飛騨の山猿マーベリック新聞

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★田村委員長の代表質問 参院本会議

2024年02月03日 11時30分42秒 | ●YAMACHANの雑記帳

赤旗電子版紙面

田村委員長の代表質問

参院本会議

 日本共産党の田村智子委員長が2日の参院本会議で行った代表質問は次の通りです。


写真

(写真)質問する田村智子委員長=2日、参院本会議

 私は、日本共産党を代表して、岸田首相に質問いたします。

 はじめに、能登半島地震で亡くなられた方々へ心より哀悼の意を表し、被災された方々に心よりお見舞い申し上げます。

能登半島地震への対応

避難所等の深刻な現状を直視し、生活支援にあらゆる手だてを

 発災から1カ月、避難所での生活はなお過酷を極めています。段ボールベッドや、男女別で洋式の仮設トイレもない、プライバシーが保障され安心して休める場所もない、1カ月がたってなお、こうした実態が残されていることを、総理はどう受け止めているのでしょうか。災害関連死を防ぐためにも、またジェンダーの視点からも、ただちに改善をはかるべきではありませんか。

足りない施策をすべて行うという立場で復旧・復興を

 水がほしい、切実な要求です。水がないために、入浴、洗濯、温かい食事の提供も困難、復旧工事や自治体への職員派遣も現地に滞在できず片道2時間、3時間かかるなど、生活にも、被災地支援にも、大きな支障をもたらしています。本格復旧には相当な時間がかかるとされており、応急水道の設置が必要です。これを進めるためにも、応急水道の設置、それに続く上下水道の本格復旧、どちらの費用も国が全額負担することを明確にすべきではありませんか。

 輪島朝市のみなさんが「朝市を応援する会」をたちあげて、復興のために来られる全国のみなさんに食事を提供することから始めて、事業を再開していこうと、語っておられます。前を向いてがんばろうというみなさんに希望となる思い切った支援が必要です。政府が示した「パッケージ」は、半壊・一部損壊にも家屋解体の費用は出す、しかし住宅再建の費用は従来のままです。「異例の措置を講ずる」と言うのですから、被災者生活再建支援金を少なくとも600万円以上に引き上げ、対象を拡大することが不可欠ではありませんか。以上、被災地のみなさんの希望となる答弁を求めます。

原発事故のさいの避難計画は破綻している

原発ゼロの決断を

 今回の地震によって、志賀原発は、原子炉を冷却する外部電源の損傷など、重大なトラブルが相次ぎました。柏崎刈羽原発も、使用済み核燃料プールから大量の冷却水があふれ出ました。稼働中であったらどうなっていたのか。

 しかも原発再稼働の前提となる避難計画は、地震・津波災害に対応できないことが、いよいよ明瞭となりました。避難計画にある道路は、破損、土砂崩れが多発し、集落は孤立状態になりました。逃げようにも逃げられません。また避難計画は、「屋内退避」が原則ですが、倒壊の危険性がある建物にとどまれというのか、津波から逃げずにとどまれというのか、命を守ることと根本的に矛盾します。

 ところが総理は、この問題に一言もふれず、「原子力発電について」「安全優先で、引き続き活用を進める」と表明された。一体、地震による原発の重大トラブル、避難計画の破綻をどう認識しているのでしょうか。

 すでに福島第1原発の事故で明らかなように、地震・津波国で安全な原発などない、大災害時に避難計画は全く機能しない、この事実を認めるべきではありませんか。志賀原発、柏崎刈羽原発を直ちに廃炉とし、原発ゼロを決断すべきです。答弁を求めます。

裏金事件の真相究明、金権腐敗の一掃

裏金事件は、自民党の組織的犯罪という認識があるか

 自民党の政治資金パーティーをめぐる巨額の裏金事件は、主要派閥がそろって政治資金収支報告書を偽造していた、自民党ぐるみの違法行為です。昨日、安倍派は、2020年からの3年分で4億2726万円もの不記載があったとして、政治資金収支報告書を訂正し、5年で6億8000万円近い不記載を認めました。これが、事務的ミスですか。悪質きわまりない組織的犯罪ではありませんか。

