仮タイトル 『洛炎戦国記(らくえんせんごくき)』
・原作 …… 今谷 明 『戦国三好一族 天下に号令した戦国大名』(1985年 洋泉社)
第14回『賢治狂乱』
おもなトピック …… 三好元長の阿波帰国、柳本賢治の暴走 ※享禄元(1528)年八月~享禄二(1529)年十一月
おもな登場人物
柳本 賢治(27歳) …… 三好元長を堺幕府から失脚させて政権の中枢を牛耳り、大和国や河内国に積極的に派兵して権力の拡大をはかる
三好 政長(21歳) …… 堺幕府を去った元長の代理として畿内地方の三好軍を取りまとめるが、しだいに当主・元長をさしおいて堺幕府の実権を握る野望をいだくようになる
足利 義晴(18歳) …… 近江国朽木谷の興聖寺(こうしょうじ)に潜伏しつつもかろうじて幕府の権威を維持し続け、堺幕府の兄・足利義維の新将軍就任をかたくなにはばむ
畠山 稙長(たねなが 25歳)…… 河内国守護だったが、細川道永派だったために柳本賢治の猛攻を受け居城・高屋城を放棄し亡命する
第15回『道永の逆襲』
おもなトピック …… 柳本賢治の出家、細川道永の挙兵 ※享禄三(1530)年五~十一月
おもな登場人物
細川 道永(47歳) …… 近江・伊賀・伊勢・越前・若狭・出雲・備中国などを流浪した末に備前国守護代・浦上村宗(うらがみ むらむね)の軍勢を挙兵させることに成功し、大軍を率いて播磨国を席巻、京への足がかりとなる摂津国大物城(だいもつじょう 現在の兵庫県尼崎市)を占拠して進駐する
柳本 賢治(29歳) …… 進撃する道永軍への対処で主君・細川六郎と決裂し、道永軍との決戦のために入城していた播磨国三木城(現在の兵庫県三木市)で何者かの手によって暗殺される
細川 六郎(17歳) …… 道永軍の破竹の勢いにたいして、堺幕府にとって必要不可欠だった武将・柳本賢治を失ったことにより政権発足後最大の危機におちいり、かつて自らが追放した阿波国の三好元長に頼らざるをえない状況に苦慮する
別所 就治(なりはる 29歳)…… 播磨国守護代。堺幕府側について道永・浦上軍の東上を食い止めようとするが、居城・三木城での柳本賢治暗殺に動揺し三木城を放棄する
第16回(第一部最終話)『血戦、大物崩れ(だいもつくずれ)』
おもなトピック …… 細川道永最後の上洛と死、細川六郎政権の復活 ※享禄四(1531)年二~六月
おもな登場人物
細川 道永(48歳) …… 堺幕府の撤退により3年ぶりの京奪回を果たすが、三好元長の戦線復帰により膠着状態となり、同盟相手の浦上村宗に父を暗殺された恨みを持っていた播磨国守護・赤松政祐(まさすけ のちの赤松晴政)の裏切りによって発生した「大物崩れ」の末に自軍は壊滅。自身も潜伏していたところを三好軍に捕らえられ、ついに摂津国尼崎の広徳寺で自害させられる
細川 六郎(18歳) …… 自ら追放した三好元長の復帰を許すことによって道永を滅ぼすことに成功し、実に20年以上続いていた管領細川家の内部抗争を終結させることはできたものの、復活した元長の影響力を苦々しく感じる
三好 元長(31歳) …… 細川六郎の赦免によって道永を滅ぼし堺幕府の中枢に復帰するが、主君・六郎との埋めがたい対立の溝に手をこまねく
細川 持隆(もちたか 35歳)…… 阿波国守護で細川六郎の従兄にあたる。六郎を幼いころから養育していた実力者で、三好元長の復帰に加勢して和泉国堺に上陸するが、二人の決定的な対立に六郎政権の不安定さを見透かして心を痛める
第17回(第二部初回)『当主の面子(めんつ)』
おもなトピック …… 細川尹賢(ただかた)の討死、細川持隆の阿波国帰国 ※享禄四(1531)年七月~享禄五・天文元(1532)年三月
おもな登場人物
細川 六郎 …… 三好元長を孤立させるために、元長が支援していた堺幕府の足利義維を見限って近江国朽木谷の将軍・足利義晴と和解するという一大奇策に打って出る ※その結果、将軍・足利義晴との歴史的和解と義晴の3年ぶりの京帰還が実現したため、六郎ははれて公に「晴元」という本名を使用するようになった
三好 元長(出家して海雲)…… 六郎政権の足利義晴乗りかえ策に断固反対し、六郎に近い重臣・木沢長政(山城国守護代)や大叔父の三好政長らと対立するが、死没した柳本賢治の残党を六郎に無許可で討滅したことを非難されて出家、形式上隠居する
