長岡京エイリアン

日記に…なるかしらん

爆発しすぎ!! 四国の山川にアナログ特撮の極北を見た 映画『仮面ライダーV3対デストロン怪人』 ~本文~

2022年01月23日 10時04分06秒 | 特撮あたり
≪資料編はこちら~

 みなさん、どうもこんにちは! そうだいでございます~。
 まぁ相も変わらず世の中は、どうにもカオスな様相を呈しておりまして……私のいる山形も、一日のコロナ感染者数は過去最多を更新する勢いが続いております。つい先月まで、そろそろ県外に出てもいいかな~?なんて気分になっていたのが夢のようですよ。来月の連休に市外の温泉に泊まりにでも、なんて計画していたんですが……どうなることやら。3回目のワクチン接種の順番が回ってくるまでの数ヶ月間、どうやって過ごしましょうかねぇ。困ったもんですわ!

 そんなこんなで、ただ家でのんべんだらりと過ごしているのもナンなので、今回はせめて気分だけでも晴天の南国へ!ということで、例によって我が『長岡京エイリアン』定番の流れで7年ものあいだ塩漬けになっておりました、映画『仮面ライダーV3対デストロン怪人』についてのあれやこれやをつづってみたいと思います。やっと、やっとよ! 南国って言っても、今あんまり太平洋の南に行っても噴火だなんだでタイミング的にアレですので、近場の高知県にいたしましょう。いや~、ほんとにいつか行ってみたいな、四国、土佐!

 1971~73年の約2年にわたって放送された、「変身ブーム」の起爆点にして、その後50年も続く特撮ヒーローシリーズの大いなる始まりでもあった『仮面ライダー』は終了しましたが、仮面ライダー1・2号が悪の組織ショッカー&ゲルショッカーから勝ち取った「人間の自由」は、あっという間に新たなる秘密結社「デストロン」の台頭によって風前の灯火となってしまいます。早すぎでしょ!
 そのデストロンに立ち向かうのは、愛する両親と妹をデストロンの新型改造人間ハサミジャガーに殺され、自身も瀕死の重傷を負った青年・風見志郎。デストロンへの復讐を胸に誓う志郎の鋼の意思を認めたダブルライダーは、自分達の知識、技術、経験の全てをつぎ込んで志郎に改造手術を施し、正義の改造人間・仮面ライダーV3として生まれ変わらせることで、死の淵から救ったのでした。

 ということで、栄光の仮面ライダーシリーズ第2作『仮面ライダーV3』は、前作『仮面ライダー』のストレートな続編として始まるのですが、本郷猛と一文字隼人のダブルライダーは、放送してすぐ第2話『ダブルライダーの遺言状』(1973年2月)において、デストロンの改造人間カメバズーカの体内に内蔵された原子爆弾が東京で炸裂することを避けるために、カメバズーカを2人で太平洋上に運び去り、原爆の爆発に巻き込まれ生死不明となります。『ダークナイト・ライゼズ』の元ネタかな?
 そうしてダブルライダーが去った後、日本の平和をひとりで守り抜こうと決意する V3と、「生物と機械の融合」によって、かつてのショッカー、ゲルショッカー以上の高い戦闘能力を持つデストロンの改造人間たちとの、前作を超える死闘の日々が始まるのでありました。あっ、ライダーの心強い理解者にして支援者、立花藤兵衛の続投も忘れちゃダメよ!

 物語が始まった当初、ろくな取扱説明書もない状況だったために、自身の改造人間としての能力を使いこなせないでいた V3も、幾多の戦闘を経て徐々にスーパーヒーローとしての実力と風格を備えるようになり、デストロンにとってダブルライダーに匹敵する、いやそれ以上の脅威となっていくのでありました。
 その結果、1973年5月からはデストロン生え抜きの大幹部であるドクトルG(ゲー)が日本支部長に就任。さらに今作の直前の TV本編第21話(7月7日放送)において、音声のみではあるものの、生死不明となっていたダブルライダーが海外で生き延びていたことが判明する衝撃の展開を迎え、「3人の仮面ライダーが、また結集するのか!?」という最高潮の期待感をはらんだまま、待望の『 V3』オリジナル映画として今作が世に出たのでありました。これ以上にアツいお膳立てがあるでしょ~か!?

