここでも、遊びの余裕がないんだよなぁ。
今回の作品に出てくる「呪いのビデオ」の、「矛盾してる部分がむき出しになったまま」からくる生理的な恐怖って、『リング』シリーズじゃなくて完全に後発の『ほんとにあった! 呪いのビデオ』シリーズでやたらと強調された恐怖演出ですよね。粗い映像の中で暴力的な雑音がして奥の扉がゆっくり開く……って、それ、もう見たことあるから!
わかったぞ、この作品に出てきた貞子さんは伊豆出身の「山村貞子」じゃなかったんだ! 本物の貞子さんにあこがれてマネをしてみた、レンタルショップあがりの「安あがりなニセ貞子」だったんだ! アレだアレ、アメリカの超有名なホラー映画シリーズの何作か目とおんなじパターンですよ! いや、タイトル言おうと思えば言えるんですけどそこはぼやかしときますよ!!
あっ、そういえば、今回の貞子さんは両手のツメはがれてなかったよ! 心憎い演出だなぁ、白石監督も。それならそうと、終盤で清水アキラさんの後ろからニコニコ顔で出てくる谷村新司さんみたいに「ご本人登場」やればよかったのにさぁ!!
ニセモノというのならば、一方の伽椰子さんサイドも5、の点がかなり気になりますよね。まさか、伽椰子さんのほうも……?
だいたい、なんでも噂によれば伽椰子さんの前作にあたる『呪怨 ザ・ファイナル』で、問題の旧佐伯邸は取り壊されて更地になっちゃったらしいっていう重大きわまりない情報も得ております。それ、根本的な問題すぎやしないか!? 「パラレルワールド」って、使い勝手が良すぎる言葉ですよね。
そういえば素朴に思ったんですけど、今回、佐伯母子の毒牙にかかって行方不明扱いになっちゃった小学生4人って、旧佐伯邸に行ったって確証のないままかなりの短時間のうちに襲われましたよね。つまりこれって、「呪いの家に行ったから殺された」って認識されない原因不明の失踪になりやしないか。実際に近所の鈴花の両親はそう解釈していましたよね。
呪いの家の PRにまったくならない殺人って、佐伯母子ってこれまで、やってたっけ……? ちょっとした疑問にとどまるので、これをもって今回の脚本がおかしいとまでは言いませんが、振り返れば、過去の『呪怨』シリーズでの無数の被害者たちって、同じ原因不明の失踪にしても、どこかに呪いの家との関連をにおわせる「糸口」を残していて、それが次の被害者を生んでるんですよね。やっぱり、歴史に残る傑作は脚本の力が大きいんだなぁ。無駄死にのようで無駄死にではないという。そう見ると……鈴花を呪いの家に呼び出す役割のいじめられっ子はいいとして、いじめっ子のズッコケ3人組は正真正銘の「上映時間かせぎでしかない無駄死に」ですよね。ズコー!!
結局のところ、私が不思議でしょうがないのは、白石監督がいったい『フレディ VS ジェイソン』のどこを反面教師にしたのかってことなんですね。かろうじて中盤までは『リング』『呪怨』両シリーズの作風を継承しながら徐々に雰囲気を盛り上げていく演出が良かったにしても、あのバイオレンスきわまりない除霊シーンあたりからアクション一辺倒な感じになりますよね? それ……おんなじじゃない?