細川 持隆 …… 細川六郎と三好元長の和解をはかって努力するが、まったく事態を打開できないまま万策尽きて領国の阿波国に撤退する
柳本 甚次郎(9歳) …… かつて三好元長の政敵だった柳本賢治の遺児。柳本派の残党に擁立されて京の三条城に立てこもるが、細川六郎の意思を無視した三好元長の強引な総攻撃に耐え切れず壊滅させられる
第18回『大反乱』
おもなトピック …… 本願寺門徒の大蜂起事件(天文の錯乱)、山城国・山科本願寺の焼き討ち事件(山科本願寺合戦) ※享禄五・天文元(1532)年五~八月
おもな登場人物
三好 海雲(32歳) …… 対立する木沢長政の居城・河内国飯盛山城(現在の大阪府大東市)を包囲して落城寸前にまで追い詰めるが、突如として発生した細川晴元の意を汲む本願寺門徒の大一揆に攻め立てられ和泉国堺の法華宗顕本寺(けんぽんじ 堺幕府の御所だった)にまで撤退し、足利義維と我が子の千熊丸(11歳)を大坂湾に逃がした上で自害する
細川 晴元 …… 重臣である木沢長政に公然と攻撃を開始した三好海雲をいよいよ危険視し、巨大宗教だった本願寺派浄土真宗(一向宗)の宗主・証如と結託して海雲を滅ぼすための大規模な一向一揆の蜂起を引き起こすが、今度はまったく歯止めのきかなくなった大反乱の収束に苦慮する
本願寺 証如(17歳)…… 本願寺派浄土真宗第10世宗主。細川晴元政権への接近を目的として三好海雲討滅のための一向一揆を自ら指揮するが、10万人規模にまで膨れあがった大蜂起を制御できなくなり、その結果、晴元政権のかき集めた鎮圧軍によって総本山の山科本願寺を焼き討ちされたために、総本山を摂津国の石山御坊(現在の大阪城区域)にうつす
足利 義維(24歳) …… 5年前の上陸以来、堺幕府の「次期将軍」として幕政の中枢にいたが、細川晴元の裏切りにあい、ついに将軍に就任できないまま本願寺門徒の大蜂起に巻き込まれ、信頼していた三好元長の自害と堺幕府の崩壊を見届けながら阿波国に亡命する
第19回『久秀と規秀(のりひで)』
おもなトピック …… 美濃国守護・土岐頼芸(よりあき)による重臣・長井長弘(ながひろ)の誅殺、晴元政権と石山本願寺の和睦 ※天文二(1533)年正~六月
おもな登場人物
西村 正利(改名して長井規秀 40歳) …… 長井長弘の家臣だったが、陰謀によって主君・土岐頼芸に長弘を誅殺させて長井家を乗っ取り「長井規秀」と改名する
松永 久秀(24歳) …… 鋭利な政治感覚と豊富な経済知識を利用して武家に仕官しようとするが、いっこうに京を安定統治できない晴元政権を見限って阿波国にわたり、その才を買われてまだ幼い三好家の当主・千熊丸の養育係に抜擢される
三好 千熊丸(元服して利長 のちの範長~長慶 12歳)…… 幼いながらも抜群の政治眼と冷静な判断力を持ち合わせており、私怨よりも三好家の復活を優先させる久秀の進言を聞き入れて、父を殺した細川晴元と石山本願寺の和睦を仲介、その直後に元服して「利長」と名乗る
細川 晴元(20歳) …… 山科本願寺の焼き討ちによって本願寺派も敵にまわすことになり、一時は淡路国に亡命するほどの窮地に立たされるが、本願寺との和睦の仲介を買ってでた三好千熊丸によって政権の延命に成功する
第20回『麒麟児』
おもなトピック …… 三好利長の摂津国御園(現在の兵庫県尼崎市)一向一揆鎮圧、利長の細川晴元政権への本格的な参入 ※天文二(1533)年八月~天文三(1534)年十月
おもな登場人物
三好 利長 …… 執事となった松永久秀の助言をもとに三好軍を摂津国に進駐させ、晴元政権でも本願寺派でもない第三勢力として影響力を拡大させ、他の勢力の動静をさぐる
細川 晴元 …… 和睦はしたものの、畿内各地で石山本願寺からの指示を無視した一向一揆がおさまらない非常事態が続き、鎮圧する軍事力を三好利長に頼らざるを得ない状況におちいる
足利 義晴(23歳)…… 表面上は細川晴元と和解したために京に帰還するが、一向一揆のために幕政を再開できない状態が続き、晴元政権への不信感をつのらせた末に近江国観音寺城(かんのんじじょう)下の桑実寺(くわのみでら 現在の滋賀県近江八幡市)に幕府を移し、近江国守護の六角定頼(ろっかく さだより)を頼るようになる