 ちなみに、『 V3』の映画版としては、番組放送開始直後の1973年3月の「東映まんがまつり」内のプログラムとして、先ほどのダブルライダーの(いったんは)最後の雄姿が見られる第2話のブローアップ上映版『仮面ライダーV3』があるので、今回の『仮面ライダーV3対デストロン怪人』は仮面ライダーシリーズの映画作品としては「第5作」ですが、「オリジナル映画作品としては第3作」に当たります。このズレ、実に昭和っぽいね!

 いよいよ映画本編の内容に入る前に、今回の実質的なラスボスとなるデストロン日本支部長・ドクトルG に関するあれこれを。


デストロンにこの人あり! 恐怖の大幹部ドクトルG とは( Wikipediaより)
 「G作戦」によってデストロン・ドイツ支部から日本支部に招聘されたデストロン初代日本支部長で、TV本編に登場した唯一のデストロン生え抜き大幹部。悪魔の頭脳を持つ男と呼ばれる。元ナチス・ドイツ軍人。
 性格は冷酷かつ尊大だが、独自の騎士道精神と哲学を持っており、戦闘と破壊が進歩を生むという倫理観が行動原理となっている。戦闘能力が高く、人間の姿でも通常改造人間の3倍の力を持つため、そのままの姿でも V3と互角以上に渡り合える。また、人喰いカニを操ることもできる。サソリ毒の塗られた斧、猛毒「ルガー」を噴射できる盾、50万ボルトの電流を放つ剣などといった多様な使用武具には、デストロンのシンボルであるサソリの紋様が刻まれている。
 その正体は、デストロン改造人間カニレーザーである。
 4世紀から続くドイツ名門貴族の生まれ。1919年生まれの54歳(ショッカー大幹部の死神博士と同い年)。一族は優秀な人物を多く輩出してきたが、ときどきマッドサイエンティストが生まれたこともあったという。若いころはライン河沿いの「サソリ屋敷」と呼ばれる古城に住み、サソリとともに暮らしながら毒の研究をしていた。また妻帯者でもあったが、サソリの研究のために殺害した。城の周囲には同様にサソリ毒で命を奪った人々の骨が散乱していたという。
 第二次世界大戦中はナチス・ドイツに軍人として所属し、エルヴィン=ロンメル将軍のもとで活躍し残虐さで勇名を轟かせたという。
 ナチス・ドイツ崩壊後にデストロンの一員となり、チベットの幹部養成所で訓練を受け、チベット産の猛毒「ルガー」を生み出した。顔以外の肉体部分をすでに改造している。

 V3のことを「仮面ラァーイダV3」と独特の言い回しで呼ぶが、これは演じた千波丈太郎が、役に個性を持たせるために歌舞伎の見得を元に考案した癖である。当時の児童誌では、「日本に来たばかりであるため、日本語が上手に話せない」と解説されていた。目の周りを黒く塗るメイクも千波の意向によるものである。

日本支部長赴任期間1973年5~9月、全16作戦 ※(3)表記は1・2号・V3トリプルライダーと交戦した改造人間
ジシャクイノシシ、ガマボイラー、バーナーコウモリ、ミサイルヤモリ、スプレーネズミ&クサリガマテントウ、ハリフグアパッチ、ギロチンザウルス&ドクバリグモ、ウォーターガントド、タイホウバッファロー(3)、プロペラカブト、ゴキブリスパイク、カマキリメラン、ヒーターゼミ、ワナゲクワガタ、カメラモスキート、カニレーザー(本人)


