見過ごせない事実誤認「『恩赦』は憲法に書いてある」の嘘
今回の政令恩赦について、私は、それが原理的にも機能的にも不都合であるから、「抜かない刀」にしたらよい――と主張した。
小林節慶応大名誉教授
1949年生まれ。都立新宿高を経て慶大法学部卒。法学博士、弁護士。米ハーバード大法科大学院のロ客員研究員などを経て慶大教授。現在は名誉教授。「朝まで生テレビ!」などに出演。憲法、英米法の論客として知られる。14年の安保関連法制の国会審議の際、衆院憲法調査査会で「集団的自衛権の行使は違憲」と発言し、その後の国民的な反対運動の象徴的存在となる。「白熱講義! 日本国憲法改正」など著書多数。新著は竹田恒泰氏との共著「憲法の真髄」(ベスト新著)
今回の私見には賛成の反応が大多数であったが、ひとつ見過ごせない反論(事実誤認)があった。それは、「恩赦は憲法に根拠があり、それがダメだというなら改憲しかない」という意見である。
まず、憲法の7条(天皇の国事行為)6号は「大赦、特赦、減刑、刑の執行の免除及び復権」と明記しており、そこには「恩赦」という文言はない。73条(内閣の職務権限)7号も同じである。つまり、「恩赦」は憲法に根拠のない法律上の用語にすぎないのである。
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