木沢 長政(41歳)…… 三好利長の勢力を危険視し、晴元政権の中での自らの地位を高めるために、本願寺派や利長との一時的な和解を成立させる外交交渉を一手に引き受ける
第21回『みほとけの心』
おもなトピック …… 茨木長隆(ながたか)の法華宗一揆鎮圧、三好利長の中島一向一揆鎮圧 ※天文五(1536)年正~七月
おもな登場人物
三好 利長 …… 摂津国中島(現在の大阪市東淀川区)を拠点とした一向一揆と細川道永の残党を攻撃するが手痛い敗戦を味わい、政敵である木沢長政や三好政長(血縁の遠い一族)の力を借りてあらためて再戦をいどみ討滅に成功する
木沢 長政 …… 畿内地方の一向一揆の鎮圧を三好利長にまかせつつ、河内国守護で晴元政権に敵対していた畠山稙長(33歳)を追放して勢力を拡大させる
茨木 長隆(32歳)…… 摂津国の地方武士だったが晴元政権のもとで京奉行人として活躍し、近江国の六角定頼や比叡山延暦寺の軍事力を利用して京で一向一揆をふせぐために拡大しすぎた法華宗の勢力を一掃し(天文法華の乱)、自身の発言力を増大させる
六角 定頼(42歳)…… 近江国守護。将軍・足利義晴を自らの居城・観音寺城の城下に招いて幕府の存続に貢献し、京の法華宗一揆鎮圧に軍隊を派兵するなど、晴元政権の運営に積極的に介入していくようになる
第22回『定頼、台頭』
おもなトピック …… 本願寺派の再建、将軍・足利義晴の次男(幼名不明、のちの足利義昭)誕生 ※天文五(1536)年八~天文六(1537)年十一月
おもな登場人物
細川 晴元(23歳) …… 三好利長と木沢長政の活躍によって畿内地方の治安を回復し、将軍・足利義晴を京に呼び戻して念願の室町幕府第20代管領の座を手中におさめる ※室町幕府の第19代管領には、細川道永の政治的不在をついて1526年に山城国守護・畠山義尭(よしたか ?~1532年 河内国守護・畠山稙長の一族とは応仁大乱以来の敵対関係にあった)が就任していたが、歴史的にはあまり意味のない一時的な在任だったため、この物語ではそれほど大きくは取りあげない
六角 定頼 …… 正式に管領となった晴元に自分の養女を正室(正妻)として嫁がせ、政権内での発言力を増大させていく
三好 利長(15歳) …… 晴元政権の安定のために諸国を転戦するが、幼少であることを理由に政権の要職からは遠ざけられ、六角定頼の影響力の拡大を静観する
本願寺 証如(21歳)…… 一向一揆を容認しない方針に転換することで晴元政権との協調をはかり、新たな石山本願寺としての教団再生の道を模索していく
第23回『戦乱の予感』
おもなトピック …… 足利義維の嫡男(幼名不明、のちの足利義栄)誕生、三好政長の謹慎 ※天文七(1538)年正月~天文八(1539)年四月
おもな登場人物
三好 利長 …… 晴元政権内で冷遇されていたことに加え、かつて父・元長の所領だった河内国の要衝・茨田(まんだ)の地を親族の三好政長が占有し続けていることに不満を爆発させ、ついに政長と晴元に対して挙兵する
三好 政長(31歳) …… 分家筋の身でありながら河内国の三好本家の土地を領有していることを利長に非難され、いったんは丹波国の領地に謹慎して様子をうかがう
足利 義維(30歳) …… 阿波国の平島(現在の徳島県阿南市)に潜伏しながらも、三好利長の擁立によって畿内地方に復帰し、悲願の将軍就任を果たす野望を捨てきれずにいる
長井 規秀(45歳 改名して斎藤利政)…… 美濃国守護代・斎藤利良(としなが)の死に際し、美濃国守護・土岐頼芸に接近して斎藤家の名跡を継承し、美濃国守護代・斎藤利政となる
第24回『利長起(た)つ』
おもなトピック …… 三好利長の軍事上洛、利長の摂津国守護代就任 ※天文八(1539)年六~七月
おもな登場人物
三好 利長(18歳)…… 晴元政権への不満を爆発させるという形で兵三千を率いて京を一時占拠するが、これに対して管領・細川晴元と将軍・足利義晴がまったく対抗できなかったという結果を得て満足し撤退、その威力を恐れた晴元によって摂津国守護代の地位を与えられる