それに、世の中のホラーファンの方々の多くは、作品の中に「ラヴクラフトっぽいなんか」がにおわされると喜ばれるかもしれないんですが、私はそれ、あんまり好きじゃないんですよ。それって安易すぎる味付けというか……外国の作家さんの世界観に、なんでこっちから頭下げてコビ売らなきゃなんないの?みたいな。
それ、クライマックスで出てきたクリーチャーがタコっぽかったってだけでしょ? 映画『リング』みたいな「解釈によっては、そうかな。」みたいな奥ゆかしさがないんですよね。物語全体にしみわたってる「夜の海の不気味さ」とかがあったらいいんだけど、最後にタコやらダンウィッチ系のやつ出してみました、だけじゃぁさぁ。ここらへんも、実に本物の山村貞子らしくないんだよなぁ。海のにおいが全然しない貞子さんなんですよ。
あと、今回いちばん強く思ったのは、この作品、全編にわたってエンタテイメントらしい
「愛さえあれば、オールオッケー♡ 」
が全くないんですよね! 登場人物が全員そろってカッサカサの東京砂漠!! いや、もしかしたら、あの経蔵&珠緒ペアには明らかに本編中の残酷描写以上に映像化できなさそうなデンジャラスな関係があるのかもしれませんが、みーんなドライな「生きるか死ぬか!?」のつながりしかないんですよね。夏美じゃない誰かとLINE のやりとりをする有里ってくらいしか、人間関係の余裕が感じられないのよ! もう、ぎっすぎす。
原作小説の『リング』シリーズだってそうだし、昔だったらたとえば『帝都物語』みたいに、関東最大の御霊・平将門公だろうが魔人・加藤保憲だろうが「観音力」という名の大きな愛で包み込んでクリーニングしましょう! というビックリするような超絶論理に押し切られて、「恐怖と憎しみの物語」は映画らしい大団円をむかえていたじゃないですか。正義のヒーローのわけのわかんない必殺技とおんなじで、そういう「デウス・エクス・マキナ」って、なんだかんだ言っても必要なんだと思うんですよ。
それがどうよ、「バケモノにはバケモノをぶつけるんだよ!」ってだけで、ギャラリーのみなさんは高みの見物ですか? 東京もんは薄情だねぇ! もっと、みんなでグッチャグチャにぶつかりあって語りあいましょうよ。いや、結局は映画の皆さんもそうなっちゃったけどさ。
そんな、身を切らずに除霊なんてできるわけがないんですよ……経蔵&珠緒ペアはブラックジャックだなんて白石監督は語ってらっしゃるそうですけど、経蔵にはブラックジャックの苦悩がないような気がします。クールなスタイルだけでしょ、あんなの! 印の切り方も実にテキトーだし。
だから、私はこのブログのタイトルを、声を大にして叫びたいんですよね。宜保さんですよ、宜保愛子さんの「愛」があれば、貞子さんも伽椰子さんも宜保さんの顔を立てて「今日はこのくらいにしといたるわ……」って自重してくれたはずなんだ! 映画『妖怪大戦争』(2005年のほう)の水木センセイくらいの絶大的な効果はあったはず!! けんかはよせ、腹がへるぞ!!
まぁ……そんな感じでいろいろナンクセ言わせていただきましたけど、でもホントにこの作品は実現して良かったと思いますし(ちょっと旬は過ぎてたにしても)、やっぱりこういう「ある人の作り方」があるからこそ、自分が『リング』やら『呪怨』の「どこが好きだったのか」っていうことを対比して考えることができるんですよね。映画館に観に行って、実によかった! 久しぶりにあのころ夢中になった「彼女たち」の魅力を思い出すきっかけになりました。
ただ……この作品、ホラー映画の業界の方以外に、ソフト化したものをもう一度見たいっていう人って、果たしているんだろうか。
一回見たらもういいんだよなぁ……ホラー映画って、いつの間にこんなに遊園地のアトラクション傾向が強くなっちゃったんだろうか。白石監督の作風なだけなのかもしれませんが、何度見ても新しい発見があるようには、とても思えない……
「するめ」が食べたいねぇ、あたしゃ! 「うまい棒」は、そんなにいらない! 駄菓子じゃないホラー映画、カムバ~ック。
