諸般の事情で
「プリキュア」さんのミュージカルを見に行ってみました。
■ふたりはプリキュアスプラッシュ☆スター ミュージカルショー
会場:グリーンホール相模大野
日時:2006年9月10日(日) 15時30分開場 16時開演
誤解の無いように補足しますが、別に私はこんな子供だましのイベントに行きたかったわけではないのです。
ただ、「SplashStar」になって人気が落ちたと聞いて、実際の現場を見て確認したかっただけなのです。
東映アニメーションの株主ですし、そういう生の情報は大事なのです。
そもそも、「プリキュア」のコアターゲットは、就学前後の女児および30歳前後の男性です。
企画段階でそう指定されてるんだから、その年代の男性が行ってもおかしくはないのです。
むしろ行かないほうが、商業的には大失敗なのです。
それに私も、もう大人です。
「行きたいから行く」とか「行きたくないから行かない」とか、そんな言い訳だらけの生き方ではダメなのです。
だから、これは強い自分になるために必要なことなのです。
以上、私には一片のやましさもないことをご理解いただけたところで、感想。
【開演前】
会場にはイベントの規模にしてはやたらに警備員やスタッフの姿が見られました。
さすがはコアターゲットが幼女と成人男性。
不要なトラブルに対して過敏に警戒しておられる。
中に入って最初に目に付いたのは、死んだ魚のような目をしたお父様方でした。
たまの休みを、なんだか分からないイベントに引っ張り出された形なんでしょうか。
父母子の三人で入場料1万円以上。気の毒。
開演まで間があったので、購入したパンフレットを一読み。
最初に目に付いたのは、同封されていた一枚の紙でした。
お詫び
パンフレットに下記の誤植がございましたので、
謹んで訂正させていただきます。
誤)ザケンナー → 正)ウザイナー
なにそのメッセージ性豊富な誤植。
雪城さんの高笑いが聞こえるようです。
製作サイドの危機管理能力がまるで足りていません。
なお会場は実に大盛況で、席の1/4が埋まっていました。
雪城さんの高笑いが聞こえるようです。
これはきっと広報が足りてないからだ!もっとガンガン宣伝しないと!
憤ってるうちに開幕。
【前説】
お約束の司会のお姉さんによる、爽やかトーク。
お姉さん:
「舞台の前のお約束が三つあります!」
ああ、携帯電話の電源ね。ええと、一応確認して…
お姉さん:
「ひとつ!舞台に上がらない!
ふたつ!席に立たない!
みっつ!元気な声で応援しよう!」
何かを甘く見てた。
かくして始まる舞台。
声援に応えて、ちょっと頭に外骨格を装備したプリキュアさんたちが登場。
…ちくしょう。
分かっていたはずなのに、何かが無性に悔しい。
CMのあの娘たちが出てくるような、そんな展開をないと思いつつも期待していた私は負け組。
花キュアさん:
「みんなも一緒に歌ってね♪」
言いながら流れるのはいつものOP曲。
まぁ、やらせたいことは分かるし、幼女もそれに応えようとはしてますが、この曲はお子様には難しすぎると思う。
実際、ばらんばらんにダレてしまってた。
いきなり前途多難ですが、本編開始。
【プロローグ】
ソフトボールの試合に出ることになった日向さん。
さらには誕生日も間近。
一方の美翔さんは、コンクールで賞をもらったそうな。
お互いにお互いのことを祝福しようと、思案していると。
モエルンバさん:
「も・え・るんば♪ も・え・るんば♪」
生きてたのか、モエルンバ!
