東映さんの新規事業・東映デジタルセンターの公開セミナーに行ってきました。
■東映デジタルセンターOPEN記念セミナー(2日目)
日時:2010年08月05日(木)17:00
場所:大泉学園 東映デジタルセンター
内容:
1. 「プリキュアオールスターズDX2」EDのメイキングセミナー
2. 東映撮影所の見学
(公式ページ)
全部で2時間程度。あっという間に過ぎました。非常に興味深かった。
まずプリキュアさん達の仕事場が見られたことに素直に感動しました。
そこら中にセットが溢れている。
残念ながらお姿は見かけませんでしたが、撮影帰りの花咲さんとかが闊歩してるんですよね。どきどきする。
セミナーは東映アニメーション様の方3名による、「どうやってあのEDを作ったか」のお話。
方向性としては、絵コンテを切って最初から完成形を見据えて制作…ではなく、まずダンスを踊ってモーションキャプチャーし、ライブのようにリハを重ねて完成形に近付けていく手法を取ったそうです。
試作段階の映像では、本当にカメラがプリキュアさんの周りを滞空し、アングルを指示しまくっていました。
スタッフさんが掲げた内部目標は、「フレッシュEDでやり残したことをやる」。
具体的な反省点としては、どうしても予算も時間も限られたため、フレッシュEDは「撮影所でとったような」狭い空間になってしまったこと。
そこでライブ会場のような熱気を伝える映像にしたかったそうです。確かに、そんな感じだ。
「実際のライブコンサートのような」は何度も繰り返し強調されておられました。
また最初の3Dプリキュアであるところのフレッシュさんに対し、私の思い込みかもしれませんが、そこはかとない思い入れを持っておられるようでした。
イメージカットには「フレッシュチームはダンスユニットとしての面目躍如を」とわざわざ書かれ、「他のチームより難易度の高いダンスをお願いした」とのこと。
確かに桃園さんは頑張っておられた。それに対して美墨先輩とか殺陣ですよね…。ダンスというより。
カットには「他のプリキュアがモー娘。なら、フレッシュはSPEEDで」とも。
桃園さんが、愛されている。
他の説明でも桃園さんは頻繁に引き合いに出されていました。
「2Dの設定絵は割と『都合よく』できている(髪の毛が正面・横・斜めで微妙に整合性が取れていない、とか)。3Dではその辺は誤魔化して、正面・斜めの再現性だけに拘った」とか。
その説明の際に使用されてるのは桃園さん。
表情やハイライトの変化の説明の際も、桃園さん。
最も最初に出来あがっていたこともあり、頭身はフレッシュさんに合わせて調整したとか。
…そういう意味では、桃園さんは大先輩ですね。
彼女はあんまりそういうのを鼻にかけなさそうですが、花咲さんとかは微妙に勘違いしちゃったのかもしれない。
こう、美墨先輩に対して「どこの新人ですか?ダンス教えてあげます」くらいの態度で接しちゃうとか。想像するだに恐ろしい。
モーションキャプチャーのダンスを踊られたのは、ミュージカルのスタッフさん。
フリルつきのスカートをはき、ゼッケンを装着(「ピーチ」とかそんな感じの)、EDそのままのダンスをびしりと踊る映像が紹介されてました。(EDそのままというか、こっちが大元なのですけれど)
画面の左上に完成版ED、右下にダンサー版EDを並べての比較映像が、物凄く面白かった。
何と言うか、分かっていたこととはいえ「本当に踊れるダンス」であることに感動した。
練習着にスカートを取りつけた格好での撮影に妙に熱いものを感じたり。
以前、オペラ座のメイキング映像を見た時の印象を想起しました。何やら凄いな。さすがプリキュアさんの「中の人」。
ダンス自体は2009年中に既に完成。
踊りのイメージも一致し、出来上がったモーションキャプチャーのデータ精度も非常に良く、修正は最小限で済んだそうです。
モーションキャプトの際の問題は、「17人同時」は現実的ではなかったこと。
カメラの精度や物理的スペース、対象が増えると工数が爆発的に増える等がネックだったらしい。
そのため同時撮影は最大6人までに限定し、残りは分割したり流用したりしたそうです。
例えば17人同時のダンスシーンは、フレッシュ+ハートキャッチの6名の動きを他に流用したり。
最後の決めポーズのところは、MH+SS、GOGO、フレッシュ+HCチームに分けたり。
2010年1月5日時点の試作ムービーを見せて貰ったのですが、まさに「リハを重ねた」感じが凄くよく伝わってきた。
完成品ではキラキラしてるステージが、普通に照明が落ちている。
17人同時のシーンでは、桃園&花咲さんの6名以外は、ただの棒人形。(正月休みのせいで映像データが貰えなかったらしい)
桃園さんは、ツインテールなしバージョン。あの髪の毛がいかに面倒か、何となく察しました。
そしてまるで変身前の桃園さんが、プリキュア服を着てリハやってるみたいでとてもときめいた。あのムービー、欲しい。
司会者の方からの「最も辛かったのは何か」に対する回答が冴えてました。
「スパッツ…というかパンチラ」。
大塚監督を初め、下着だろうがスパッツだろうが、とにかくスカートがいやらしくめくれることを非常に警戒されてたそうで。
徹底的に下半身チェックが行われたそうです。
それはあたかもバグを探すかのように。ひたすらにプリキュアさんの下半身を凝視し、スカート調整をする日々。ていうか、そのデバッグ作業、楽しそうだ!