もう、いそがs……って言ってるのも飽きてきちゃいました。いちおう身体も元気そのものだし、休みの日にゃ蔵王温泉に通って硫黄くさいリフレッシュをしてきてるんですが、平日が始まるとまぁ~相も変わらず戦争の日々ですよね。来週こそは平和に過ぎゆきてほしいと、切に願います……
あぁ、「総選挙」? そんなんもあったんでしたっけね……ついに記事にする気力もなくなってしまいました。そちらのグループどころか、宗旨のハロプロさんのこともすっかり疎くなってしまったし……
これはあくまでも私だけの主観なんですが、指原さんが1位って聞かされると、妥当だとかおかしいとか感じる以前に、ものすごく興味と体温が下がる「脱力感」に襲われるんですよね。
この例えで伝わるかどうか甚だ心もとないのですが、「お菓子の中でいちばんおいしいのはどれ?」という話題になってみんなで「たけのこの里!」とか「ポッキー!」とか盛り上がってたら、偉い人が「ちまき。」って言うみたいな残念感というか、「はい、その話題終了~」な終末観にさいなまれるものがあるというか。
指原さんが特別嫌いというわけでもないんですが、彼女が1位だっていうグループとか、それがいちばん金回りのいいトップ集団になってる業界とか……もうどうでもいいって感じになっちゃって。あんなに熱を上げて日本武道館に行ってた日々が懐かしいです……
まぁ、そんな日々の合間をぬいまして、久しぶりに映画を観に行ってまいりました。
映画のタイトルを見て、「おい、お前そんなに忙しい忙しいって言ってるのに、そんな中で選ぶのがそれなのかよ……」と思われる方もいらっしゃるかも知れませんが、それはあぁた、ジャンル差別ってものでござんすよ。
これはもう、歴史に残るお祭りですからね、あるジャンルの。しかも主演する2大巨頭のメンツがメンツですからね! なつかしい……実はこのお2人、確か5年くらい前の我が『長岡京エイリアン』にもゲスト出演して対決していただいてたんでしたっけ。あの時はタイマンじゃなくて「4つ巴」だったんですけどね。
映画『貞子 vs 伽椰子』(2016年6月18日公開 99分 角川映画)
『貞子 vs 伽椰子』(さだこバーサスかやこ)は、『リング』シリーズの「山村貞子」と『呪怨』シリーズの「佐伯伽椰子」というジャパニーズ・ホラーを代表する2大キャラクターが共演したクロスオーバー映画作品。
『死霊のはらわた』(1985年)のようなアメリカのホラー映画を好み日本のホラー映画はあまり見ないという監督の白石は、歴代の『リング』シリーズと『呪怨』シリーズを「日本産のホラーとしてどのように作られているのか」という視点から見た上で、本作を制作するにあたり貞子と伽椰子の基本設定から余計な情報を省いて整合させたり、時代設定としてはすでに過去の物となった VHSビデオテープを「リサイクルショップに眠っている古いビデオデッキの中に入っていたもの」として復活させている。また、外見が似ている貞子と伽椰子のキャラクターとしての差別化を明確にしたほか、伽椰子には俊雄が付いているので、貞子1人を相手にしてバランスが崩れないように注意したという。
本作の裏テーマとして「Jホラーをぶっ壊す」があり、娯楽映画を作りたいという白石は、日本のホラー映画の潮流を変えたいと思いながら制作した。ただし、白石がホラー映画ではなくなっていると語る過去の映画『フレディ VS ジェイソン』(2003年)については、反面教師にしたという。
あらすじ
女子大生の有里の親友の夏美は、その映像を見ると貞子という幽霊から電話がかかってきて2日後に必ず死んでしまうという「呪いのビデオ」を見てしまう。
一方、入ったら行方不明になるという「呪いの家」の向かいに引っ越してきた女子高生の鈴花はある夜、行方不明になった小学生をその家の中で目撃し、呪いの家に足を踏み入れて怨霊・伽椰子の標的となってしまう。
有里と鈴花の2人をそれぞれの呪いから解き放つため、異端の霊能者・常盤は、貞子と伽椰子を激突させて消滅させるという驚くべき除霊計画を立てるが……
主なキャスティング
倉橋 有里 …… 山本 美月(24歳)
高木 鈴花 …… 玉城 ティナ(18歳)
上野 夏美 …… 佐津川 愛美(27歳)