細川 晴元(26歳)…… 管領でありながらも三好利長の上洛になんら有効な手を打つことができず、山城国高雄(現在の京都市右京区)に非難した末に利長に摂津国守護代の地位を与えて事態を収束させる
三好 政長 …… 利長の直接の敵対者として小規模な戦闘を京で繰り広げるが、すぐに利長に恭順して被害を最小限にとどめる
足利 義晴(29歳)…… いちはやく逃走した管領・晴元にかわって幕府としての三好利長との交渉を一手に引き受け、六角定頼などの近隣諸国の大名の軍事力を背景に利長に京撤退を要求、その過程で、利長の早熟な政治的才能にはじめて接し戦慄する
第25回『長政の野望』
おもなトピック …… 三好利長の婚姻、管領・細川晴元の摂津国芥川山城(現在の大阪府高槻市)入城 ※天文九(1540)年十一月~天文十(1541)年十二月
おもな登場人物
木沢 長政(47歳) …… 大和・河内・山城国の広大な領土を背景に挙兵し、管領・細川晴元にかわる新たな政権の樹立をもくろむが、将軍・足利義晴の支持を得られなかったために晴元・三好利長陣営との勢力均衡のにらみあいが続く
三好 利長(改名して範長 のりなが)…… 木沢長政の挙兵に晴元政権第一の軍事力として立ち向かい、晴元を自軍の摂津国芥川山城に入場させて決戦に備える
細川 晴元 …… 晴元政権の転覆をはかる木沢長政の挙兵に恐怖するが、三好利長の進言により徹底抗戦の態度を表明する
畠山 稙長(37歳) …… かつて家臣だった木沢長政に河内国守護の座を追われ紀伊国に潜伏していたが、長政と晴元政権との抗争が勃発した間隙を突いて挙兵し、長政を見限った河内国守護代の遊佐長教(ゆさ ながのり)と内通して高屋城を奪回を目指す
第26回『国盗り』
おもなトピック …… 斎藤利政の美濃国制圧、足利義昭(幼名不明 6歳)の大和国・奈良興福寺一乗院門跡入室 ※天文十一(1542)年正~十一月
おもな登場人物
斎藤 利政(49歳) …… 美濃国守護・土岐頼芸との対立を表面化させ、頼芸の居城・大桑城(おおがじょう 現在の岐阜県山県市)を攻めて頼芸一族を隣国・尾張国に追放し、ついに美濃一国の君主となる
三好 範長(21歳) …… 一族の三好政長や河内国守護代の遊佐長教とともに兵八千を率いて木沢長政の兵七千と河内国太平寺(現在の大阪府柏原市)で激突し、長政を討ち取る大勝利をおさめる(太平寺合戦)
木沢 長政(49歳) …… 遊佐長教の策謀によって畠山稙長が復帰した河内国高屋城を失ったのちに、太平寺合戦で三好範長らに敗れ討死する
遊佐 長教(ながのり 52歳)…… 河内国守護代。かつて木沢長政と手を組んで主君の畠山稙長を追放したこともある策士だが、暴走する長政を滅ぼすために稙長を復帰させ、三好範長との友好関係を築く
う~ん、2クール終わったのに、数えるほどしか有名な人が出てこない! あ~んど、異常に血なまぐさい!!
でもさぁ~、哀しいけどこれ、戦国なのよねぇ。こういう時代だったなのよさ……アッチョンブリケ☆
でも、ここまで妄想しておいてこう言うのもなんなのですが……
今でもちゃ~んと存続しておられる実在の宗教団体さんにとって、「あんまり語られたくない過去」をドラマ化されるのって、なかなか快諾してもらえる話じゃないですよね……
いくら「そこは『ほとけの顔』でひとつお願いいたします。」っつったって、これはなかなか高いハードルだぞ~。
織田信長のあたりを描くこれまでの大河ドラマでだって、石山本願寺の恐ろしさが真正面から描写されることなんて実はほとんどなかったですもんね。今回の証如さんの息子さんにあたる本願寺顕如を演じた役者さんなんて、いたっけ? どの作品でも、そこらへんの宗教問題はボ~ンヤリとした感じになっちゃうんですよね。比叡山焼き討ちだっていちおう映像化はされるけど、その経緯が信長のパーソナリティ以外の視点でしっかり語られることはあんまりなかったんじゃないですか。
でも、ここらへんの流血の宗教戦争を語らずして、戦国時代の京を語るわけにはいかんのであります。それを踏まえての織田政権であり豊臣政権であり、パクス・トクガワーナ250年なのでありますから。大事なんだ、ほんと。
う~ん、やっぱりこの作品、映像化はかなりの至難の業だネ!!