 はい~、こんな感じでございますね。設定上、『 V3』に登場したただ一人のデストロン直属生え抜き大幹部となります。後続の大幹部お3方は、それぞれ自分達の組織を引き連れた状態でデストロンに招聘されたフランチャイズみたいな関係でしたもんね。悪の組織の業態もいろいろあるんだな~。
 あの死神博士と同い歳とはとうてい思えない貫禄を持ったドクトルG なんですが、自身は死神博士に近い冷酷非情さを持ちながらも、肉体は地獄大使のようにすでに改造人間手術を行っており、自ら陣頭指揮を執ることも辞さないという、両者の怖い部分を併せ持ったようなキャラクターになっています。
 今作でも登場してすぐに、サタンニウムの人体実験と称して、拉致されたと思われる若者3名を次々と放射能の餌食にしてしまう残酷さと、それをさも日常茶飯事でもあるかのように顔色一つ変えずに淡々と進めていくドクトルG の恐ろしさをアピールするくだりがあります。
 今回のデストロンの「サタンニウム強奪作戦」は、よくよく考えれば映画『仮面ライダー対ショッカー』と同工異曲、天才科学者の世界的発明を横取りしようとする企てなのですが、具体的なディティールの点で、デストロンとドクトルG の恐怖を強く印象付ける人体実験のくだりだったり、豪華フェリー「さんふらわあ」号や愛媛県のリゾートホテル「ホテル奥道後」とその周辺の観光施設、大手造船メーカー「くるしまドック」の工場敷地内から果ては高知県の高知城までといった風光明媚なロケ撮影の数々と、前作には無かった脚本・演出上の工夫が数多く見られます。当時のイケイケで予算マシマシな勢いがうかがえますし、とにかくどこの撮影でもピーカンでお天気が良かったのが最高ですね! 風見志郎と V3には、晴天の海と爆破が良く似合う!

 まぁ、沖田博士の「妹は、四国のホテル奥道後で働いています……」から始まる、妙にのんびりとした志郎・藤兵衛・珠姉弟の四国タイアップツアーや、到着したホテル奥道後のレビューホールで繰り広げられる、沖田博士の妹ひろ子が所属する専属ダンシングチームによる『恋のメキシカン・ロック』の約1分のダンスシーンなど、「なにしに来てんだっけ?」と思わず意識がもうろうとするお約束もあるわけですが、そこはそれ、日々地獄のような闘いに身を投じている方々のことですし、たまにゃそんなひとときがあってもいいんじゃないでしょうか。なんか、ごくごく最近に別の案件で同じように四国に来たよ~な気もするのだが……ま、いっか! みたいな。ギロチンザウルスもドクバリグモも、このデ・ジャヴを感じていたことでしょう。

 余談ですが、「悪の大首領の声といえば、このお方!」と、仮面ライダーシリーズにおいてほぼレギュラーとして出演されている(例外あり)、声優の納谷悟朗さんなのですが、オリジナル映画版としては初めて今作でしゃべります。でも、いてもいなくてもいいような作戦の内容確認を一言だけ……なんでしょう、TV 本編の作戦失敗以上のストレス案件には関わりたくないのでしょうか。その気持ち、わかる~!!

 それじゃま、作品の内容に入っていきましょう。いやほんと、観ていただくのがいちばんなんですけどね!


1、一に爆破、二に爆破。三、四が無くて、五に爆破。

 まぁ~、実際に撮影現場で爆破させる火薬量が、もうむちゃくちゃ。

・伝説その1、高知県室戸岬沖の無人島(設定上は紀伊半島勝浦沖のデストロン無人島基地)大爆破!(開始9分17秒後)こりゃ戦争かと思いますよ……
・伝説その2、同じく室戸岬海岸(設定上は紀伊半島の那智勝浦町・那智丹敷浦あたりの海岸)での、映画版オリジナルの新型改造人間タイホウバッファローの大人げない大砲斉射6発! そりゃ海岸線も変形しますわ。
・志郎、藤兵衛、沖田博士のかなり近くで爆破する火薬。これには瀕死の沖田博士も軽快に逃げ出します。
・伝説その3、ホテル奥道後の観光施設・錦晴殿周辺の決戦で、川に落ちて爆死するギロチンザウルスの水煙がハンパない。何十メートル上がってんの!?
・伝説その4、敵味方入り乱れた16名(ライダー3名、再生改造人間9名、戦闘員4名)をきれいに囲んでの10発連続大爆破! 爆煙でほんとになんにも見えなくなる迫力!! ただし、なぜか着弾地に一番近い距離にいるのがライダーでも改造人間でもなく、ことごとく戦闘員の方々であるところに、縁の下の力持ちとしての戦闘員の底力が垣間見える。