まぁ実際は「楽しい」なんて暢気なものではなく、執念の作業だったようです。
やっと全部潰した…と思ったら、ステージの床に映り込んでいた、とか。
なまじピカピカキラキラさせたものだから、あちこちに反射する。そしてそれらを片っ端から消していく。
そんなわけで、「どこにも存在しないはずなので、探しても無駄だ」とおっしゃっておられました。大変に誇り高く。
美翔さんのスカートは、こういう地道で偉大な作業によって守られていた。
美翔さんと言えば、スプラッシュスターチームは精霊力の再現に力を入れられたそうです。
開発された数々の背景エフェクトの説明の際には、美翔さんが代表に採用されて説明に使われていました。
くるくると踊る美翔さん(エフェクトなし)、くるくると踊る美翔さん(ミストつき)、くるくると踊る美翔さん(ミスト+~つき)以下略。
最初のいかにもリハ風の映像が、どんどん化けていく過程が面白かった。
うん。あのキラキラは美翔さんの力じゃない。ライトアップの力だ。
映像の工夫として、プリキュアさんに加えられた特殊映像の説明も。
ノーマル状態の花咲さんに対し、影の陰影や髪の毛のハイライト等々を加え、最後に「美肌レイヤー」(正式呼称)を付与。
女性スタッフさんが考案したというそのレイヤーにより、花咲さんが実にお美しくなられていました。
すっぴんからフルメイクまでの過程が赤裸々に。
花咲さん…。ああいうズルをしてたんですね…。
女性スタッフ考案のアイデアは各所にあったらしく。
何だかんだで「可愛い」や「可愛く見せる」ノウハウは女性の方が引き出しが多かった。
アップだと分かるのですが、桃園さんの目に入ったラインは「こうすると美人に見える」という提案により採用されたそうです。
桃園さんにその指摘がされたというのがいかにもというか、何と言うか。桃園さん…。
その後、そのメイクスキルは全プリキュアに波及したとか。
ED映像は完成版を初め、未完成バージョン、モーションキャプチャー風景、3D処理版等々、何度も流されました。
プリキュアさんが生き生きとしておられる。そして制作された東映アニメの社員様も。
こういう誇りを持てる仕事を、私もしたいものです。
なおセミナーの最後にデジタル部門の求人募集がされていました。おぉ。
そしてゲーム業界の方々などが詳細を聞きに集まっておられました。
きっちりビジネスしておられる。
EDの制作にかかった費用は、東映アニメスタッフ20名×7ヶ月。
これに協力会社の方々が加わって、軽く1億以上。
「ED自体が本編」とも言われていた通り、実際にそれくらいの金がかかってた。
ぶっちゃけEDなんてそれ自体では利益を生まないのに、これだけのリソースを投入したのが凄いですね。
映画として楽しめる…というのはもちろんのこと、東映アニメ様の実力を宣伝する物凄い効果があったんじゃなかろうか。
実際に今回のセミナーではこうして客引きの効果を如何なく発揮しましたし、今後、東映アニメ様の3D力の最大の宣伝材料の一つとして駆動していくのではないかと思う。
プリキュアさんが、いかにも営業営業してるのがとても面白かったです。
このダンスEDには、色んな意味が込められてる。
受付では普通に名刺交換が行われてたし、配布されたアンケート用紙には「弊社との業務提携を希望されるか?」の項目があった。
いわゆるライブイベント等のノリではなく、ビジネスされてたのが心地よかったです。
頑張れプリキュアさん。お仕事モードの彼女たちを垣間見れて、とても幸せでした。
…気がつけば、取りとめもなく長くなってしまった。
撮影所見学に関しては、8月8日に大イベントが開催されます。(大泉の街中にポスターが貼ってあった)
そちら参照ということで省略してみる。
【追記】
雑多に色々書き足してみた。(こちら)
■東映デジタルセンターOPEN記念セミナー(2日目)
日時:2010年08月05日(木)17:00
場所:大泉学園 東映デジタルセンター
内容:
1. 「プリキュアオールスターズDX2」EDのメイキングセミナー
2. 東映撮影所の見学
(公式ページ)
全部で2時間程度。あっという間に過ぎました。非常に興味深かった。
まずプリキュアさん達の仕事場が見られたことに素直に感動しました。
そこら中にセットが溢れている。
残念ながらお姿は見かけませんでしたが、撮影帰りの花咲さんとかが闊歩してるんですよね。どきどきする。
セミナーは東映アニメーション様の方3名による、「どうやってあのEDを作ったか」のお話。
