手入れをしていないネコ額の我が家の庭を見ていると、秋も過ぎて冬になったとしみじみ思う。
近くの山から鳥たちが運んでくる種が芽を吹き、どんどん葉を茂らせて2階の高さくらいまで枝が伸びている。もう私が切ることも無理かも。できたとしてもとても大変。桐の葉はきれいな黄葉を見せてくれたあと、大雨で全部散った。芙蓉もまっ黄っ黄になった後、すっかり枝のみになった。
あれほど毛虫に全部葉っぱを食べられて丸坊主になった山茶花にも、また花が咲いた。数は少ないけど結構たくさんの花が咲いている。
庭の真ん中にこしらえた小さな花壇の花もすっかりなくなり、色がない。寂しいね。
父はホスピスには行かずにホームに帰った。いつまで居られるかわからないが、介護の方々に温かく迎えられて早速かいがいしく世話を焼かれた姿を見ていると、父は幸せだと思う。もう父にとっては、一番居心地のいい我が家になっている。ありがたいことだ。
その姿を見て、私の胸につかえていたわだかまりもなぜかすっと消えた気がした。
また以前の通り、慌ただしい日々がやってきそうな気がする。
私もすっかりホームに頼っているのだ。あそこに父がいる限り安心だという気になり、私も安心する。
季節は巡り、時は過ぎていく。まぎれもない事実だ。