 これを、30分ちょいのひとつの作品で全部やってしまう豪気さよ!! めぐまれてるなぁ~、予算的にも、コンプライアンス的にも。今じゃ絶対に許可おりないでしょ!
 ロケ各地での、「そんなにやるとは思わなかったよ……」と青ざめる地元関係者の冷や汗で『仮面ライダーV3対デストロン怪人』は成り立っています!!
 『 V3』の次作『仮面ライダーX 』の時点でだいぶおとなしくなっている感もあるし、やっぱり『 V3』のあの時だけが、テンションと予算と撮影スケジュールが合致した、奇跡的なタイミングだったんだろうなぁ。ある時代の、貴重な記録ですよね。

 ところで、TV 本編の第20・21話のエピソードと今作が、同じ四国ロケの中で並行撮影されていたのは周知の事実なんですが、伝説その3のギロチンザウルス爆死カットが、まったく同じアングルと火薬量で第21話でも使用されているのです。なので、てっきり同じ撮影を2回使いまわしているのかと思ったのですが、TV 第21話で橋の上に立っているのはギロチンザウルスで、今作の橋の上に立っているのは V3なんですよね。ということは、わざわざ2回もこの大爆発をやらかしたってことなのかい!! とんでもねぇ~。
 それにしても、同じ橋の闘いでも、志郎( V3)とギロチンザウルスとで落ちる立場がエピソードによって全く逆って、両者にとって悪夢のようなシーンですよね……
 私、ふと思うんですが、この TV第20・21話と映画版の関係って、デストロン首領あたりが一回こっきりしか作動しないタイムマシンみたいなものを開発して、TV の作戦が失敗したから、みんなに内緒で時間を巻き戻して映画版をやり直した、けどやっぱ失敗でした~みたいな流れなんじゃないのかな? そう思わないと筋が通らないくらい、乗り物とか決戦場所とか、ゲストヒロインの顔立ちとかがおんなじなんだよなぁ~。21世紀に大流行りするパラレルワールド、並行世界設定をすでに先取りしていたのか、デストロン首領さま! すっご~い。すごいんだけど、そこら辺の底の知れなさが作戦の成功にいっさい寄与していないところが、実に首領らしいやね。


2、ドクトルG とタイホウバッファローの、血で血を洗う哀しき漫才地獄!!

 カミキリキッドのような TV本編バレもなく、順風満帆に映画オリジナルの目玉として登場した新型改造人間タイホウバッファロー!
 いかつい顔に両肩のどでかい大砲2門と、強そうなことこの上ないルックス。初登場時の、海岸で志郎を殺しにかかる斉射攻撃も大迫力で、役者さんへの着弾距離が近い近い! まずキャラクターとしては合格間違いなしの強豪ですよね。

 ただこのタイちゃん、誤射が多すぎないか……? ていうか、映像の中での射撃はぜんぶ外れてるんですが……

 いや、これはしょうがないですよ! だって、命中したら相手が死んじゃうんですから。それで狙ってるのが仮面ライダーなんだから、当てるわけにはいかないっていうのが特撮ヒーローものの敵役のつらいところでして……そこは触れるだけヤボってもんですよ。それはわかる!
 わかるんだけど、ライダーを狙ったはずの砲撃が、後ろのドクバリグモに3発すべて命中するか!? タイちゃん……わざと? なんか恨みでもあった?
 だいたい最初の海岸シーンからして、6発も撃ってるのに人間体の志郎をぜんぜん仕留められないのは、やっぱり照準機能に問題ありですよね。

