岸田文雄首相の施政方針演説に対する衆参両院の代表質問で、野党4党は政治資金規正法改正の具体案を示し、賛同を求めた。各党の主張には重なる部分が多い。自民党の自浄能力に期待できない以上、野党が結束して改革の実現を迫るべきだ。
自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件を受け、立憲民主はパーティー全面禁止を掲げ、維新、共産は企業・団体へのパーティー券販売禁止を主張した。国民民主も与野党合意を前提に企業・団体への販売禁止に賛同する姿勢だ。政治家や政治団体が支持者と懇親する場としてパーティーの存続を認めるとしても、企業・団体が政治家個人や政治団体に献金する抜け道となっている現状は改めなければならない。購入者名の公開基準額引き下げも必要だ。罰則強化に向け、会計責任者だけでなく議員も処罰される連座制の導入を立民、維新が提唱した。裏金に手を染めた安倍派幹部らが罪に問われず、議員の地位にとどまっていることに国民は不信を深めている。連座制の導入は有効な再発防止策になり得る。政党が議員個人に支出する政策活動費は使途公開の義務がなく、不透明と指摘されてきた。立民、維新、共産は廃止を唱え、国民民主は使途公開を提案。野党側の主張はほぼ一致している。自民党は政治資金改革の具体案を依然取りまとめておらず、首相は与野党の協議会が設置されれば「真摯(しんし)に議論する」と述べるにとどめた。人ごとのような姿勢では改革の意思を疑われて当然だ。ただ、与党の公明党は連座制の導入や政策活動費の使途公開を主張している。野党側が改革案を一本化して実現を迫れば、自民党も拒否できないのではないか。裏金事件の背景には、野党側が小党に分立して政権交代の可能性が低くなったため、自民党におごりや緩みが生じたことがある。野党には、小異を捨てて大同につき、政治に緊張感を取り戻す努力を尽くす政治的責任がある。立民の泉健太代表は、各党が共通政策をまとめて実現を図る「ミッション(使命)型内閣」を提唱した。4日の党大会では次期衆院選で第1党を目指す姿勢を打ち出すが、政治改革を巡り野党が大同団結できなければ政権交代など見果てぬ夢だ。野党第1党として指導力を発揮すべき局面である。
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