方向性としては、絵コンテを切って最初から完成形を見据えて制作…ではなく、まずダンスを踊ってモーションキャプチャーし、ライブのようにリハを重ねて完成形に近付けていく手法を取ったそうです。
試作段階の映像では、本当にカメラがプリキュアさんの周りを滞空し、アングルを指示しまくっていました。
スタッフさんが掲げた内部目標は、「フレッシュEDでやり残したことをやる」。
具体的な反省点としては、どうしても予算も時間も限られたため、フレッシュEDは「撮影所でとったような」狭い空間になってしまったこと。
そこでライブ会場のような熱気を伝える映像にしたかったそうです。確かに、そんな感じだ。
「実際のライブコンサートのような」は何度も繰り返し強調されておられました。
また最初の3Dプリキュアであるところのフレッシュさんに対し、私の思い込みかもしれませんが、そこはかとない思い入れを持っておられるようでした。
イメージカットには「フレッシュチームはダンスユニットとしての面目躍如を」とわざわざ書かれ、「他のチームより難易度の高いダンスをお願いした」とのこと。
確かに桃園さんは頑張っておられた。それに対して美墨先輩とか殺陣ですよね…。ダンスというより。
カットには「他のプリキュアがモー娘。なら、フレッシュはSPEEDで」とも。
桃園さんが、愛されている。
他の説明でも桃園さんは頻繁に引き合いに出されていました。
「2Dの設定絵は割と『都合よく』できている(髪の毛が正面・横・斜めで微妙に整合性が取れていない、とか)。3Dではその辺は誤魔化して、正面・斜めの再現性だけに拘った」とか。
その説明の際に使用されてるのは桃園さん。
表情やハイライトの変化の説明の際も、桃園さん。
最も最初に出来あがっていたこともあり、頭身はフレッシュさんに合わせて調整したとか。
…そういう意味では、桃園さんは大先輩ですね。
彼女はあんまりそういうのを鼻にかけなさそうですが、花咲さんとかは微妙に勘違いしちゃったのかもしれない。
こう、美墨先輩に対して「どこの新人ですか?ダンス教えてあげます」くらいの態度で接しちゃうとか。想像するだに恐ろしい。
モーションキャプチャーのダンスを踊られたのは、ミュージカルのスタッフさん。
フリルつきのスカートをはき、ゼッケンを装着(「ピーチ」とかそんな感じの)、EDそのままのダンスをびしりと踊る映像が紹介されてました。(EDそのままというか、こっちが大元なのですけれど)
画面の左上に完成版ED、右下にダンサー版EDを並べての比較映像が、物凄く面白かった。
何と言うか、分かっていたこととはいえ「本当に踊れるダンス」であることに感動した。
練習着にスカートを取りつけた格好での撮影に妙に熱いものを感じたり。
以前、オペラ座のメイキング映像を見た時の印象を想起しました。何やら凄いな。さすがプリキュアさんの「中の人」。
ダンス自体は2009年中に既に完成。
踊りのイメージも一致し、出来上がったモーションキャプチャーのデータ精度も非常に良く、修正は最小限で済んだそうです。
モーションキャプトの際の問題は、「17人同時」は現実的ではなかったこと。
カメラの精度や物理的スペース、対象が増えると工数が爆発的に増える等がネックだったらしい。
そのため同時撮影は最大6人までに限定し、残りは分割したり流用したりしたそうです。
例えば17人同時のダンスシーンは、フレッシュ+ハートキャッチの6名の動きを他に流用したり。
最後の決めポーズのところは、MH+SS、GOGO、フレッシュ+HCチームに分けたり。
2010年1月5日時点の試作ムービーを見せて貰ったのですが、まさに「リハを重ねた」感じが凄くよく伝わってきた。
完成品ではキラキラしてるステージが、普通に照明が落ちている。
17人同時のシーンでは、桃園&花咲さんの6名以外は、ただの棒人形。(正月休みのせいで映像データが貰えなかったらしい)
桃園さんは、ツインテールなしバージョン。あの髪の毛がいかに面倒か、何となく察しました。
そしてまるで変身前の桃園さんが、プリキュア服を着てリハやってるみたいでとてもときめいた。あのムービー、欲しい。
司会者の方からの「最も辛かったのは何か」に対する回答が冴えてました。
「スパッツ…というかパンチラ」。
大塚監督を初め、下着だろうがスパッツだろうが、とにかくスカートがいやらしくめくれることを非常に警戒されてたそうで。
徹底的に下半身チェックが行われたそうです。
それはあたかもバグを探すかのように。ひたすらにプリキュアさんの下半身を凝視し、スカート調整をする日々。ていうか、そのデバッグ作業、楽しそうだ!