森繁 新一 …… 甲本 雅裕(50歳)
高木 史子 …… 田中 美里(39歳)
常盤 経蔵 …… 安藤 政信(41歳)
珠緒 …… 菊地 麻衣(10歳)
法柳 …… 堂免 一るこ(58歳)
山村 貞子 …… 七海 エリー(29歳)
佐伯 伽椰子 …… 遠藤 留奈(34歳)
佐伯 俊雄 …… 芝本 麟太郎(12歳)
主なスタッフ
脚本・監督 …… 白石 晃士(43歳)
音楽 …… 遠藤 浩二(52歳)
撮影 …… 四宮 秀俊(38歳)
美術 …… 安宅 紀史(45歳)
特殊造形 …… 百武 朋(?歳)
いやぁ、ついに公式に実現してしまいました、日本ホラー映画界の龍虎対決! ゴジラ対ガメラ! 座頭市と用心棒!! 私はキングギドラと九頭竜派です。
さぁ、『リング』シリーズと『呪怨』シリーズの悪夢のコラボレーションというわけなのですが、これをコラボレーションじゃなくて「合体」って表現しちゃいけないのよね。なんでかっていうと……まぁ、そういうことなんですわ。
私がこれらのシリーズを最後に観たのは、確か……『リング』シリーズがハリウッド版の『ザ・リング2』(2005年)以来で、『呪怨』シリーズはこれまたハリウッド版の『ザ・グラッジ3』(2009年)以来ですかね。
つまり、その後の『貞子3D』2部作(2012~13年)とか『呪怨 白黒番外編』(2009年)とか『呪怨 ザ・ファイナル』2部作(2014~15年)はまるで観ていないという不勉強っぷりなわけですが……なんか、評判を見てみると「チェックしなくても、いっか。」っていう気になっちゃうんですよね。橋本愛さんの貞子さんは見てみたい気もするんですが、なんかちょっと違いますよね。健康的だし生命力ありそうだし。
昔の我が『長岡京エイリアン』にもお出ましいただいた、「日本ホラー映画界のアイドル・ビッグ4」ともいうべき方々のうち、2010年代半ばの今でもなおその名を一般に轟かせているのは、確かに貞子さんと伽椰子さんということになるでしょうし、だとすれば、やはりこれは日本ホラー映画界全体から見ても文句のつけようのない「頂上対決」ということになるでしょう。
ただ……う~ん……そりゃまぁ確かに他の川上富江さん(最後の作品は2011年)や黒井ミサさん(同じく最後の作品は2011年)に比べれば、まだまだ「生きている(死んでるけど)コンテンツ」なんでしょうけれども、どちらも本流の『3D』2部作と『ザ・ファイナル』2部作の評判が評判なだけに、「余裕のある出張アルバイト」のようには見えません。どう考えても「起死回生を賭けたガチンコ対決」ですよね。必死だなぁ!
だいたい、白石監督が上記のように意気込んでわざわざ登板しなくても、「Jホラー」なんかとっくの昔にぶっ壊れてますよね。私はそれを『クソガキ団地』でしみじみ実感しました。それももう3年前の作品になりますか。いや、それもずいぶんと甘く見た解釈であって、「活きのいい日本製のホラー映画」が観られたのは、せいぜい貞子さんと伽椰子さんが海を渡った2000年代前半くらいまでだったのではないでしょうか。
冗談じゃなく、今回の企画が映画として実現したのは、『3D』2部作と『ザ・ファイナル』2部作の内容とか興行成績じゃなくて、プロ野球の始球式でホラー女王のプライドをかなぐり捨ててまでして何度も力投した貞子さん(と子貞子さん)のおかげですよね。今回のプロモーションで初参加した佐伯母子もよかったけど。やっぱりね、プライド捨てなきゃチャンスは巡ってきやしませんよ。
そんでまぁ、本題の『貞子 vs 伽椰子』の中身なのでありまするが。
おもしろかったが、おもしろくない!!
……と、またわけのわからぬことを言っております。
いや、つまりこれはですね、「お話を見てものすごく脳みそを刺激されたのでおもしろかった」のではありますが、「展開や結末で個人的にはおもしろくない部分がけっこうあった」ということなのであります。え……いや、いいじゃないですか、私だってなけなしのサイフはたいてチケット代をちゃんと払って観たんですから、そのくらいのワガママ言ったっていいじゃねぇかよう!