それでもめげずに、まったじっかい~。
・原作 …… 今谷 明 『戦国三好一族 天下に号令した戦国大名』(1985年 洋泉社)
第14回『賢治狂乱』
おもなトピック …… 三好元長の阿波帰国、柳本賢治の暴走 ※享禄元(1528)年八月~享禄二(1529)年十一月
おもな登場人物
柳本 賢治(27歳) …… 三好元長を堺幕府から失脚させて政権の中枢を牛耳り、大和国や河内国に積極的に派兵して権力の拡大をはかる
三好 政長(21歳) …… 堺幕府を去った元長の代理として畿内地方の三好軍を取りまとめるが、しだいに当主・元長をさしおいて堺幕府の実権を握る野望をいだくようになる
足利 義晴(18歳) …… 近江国朽木谷の興聖寺(こうしょうじ)に潜伏しつつもかろうじて幕府の権威を維持し続け、堺幕府の兄・足利義維の新将軍就任をかたくなにはばむ
畠山 稙長(たねなが 25歳)…… 河内国守護だったが、細川道永派だったために柳本賢治の猛攻を受け居城・高屋城を放棄し亡命する
第15回『道永の逆襲』
おもなトピック …… 柳本賢治の出家、細川道永の挙兵 ※享禄三(1530)年五~十一月
おもな登場人物
細川 道永(47歳) …… 近江・伊賀・伊勢・越前・若狭・出雲・備中国などを流浪した末に備前国守護代・浦上村宗(うらがみ むらむね)の軍勢を挙兵させることに成功し、大軍を率いて播磨国を席巻、京への足がかりとなる摂津国大物城(だいもつじょう 現在の兵庫県尼崎市)を占拠して進駐する
柳本 賢治(29歳) …… 進撃する道永軍への対処で主君・細川六郎と決裂し、道永軍との決戦のために入城していた播磨国三木城(現在の兵庫県三木市)で何者かの手によって暗殺される
細川 六郎(17歳) …… 道永軍の破竹の勢いにたいして、堺幕府にとって必要不可欠だった武将・柳本賢治を失ったことにより政権発足後最大の危機におちいり、かつて自らが追放した阿波国の三好元長に頼らざるをえない状況に苦慮する
別所 就治(なりはる 29歳)…… 播磨国守護代。堺幕府側について道永・浦上軍の東上を食い止めようとするが、居城・三木城での柳本賢治暗殺に動揺し三木城を放棄する
第16回(第一部最終話)『血戦、大物崩れ(だいもつくずれ)』
おもなトピック …… 細川道永最後の上洛と死、細川六郎政権の復活 ※享禄四(1531)年二~六月
おもな登場人物
細川 道永(48歳) …… 堺幕府の撤退により3年ぶりの京奪回を果たすが、三好元長の戦線復帰により膠着状態となり、同盟相手の浦上村宗に父を暗殺された恨みを持っていた播磨国守護・赤松政祐(まさすけ のちの赤松晴政)の裏切りによって発生した「大物崩れ」の末に自軍は壊滅。自身も潜伏していたところを三好軍に捕らえられ、ついに摂津国尼崎の広徳寺で自害させられる
細川 六郎(18歳) …… 自ら追放した三好元長の復帰を許すことによって道永を滅ぼすことに成功し、実に20年以上続いていた管領細川家の内部抗争を終結させることはできたものの、復活した元長の影響力を苦々しく感じる
三好 元長(31歳) …… 細川六郎の赦免によって道永を滅ぼし堺幕府の中枢に復帰するが、主君・六郎との埋めがたい対立の溝に手をこまねく
細川 持隆(もちたか 35歳)…… 阿波国守護で細川六郎の従兄にあたる。六郎を幼いころから養育していた実力者で、三好元長の復帰に加勢して和泉国堺に上陸するが、二人の決定的な対立に六郎政権の不安定さを見透かして心を痛める
第17回(第二部初回)『当主の面子(めんつ)』
おもなトピック …… 細川尹賢(ただかた)の討死、細川持隆の阿波国帰国 ※享禄四(1531)年七月~享禄五・天文元(1532)年三月
おもな登場人物
細川 六郎 …… 三好元長を孤立させるために、元長が支援していた堺幕府の足利義維を見限って近江国朽木谷の将軍・足利義晴と和解するという一大奇策に打って出る ※その結果、将軍・足利義晴との歴史的和解と義晴の3年ぶりの京帰還が実現したため、六郎ははれて公に「晴元」という本名を使用するようになった
三好 元長(出家して海雲)…… 六郎政権の足利義晴乗りかえ策に断固反対し、六郎に近い重臣・木沢長政(山城国守護代)や大叔父の三好政長らと対立するが、死没した柳本賢治の残党を六郎に無許可で討滅したことを非難されて出家、形式上隠居する