まぁ実際は「楽しい」なんて暢気なものではなく、執念の作業だったようです。
やっと全部潰した…と思ったら、ステージの床に映り込んでいた、とか。
なまじピカピカキラキラさせたものだから、あちこちに反射する。そしてそれらを片っ端から消していく。
そんなわけで、「どこにも存在しないはずなので、探しても無駄だ」とおっしゃっておられました。大変に誇り高く。
美翔さんのスカートは、こういう地道で偉大な作業によって守られていた。
美翔さんと言えば、スプラッシュスターチームは精霊力の再現に力を入れられたそうです。
開発された数々の背景エフェクトの説明の際には、美翔さんが代表に採用されて説明に使われていました。
くるくると踊る美翔さん(エフェクトなし)、くるくると踊る美翔さん(ミストつき)、くるくると踊る美翔さん(ミスト+~つき)以下略。
最初のいかにもリハ風の映像が、どんどん化けていく過程が面白かった。
うん。あのキラキラは美翔さんの力じゃない。ライトアップの力だ。
映像の工夫として、プリキュアさんに加えられた特殊映像の説明も。
ノーマル状態の花咲さんに対し、影の陰影や髪の毛のハイライト等々を加え、最後に「美肌レイヤー」(正式呼称)を付与。
女性スタッフさんが考案したというそのレイヤーにより、花咲さんが実にお美しくなられていました。
すっぴんからフルメイクまでの過程が赤裸々に。
花咲さん…。ああいうズルをしてたんですね…。
女性スタッフ考案のアイデアは各所にあったらしく。
何だかんだで「可愛い」や「可愛く見せる」ノウハウは女性の方が引き出しが多かった。
アップだと分かるのですが、桃園さんの目に入ったラインは「こうすると美人に見える」という提案により採用されたそうです。
桃園さんにその指摘がされたというのがいかにもというか、何と言うか。桃園さん…。
その後、そのメイクスキルは全プリキュアに波及したとか。
ED映像は完成版を初め、未完成バージョン、モーションキャプチャー風景、3D処理版等々、何度も流されました。
プリキュアさんが生き生きとしておられる。そして制作された東映アニメの社員様も。
こういう誇りを持てる仕事を、私もしたいものです。
なおセミナーの最後にデジタル部門の求人募集がされていました。おぉ。
そしてゲーム業界の方々などが詳細を聞きに集まっておられました。
きっちりビジネスしておられる。
EDの制作にかかった費用は、東映アニメスタッフ20名×7ヶ月。
これに協力会社の方々が加わって、軽く1億以上。
「ED自体が本編」とも言われていた通り、実際にそれくらいの金がかかってた。
ぶっちゃけEDなんてそれ自体では利益を生まないのに、これだけのリソースを投入したのが凄いですね。
映画として楽しめる…というのはもちろんのこと、東映アニメ様の実力を宣伝する物凄い効果があったんじゃなかろうか。
実際に今回のセミナーではこうして客引きの効果を如何なく発揮しましたし、今後、東映アニメ様の3D力の最大の宣伝材料の一つとして駆動していくのではないかと思う。
プリキュアさんが、いかにも営業営業してるのがとても面白かったです。
このダンスEDには、色んな意味が込められてる。
受付では普通に名刺交換が行われてたし、配布されたアンケート用紙には「弊社との業務提携を希望されるか?」の項目があった。
いわゆるライブイベント等のノリではなく、ビジネスされてたのが心地よかったです。
頑張れプリキュアさん。お仕事モードの彼女たちを垣間見れて、とても幸せでした。
…気がつけば、取りとめもなく長くなってしまった。
撮影所見学に関しては、8月8日に大イベントが開催されます。(大泉の街中にポスターが貼ってあった)
そちら参照ということで省略してみる。
【追記】
雑多に色々書き足してみた。(こちら)