防衛省事務方トップの防衛次官を7月まで務めていた島田和久氏は7日、東京都内の日本記者クラブで講演し、相手国領域内の軍事拠点などをたたく敵基地攻撃能力(反撃能力)の保有について「必須だ」と述べた。政府は年末にまとめる国家安全保障戦略など3文書改定に合わせ、保有の是非を判断する予定だが、防衛省元幹部が保有の推進役として必要性を強調した。
島田氏は現在、岸田文雄首相に助言する内閣官房参与。故安倍晋三元首相の下では、首相秘書官を6年半務めていた。
講演では、日本を狙った相手のミサイルを迎撃するミサイル防衛(MD)の維持・強化には多額の費用がかかり、費用対効果を考えると「MDの一本やりでは限界がある」と主張。敵基地攻撃能力について「日本は戦後長らく米国に任せてきたが、日本が一定程度、その能力を持つことは必須ではないか」と訴えた。
限定的な攻撃力による敵基地攻撃では、相手が攻撃を思いとどまる抑止効果が低いのではとの質問に対し、島田氏は米国だけでなく日本からも反撃を受けるとなれば「相手の戦略計算を複雑にし、抑止力向上に大きな効果がある」と指摘した。(川田篤志)