 そんでもって極め付きは、クライマックスでの3人ライダー対再生改造人間軍団の大乱闘への10連発斉射なのですが、これは指示をしたドクトルG に大いに責任があります。

G   「一斉射撃で撃てい!」
タイホウ「今砲撃したら、味方もやられてしまいます!」
G   「構わん、撃て、撃つのだ! 味方がやられても、仮面ラァーイダを倒せばよいのだ、撃てぇい!!」
タイホウ「……バーフォウ……(斉射)」

 最後の「バーフォウ」が、どう聴いても溜め息にしか聞こえないのが哀しすぎるのですが、結局、自身の功に焦りすぎたドクトルG のせいで、9体もの再生改造人間の同志たち(と4名の戦闘員さん)を一瞬で皆殺しにしてしまったタイちゃん……上司にちゃんと意見しているあたり、真面目で責任感のある改造人間のようですので、それゆえの精神的後遺症が非常に心配です。その後の言動も、「こうなったら、貴様たち(ライダー3人)と一緒に自爆してやる!」などと、最初から勝つ気のない自暴自棄な様子が痛々しい! 労災、おりるといいですね。
 結局、ラストの肉弾戦では大して善戦もできずライダー1・2号のライダーダブルキックと V3の V3キックのコンボで爆死するのですが、とどめを刺した V3が、「 V3反転キック」でなく、いくぶん手心を加えた「 V3キック」で引導を渡したあたりに、V3なりの思いやりを見た気がしました。武士の情けか……

 ドクトルG ……映画冒頭での、あのクールな落ち着きは一体どこへ!? 『鬼滅の刃』の鬼柱もかくやの大虐殺!! そんな大失策、地獄大使でもやってないよ!?
 それなのに、手持ちの戦力が全滅した後に「ええい、だらしのない怪人軍団め!」とかのたまってるんだもんね。自分で半分以上殺しておいて、最低すぎるよ、この上司! 再生改造人間の生還率を劇的に上げていた、『仮面ライダー対じごく大使』の地獄大使の爪の垢を煎じて飲めい!

 このタイホウバッファローの誤射多すぎ問題なんですが、これってもしかして、タイちゃんを開発したというデストロン科学部門幹部(当時)の結城丈二の、作戦失敗を企図した裏切り工作なのでは? のちのちの展開を見越した伏線、すごいな……
 でも、あくまでも「この時点」での結城丈二なんですから、おそらく仮面ライダーの勝利のために工作したというよりは、「ドクトルG の失敗」のためにやったのかも知れませんね。醜い足の引っ張り合いは、ここでも起きていた!?

 最後に恒例として、本作で登場し、華やかに散っていった改造人間のみなさまのご最期をまとめてみましょう。合掌。

登場した12体中、本作で実際に仮面ライダーたちと戦闘した改造人間は……(殉職順に)
・ギロチンザウルス( V3の「 V3反転キック」を受けて橋から転落、爆死)
・ドクバリグモ( V3の「 V3反転キック」を受けてもこらえていたが、タイホウバッファローの大砲の誤射3発を浴びて爆死)
・ピッケルシャーク、ジシャクイノシシ、スプレーネズミ、ミサイルヤモリ、ドリルモグラ、クサリガマテントウ、バーナーコウモリ、レンズアリ、ガマボイラー(タイホウバッファローの大砲10連続誤射を浴びて全員殉職)
・タイホウバッファロー(仮面ライダー1・2号の必殺技「ライダーダブルキック」を受けてもこらえていたが、V3の「 V3キック」でとどめを刺され爆死)

 今回の再生改造人間軍団伝統の名乗りシーンは総勢9体か……まぁ新興デストロンだし、少数精鋭ってことで!
 余談ですが、1973年2月の活動開始以来、デストロンで実施された再生改造人間投入作戦は、今作『仮面ライダーV3対デストロン怪人』と、1973年8月の第27・28話のショッカー&ゲルショッカー大幹部復活作戦、そして1974年2月の最終話『デストロン最後の日』の3回のみです。『仮面ライダー』のショッカー時代に比べてだいぶ少なくなったなぁ……首領も心境の変化があったのかな?

