中国迷爺爺の日記

中国好き独居老人の折々の思い

2006-09-07 10:21:02 | 身辺雑記
  このあたりで蛙の姿を見なくなってから久しい。アマガエルなら庭でも見られたが、そのアマガエルも今年はあまり姿を見ないし、天候が怪しくなってくると鳴きだす、あの高い声もこの夏は聞かなかったように思う。

 

  50年ほど昔、結婚した頃住んでいた所では、田植えの時期が近づいた夜に蛙の大合唱が夜空にこだますると、田圃に水が入ったことが分かった。そしてその合唱は毎晩続き、風物詩のような感じがしたものだった。その頃は田圃や、その周りの溝には蛙はいくらでもいた。それも今ではまったく見られなくなったトノサマガエルやダルマガエルだった。

  トノサマガエルはRana nigromaculata(黒色の斑紋がある蛙)という学名が示しているように背中に黒い斑紋があり、背中の中央に縦に走る白い線がある。雄の体長は7センチほどで、雌は雄よりも大きく斑紋以外の皮膚が白っぽいのですぐに見分けがつく。私はこの蛙が好きだった。


 このトノサマガエル写真は、自然観察を定年退職後の日課にして楽しんでいる弟が、自分の家の近くにある里山風のフィールドで撮ったもの。「生き物観察記」というホームページ(http://www.wombat.zaq.ne.jp/aubbb009/)で、観察した動植物を毎日のように紹介している。

  ダルマガエルはトノサマガエルに似ているが、体は少し小さく「脚が短い」と言う学名が示すようにずんぐりした体型をしている。トノサマガエルと混在していた。近づくとトノサマガエルはすばやく水中に潜るとしばらく出て来ないが、ダルマガエルは潜っても間もなく水面に顔を出し、前足を水面に乗せるような姿勢で浮かんでいる姿が何となく愛嬌があった。

  トノサマガエルもダルマガエルも水質の悪化には弱く、都会地にある田圃からはいつの間にか姿を消してしまった。私が現在の家に住むようになったのは30年ほど前だが、その頃には近くの田圃にはもういなかったように思う。見られたのはツチガエルやダルマガエルだった。この蛙たちも田に水が張られると、どこからともなく姿を現した。

  ツチガエルは俗にイボガエルと言うように、体長4~5センチの土色の体の表面には全面イボがあり、捕まえると独特の臭気がある。子どもの頃は触ると手にイボができるなどと言われた。イボができることはないが体表の毒腺から毒性の粘液を出すと言う。低い声で鳴く。


インタネット「日本のカエルの鳴き声図鑑」より

  ヌマガエルはちょっと見るとツチガエルに似て、上から見ると土色だが腹側は白い。体長はツチガエルより小さく、背面の皮膚に少し皺があるように見えるがイボはない。高い声で鳴き、私が来た頃には、夜はこの蛙が賑やかに合唱していた。ヌマガエルはツチガエルよりも水質汚染には抵抗力があるようで、ツチガエルが姿を消した後も何年か見られたが、やがてこの蛙もいなくなってしまった。


インタネット「日本のカエルの鳴き声図鑑」より
 
  これらの蛙は英語ではfrogで、この単語は中学生でも知っているが、ガマガエルとも言うヒキガエル(蟇蛙)の仲間はtoadと言う。陶器の置物になって庭の隅や料理屋の玄関先などに置かれたりしてお馴染みのカエルだが、これも都会地ではほとんど見られなくなった。私はトノサマガエルたちよりももっとこのヒキガエルが好きだ。幼少の頃、東京の祖父の家の庭に夕方になると姿を現し、その姿は醜いとも言えるがなかなか風格があって、祖父母は喜んでいた。広島の妻の実家の庭にも姿を見せていた。広島ではドンビキと呼ぶ。


インタネット「日本のカエルの鳴き声図鑑」よりニホンヒキガエル

  私の母はヒキガエルに限らずおよそカエルと名がつくものは大嫌いで、洗濯物を干す時に物干し竿にとまっていたアマガエルをうっかり掴んだりすると、恥も外聞もなく少女のような悲鳴を上げていた。この母の子である私は不肖の息子で、中学生の頃からカエルが大好きになり母の顰蹙を買っていた。大学では当時両生類の遺伝学の権威だった川村智次郎先生に学んだが、ここでも不肖の弟子でさしたる成果も上げることはなかった。

  あのユーモラスなカエルの姿が周辺から消えてしまったのは本当に寂しい。彼らは環境汚染の犠牲になったのだが、私達人類が同じような運命をたどることはないとは断言できないだろう。


孫息子のバリ島みやげ 

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3 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (真真)
2006-09-07 20:02:30
お孫息子さんのプレゼントはかわいいね
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すてきですね! (Betty)
2006-09-08 00:10:28
弟さんの「生き物観察記」へ行ってきました。

水面に映る風景とトンボ・・・

昔懐かしい生き物たちに出会えて当時を懐かしく思い出したりしています。



最後のカエル

トッテモかわいいですね。



でも良く見るとおなかの出たあたしがねっころがっているみたいで・・・・・

なんだかはずかしぃ~



気持ちになりました。

チャンチャン



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有難うございます (中国迷爺爺)
2006-09-08 00:49:59
 弟は大阪の自然大学で退職前から勉強し、退職後喜び勇んで自然観察の生活に入りました。生物の教師だった私はもうすっかり空っぽになりましたが、工学系で生物には無縁だった弟の生き物に対する今の情熱には頭が下がります。時々除いてやってください。



 そうですか。Bettyさんはこんな姿で横になられますか。かわいいですねえ。
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