さすがは歌って踊れる敵幹部。
早々にリタイアした彼は、舞台で第二の人生を謳歌しておられました。適材適所の部署配置。
なお、私の隣で見ていた幼女は、敵キャラの登場に恐慌状態。
烈火のごとく泣き出して、保護者に外に連れ出されてました。
製作サイドとしては、怖がってくれるのは狙い通り。でも狙いが当たりすぎると強制退場なのか。
…何か、ショーの構造に致命的な欠陥がある気がする。
日向さん&美翔さん:
「デュアルスピリチュアルパワー!」
開始数分にして変身能力起動。
逆行+スモーク+暗転で気合の変身です。
よく頑張った。
なお、変身モードは、花鳥です。アイテムも旧式の大型です。
新商品が現場に流通していません。
こういう生の舞台こそ、玩具を売りつけるチャンスなのに!機会損失とはこういうのを言うのか。
ちなみにフラッピ、チョッピの謎生物コンビは、販促のコミューン姿で代用でした。
その手があったか…。
加えて、状況によってはパペット方式も併用。つうか、棒付きぬいぐるみ。
まぁ、それはともかくアクションシーン。
ばきり。
…今、鳥キュアさんが蹴ったような。
めきり。ぼきり。
唸りをあげるプリキュアさんの拳。
いつもの魔法バリアはどうしたというのでしょう。
舞台の上ではまるで別人です。物凄い勢いで乱戦モード。
花キュア&鳥キュアさん:
「プリキュアツインストリームスプラッシュ!!」
光とスモークの中、モエルンバさん退場。
【Aパート】
それぞれに贈り物をしようと決めた日向さん&美翔さん。
その結果、日向さんは「大空の樹の形のパン」、美翔さんは「グローブの形のパン」をプレゼントすることに。
それと平行して、日向さんは回想モードに入ります。
日向さん:
「初めて舞と会ったのは…」
「そのときに精霊が現れて…」
回想とともに、舞台の裾から登場するカレハーン。
モエルンバさんに引き続き、お前まで…。
再雇用制度がきちんと機能していて、素晴らしい限り。
日向さん&美翔さん:
「デュアルスピリチュアル…」
本日二度目の変身モーション。
本来はバンクシーン連打で一休みできるはずなのに、舞台でやると決めシーンの連続になって役者さんが死にそうです。
そうか。今の人類に必要なのはバンクだったのか。
日向さん:
(ぜぇぜぇ)
美翔さん:
(はぁはぁ)
元気の良い決め台詞と裏腹に、二人の肩は激しく上下。
今にも倒れそうです。
頑張れ、中の人。
声援に応えて、二人は大奮闘。
カレハーンさんを殴り倒し、いつもの大砲を発射。
なんつうか、叩きのめされてうつ伏せに倒れこむ相手に、必殺技を打ち込むその様は、鬼夜叉以外の何者でもありません。
【Bパート】
日向さんに内緒で、手作りパン&パーティの準備を進める美翔さん。
日向さんの家で、日向さんに内緒でパンを作る…というのは色々無理がある気がしますが…。
案の定、何度も見つかりかけて七転八倒。
まぁ、それはお約束なのでいいのですが、美翔さんのコスチュームはスカートが短いので、転がるたびに何かがきわどいことに。
美翔さん:
「あ~、(咲にパンを)見られちゃったかと思った」
ごめん、しっかり見えた。
でも喜んでいいか悲しんでいいかよく分からない。
一番の問題は、そんなことを気にしてることそのものですけど、悲しい性でもうどうしようもない。
そんな中、三度戦闘シーン。パン作りの邪魔をしようと、モエルンバさんがウザイナーを連れて襲撃してきました。
日向さん&美翔さん:
「デュアルスピリチュ…」
暗転。そしてスポット。
花キュアさん&鳥キュアさん:
「輝く金の花!」「煌く銀の翼!」
おい、必死になって舞台裏に駆け込む変身前の二人の姿が見えたんだが。
…まぁ仕方がありません。
変身台詞から決め台詞までコンマ秒。人間はそんなに早く走れないのです。
微妙な雰囲気になりながらも、しつこく戦闘シーン。
ウザイナーにヘッドロックをかけつつ、背後から迫る相手に蹴りを見舞う鳥キュアさんが頼もしいです。
やっぱり魔法バリアなんて甘えなんだよ。なしでも戦えるじゃないか。
花&鳥キュア:
「プリキュアツインスト…」
見事に撃退。
【休憩】
正確なタイミングは忘れましたが、ここらで休憩。
この時点で開演から45分くらいが経過しています。長ぇ。
なんで私はこんなところで、「プリキュア」の耐久マラソンやってるんだ。
疑問に思いつつも、場内で耳を澄ましてると、保護者の会話が聞こえてきます。
保護者:
「セーラームーンみたいなのか」
「『大地』と『大空』ね。よく出来てるね」
初見の方にもおおむね好評のようです。と、思いきや。
保護者:
「ポルンは出ないの?」
何故、よりもよってそいつの存在を気にかける。
九条さんの高笑いが聞こえるようです。
でもね九条さん。保護者が気にしてるのは謎生物の方であって貴女ではないの。所詮はポルン with ルミナス。
…いつものように、九条さんを棒でつつく妄想をしてる内に後編。
【Cパート】
妨害にもめげず、パンは完成。
が、今度はそのパンを盗まれてしまいました。
慌てて取り返しに赴きますが、もちろん罠。
日向さん&美翔さん:
「デュアルスピ…」
もう何回目だろう。なんかさっきから、エンドレスリピートしてる気がする。
ですが今度は敵さんも本気。
総力戦をしかけてきました。
ウザイナー2匹+モエルンバ+カレハーン+ゴーヤーンの混成部隊。
そ れ は 死 ん だ 。
絶望的にもほどがある。
舞台設定的に風月の力が使えないので、二段変身もシフトチェンジも不能。
仮に出来ても勝てる気がしません。やりすぎだスタッフ。
一瞬にして戦線は崩壊。
ボコ殴りのタコ殴りにされ、ぐったりと力尽きるプリキュアさん。
これはもう、どうしようもないだろ…。
謎生物:
「みんなの応援がいるラピ!」
そこで登場、謎生物。
観客のちびっ子に助けを求めます。
嗚呼、そういう構成だったのか。
幼女:
「がんばれー!がんばれー!!」
すごい。会場内に大声援。プリキュアさんは人気者です。
プリキュアさん:
「ぅぎゃあ」
でも、そんなことで戦況が変わるはずもなく。
何せウザイナー2匹に敵幹部3人が相手です。
容赦なく吹っ飛ばされ、再び倒れます。
謎生物:
「もっと応援がいるラピ!!」
こいつは、いたいけな幼女の声援を弾丸か何かと勘違いしてるんじゃなかろうか。
もっともっとの声に、会場内にはさらなる声援。
それに応えてプリキュアさんが立ち上がる…!