 橋本聖子参院議員は5年間で2057万円のキックバックを受けていたとご自身が説明しましたが、訂正された3年間ではわずか289万円です。安倍派は、改選をむかえる参議院議員に売り上げ分を全額キックバックしていたと指摘されており、いつキックバックが行われたのか、裏金が何に使われたのか、いつからシステム化されたのかなど、全容解明が不可欠です。

 総理、自民党国会議員の4分の1以上が関わった組織的犯罪について、その全容をあらいざらい明らかにすることは、自民党総裁たるあなたの責任ではありませんか。

岸田首相の政治資金パーティー「延期」について

 「しんぶん赤旗」日曜版は、2月4日号で、昨年12月15日に開催予定の岸田総理の「政治資金パーティー」が延期されたと報じています。総理、なぜ中止しないのですか。まだ政治資金パーティーを開くつもりですか。

 中止すればパーティー券の返金が必要となり、1万円を超えるものは返金先、返金額を支出としてすべて政治資金収支報告書に記載しなければなりません。総理、どの企業がいくら購入したか、返金によって明らかになることをのがれるために、中止ではなく延期としたのですか。開催せず返金もしなければ、パーティー券収入は寄付そのものです。企業・団体の購入分は、政治家個人への違法な企業・団体献金になるのではありませんか。

 総理自身の疑惑についてすべてを明らかにすることなしに、「政治刷新」を語る資格はありません。明確な答弁を求めます。

企業・団体献金の禁止、政党助成金の廃止を

 金権腐敗の根本にある企業・団体献金を、パーティー券購入を含め、全面的に禁止することが必要です。ところが岸田総理は、「企業にも政治活動の自由がある」として背を向けています。企業が献金によって行う政治活動とは、カネの力で政治を動かそうという利権政治そのものではありませんか。

 たとえば消費税をめぐって、国民の大多数が導入・増税に反対したにもかかわらず、企業献金を提供する経済界の意向に応え自民党などの数の力で、庶民増税が強行され、あわせて法人税が減税されました。企業が金の力で政治をゆがめてきたことは明らかであり、投票権を持たない企業の政治献金は、国民の参政権を侵害するものではありませんか。総理の見解をお示しください。

 1994年の「政治改革」では、企業・団体献金の禁止と言いながら、政党と政党支部への献金、企業・団体によるパーティー券購入を認める、という二つの抜け穴をつくり、そのうえ政党助成金を導入しました。日本共産党は、企業・団体献金の全面禁止、政党助成金の廃止を一貫して主張し、そのための法案を繰り返し提出してきました。

 国民が1票を投じて政治に参加する、これが議会制民主主義の大原則です。政治資金規正法は、政治資金について「民主政治の健全な発達を希求して拠出される国民の浄財」であるとしています。主権者である国民一人ひとりの自覚的な献金を政治資金としてこそ、健全な民主政治の発達がもたらされます。

 いま、他の政党も企業・団体献金の禁止を主張しています。金権腐敗政治を一掃するため、自民党が企業・団体献金の禁止を決断すべきではないのか、総理の答弁を求めます。

経済対策

労働者の7割を占める中小企業の賃上げ政策こそ必要

 国民の暮らしと経済の立て直しが緊急に必要です。

 総理は、「昨年は、30年ぶりの高い賃上げ水準」と胸を張りましたが、昨年11月の名目賃金は、前年同月比わずか0・7%増、実質賃金は20カ月連続でマイナスです。労働者数で7割を占める中小企業の賃上げが、足踏み状態だからではありませんか。

 「賃上げ減税」は、日本経団連傘下の一部大企業の賃上げを支援しても、赤字企業には何の恩恵もありません。赤字で苦しむ中小企業への賃上げ直接助成に、なぜ踏み切らないのか、その必要はないという認識なのですか。

