大企業支援 軍事増強
岸田政権 経済対策を閣議決定
財政支出は55.7兆円
岸田文雄政権は19日、新しい経済対策を閣議決定しました。財政支出規模は55・7兆円。そのうち国費は43・7兆円を占めます。2021年度補正予算では31・9兆円を計上し、残りは22年度予算に盛り込みます。
対策は安倍晋三政権時代からの標語、「成長と分配の好循環」を強調し、アベノミクスを継承しています。(1)新型コロナウイルス感染拡大防止(2)社会経済活動の再開と危機管理の徹底(3)「新しい資本主義」の起動(4)国民の安全・安心の確保―を4本柱としました。「経済安全保障」などの名目で特定産業への補助金や、「国民の安全・安心」として軍事力の増強が盛り込まれました。
岸田首相が目玉とする分配戦略では税制支援による賃上げ促進を掲げます。内容はこれまでも行ってきた賃上げ企業への法人税減税の拡充だとみられます。生産性向上に取り組む中小企業への助成も明記されましたが、すでに行われている取り組みの強化です。しかも法人税を納めているのは4割程度の黒字企業。また、経営にゆとりのある中小企業しか生産性向上には取り組めません。結局、多くの労働者には賃上げの恩恵が届きません。
「最優先課題」としてきた看護師や介護職員、保育士の待遇については抜本改善に程遠い内容です。介護職員や保育士の収入を3%程度(月9000円)引き上げる方針。この程度では他の産業に比べ、依然として低賃金のままです。看護師は収入の段階的な3%引き上げをめざし、当面は4000円(1%程度)引き上げるとしました。ただ、当面の対象はコロナ対応の医療機関への勤務者のみです。
コロナ対策では暮らし支援として子育て世帯や困窮世帯への給付金を盛り込みました。子育て世帯への給付金は、対象を児童手当と同じ基準としたため、子育て世帯の約9割が該当。一方、困窮世帯への給付金は住民税非課税世帯が対象です。単身サラリーマンの場合、都市部で年収100万円以下。非正規雇用をはじめ多くの困窮世帯が給付金の対象からはずれます。
「新しい資本主義」を起動するとして成長戦略を掲げました。「経済安全保障」の名目で戦略的な産業基盤の国内確保を強調。半導体などの生産工場の国内立地促進のために財政出動することなどが盛り込まれました。エネルギーについては原子力を含む「あらゆる選択肢を追求して研究開発等」を進めるとしています。
「国民の安全・安心」では、「ミサイル防衛能力」など軍事力強化を明記。スパイ衛星の開発も盛り込みました。
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今まで何度もムダが指摘されていたにもかかわらず放置され続け、今回、やっと見直し議論が出始めたのが、国会議員1人当たりに月額100万円が支給されている文書通信交通滞在費(文通費)問題。問題提起のきっかけを作り、一躍、存在感を発揮しているのが、「日本維新の会」だろう。
副代表の吉村洋文・大阪府知事(46)は18日、自民党などが12月召集予定の臨時国会で、文通費の日割り支給法案提出を検討していることに対して「ごまかしだ」と猛批判。自身が国会議員時代に文通費をちゃっかり得ていた「ブーメラン」を忘れてしまったかのような物言いだったが、吉村知事の言う通り、ごまかされてはいけない文通費のもう一つの問題が、維新議員の使い方。文通費の残額を毎月、自分が代表を務める政治団体や関連の後援会に「寄付」する“移し替え”だ。
政治資金問題に詳しい上脇博之・神戸学院大教授(63)は日刊ゲンダイの取材に対し、文通費の“移し替え”を違法行為と指摘しているが、維新議員はそろって馬耳東風。例えば、維新の足立康史議員(56)は、こうした指摘について、ツイッターにこう投稿している。
<正しいことを、印象操作に負けて改めるのは最悪です。団体寄付に何の問題もありません。セルフ領収書に何の問題もありません。それを確認した上で、どうすべきか、を議論すべきです>
<経費性のない余った文書通信交通滞在費を返還する=いただかない、には賛成ですが、団体寄付=セルフ領収書の趣旨をひん曲げて印象操作を組織的に展開してきた赤旗・共産党のキャンペーンにのるような論旨には賛成できません>
極論すれば「マネーロンダリング」と変わらない
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なんともトンチンカンな反論としか言いようがないが、不思議なのはこの維新の寄付問題について、維新創設者でもある元大阪府知事で弁護士の橋下徹氏(52)の歯切れがよくない事だ。
橋下氏はツイッターで、<政治団体なんかに入れずにきちんと管理すればセルフ領収書批判など受けずに済みます。いくら説明しても余ったものの精算を避けるためのものなので世間に響きません>と見直しを促しつつも、<今回の文通費改革の問題提起は本気だから世間に響き、政治を大きく動かしました。これが真の維新だと思います>と投稿している。
自分が立ち上げた古巣をぶった切るのはさすがに難しいのだろうが、橋下氏にしては何だか奥歯に物が挟まったような物言いだ。
ちなみに、足立議員は約5年前にも文通費の寄付問題で、メディアに大々的に取り上げられていた。過去の政治資金収支報告書をみると、「あだち康史後援会」の寄付欄に「文書通信交通滞在費より」と但し書き付きで記入(現在は別団体へ)しているのが確認できるが、驚くのは政治活動費の記述に「橋下徹講演料」として216万円の支出があったことだ。
記述のママ受け取れば、文通費の一部が政治団体に寄付され、それが講演料となった可能性もあるわけで、こうした使い方が違法でないのであれば、何でもOKになってしまう。極論すれば「マネーロンダリング」と変わらないだろう。
橋下氏の追及がいつもより緩んでしまうのも、無理はないということか。