私自身、映画を観ながらカリカリ鉛筆でメモを取っていたわけでもないので、細かい部分はうろ覚えなわけですが、思い出せる限り物語の中で気になったポイントを挙げてみますと、
1、「貞子の呪い」が「7日後に死ぬ」から「2日後に死ぬ」に短縮されている。
2、「貞子の呪い」による死因に「原因不明の心臓発作」だけではなく、「自殺と取れなくもない突発的な事故死」も加わっている。
3、貞子の意思によって、「貞子の呪い」は呪いのビデオを見ていない人間(劇中の霊能者3名)にも直ちに及ぶようになっている。
4、呪いのビデオの映像内容が原作小説や過去のシリーズ作品とまるで違う。
5、伽椰子の呪いの家の外観や立地条件が過去のシリーズ作品とまるで違う。
6、俊雄の外見がちょっと成長している(小学校高学年くらい)。
7、「伽椰子の呪い」は過去のシリーズのように呪いの家の外では行使されず、家の中に入った時だけ適用される。
8、伽椰子の髪型がロングからセミロングくらいに短くなっている。
こんなところが特徴的だったでしょうか。
1、の過去シリーズとの差別化は……こりゃもう、原作小説の発表から実に四半世紀という歳月を経て、それだけ世間がせっかちになっちゃったってことなんでしょうかねぇ!? 猶予期間が3分の1以下に短縮されちゃったよ! 夏休みが1週間になっちゃうみたいなもんなんだぜ!? これはキビシイなぁ~。
そりゃまぁ、アメリカさんのホラー映画が好きだっておっしゃる白石監督なんですからさもありなんなんですが……ふぜいがないよねぇ!
風情がないといえば、5、のことなんですが、「伽椰子の花道」ともいうべき旧佐伯邸の階段が「曲がり角のあるタイプ」じゃなくて「2階から1階まで一直線のタイプ」になってるのも、いかにも無粋ですよねぇ! 最初っから顔を出すんじゃないよ! 半分まで声と音だけでもたせろ、もたせろ~。お母さん、もっと自分に自信を持って!
3、もいかにもスピード重視な反則行為ですよねぇ。いや、それをやっちゃおしまいだろ……貞子さんのパワーが限定解除されてるじゃないの! それで7、じゃあなんだか伽椰子サイドが営業縮小みたいな感じにされてるんですから、先輩重視の接待ゴルフもいいとこだよ! それじゃあ貞子さんだって喜ばねぇよ。
それに、言うまでもなく8、は貞子さんとのカブりに配慮した結果、ここは自分がと身を引いて久しぶりに魔界の美容院に行ってきちゃった、という伽椰子さんの実につつましい思いやりのあらわれですもんね。伽椰子さん、エラい! 髪の毛にからんだ武器はぜんぶ先輩に譲って封印ですよ。これは勝負として不公平すぎるわ!
ところで、この3、のヒドさが爆発する霊能者・法柳さんの除霊式での惨劇シーンに関しては、実はもっと重大な貞子さんの反則行為疑惑が隠されているような気がしてなりません。
すなはち物語の流れを見ていきますと、法柳さんとそのお弟子さん2名は、除霊の儀式をもって夏美にかかった貞子の呪いを強制的に解除しようとしたがために貞子の怒りを買い、ビデオを見るまでもなく直接貞子に意思を乗っ取られ、物理的に肉体を損傷させられて死亡しています。
ところが、まさしくそのどさくさに巻き込まれる形で、これ以前のシーンでどうやら「除霊以外の貞子の呪いの解き方」を解明していたらしい会心の笑みを浮かべていた森繁さんまでもが、強烈な「呪いのヘッドバット」を食らって強制退場させられていたのでした。
いやいや、森繁さんは殺しちゃいけないでしょ!! 森繁さんはあさって死ぬんじゃないの!? それともあの乱闘の時、森繁さん自殺しようとしてたのか? それはないでしょうよ!
つまり、この乱闘の時の森繁さんの哀れすぎる死は、この作品に登場する貞子さんが、「ビデオを見た人を呪う」という特徴も「呪っても一定の猶予期間を与える」という特徴も、どっちも自分の都合によって軽く踏みつぶしてしまうアンフェアきわまりない「ニセ貞子」であることを雄弁に物語っているのです! こいつ、にせもんだ!!