細川 持隆 …… 細川六郎と三好元長の和解をはかって努力するが、まったく事態を打開できないまま万策尽きて領国の阿波国に撤退する
柳本 甚次郎(9歳) …… かつて三好元長の政敵だった柳本賢治の遺児。柳本派の残党に擁立されて京の三条城に立てこもるが、細川六郎の意思を無視した三好元長の強引な総攻撃に耐え切れず壊滅させられる
第18回『大反乱』
おもなトピック …… 本願寺門徒の大蜂起事件(天文の錯乱)、山城国・山科本願寺の焼き討ち事件(山科本願寺合戦) ※享禄五・天文元(1532)年五~八月
おもな登場人物
三好 海雲(32歳) …… 対立する木沢長政の居城・河内国飯盛山城(現在の大阪府大東市)を包囲して落城寸前にまで追い詰めるが、突如として発生した細川晴元の意を汲む本願寺門徒の大一揆に攻め立てられ和泉国堺の法華宗顕本寺(けんぽんじ 堺幕府の御所だった)にまで撤退し、足利義維と我が子の千熊丸(11歳)を大坂湾に逃がした上で自害する
細川 晴元 …… 重臣である木沢長政に公然と攻撃を開始した三好海雲をいよいよ危険視し、巨大宗教だった本願寺派浄土真宗(一向宗)の宗主・証如と結託して海雲を滅ぼすための大規模な一向一揆の蜂起を引き起こすが、今度はまったく歯止めのきかなくなった大反乱の収束に苦慮する
本願寺 証如(17歳)…… 本願寺派浄土真宗第10世宗主。細川晴元政権への接近を目的として三好海雲討滅のための一向一揆を自ら指揮するが、10万人規模にまで膨れあがった大蜂起を制御できなくなり、その結果、晴元政権のかき集めた鎮圧軍によって総本山の山科本願寺を焼き討ちされたために、総本山を摂津国の石山御坊(現在の大阪城区域)にうつす
足利 義維(24歳) …… 5年前の上陸以来、堺幕府の「次期将軍」として幕政の中枢にいたが、細川晴元の裏切りにあい、ついに将軍に就任できないまま本願寺門徒の大蜂起に巻き込まれ、信頼していた三好元長の自害と堺幕府の崩壊を見届けながら阿波国に亡命する
第19回『久秀と規秀(のりひで)』
おもなトピック …… 美濃国守護・土岐頼芸(よりあき)による重臣・長井長弘(ながひろ)の誅殺、晴元政権と石山本願寺の和睦 ※天文二(1533)年正~六月
おもな登場人物
西村 正利(改名して長井規秀 40歳) …… 長井長弘の家臣だったが、陰謀によって主君・土岐頼芸に長弘を誅殺させて長井家を乗っ取り「長井規秀」と改名する
松永 久秀(24歳) …… 鋭利な政治感覚と豊富な経済知識を利用して武家に仕官しようとするが、いっこうに京を安定統治できない晴元政権を見限って阿波国にわたり、その才を買われてまだ幼い三好家の当主・千熊丸の養育係に抜擢される
三好 千熊丸(元服して利長 のちの範長~長慶 12歳)…… 幼いながらも抜群の政治眼と冷静な判断力を持ち合わせており、私怨よりも三好家の復活を優先させる久秀の進言を聞き入れて、父を殺した細川晴元と石山本願寺の和睦を仲介、その直後に元服して「利長」と名乗る
細川 晴元(20歳) …… 山科本願寺の焼き討ちによって本願寺派も敵にまわすことになり、一時は淡路国に亡命するほどの窮地に立たされるが、本願寺との和睦の仲介を買ってでた三好千熊丸によって政権の延命に成功する
第20回『麒麟児』
おもなトピック …… 三好利長の摂津国御園(現在の兵庫県尼崎市)一向一揆鎮圧、利長の細川晴元政権への本格的な参入 ※天文二(1533)年八月~天文三(1534)年十月
おもな登場人物
三好 利長 …… 執事となった松永久秀の助言をもとに三好軍を摂津国に進駐させ、晴元政権でも本願寺派でもない第三勢力として影響力を拡大させ、他の勢力の動静をさぐる
細川 晴元 …… 和睦はしたものの、畿内各地で石山本願寺からの指示を無視した一向一揆がおさまらない非常事態が続き、鎮圧する軍事力を三好利長に頼らざるを得ない状況におちいる
足利 義晴(23歳)…… 表面上は細川晴元と和解したために京に帰還するが、一向一揆のために幕政を再開できない状態が続き、晴元政権への不信感をつのらせた末に近江国観音寺城(かんのんじじょう)下の桑実寺(くわのみでら 現在の滋賀県近江八幡市)に幕府を移し、近江国守護の六角定頼(ろっかく さだより)を頼るようになる