 わが党は、大企業の内部留保の一部に課税して、これを財源に社会保険料減額などですべての中小企業・小規模事業者の賃上げを直接支援し、全国一律で最低賃金を時給1500円に引き上げることを、2年にわたって提案しています。なぜ検討さえ拒否するのか。これ以上に効果のある賃上げ政策があるというのか、お答えください。

非正規ワーカーの待遇改善を

 非正規ワーカーの大幅賃上げが求められます。ところが施政方針演説では、パートの「年収の壁」解消支援策が示されただけです。

 わが党は、非正規ワーカー待遇改善の法案を提起しています。理不尽な雇い止めをなくして雇用の安定をはかる、不当な格差や差別をやめさせ、均等待遇の実現をはかるというものです。このなかで、ハローワークの職員、保育士、図書館司書、消費者相談員など、公務の専門職の多くが非正規であり、国の責任で賃金格差の是正と安定雇用を保障し、民間企業に範を示すよう求めています。これらの非正規ワーカーはすでに国家資格や専門的スキルを持つ職員です。ただちに、正規職員との賃金格差の是正を行うべきではありませんか。

 中小企業・小規模事業者、非正規ワーカー、ここへの直接の賃上げ政策なしに、労働者全体の賃上げは進まない、その認識があるのかも含め、総理の答弁を求めます。

教育費負担の軽減――給食無償、高等教育学費値下げを

 子育て支援、若い世代への政策として、教育費の無償化に進むのかどうかが問われています。今年度、学校給食無償化が自治体に大きく広がりました。市民の切実な要求に、何とかこたえようという自治体の努力があってのことです。今度は、国が要求にこたえて、給食無償化に踏み出すべきではありませんか。

 大学など高等教育の学費無償化に向けて、まず入学金の廃止と授業料半額をとわが党は提案しています。ところが岸田政権が打ち出したのは、「多子世帯の学費無償化」、子ども3人が同時に扶養家族である時だけという、あまりにも狭い政策で、歓迎どころか批判の声が吹き荒れています。一体、この政策で、全学生の何割が無償化となるのでしょうか。子どもが1人であろうと、大学に進学したとたんに、貯金が一気に100万円単位で減っていく、この衝撃がどれほど大きいかが、わからないのでしょうか。

 日本政府は、高等教育の漸進的無償化という国際人権規約を批准しています。学費を値下げし、無償化に向かうということです。この約束を実現するつもりがあるのか、それとも反故(ほご)にするつもりなのか、総理、明確にお答えください。

 社会保障の予算をおさえつけ、教育無償化は棚上げ、その一方で、岸田政権は軍事費の2倍化に突き進んでいます。「安保3文書」の閣議決定後、軍事費増額は2・5兆円規模です。これは、学校給食無償化、高校授業料の完全無償化、大学・専門学校の入学金廃止と学費半額、これらすべてを実現できる予算規模です。軍事費2倍化と子育て支援は絶対に両立しない、このことが、来年度予算案で、はっきりと示されたのではありませんか。総理の答弁を求めます。

安保・外交

軍事費2.5兆円は、憲法違反の「戦争国家づくり」

 軍事費の大幅増額で何を進めるのか。周辺諸国を直接攻撃するための長射程ミサイルのさらなる配備と量産です。陸海空3自衛隊の統合作戦司令部をつくり、自衛隊を米軍の指揮下に深く組み込む体制づくりです。これらはアメリカの戦略に付き従い、中国包囲網づくりを進め、いざというときには、日米一体で軍事介入するためのものではありませんか。しかも、相手国からの反撃を受けたもとでも戦闘を継続するという想定で、全国の自衛隊施設の強靱(きょうじん)化、日米共同訓練が行われています。まさに戦争の準備です。そのうえ国際紛争を助長しないという憲法の理念を投げ捨て、殺傷武器の輸出を閣議決定しました。