森繁さん、あなたの死は無駄ではなかった……そして、そんな卑怯な手を使ってまでニセ貞子があなたを殺したということは、あなたが見つけた「呪いを解く方法」は、霊能者の除霊以上に効果のあるものだったのだ! でも、やっと見つけたと思った永遠の恋人・貞子がニセモノだったとは……悲しき片想いよのう!! ビデオを見た後に鳴る電話の前に立つ演技、完全に青春男子だったもんなぁ。50歳になってもニキビと詰め襟ガクランの似合いそうな名優・甲本雅裕の真骨頂ですね。
にせもんだ、にせもん! そういえば4、の通り、呪いのビデオもまるで別もんだし。貞子が映ってるんだったら、あれを撮影してるのは誰なんだって話ですよ。扉があいてるのにドンガドンガ爆音がするのも変な感じですし。いや、そういう矛盾を狙ったと言われればそこまでなわけですが、今までの作品にあった「呪いのビデオから謎解きができる」ミステリーな要素がきれいさっぱりありませんもんね。やっぱりここでも、遊びの余裕がないんだよなぁ。
今回の作品に出てくる「呪いのビデオ」の、「矛盾してる部分がむき出しになったまま」からくる生理的な恐怖って、『リング』シリーズじゃなくて完全に後発の『ほんとにあった! 呪いのビデオ』シリーズでやたらと強調された恐怖演出ですよね。粗い映像の中で暴力的な雑音がして奥の扉がゆっくり開く……って、それ、もう見たことあるから!
わかったぞ、この作品に出てきた貞子さんは伊豆出身の「山村貞子」じゃなかったんだ! 本物の貞子さんにあこがれてマネをしてみた、レンタルショップあがりの「安あがりなニセ貞子」だったんだ! アレだアレ、アメリカの超有名なホラー映画シリーズの何作か目とおんなじパターンですよ! いや、タイトル言おうと思えば言えるんですけどそこはぼやかしときますよ!!
あっ、そういえば、今回の貞子さんは両手のツメはがれてなかったよ! 心憎い演出だなぁ、白石監督も。それならそうと、終盤で清水アキラさんの後ろからニコニコ顔で出てくる谷村新司さんみたいに「ご本人登場」やればよかったのにさぁ!!
ニセモノというのならば、一方の伽椰子さんサイドも5、の点がかなり気になりますよね。まさか、伽椰子さんのほうも……?
だいたい、なんでも噂によれば伽椰子さんの前作にあたる『呪怨 ザ・ファイナル』で、問題の旧佐伯邸は取り壊されて更地になっちゃったらしいっていう重大きわまりない情報も得ております。それ、根本的な問題すぎやしないか!? 「パラレルワールド」って、使い勝手が良すぎる言葉ですよね。
そういえば素朴に思ったんですけど、今回、佐伯母子の毒牙にかかって行方不明扱いになっちゃった小学生4人って、旧佐伯邸に行ったって確証のないままかなりの短時間のうちに襲われましたよね。つまりこれって、「呪いの家に行ったから殺された」って認識されない原因不明の失踪になりやしないか。実際に近所の鈴花の両親はそう解釈していましたよね。
呪いの家の PRにまったくならない殺人って、佐伯母子ってこれまで、やってたっけ……? ちょっとした疑問にとどまるので、これをもって今回の脚本がおかしいとまでは言いませんが、振り返れば、過去の『呪怨』シリーズでの無数の被害者たちって、同じ原因不明の失踪にしても、どこかに呪いの家との関連をにおわせる「糸口」を残していて、それが次の被害者を生んでるんですよね。やっぱり、歴史に残る傑作は脚本の力が大きいんだなぁ。無駄死にのようで無駄死にではないという。そう見ると……鈴花を呪いの家に呼び出す役割のいじめられっ子はいいとして、いじめっ子のズッコケ3人組は正真正銘の「上映時間かせぎでしかない無駄死に」ですよね。ズコー!!
結局のところ、私が不思議でしょうがないのは、白石監督がいったい『フレディ VS ジェイソン』のどこを反面教師にしたのかってことなんですね。かろうじて中盤までは『リング』『呪怨』両シリーズの作風を継承しながら徐々に雰囲気を盛り上げていく演出が良かったにしても、あのバイオレンスきわまりない除霊シーンあたりからアクション一辺倒な感じになりますよね? それ……おんなじじゃない?