木沢 長政(41歳)…… 三好利長の勢力を危険視し、晴元政権の中での自らの地位を高めるために、本願寺派や利長との一時的な和解を成立させる外交交渉を一手に引き受ける
第21回『みほとけの心』
おもなトピック …… 茨木長隆(ながたか)の法華宗一揆鎮圧、三好利長の中島一向一揆鎮圧 ※天文五(1536)年正~七月
おもな登場人物
三好 利長 …… 摂津国中島(現在の大阪市東淀川区)を拠点とした一向一揆と細川道永の残党を攻撃するが手痛い敗戦を味わい、政敵である木沢長政や三好政長(血縁の遠い一族)の力を借りてあらためて再戦をいどみ討滅に成功する
木沢 長政 …… 畿内地方の一向一揆の鎮圧を三好利長にまかせつつ、河内国守護で晴元政権に敵対していた畠山稙長(33歳)を追放して勢力を拡大させる
茨木 長隆(32歳)…… 摂津国の地方武士だったが晴元政権のもとで京奉行人として活躍し、近江国の六角定頼や比叡山延暦寺の軍事力を利用して京で一向一揆をふせぐために拡大しすぎた法華宗の勢力を一掃し(天文法華の乱)、自身の発言力を増大させる
六角 定頼(42歳)…… 近江国守護。将軍・足利義晴を自らの居城・観音寺城の城下に招いて幕府の存続に貢献し、京の法華宗一揆鎮圧に軍隊を派兵するなど、晴元政権の運営に積極的に介入していくようになる
第22回『定頼、台頭』
おもなトピック …… 本願寺派の再建、将軍・足利義晴の次男(幼名不明、のちの足利義昭)誕生 ※天文五(1536)年八~天文六(1537)年十一月
おもな登場人物
細川 晴元(23歳) …… 三好利長と木沢長政の活躍によって畿内地方の治安を回復し、将軍・足利義晴を京に呼び戻して念願の室町幕府第20代管領の座を手中におさめる ※室町幕府の第19代管領には、細川道永の政治的不在をついて1526年に山城国守護・畠山義尭(よしたか ?~1532年 河内国守護・畠山稙長の一族とは応仁大乱以来の敵対関係にあった)が就任していたが、歴史的にはあまり意味のない一時的な在任だったため、この物語ではそれほど大きくは取りあげない
六角 定頼 …… 正式に管領となった晴元に自分の養女を正室(正妻)として嫁がせ、政権内での発言力を増大させていく
三好 利長(15歳) …… 晴元政権の安定のために諸国を転戦するが、幼少であることを理由に政権の要職からは遠ざけられ、六角定頼の影響力の拡大を静観する
本願寺 証如(21歳)…… 一向一揆を容認しない方針に転換することで晴元政権との協調をはかり、新たな石山本願寺としての教団再生の道を模索していく
第23回『戦乱の予感』
おもなトピック …… 足利義維の嫡男(幼名不明、のちの足利義栄)誕生、三好政長の謹慎 ※天文七(1538)年正月~天文八(1539)年四月
おもな登場人物
三好 利長 …… 晴元政権内で冷遇されていたことに加え、かつて父・元長の所領だった河内国の要衝・茨田(まんだ)の地を親族の三好政長が占有し続けていることに不満を爆発させ、ついに政長と晴元に対して挙兵する
三好 政長(31歳) …… 分家筋の身でありながら河内国の三好本家の土地を領有していることを利長に非難され、いったんは丹波国の領地に謹慎して様子をうかがう
足利 義維(30歳) …… 阿波国の平島(現在の徳島県阿南市)に潜伏しながらも、三好利長の擁立によって畿内地方に復帰し、悲願の将軍就任を果たす野望を捨てきれずにいる
長井 規秀(45歳 改名して斎藤利政)…… 美濃国守護代・斎藤利良(としなが)の死に際し、美濃国守護・土岐頼芸に接近して斎藤家の名跡を継承し、美濃国守護代・斎藤利政となる
第24回『利長起(た)つ』
おもなトピック …… 三好利長の軍事上洛、利長の摂津国守護代就任 ※天文八(1539)年六~七月
おもな登場人物
三好 利長(18歳)…… 晴元政権への不満を爆発させるという形で兵三千を率いて京を一時占拠するが、これに対して管領・細川晴元と将軍・足利義晴がまったく対抗できなかったという結果を得て満足し撤退、その威力を恐れた晴元によって摂津国守護代の地位を与えられる
