元経産官僚が菅首相のブレーンに抜擢だ。菅政権は9日、内閣官房参与に慶応大大学院教授の岸博幸氏を任命したと発表。コロナ禍を巡る「さざ波」発言で辞職した嘉悦大教授の高橋洋一氏と入れ替わる形で、内閣参与は再び計10人となった。
岸氏は経産省出身。現在は民放の情報番組やバラエティーのコメンテーターとしても活動している。1986年に一橋大経済学部を卒業後、旧通産省入り。小泉政権で竹中平蔵元内閣府特命担当相の秘書官などを歴任した。2006年に退官後、民間企業の役員や内閣府国家戦略特区ワーキンググループ委員、大阪府・市の特別顧問などを務めている。
菅首相とは先月26日に面会していた。
加藤官房長官は起用理由について「成長戦略、規制改革、経済産業政策、広報戦略について、適宜、総理に対し情報提供や助言をいただく」と説明したが、ピンとこない。なぜ岸氏なのか。
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■竹中平蔵人脈からの抜擢
「岸クンはそもそも、菅総理のブレーンのひとりである竹中さんの“部下”みたいなもの。政権と気脈を通じているし、コメンテーターとして顔も広く知られているから起用への反発も小さい。ただ、政策立案においてはこれといった実績はなく、総理のイメージアップを期待しているのではないか。岸クンはエイベックス・グループ・ホールディングスの元顧問ですからね。安倍前総理が芸能人と会食を重ねて戦略的にアベ人気を高めたように、総理も何とか支持を広げたいところ。岸クンの人脈もあてにしているのでしょう」(経産省関係者)
「令和おじさん」「パンケーキ好き」でチヤホヤされたのは、はるか昔。調子こいて「ガースーです」と自己紹介しては炎上し、独善的な政権運営からついたあだ名は「スガーリン」だ。衆院選の前哨戦だった都議選では歴史的敗北。秋までにイメージアップしたいのは当然で、岸氏にとっても願ったりかなったりの展開だ。
「経産官僚からタレントになったはいいものの、ピエロになりきれず、ブレークしたとは言い難い。政権内部に入れば箔が付きます。〈菅政権は~〉と話のネタにもなるし、〈選挙に出ないか〉と声がかかる可能性も大きくなる。今後のキャリアを見据えれば、参与就任はオイシイはずです」(前出の経産省関係者)
ネット上はすでに〈悪名高き竹中平蔵の子飼い〉〈世も末〉――と大荒れ。菅首相の思惑通りにいくかどうか。
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