http://www.asahi.com/national/update/0821/TKY200808210328.html
朝日新聞より:コピペします。
NHK、政府主催のシンポ放送 子会社受注表示せず
NHKの子会社が政府機関などから千万円単位でシンポジウムの運営を受注し、後日、NHKが放送番組として、これらのシンポを取り上げていたことが明らかになった。番組を見ても、子会社が受注したことは伏せられており、政府など外部機関が主催したことを告知しない番組も多かった。有識者からは「事実上スポンサーつきの広報番組だ」との批判が出ている。
放送法では、政府を含む特定の者の利益のためにNHKが放送をすることは認められておらず、NHKはスポンサーをつけず、受信料で番組制作するのを建前としている。
受注したのは、「NHKエンタープライズ」「NHK情報ネットワーク」など制作子会社3社。3社の株はNHKが過半を所有。役職員もNHKの出身が多く、グループとしての一体性が強い。
このため、発注者側はNHKで放送されると信じ、契約したケースが目立つ。契約金はシンポ1件あたり1千万~3千万円。発注者が政府機関の場合は国の予算から支出されている。
シンポの司会はたいてい、NHKアナウンサーや解説委員が務め、後日、そのシンポはNHK教育テレビの「日曜フォーラム」や衛星第2テレビの「BSフォーラム」で全国放映された=表。
子会社は「NHKへの番組提案権」を武器に営業し、広告会社などに競り勝って受注する場合もあった。番組を企画立案し、NHK本部に取り上げるよう直接提案できるのは、06年7月に外部に一部開放されるまで長く3社だけに限られていた。なかには「こんな企画はどうでしょう。テレビで放送しますから」などと事実上約束したうえで契約した例や、契約書に「番組制作及び放映に関する業務」と明記した例もあった。
米国では、政府がカネを出していることを視聴者に知らせず、政策宣伝することは「非公然プロパガンダ」として原則禁じられている。05年、米政府の教育政策をほめる放送番組の裏で、教育省が出演者に金銭を渡していたことが発覚。議会の会計検査院は同省に是正を要求した。
英国の公共放送BBCはガイドラインで「イベントの主催者から放送費用に充てられるカネを受け取ってはならない」と定めている。BBC元幹部はNHKの放送について「驚いた。BBCでは許されないことのように見える。編集の独立、政府との関係、透明性、不公正な競争など多くの論点がある」と語った。
放送倫理・番組向上機構(BPO)放送倫理検証委員会委員の服部孝章・立教大学教授も「こうした放送は『広報』。直接NHK本体に契約金が入っていないとしても、子会社を隠れみのにしているだけだ」と批判。オックスフォード大学などでBBCとNHKを比較研究してきたヘンリー・ローレンス博士は「事実だとすれば、政府とNHKの関係があまりに近い。公共放送は政府の影響から自由でなければならないが、政府機関から個々の番組に支払いがあるのならば、それが不可能になる」と論評した。(奥山俊宏、蛭牟田繁)
■「公共性が高く広報ではない」
NHK広報局の話 番組化されたシンポはいずれも公共性の高いもので、官公庁などの広報番組とはまったく異なる。関連団体によるシンポの企画運営は株式会社として正当な事業で、放送を前提にした営業を行っている事実はない。シンポの主催者を毎回明示する必要や、企画・運営をどこがいくらで受注しているかを放送の中で伝える必要はないと考える。それぞれのテーマについてシンポの出席者の発言を紹介し、視聴者に考えていただく材料を提供することが番組の狙いだからだ。