テレビドラマや映画、CMなどで半世紀以上にわたって活躍した俳優の山本陽子(やまもと・ようこ)さんが20日、急性心不全のため死去した。81歳。東京都出身。葬儀は親族のみで行い、後日お別れの会を開く予定。
所属事務所によると、山本さんは亡くなる数時間前までいつもと変わらない様子で、帰宅直後に体調が急変したという。
高校卒業後、証券会社に勤務。1963年に日活ニューフェイスに合格し、芸能界入りした。渡哲也さん主演の映画「青春の裁き」や浜田光夫さん主演の「愛して愛して愛しちゃったのよ」でヒロインを務めた。
70年代にはNHK大河ドラマ「国盗り物語」、TBS「白い滑走路」などヒット作に出演。NHK銀河テレビ小説「となりの芝生」で主演し、確固たる人気を築いた。
80年代以降もテレビ朝日「黒革の手帖」やNHK「カイワレ族の戦い」など、多数のドラマで主演した。NHK連続テレビ小説「京、ふたり」(90年度)では畠田理恵さんとのダブルヒロインで話題になった。舞台にも力を入れ、「おはん」の演技で94年に菊田一夫演劇賞を受賞した。
「山本海苔店」と67年に専属モデル契約を結び、長く同社のテレビCMなどに出演。「世界最長記録」を2009年に達成したとして、ギネス世界記録に認定された。
晩年は静岡県熱海市で暮らし、今年4月に舞台「そして誰もいなくなった」への出演を予定していた。
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所属事務所である「株式会社三陽企画」によると、亡くなったのは20日。山本陽子さんの甥にあたる「三陽企画」日塔謙太郎代表取締役は、「亡くなる数時間前まで一緒におり、いつもと変わらぬ様子で帰宅の途へついたので、所属事務所代表であり、家族でもある私自身いまだに信じられません。死因は帰宅直後の急性心不全でした」などと発表した。 また「突然の出来事による対応に追われ、公式リリース前に不確定な情報がでたことで関係各所に多大なご迷惑をお掛けしましたことを心よりお詫び申し上げます」と謝罪した。 また、日塔代表取締役は「今回このようなかたちで皆様へ突然の訃報をお知らせすることになったのは残念でなりません。4月公演、アガサ・クリステイー原作の舞台『そして誰もいなくなった』の稽古を間近に控え、台本と向き合う日々でした。やり遂げられなかったこと、共演者、公演関係者、観劇予定のお客様へご迷惑をお掛けすることになったことは大変申し訳なく思いますが、今頃本人は向こうで『こっちの話し方のほうがいいかしら?』などと役作りに励んでいることと思います。常に傍らにいた私から見ても最期の瞬間まで自由に生きた幸せな人生でした」と語った。 事務所によると、故人の遺志により、葬儀は親族のみで執り行ったといい、「日をあらためてお別れ会を企画させていただければと思います」と説明した。 山本さんは1963年に「光る海」の女子学生役でデビュー。65年から66年にかけて放送されたTBS「ナショナル劇場 七人の孫」では和服姿の楚々とした女性を演じ、これを見そめた山本海苔店の社長が同社CMへの出演をオファー。67年から22年まで実に55年にわたって続き、42年を過ぎた2010年に「専属タレント契約の世界最長記録」としてギネスに認定され、以降も更新を続けていた。71年には森光子さん主演「放浪記」の「悠起」役で初舞台を踏み、80年の「花埋み」で初主演。94年の「おはん」の演技で第19回菊田一夫演劇賞を受賞。06年には「いろどり橋」で名古屋演劇ペンクラブ賞を贈られた。08年、09年には「放浪記」の舞台で「日夏京子」役で上演回数2000回の記念舞台に出演し、花を添えた。今年2月2日放送のテレビ朝日「徹子の部屋」が生前最後の出演番組となった。
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