それに、世の中のホラーファンの方々の多くは、作品の中に「ラヴクラフトっぽいなんか」がにおわされると喜ばれるかもしれないんですが、私はそれ、あんまり好きじゃないんですよ。それって安易すぎる味付けというか……外国の作家さんの世界観に、なんでこっちから頭下げてコビ売らなきゃなんないの?みたいな。
それ、クライマックスで出てきたクリーチャーがタコっぽかったってだけでしょ? 映画『リング』みたいな「解釈によっては、そうかな。」みたいな奥ゆかしさがないんですよね。物語全体にしみわたってる「夜の海の不気味さ」とかがあったらいいんだけど、最後にタコやらダンウィッチ系のやつ出してみました、だけじゃぁさぁ。ここらへんも、実に本物の山村貞子らしくないんだよなぁ。海のにおいが全然しない貞子さんなんですよ。
あと、今回いちばん強く思ったのは、この作品、全編にわたってエンタテイメントらしい
「愛さえあれば、オールオッケー♡ 」
が全くないんですよね! 登場人物が全員そろってカッサカサの東京砂漠!! いや、もしかしたら、あの経蔵&珠緒ペアには明らかに本編中の残酷描写以上に映像化できなさそうなデンジャラスな関係があるのかもしれませんが、みーんなドライな「生きるか死ぬか!?」のつながりしかないんですよね。夏美じゃない誰かとLINE のやりとりをする有里ってくらいしか、人間関係の余裕が感じられないのよ! もう、ぎっすぎす。
原作小説の『リング』シリーズだってそうだし、昔だったらたとえば『帝都物語』みたいに、関東最大の御霊・平将門公だろうが魔人・加藤保憲だろうが「観音力」という名の大きな愛で包み込んでクリーニングしましょう! というビックリするような超絶論理に押し切られて、「恐怖と憎しみの物語」は映画らしい大団円をむかえていたじゃないですか。正義のヒーローのわけのわかんない必殺技とおんなじで、そういう「デウス・エクス・マキナ」って、なんだかんだ言っても必要なんだと思うんですよ。
それがどうよ、「バケモノにはバケモノをぶつけるんだよ!」ってだけで、ギャラリーのみなさんは高みの見物ですか? 東京もんは薄情だねぇ! もっと、みんなでグッチャグチャにぶつかりあって語りあいましょうよ。いや、結局は映画の皆さんもそうなっちゃったけどさ。
そんな、身を切らずに除霊なんてできるわけがないんですよ……経蔵&珠緒ペアはブラックジャックだなんて白石監督は語ってらっしゃるそうですけど、経蔵にはブラックジャックの苦悩がないような気がします。クールなスタイルだけでしょ、あんなの! 印の切り方も実にテキトーだし。
だから、私はこのブログのタイトルを、声を大にして叫びたいんですよね。宜保さんですよ、宜保愛子さんの「愛」があれば、貞子さんも伽椰子さんも宜保さんの顔を立てて「今日はこのくらいにしといたるわ……」って自重してくれたはずなんだ! 映画『妖怪大戦争』(2005年のほう)の水木センセイくらいの絶大的な効果はあったはず!! けんかはよせ、腹がへるぞ!!
まぁ……そんな感じでいろいろナンクセ言わせていただきましたけど、でもホントにこの作品は実現して良かったと思いますし(ちょっと旬は過ぎてたにしても)、やっぱりこういう「ある人の作り方」があるからこそ、自分が『リング』やら『呪怨』の「どこが好きだったのか」っていうことを対比して考えることができるんですよね。映画館に観に行って、実によかった! 久しぶりにあのころ夢中になった「彼女たち」の魅力を思い出すきっかけになりました。
ただ……この作品、ホラー映画の業界の方以外に、ソフト化したものをもう一度見たいっていう人って、果たしているんだろうか。
一回見たらもういいんだよなぁ……ホラー映画って、いつの間にこんなに遊園地のアトラクション傾向が強くなっちゃったんだろうか。白石監督の作風なだけなのかもしれませんが、何度見ても新しい発見があるようには、とても思えない……
「するめ」が食べたいねぇ、あたしゃ! 「うまい棒」は、そんなにいらない! 駄菓子じゃないホラー映画、カムバ~ック。
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