 ところで、ゾル大佐や死神博士の日本支部長時代に触れた「作戦失敗14回目がヤバい」のジンクスなんですが、今回のドクトルG に当てはめてみますと、本作の「サタンニウム強奪作戦」はまだ9回目の失敗です。「まだ」?
 そんでもって、ドクトルG の14回目は、あの「ショッカー&ゲルショッカー大幹部復活作戦」なんですよねェ~。ジンクスは、ここでも生きていた! こっちの方も映画なみの豪華作ですよね。


3、前作の失敗を大いに活かした緊張感のある物語構成&余裕のある演出

 ともかく本作は、『仮面ライダー対じごく大使』が悔しがるんじゃないかと思われるくらいに作りに余裕があり、開始して約8分で志郎がデストロン基地に潜入するサスペンスシーンに入り、再生改造人間(ジシャクイノシシとピッケルシャーク)が登場するやいなや、対する志郎も V3に変身するというスピーディな展開は、志郎を演じる宮内さんのアクションもあいまって、子ども心をガッチリつかむテンポと緊迫感に溢れています。いいぞ~。
 ところで、本作では紀伊半島で失踪してから本編経過時間にして3分12秒後という結構早いタイミングで、愛媛県のホテル奥道後に現れ藤兵衛たちと再会する志郎なんですが、あまりにも復活が早すぎて主人公不在の不安感を持つヒマもないこの展開、なんで差し込んだの? 宮内さんの撮影スケジュールの都合?
 これ実は、TV 本編第20・21話のほうで、本州から愛媛に移動する際に乗っていた豪華フェリー「さんふらわあ」号の中で、志郎がデストロンとハデに闘うシーンがあったからなんでしょう。映画でも船上で闘うわけにはいかないもんねぇ。

 作品の絵的な美しさで言うと、ホテル奥道後隣接の遊園地での追跡シーンの、湧ヶ淵から錦晴殿までのロケーションもかなりいいですよね。錦晴殿も現存していないし、今となっては史料映像です。金色の殿堂の前で変身のポーズを決める志郎のカッコよさ!! あと、ホテル奥道後でのダンサー衣装のまんまで白昼堂々逃走する沖田ひろ子さんの下半身が、昭和の子ども向け番組としてはかなりきわどいのも、ギャップがあって刺激的ですね!
 その一方で、ただ単にロケ時の天気が良かったからいいというだけでなく、ホテル一室での志郎や藤兵衛たちが作戦会議を開くシーンで、座っている藤兵衛たちに対して、ひとり立ち歩く志郎だけがツルッツルの鏡面になったテーブルに映り込んだ姿で会話しているという、仮面ライダーシリーズらしからぬオシャレな画面構成もあったりして、油断しているとドキッとする演出もあるんですよね。こういうのが、作品作りの余裕なんだろうなぁ。円熟の証です。

 その他、気になった点だけをつらつらと挙げていけば、冒頭にスッと現れて沖田博士を拉致する、黒帽子に黒スーツに黒サングラスという怪しさ全開の謎の男役の中村文弥さんが、実にふてぶてしくていい! 高知城での藤兵衛たちとのやり取りも悪の色気があって最高です。さすがは未来のデストロン大幹部(雇われ)。ドクバリグモに戻らないで~!
 同じく高知城ロケにて、お城の石段を愛機ハリケーンで盛大に「ズダダダダ!」と駆け降りる V3。いやーん、そこ国史跡&日本百名城!! 山内一豊もビックリよ。

 その他、愛媛県のくるしまドックの造船所内ロケで、遠景のドック屋上から V3を見下ろしていたドクトルG なんですが、演じる千波丈太郎さんは四国には行かなかったらしいんですね。つまりこれは、関東で別撮りした千波さん本人のアップショットと、ドックでドクトルG の衣装を着たスタントマンによる遠景ショットをうまく組み合わせて、あたかもドックにいるかのように構成した妙技! さっすが、主人公本人が大ケガやら失踪やらで現場からいなくなっても番組放送に穴を開けなかった制作スタッフは、腕が違うな~!!