プリキュアさん:
「ぅぎゃあ」
でも、そんなことで戦況が変わるはずもなく。
何せウザイナー2匹に敵幹部3人が相手です。
容赦なく吹っ飛ばされ、再び倒れます。
謎生物:
「もっと応援がいるラピ!!!!」
以下、これを数回繰り返し、いい加減、幼女が疲れた頃。
プリキュアさん:
「みんなの声が届いたよ!!」
…もしかしてこれ、客のノリが悪かった場合に備えて保険をかけてたのか?
音声は録音なので、アドリブはききません。
お子様が声を出さなかったときのために、チャンスを複数回用意してたのかも。
何にせよ、急に元気になり敵を圧倒。
今日一日で何度見たか分からない必殺技をぶちかまし、見事に勝利。
つうか、よく勝てたな、これ。
【Dパート】
これでめでたしめでたし…と思いきや、ダークフォールパート。
まだ続くのか…?
この時点で既に2時間が経過。保護者に絶望がよぎるのが、妙に伝わってきます。
そんな空気を読んだか、微妙に蛇足感バリバリのまとめが入って舞台は終了。
最後はエンディング曲を歌っておしまいです。
流れるのはもちろん…「『笑うが勝ち!』でGO!」。旧エンディングです。
日向さん:
「知ってる人は一緒に踊ってね!」
踊り方を知ってる人なんているのか?
てか、こういう演出をやりたくて、新エンディングはプリキュア音頭になったのか。
気持ちよく納得して幕。
【閉演後】
舞台が終わると、今度は握手会。
ごめんなさい。さすがに逃げました。
榎本さんやCMの娘ならいざ知らず、頭に何か被ってるみたいなプリキュアさんと握手しても嬉しくないんです。
あ。でも握手したら、中の人が男か女かは分かったかも。
なんでそんなことを気にするかは実際に公演を見るか、以下のパンフ画像から察してください。
何この悪意に溢れた構図。
【総じて】
頭の外骨格の出来は予想外に立派で、思っていたよりは普通に見れました。
考えてみれば、頭の部分さえ隠せば、体部分は衣装で十分なんですよね。
どこぞのふたご姫と違って。
ちなみに咲・舞・敵役の他に、妹さんと母、星野くんも登場。
ちゃんと妹さんは小柄な方が演じていました。
妙なところは手が込んでる。
あと、アクションのたびに中の人が死に掛けてたのが妙に印象的でした。
でも微妙に立ち位置間違えたり、場転が上手くいってなかったり、段取りミスって音声とズレたところも…。
酸欠で死にそうなのはよく分かりますし、そもそもいい年した大人が真剣に見てるんじゃねぇ!と言いたくなる気持ちも分かりますけど、そこはもうちょい頑張って欲しかったかも。
で、せっかくなので、今度はCMの娘たちを使って本気で実写でやる方向で。
「セーラームーン」や「サクラ大戦」は出来たんです。「プリキュア」さんだって大丈夫なはず!
実現したらちゃんと見に行くので、スタッフ様にはぜひ検討していただきたい。
会場内にはプリキュアさんのコスプレした幼女もちらほら。
奴らはあの格好でここまで来たのか?それともトイレで早着替えか?
幼少のみぎりから、ろくでもないスキルが育って行きそう。
衣装のバリエーションも様々です。
花キュアさんや鳥キュアさん、中にはお手製っぽい衣装を着込んだ娘も。
大人気じゃないかプリキュアさん。
そんな中、どう見ても白キュアさんな格好をした娘さんも。
雪城さんの高笑いが聞こえるようです。
やっぱり、過去を完全に払拭するのは無理みたいです…。