細川 晴元(26歳)…… 管領でありながらも三好利長の上洛になんら有効な手を打つことができず、山城国高雄(現在の京都市右京区)に非難した末に利長に摂津国守護代の地位を与えて事態を収束させる
三好 政長 …… 利長の直接の敵対者として小規模な戦闘を京で繰り広げるが、すぐに利長に恭順して被害を最小限にとどめる
足利 義晴(29歳)…… いちはやく逃走した管領・晴元にかわって幕府としての三好利長との交渉を一手に引き受け、六角定頼などの近隣諸国の大名の軍事力を背景に利長に京撤退を要求、その過程で、利長の早熟な政治的才能にはじめて接し戦慄する
第25回『長政の野望』
おもなトピック …… 三好利長の婚姻、管領・細川晴元の摂津国芥川山城(現在の大阪府高槻市)入城 ※天文九(1540)年十一月~天文十(1541)年十二月
おもな登場人物
木沢 長政(47歳) …… 大和・河内・山城国の広大な領土を背景に挙兵し、管領・細川晴元にかわる新たな政権の樹立をもくろむが、将軍・足利義晴の支持を得られなかったために晴元・三好利長陣営との勢力均衡のにらみあいが続く
三好 利長(改名して範長 のりなが)…… 木沢長政の挙兵に晴元政権第一の軍事力として立ち向かい、晴元を自軍の摂津国芥川山城に入場させて決戦に備える
細川 晴元 …… 晴元政権の転覆をはかる木沢長政の挙兵に恐怖するが、三好利長の進言により徹底抗戦の態度を表明する
畠山 稙長(37歳) …… かつて家臣だった木沢長政に河内国守護の座を追われ紀伊国に潜伏していたが、長政と晴元政権との抗争が勃発した間隙を突いて挙兵し、長政を見限った河内国守護代の遊佐長教(ゆさ ながのり)と内通して高屋城を奪回を目指す
第26回『国盗り』
おもなトピック …… 斎藤利政の美濃国制圧、足利義昭(幼名不明 6歳)の大和国・奈良興福寺一乗院門跡入室 ※天文十一(1542)年正~十一月
おもな登場人物
斎藤 利政(49歳) …… 美濃国守護・土岐頼芸との対立を表面化させ、頼芸の居城・大桑城(おおがじょう 現在の岐阜県山県市)を攻めて頼芸一族を隣国・尾張国に追放し、ついに美濃一国の君主となる
三好 範長(21歳) …… 一族の三好政長や河内国守護代の遊佐長教とともに兵八千を率いて木沢長政の兵七千と河内国太平寺(現在の大阪府柏原市)で激突し、長政を討ち取る大勝利をおさめる(太平寺合戦)
木沢 長政(49歳) …… 遊佐長教の策謀によって畠山稙長が復帰した河内国高屋城を失ったのちに、太平寺合戦で三好範長らに敗れ討死する
遊佐 長教(ながのり 52歳)…… 河内国守護代。かつて木沢長政と手を組んで主君の畠山稙長を追放したこともある策士だが、暴走する長政を滅ぼすために稙長を復帰させ、三好範長との友好関係を築く
う~ん、2クール終わったのに、数えるほどしか有名な人が出てこない! あ~んど、異常に血なまぐさい!!
でもさぁ~、哀しいけどこれ、戦国なのよねぇ。こういう時代だったなのよさ……アッチョンブリケ☆
でも、ここまで妄想しておいてこう言うのもなんなのですが……
今でもちゃ~んと存続しておられる実在の宗教団体さんにとって、「あんまり語られたくない過去」をドラマ化されるのって、なかなか快諾してもらえる話じゃないですよね……
いくら「そこは『ほとけの顔』でひとつお願いいたします。」っつったって、これはなかなか高いハードルだぞ~。
織田信長のあたりを描くこれまでの大河ドラマでだって、石山本願寺の恐ろしさが真正面から描写されることなんて実はほとんどなかったですもんね。今回の証如さんの息子さんにあたる本願寺顕如を演じた役者さんなんて、いたっけ? どの作品でも、そこらへんの宗教問題はボ~ンヤリとした感じになっちゃうんですよね。比叡山焼き討ちだっていちおう映像化はされるけど、その経緯が信長のパーソナリティ以外の視点でしっかり語られることはあんまりなかったんじゃないですか。
でも、ここらへんの流血の宗教戦争を語らずして、戦国時代の京を語るわけにはいかんのであります。それを踏まえての織田政権であり豊臣政権であり、パクス・トクガワーナ250年なのでありますから。大事なんだ、ほんと。
う~ん、やっぱりこの作品、映像化はかなりの至難の業だネ!!
それでもめげずに、まったじっかい~。