 最後に、さすがにこれを外すわけにはいきません。変身前の人間での姿が見られないのは残念ですが、やぁ~っぱり、仮面ライダー1・2号の再登場はアツい!! 本人の声による吹替えなのもいいですよね。
 確かに、ひとりのライダーの孤高の闘いを描く『ゴーゴー仮面ライダー』や『仮面ライダー対じごく大使』もすばらしいのですが、オープニング映像での3人ライダーのバイク集結&後ろドッカーンからして、ハートをガッチリつかみ取られてしまいます。特に私は、ファミコンの『仮面ライダー倶楽部』をやってたから、あのお3方にバイクで一斉ジャンプされちゃうと、もうね……テンションMAX ですよ。
 その後何度となく繰り返される歴代ライダー集合のくだりなんですが、まぁ繰り返すには繰り返すだけの理由があるんですよね。でも、前にも言ったことがあるかもしれませんが、ヒーローの集合は「5~6人くらいまで」が限界じゃないですか。それ以上増えると効果は薄まる一方なんじゃないかなぁ。各自のキャラクターや見せ場は少なくなるし、敵の方がかわいそうに見えてきちゃうしねぇ。


4、ひずる、ひずる、ひずる~!!

 珠純子役の小野ひずるさんがとにかく綺麗! これだ! 今までの「仮面ライダーシリーズ」に足りなかったのは!!
 ……って言うと歴代ライダーガールズのみなさんに対してあまりにも失礼なわけなんですが、本来のヒロインになるはずだった緑川ルリ子さんの、本郷猛渡欧の巻き添えを食ったような降板いらい、物語に立花藤兵衛レベルでがっつり絡んでくるヒロインは絶えていなかったと思うんですよね。そこで満を持して登場したのが、シリーズ初の全編を通してのメインヒロイン・珠純子であるわけなのですが、演じる小野さんが美人! ただそれだけで、いい!!
 昭和特撮の伝説のヒロインといえば、なんてったって仮面ライダーと双璧をなす、円谷プロのウルトラシリーズにおける『ウルトラセブン』のアンヌ隊員(演・ひし美ゆり子)が真っ先に挙げられるかと思われるのですが、なんだかんだ言ってもいっぱしの戦闘要員であるアンヌ隊員に対して、純子さんは非力&可憐! す~ぐにデストロンのみなさんにとっつかまっちゃう! だが、そこがいいんだなぁ~!! それでも、めげずに志郎について行こうとするたくましさにこそ、純子さんの唯一無二の魅力があると思うんですよね。

 なにはなくとも、ヒロインが外見、内面ともに美しいということは、実に大切なことです。このことは、図らずも『 V3』の次作が、逆の意味で証め……いえ、なんでもないです、速水さん……

 それにしても、全ての闘いが終わった後、同じく「さんふらわあ」号で本州へ帰る一行のくだり。屋外プールのシーンで純子姉さんのビキニ姿をちょっとしか映さない制作スタッフのいけず~!! そりゃあ、プールサイドにいる志郎も藤兵衛も、そろって目線の読めないサングラスをかけますよね。
 ただここでビキニ以上に見逃せないのは、純子姉さんが超小声でささやく、「わたしは平(泳ぎ)よ……」という、アフレコで差し込んだアドリブゼリフの妙なおもしろさなんですよね。これ、バタ足で泳ぎ出した弟のシゲルや沖田博士の弟・正夫をうけてのものなのでしょうが、そんなこと言いながらプールで泳ぐひといないでしょ! ギャグセンスありますね、ひずるさん!!


 ま、そんなこんなで、前作『仮面ライダー』の映画版での苦労のあれこれが報われたかのように、まさに神の子のごとく祝福された歴史的快作『仮面ライダーV3対デストロン怪人』だったのですが、やはりこのような「無敵モード」がいつまでも続くわけではなく。早くも次作において、昭和ライダーシリーズの大いなる「終わりの始まり」は、静か~に静か~に忍び寄ってくるのでありました。ま、終わりったって、50年続くんだけどね!

 いや~『 V3』の世界って、いつ観ても元気が出ますよね! でも、火薬多めの爆破は危険だから、みんなは真似しないでね!!

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