 侵略戦争への痛苦の反省の上に立ち、政府の行為によって再び戦争の惨禍を繰り返さないという決意のもとに制定された日本国憲法に、真っ向から反するものではありませんか。

辺野古新基地への固執が、普天間基地固定化の要因に

 米軍辺野古新基地建設は、沖縄県民の圧倒的な民意にそむき、県知事から軟弱地盤工事の設計変更の承認権限をとりあげ、国交大臣による「代執行」という前代未聞の乱暴なやり方で強行しています。

 玉城デニー知事が求め続けた対話に応じず、「代執行」を強行してから林官房長官が知事と会うとは、あまりにも不誠実ではありませんか。しかも岸田政権は、沖縄県民からの根本的な問いに答えていません。「普天間基地の一日も早い返還が必要」といいますが、それはいつなのか。辺野古新基地建設は、政府の見込みでさえ、12年もかかるという、これでは日米合意から40年間、普天間基地は1ミリも動かないではありませんか。そもそも軟弱地盤を抱える辺野古新基地建設は不可能です。完成しなければ、延々と普天間基地は使用されるというのでしょうか。総理、沖縄県民の民意を無視し、辺野古に固執する政府の姿勢が、普天間基地を固定化している最大の要因ではありませんか。危険きわまりない普天間基地はただちに閉鎖・撤去し、辺野古新基地建設を中止すべきです。答弁を求めます。

ASEANから何を学ぶのか

 米中対立が強まるもとで、アメリカに言われるままに軍事的対応を強めれば、結局、北東アジアでの軍事的緊張は高まる一方です。

 わが党は、ASEANの国々との協力こそ、戦争の心配のない北東アジアをつくる道だと考えます。昨年12月、私は、インドネシアのASEAN本部を訪問し、長年の外交努力をお聞きしました。国家体制も経済力も異なる10カ国が、年間1500回もの会議を行い、いまや、対話せずにはいられない、「対話の習慣」がつくられている。平和と安定があってこそ繁栄するという立場で、平和の地域協力を東アジア全体に広げようと、東アジアサミットという枠組みをつくり、「対抗でなく対話と協力」の東アジアを目指す「ASEAN・インド太平洋構想(AOIP)」を推進する。実にダイナミックで粘り強い平和外交です

 米中対立のもとで、ASEANは、どちらか一方の側に立つことも、一方を排除することもせず、自主独立の立場を貫いています。大国に積極的に関与し、大国の関与も歓迎する、しかしどの国の言いなりにもならず、ASEANの中心性を貫く――ここに学ぶべき外交努力があるのではないでしょうか。アメリカいいなり、アメリカの顔色をうかがうのではなく、ASEANと協力して、平和の地域協力を進める自主独立の外交へ転換が必要ではありませんか。総理の答弁を求めます。

ジェンダー平等

市民も経済界も求める選択的夫婦別姓の実現を

 最後に、ジェンダー平等についてお聞きします。1月17日、日本経団連が女性活躍担当大臣との懇談で、選択的夫婦別姓の導入を要望しました。自民党などが主張する通称使用は、とりわけ国際機関では通用せず、現に深刻な不利益を被る女性たちがいることも具体的に示しての要望です。同姓にしなければ民法上の婚姻が認められず、結果として、女性が姓を変える夫婦が9割以上、不利益を受け入れているのは圧倒的に女性、これは間接差別そのものではありませんか。

 すでに若い世代を中心に市民社会は、選択的夫婦別姓に賛成が多数です。経済界も認識を発展させています。それでもまだ自民党は妨害するのか、それとも変わるのか、総理、お答えください。

 いまジェンダー平等、個人の尊厳を掲げる大きなムーブメントは、日本社会を変える力となっています。この力に連帯し、誰もが自分を大切にして生きることのできる社会へと一気に動かす、この決意を述べ質問を終わります。

2024年2月3日(土)

 


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